グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2011年7月28日
グリーンベイ・パッカーズが昨会計年度(3月末まで)の収支報告を発表した。純利益が前年度より$12ミリオン増え、$17.1ミリオンとなっている(昨年の記事も参照)。スーパーボウル進出がランボーフィールド・アトリウムやプロショップからの収入を引き上げたうえに、投資ポートフォリオの劇的改善が純利益増につながった、とマーフィ社長は分析。過去2年間は投資での赤字が本業での黒字をかなり食いつぶしていたからだ。
「ロックアウトの収入減をスーパーボウル制覇が上回った印象だ。ロックアウトの悪影響はスポンサーシップに表れたと我々は感じている。今後多少なりとも取り戻せることを期待したい。選手コストは今後も上昇を続けるので、他球団についていくためにローカル・レベニューを増やす努力が必要だ」とマーフィ社長。
非営利団体グリーンベイ・パッカーズは収支報告書を公開している唯一のNFL球団。例年は6月下旬ごろ(株主総会の1か月前)に発表するが、今年は労使交渉に影響を与えることを考慮して遅らせたのかもしれない。
- 純利益は$17.1ミリオンにジャンプアップ。過去2年の不振($4ミリオン、$5.1ミリオン)から立ち直った。
- 経常利益は$12ミリオン。前年度の$9.8ミリオンから回復してきたが、2年前は$20.1ミリオンもあった。
- 総収入は過去最高の$282.6ミリオン。同じく過去最高だった前年度から$24.6ミリオン増えた。
- 経常経費は前年度より$22.5ミリオン(9%)増え、こちらも過去最高の$270.5ミリオン。選手コストに加え、プレーオフ4戦の遠征費用もコストを押し上げた。
- 選手コストは前年度より$2ミリオン減の$158ミリオン。
- 昨年3月、LTクリフトンやDEピケットなどベテランに大型契約を連発した分は前年度分に含まれ、今回はロックアウトで3月に大きな支出がなかったのが大きい。今夏のFA契約の出費は次年度に回ることになるので、おそらく大幅増になるだろう。
- 選手コストとはサラリーや契約ボーナスなどサラリーキャップに含まれるものばかりではない。ヘルスケア、引退プラン、オフシーズンワークアウトの日当、旅費、宿泊費、食費といった労使協定で定められた球団負担分がすべて含まれる。
- ナショナル・レベニューは$163.3ミリオンで、前年度から$5.7ミリオンのアップ。
- ナショナル・レベニューとは、一般席チケット・放映権料・ライセンス収入などレベニュー・シェアリングからの分配分。各球団に均等に配分される。
- 全米TVネットワークの放映権料が$96.5ミリオンを占めている。$80万ドル増。
- NFL直営のNFL Network分が$4.2ミリオン増を記録。設立以来きわめて順調に伸びている。
- ローカル・レベニューは$119.3ミリオン。前年度から$18.9ミリオンのジャンプアップで、これはまさにスーパーボウル効果。
- ローカル・レベニューとは、ボックス席チケット・ラジオ契約・プロショップ売上げ・各種スポンサー契約など、いわば各球団の経営努力分。スモールマーケット球団と言われながらパッカーズが総収入ランキングで毎年10位前後をキープしているのは、ここで決して負けていないから。
- セールス&マーケティング収入は$14.7ミリオン増の$57.7ミリオン。
- プレーオフのアウェー遠征は短期的には赤字になるもので、もしホームで開催できていたらさらに大きな利益を上げられたはず。
- 投資利益は、過去2年にわたる$11.2ミリオンの含み損を取り戻すことができた、と会計担当。新たな投資コンサルタントを雇い、投資のうち株の割合を75%から50%に減らしたことも明らかにしている。
- 大富豪オーナーを持たないパッカーズは、いざというときにも球団が存続して競争力を保てるよう "Packers Franchise Preservation Fund" という基金を設け、将来の危機に備えている。つまりパッカーズの貯金箱だ。この基金は3年連続で積み増しゼロで、$127.5ミリオンのままとなっている。ロックアウトで将来が不透明だったため、と球団側は説明。
- 7500席前後増やすことを含めた、ランボーフィールド拡張案についてジェイソン・ウィード副社長。 「昨年度の業績は、拡張プランに真剣に取り組む考えを後押しする結果になった。チケット需要(シーズンチケットの待機リストに81000人以上)が依然として大きいのだから、拡張は理にかなっている。今回の労使合意は我々のランボーフィールド拡張プランを助けることになり、さらなるローカル・レベニューを創り出し、地元コミュニティへの経済効果も増すことになる。発展を続けることが我々パッカーズの優先課題だ」