グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2012年7月11日
株主総会を2週間後に控え、グリーンベイ・パッカーズが昨会計年度(3月末まで)の収支報告を発表した。スーパーボウル制覇に続く15勝1敗シーズンの勢いを活かし、総収入、経常利益、純利益、ローカルレヴェニューの4部門とも過去最高の数字となっている。経常利益は昨年度の3.6倍、総収入も初めて$300ミリオンの大台に達した。いっぽう選手コストは$3.5ミリオン減となっている。
非営利団体グリーンベイ・パッカーズは収支報告書を公開している唯一のNFL球団。利益がオーナーの懐に入ることなく、すべてフットボール部門やスタジアム改良に還元されるのはパッカーズの強みと言っていい。(オーナー役を務めるマーフィ社長の年俸は約$1ミリオンと言われている)
なお、現在進行中のスタジアム拡張工事(総工費$143ミリオン)のコストや資金調達は今回の収支報告書には含まれていない。新株の売り上げ$64ミリオンもすべて拡張工事に使われるため、今回の球団収入には含まれない。
- 総収入は過去最高の$302ミリオン。過去最高だった昨年度($282.6ミリオン)からさらに$19ミリオン増えている。
- 経常利益は過去最高の$43ミリオン。昨年度($12ミリオン)の約3.6倍だった。
- 純利益は過去最高の$42.7ミリオンとなり、昨年度($17.1ミリオン)の約2.5倍。
- ローカル・レヴェニューは過去最高の$130.4ミリオンとなり、昨年度より$11.1ミリオンのアップ。
- ローカル・レヴェニューとは、一般席チケット売り上げ(の3分の2がホームチーム分)・ボックス席チケット・ラジオ契約・プロショップ売上げ・各種スポンサー契約など、いわば経営努力の成果であり、各球団の地力といっていい。
- ローカル・レヴェニューの増加分の多くはパッカーズ・プロショップの売り上げ増によるもの。スーパーボウル制覇の勢いが続いた、とマーフィ社長。
- パッカーズ・ホール・オブ・フェイムを訪れたファンは過去最高の約156,000人。スタジアム・ツアーに参加したファンも過去最高の137,000人。これまではどちらも年間9万人ぐらいだったとのこと。
- プレーオフのホーム開催は1試合につき$1ミリオンから$2ミリオンの球団収入増につながるものらしい。せっかく第1シードを得ながらプレーオフ初戦敗退はもったいなかった。
- ナショナル・レヴェニューは$171.6ミリオンとなり、昨年度から$8ミリオンのアップ。
- ナショナル・レヴェニューとは、一般席チケット売り上げ(の3分の1をアウェー分としてリーグが集めて均等に配分)・放映権料・ライセンス収入などレヴェニュー・シェアリングからの分配分。
- 全米TVネットワークの放映権料が$102.5ミリオンとなり、昨年度より$6ミリオンのアップ。ナショナル・レヴェニューの約60%を占めている。各局との新契約が2014年から始まり、放映権料が大幅に増えることが確実視されている。
- 選手コストは昨年度より$3.5ミリオン減の$155.4ミリオン。
- $3.5ミリオン減となったのは、今後見込まれる有力選手数人との契約延長に向けて現在節約中だからだろう。FA契約した選手はCジェフ・サタデーを除いて全員リーグミニマムだった。
- 新労使協定では予想されていた以上に選手側の取り分が低く抑えられ、サラリーキャップ枠は横ばいがやっと。2014年から放映権料が大幅に増えるとともにキャップもかなり伸びるはずで、選手会側としてはそれを見込んで我慢をしているところだ。
- 選手コストとはサラリーや契約ボーナスなどサラリーキャップに含まれるものばかりではない。ヘルスケア、引退プラン、オフシーズンワークアウトの日当、旅費、宿泊費、食費といった、労使協定で定められた球団負担分がすべて含まれる。
- 大富豪オーナーを持たないパッカーズは、いざというときにも球団が存続して競争力を保てるよう "Packers Franchise Preservation Fund" という基金を設け、将来の危機に備えている。いわば球団の貯金箱だが、$127.5ミリオンのまま4年連続で積み増しゼロとなっている。
- パッカーズは現在スタジアム西側のロンバルディ・アヴェニュー沿いで不動産購入を進め、すでに28エーカーを確保済み。地元自治体と協力した再開発がさらなる経営の安定につながるはず、とマーフィ社長は話している。
- 現在進行中のスタジアム拡張工事の写真はこちら。南側の大スタンドに6700席が増設され、南北両側の大スクリーン(今夏完成予定)はこれまでの約4倍の大きさになる。すべて完成するのは2013年夏となっている。