木曜のキャンプ練習を訪問したのはアンナ・シュミット13歳。パッカーズは慈善団体Make a Wishに協力し、そのささやかな夢を叶えられるよう、難病に苦しむ子供たちを数多く受け入れてきた(2004年の記事も参照)。今回アンナは家族でランボーフィールドや練習フィールドを見学し、QBアーロン・ロジャースら選手たちとの交流を楽しみ、週末のプレシーズンゲームにも招待されている。
アンナの体に異変が起きたのは昨年の12月だった。「胃の痛みを訴えたアンナを病院に連れて行くと、拡張型心筋症という難病だと診断されたんです。投薬治療を行うが、いずれは心臓移植が必要だと」と父ブライアンは振り返る。1月からは左心室を助けるため補助ポンプをつけて自宅療養していたが、何度も大きな発作が起きた。血液凝固(クロット)のために脳内出血を起こして右半身が麻痺し、見ることも話すことも歩くこともできなくなった。出血と頭蓋内圧を下げるための手術を受けなければならなかった。
絶望的な状況にあった一家に朗報が訪れたのは3月29日のこと。適合するドナーが現れたとの連絡を受けたのだ。翌30日、15時間にわたる手術はぶじ成功した。歩くことや話すことをゼロから学びなおさなければならなかったが、回復ぶりはめざましく、右手の機能回復にやや時間がかかっていることを除けば、心身ともに100%に近い。なんとか勉強も追いついて再び8年生に加わることができた、と父ブライアンは喜びを語る。
そしてパッカーズ訪問の夢がかなったこの日。アンナはランボーフィールドじゅうを案内されたあと、チームのハドルにも加わった。練習が終わるとQBロジャースがアンナの自転車に乗り、彼女はロジャースのヘルメットを抱え、2人で親友のようにおしゃべりしながらスタジアムまで戻った。チームのダイニングルームでロジャースと1時間かけてランチを楽しみ、その間に彼がチームメイトを次々と紹介してくれた。CBアル・ハリスは長い間いっしょに過ごしてくれて、RBライアン・グラントやKメイソン・クロスビーたちもサインをくれた。「ドナルド・ドライバーはその朝はオフだったのに、アンナと過ごすためにわざわざ来てくれた」と父ブライアン。
「バレーボールとソフトボールは今後も続けたいと本人は言っています。あのつらい日々を振り返ると、私たちは本当に幸運でした。アーロン・ロジャースとの別れ際に、『幸運を祈ってるわ』 とアンナは言いました。『新しい心臓をもらった日がわたしの人生で最高の日だった。でも今日はそれに近い2番目だ』 って」