2005年から低迷の続いてきたガード陣だが、LGダリン・カレッジの成長と新人RGジョシュ・シットンの登場で、ようやく「並」以上のコンビになる見通しが立ったシーズンだった。いっぽうRGジェイソン・スピッツの伸びは期待ほどではなく、このままではRGシットンに追い抜かれて便利屋で終わってしまいそうなので、今年はセンターでスコット・ウェルズと先発争いをさせることになりそうだ。
ケガや衰えの心配されるタックル陣とは違い、伸び盛りの選手たちが揃っているため、今年は補強の重要度は高くない。おそらくFA補強はせず、ドラフトで指名するとしても下位ではないか。ウェルズ対スピッツのセンター争い、スピッツ対シットンの右ガード争い、そして伸び悩んでいるLGバーバーはどのポジションでチャンスがあるのか、キャンプでのバトルに注目だ。
テネシー大からドラフト7巡指名で入団して5年目、先発センターとして3年目のシーズンは、背中、胸、肩、脳震盪などケガに悩まされながら14試合に先発した。スナップ前のアジャストメントのコールは正確で、ブロッキングのミスも年々減っている。そうした安定感をコーチ陣から高く評価されているいっぽう、サイズの小ささ(身長6フィート2)のため、巨大なDTにたやすくオーバーパワーされやすいのも事実。ひとまわりスケールの大きなスピッツ待望論が出てきているのはそのせいで、スターターの座を守るには今夏のポジション争いに勝たなければならないだろう。
ボイジー州立大から2006年のドラフト2巡で入団し、毎年蹴落とされそうになりながらも、ライバルのケガにも助けられてスターターの座を守ってきた。3年目の昨年もLGバーバーの伸び悩みと新人RGシットンのケガのために先発左ガードをキープし、シーズン後半にはかなりの進歩を見せた。上半身・下半身ともようやくパワーアップの成果が出て、持ち前のアスレチック能力を活かせるようになった。昨年OL陣で最も成長した選手なのはたしかで、「今季パッカーズのベストラインマン」と評価する声も少なくなかった。
このぶんなら来季の先発左ガードの座は固そうだが、不透明なのは、退団するかもしれないRTタウシャー(大ケガ&再契約見送り)の後任に彼がなる可能性があること。第15週・16週で先発右タックルを務めたモールが不振だったため、最終戦ではカレッジが右タックルに入り、まずまずの働きを見せた。右タックルの補強しだいでは、RTカレッジが有力な選択肢になってもおかしくはない。
ルイヴィル大から2006年の3巡指名で入団し、インサイド3ポジション全てこなせる器用さでスターターを務めてきた。昨年も新人シットンに譲る形で右ガードから左ガードに移り、今度はCウェルズのケガで開幕戦のセンターに。さらにシットンも負傷したので、Cウェルズが復帰しだい右ガードに戻った。しょっちゅうポジションが変わることが成長を阻害したことは否めないが、アスレチック能力もパワーもいまひとつで、(入団時から言われていたことだが)結局ガードでは「そこそこ」止まりでは、という見方が定着してきたのも事実。
今年ウェルズと先発センター争いをさせることは、マッカーシーHCも認めている。もちろん、RGシットンが期待通りに伸びてくれればの話だ。じっさいスピッツが代役センターを務めたゲームでもウェルズと遜色ないプレー内容を見せており、頭脳面ではまだウェルズに一日の長があるものの、1対1のブロッキングではスピッツが強い。
昨年のドラフト4巡指名でセントラル・フロリダ大から入団。直後のミニキャンプからよい動きを見せ、「新人で一番の当たり」と一貫して言われ続けている。昨夏のキャンプではスピッツを退けて先発右ガードの座を確保したが、プレシーズン第3戦でヒザのMCLを捻挫してしまい、シーズン半ばまで長引いてチャンスを失った。317ポンドのサイズも、モコモコした体型もRTタウシャーによく似ている。現状では、ポイントオブアタックで押し込む力のあるランブロッキングの方が得意で、パスプロはやや不安定。今年はさらに成長してスターターの座を確保してほしい。
無名のミズーリ・サザン州立大から2007年のドラフト4巡指名で入団。LGカレッジと同様、大学時代はずっと左タックルだった。そのポテンシャルは1年目から評価が高く、先発を奪ってくれると期待された2年目シーズンだったが、結果は大きく期待を裏切った。キャンプではさんざんチャンスを与えられたのにLGカレッジに完敗。1on1のドリルではいいのに、頭脳面でゲームのスピードについてこられない部分があり、安心して実戦で使えない。
マッカーシーHCが先週の会見で「今年は両タックルでも試していく」と語ったのは、左ガードとしてはカレッジに水をあけられたと見なしているからだろう。今年は、先発RT候補およびLTクリフトンの控えとして練習する機会が多くなりそうだ。