今回は制限つきフリーエージェント(RFA)予定の選手のまとめ。(用語集のRFA解説へ)。
RFA選手へのQualifying Offerは4通りのランクがあり、高いランクをオファーするほど引き留める力が強くなる仕組み。今年は特殊な年で、NFL経験3年選手だけでなく4年・5年の選手もいるので、以下のように複雑になっている。いずれかのオファーをせずに放置すれば、その選手は無制限フリーエージェント(UFA)となる。
来季はサラリーキャップなしとなることがほぼ確実になったため(先月の解説へ)、プロ経験4年・5年で本来ならばUFAとなるはずだった選手も、RFAにしかなれないものと分類してしまうことにする。下記の全9選手のうちCBトラモン・ウィリアムズ以外の8人はすべてこうした不運な選手たちだ。
2巡指名から3年間は伸び悩んだが、この2シーズンで13インターセプトを挙げる活躍で2年連続プロボウルに選ばれた。入団時に5年契約を結んでいたのが不運なところで、4年契約で昨季UFAになっていれば、とっくにビッグマネーを手に入れていたところ。本人はすでに昨年春から契約延長を求めていたが、チーム側が乗り気ではないのは、2年連続プロボウラーという額面ほどには実力を評価していないからではないか。
球団側としては、RFAで1年引き留めたうえで、長期契約の交渉をするか、来年UFAとして手放すかを判断することになりそう。Qualifying Offerは上位2つのどちらかになるだろう。1年引き留めたとしても、このような成り行きでは本人がヘソを曲げて長期契約交渉が困難にならないかが心配なところだ。
ケガに苦しんだ2008年シーズンよりはマシな内容だったが、ポラマル的な活躍には程遠く、「強力な3-4ディフェンスを作るにはストロングセーフティにもっと優秀な選手を」という声は少なくない。とはいえせっかくRFAなのだから、安価で引き留めたうえで、可能ならば補強を、という形になるだろう。ドラフト外入団なので最低オファーをするわけにはいかず、上から3番目のいわゆる「2巡オファー」が妥当ではないか。
これまでのDTから3-4ディフェンスのDEとなったが、心配を吹き飛ばす大活躍で重量ディフェンシブラインの一翼を担った。本来ならばシーズン途中で契約延長の話が出ていてもおかしくない働きだったが、問題は実力面よりも私生活。2008年7月に鎮痛剤コデインの違法(大量)所持で逮捕され、もうじき裁判が始まる予定となっている。無罪になれば問題はないが、軽罪にランクを下げて有罪答弁取引をした場合でも、リーグ側からの処分は避けられない。
チームとしてはそうした情勢を見守りつつ、とりあえず今年はRFAとして引き留める見込み。最近の活躍からして、最低でも「2巡オファー」、または「1巡オファー」が必要ではないかと見られている。
スコット・ウェルズから先発センターの座を奪って迎えたシーズン開幕だったが、序盤に腰を痛めてしまいシーズンエンド(その後の回復は順調)。代わったウェルズが安定感ある働きでオフェンス向上に貢献したため、ウェルズがスターターとして来夏のキャンプに入ることになりそう。スピッツとしては、(下記カレッジがだらしなかった)左ガードの先発争いの方が先発復帰の近道かもしれない。チームとしては、「2巡オファー」か最低オファー(3巡入団なので3巡)のどちらかで引き留められるだろう。
2008年には最も安定した働きをしたラインマンだったが、昨年はさんざんで、最も期待を裏切ったラインマンだった。サックを許した回数もプレッシャーを許した回数もチーム最多。昨年夏の時点では「契約延長の最優先選手」だったが、交渉の話も立ち消えとなり、今では「RFAのオファーをせず手放すのでは」という噂さえある。そうはいっても、それなりに経験のある選手を控えに置くのは損ではないので、最低額オファーで引き留めるのではないか。さいわい2巡指名入団なので、獲りにくるチームはないはず。
いちおう先発フルバックだが、控え2人との力の差はほとんどない。昨年フルバック3人をロースターに残したのは、(とくにスペシャルチームで)ベテラン2人を活用しつつ、スケールの大きい新人クイン・ジョンソンを育てるため。来季は、このクーンとコーリー・ホールのどちらかを手放すのが既定路線だろう。ショートヤーデージでボールキャリーできるのがクーンの特長だが、いなくなって惜しいほどの能力とも思えない。
おそらく最低額オファーをしておいて、手を伸ばしてくるチームがいれば引き留めないのではないか(ドラフト外入団なので代償は何ももらえないが)。たとえ移籍しなかったとしても、開幕までに彼とホールのどちらかがチームを去ることになるはず。
4番手CB兼リターナーだったが、第4週ヴァイキングス戦でヒザの前十字靭帯(ACL)を断裂してしまいシーズンエンド。非常にケガの多い選手で、プロ4年間で計32試合を欠場している。リハビリは大変だが、チームとしてはブラックモン、リー、アンダーウッドといった若手CBの中から誰かが一人前に育ってほしいところだろう。リハビリ途上の彼を獲るのに4巡指名権を手放すチームはないので、最低額オファーで大丈夫のはず。
開幕直前にT/Gトニー・モールとのトレードでレイヴンズから移籍し、スペシャルチームのエース格としてエネルギッシュな働きをしてくれた。いっぽうセーフティとしては、代役出場したヴァイキングス戦でパスカバレッジのミスを重ねて敗因を作るなど、スターターに成長すると期待するのは無理がある。おそらく最低額オファーで引き留めて、来夏のキャンプでロースター枠を争うことになるだろう。
3番手CB/ニッケルバックとして3シーズン目。CBアル・ハリスの負傷で代役スターターを務め、レイヴンズ戦ではインターフェアを連発したものの、全体としてはまずまずの働き。ブリッツァーとしての働きもよかった。ハリスがACLを断裂したいまウィリアムズを失うわけにはいかないので、必ず2巡オファーか1巡オファーで引き留めるはず。問題はその後。将来にわたってスターターを任せられると評価して高額の契約延長交渉に進むかどうかだ。