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Draft Notebook 5: S Jerron McMillian
グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2012年7月18日
ドラフト指名選手紹介の5人目は、4巡38位(全体133位)指名のSジェロン・マクミリアンについて。
- ニュージャージー州ヒルサイドの出身。ニューアーク空港のすぐ西側に位置し、マンハッタンからも近い。余談だが、ヴァイキングスのオーナーのジギー・ウィルフの一族はホロコーストを生き延びて、1950年代にこの街に移り住んでいる。ジギー少年もドイツで生まれてこのヒルサイドで育った。
- 高校ではクォーターバック兼セーフティとして活躍し、オール・ステイトにも選ばれた。キャプテンを務め、学業も優秀。バスケットボールもプレーしていた。しかし奨学金のオファーがあったのはディビジョンI-AAのメイン大だけだった。
- メイン大ではレッドシャツの翌年から全試合出場、1試合に先発。2年目にはスターターに昇格し、早くも5INTを決める活躍を見せた。3年目はチームの最優秀ディフェンス選手に。4年目の昨季は88タックル・ロスタックル10.5回など目覚ましい活躍でカンファレンスの1stチームに選ばれている。
- 「児童教育および家族関係」の学位を取ってすでに昨年5月に卒業している。
- 2010年にナイトクラブでの暴力沙汰で逮捕されたことがある(治安紊乱行為および逮捕への抵抗)。 「ドラフト前に訪問させるのはそうしたことを話し合うのも目的の1つだ。そうした結果、我々としては安心感が持てた」とテッド・トンプソンGM。
- スカウティング・コンバインでは、40yds走4.56秒(セーフティ中4位)、垂直跳び36.5インチで、どちらもセーフティ中4位の記録だった。
- 下位カンファレンスの無名選手で、パッカーズとしてはやや隠し球的な指名。
- メイン大からNFLにドラフトされた選手は通算14人目で、このマクミリアンが同大史上最高順位の指名となった。いっぽうドラフト外では、FBモンテル・オーウェンス(JAX)がスペシャルチーマーとして2年連続プロボウルに出場したほか、LBスティーヴン・クーパー(SD)、LBジョヴァン・ベルチャー(KC)、DEマイク・デヴィート(NYJ)といった選手たちがスターターとなっている。
- Colonial Athletic Association カンファレンス出身といえば、同じくセーフティのダレン・シャーパー(ウィリアム&メリー大)がいる。
- 背番号は22番に決定。1920年代から30年代にかけて活躍した大型レシーバーのラヴァーン・ディルウェグ、60年代黄金期のRBイライジャ・ピッツがどちらもパッカーズの殿堂入りしている。最近は活躍した選手がおらず、2008年2巡指名のCBパット・リーも今年FA退団した。
- パッカーズはFSニック・コリンズ(首のケガ)の退団で先発セーフティの座が1つ空いており、キャンプでは先発争いが注目されている。暫定スターターのチャーリー・ペプラーに2年目のM.D.ジェニングスが挑戦する形だが、そこに新人マクミリアンが加われるかどうか。6月のミニキャンプでは、両スターターがケガで不在のためマクミリアンとM.D.ジェニングスが1stチームに入っていた。
- ニッケル隊形(5DB)を多用してきたパッカーズだが、相手パスオフェンスのスピードに対抗するため、今年はダイム隊形(6DB)を増やすことをコーチ陣は公言している。ミニキャンプではマクミリアンもダイムバックに入る場面があった。
- 本人のインタビューから。
- 「高校を出るとき奨学金のオファーがあったのはメイン大だけ。それ以来、世間が間違っていることを証明しようと頑張り続けてきた。これからだって、スモールスクール出身だからって劣ることはないと証明しなきゃいけない。フットボールはフットボールだよ」
- ストロングセーフティとしてスクリメージ近くで活躍してきたが、プロでは同地区の強力なパス攻撃を相手にカバレッジしなければならない。 「これまではたいていランを止めるために前にいて、ラン守備で大きなプレーを決めていた。確実にタックルを決めることは証明済みだし、それは大きなプラス材料だった。選手として成功するためには、(レシーバーなら)確実にキャッチし、(ディフェンスなら)確実にタックルを決めること、とコーチたちから言われてきた。それができていれば、いい位置にいられると」
- マイナー校の自分にNFLスカウティング・コンバインへの招待メールが届いたことに驚いた。 「ダブル・チェックしなきゃいけなかった。メールを受け取ったあと、ちゃんと電話をかけて確認したよ」
- 「以前からニック・コリンズは尊敬していたから、(後任候補として指名されたのは)気おくれしてしまうね。ちょっとだけ。彼は短期間に多くのことを成し遂げた。そして今度は僕が入団する。世間には僕をニック・コリンズだと思ってはほしくない。(スターの穴を埋めるのは)大変な状況だ。でもそこに加わらなきゃいけない。自分の得意なことをやるだけだ」
- 2010年のナイトクラブでの暴力事件について。 「僕は仲裁をしようとしていたんだ。でも髪型かなにかのせいか、僕がなにかしようとしているように見えたんだろう。あれもいい経験だった。トラブルに近づかないようになったから。フットボールの外の人々が自分をどう見ているか、身をもって知ることができた」
- グリーンベイ訪問は順調に進んだが、その後パッカーズから音沙汰がなかったので、自分への興味を失ったのかと心配していた、とのこと。
- 「(数球団が興味を示していたので)どこかから指名されるだろう、という予感はあったけど、こればかりはわからないからね。ドラフトされるだけの力はあると思っていたけど、予想はつかなかった。(指名直前に)パッカーズから電話があり、たくさんの感情が噴き出してきてしまった。本当に圧倒される思いだった。いまだに実感が湧いてこないのが現実だ」
- またもドレッドヘアのディフェンシブバック。「7年以上も切っていない。NFL最長かどうかは知らないけど、背中の半分より長くなってるのはたしかだ(ミニキャンプでの写真はこちら)。試合中に掴まれたことは何度もある。嫌だけど、慣れるものだ。痛くない時もあるんだよ。後でテープを見るまで、掴まれたことに気が付かないこともあった」
- ドム・ケイパースDCの記者会見から。
- 「彼はとてもアグレッシブなスタイルを持ち、動きのスキルもいい。ラインまで上がって好プレーを決めることができる。ディープを守らせればディープをプレーしてボールを狙えるし、ラン守備に上げればクイックネスとスピードでボールキャリアを追いかける」
- 「フィールドでのプレー映像がとてもよかったので、彼と時間を過ごしてみたかった。そこでドラフト前にチームを訪問させ、そこでの振る舞い方も我々は気に入った」
- 「彼ならばフリーセーフティとストロングセーフティの両方がこなせると思う。まず第一に、彼は走れる。第2に、彼は非常にアグレッシブなプレーヤーだ。進んで体を投げ出すことはすぐにわかる」
- 昨季のタックリングミスの多さを嘆くダレン・ペリーSコーチ。 「昨年ウチのタックリングがどうだったか、みなさんよくご存知だろう。だから今年は当然そこが強化ポイントになる。彼はスペースで相手を捕まえることができ、しっかり倒すことができる選手だ」
- 大学で彼のDBコーチだったスティーヴン・ヴェイシェル。(現在はイェール大)
- 「彼は生涯を通じて見過ごされてきた。メイン大に行ったのも、他校から誘いがなかったからだ。それが彼のような選手をモティベートする。彼は常にその怒りを抱えていたし、コーチ・コスグレイヴ(メイン大HC)もそれをモティベーションに利用していた。彼はハングリーだ。チームによいエネルギーをもたらし、必死で頑張るはずだよ」
- 「相手を殺すようなつもりで倒す、そういうタイプのフィジカルな選手だ。パスラッシュのコツも心得ている。相手のプレーを読もうと常に努力し、それが見えたらアタックに行く。この2年間で本当に成長した。ゲームをよく学ぶようになった」
- 2010年のナイトクラブでの暴力沙汰も、逮捕は行き過ぎだったとコーチは言う。 「(離れたところで)いさかいが起こり、彼は仲間が大丈夫かどうかたしかめに行ったのだ。彼は自分たちを守ろうとしただけだ」
- 「彼は特権を与えられてきた選手じゃない。たとえば、ウィスコンシン大の選手たちと違ってね。ウィスコンシン大を悪く言うわけじゃないが、彼らなら何でも欲しいものが手に入るわけだ。しかし、この子はメイン大で何もかも自力でつかみ取るしかなかった。だからちょっとしたことにも感謝できる。彼は(指名を)心から光栄に思っているよ」
ルーキー・ミニキャンプでのインタビュー。意外に穏やかで感じがいい