グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年2月21日

シーズン総括と展望 OT編

長年パッカーズの安定したパスプロテクションを支えてきた同期コンビだが、LTクリフトンもRTタウシャーもケガに苦しんだシーズンだった。被サック数が前年の19回(NFL3位タイ)から34回(19位)へと急落したのは、QB交代の影響があるとはいえ、両タックルのプレー内容がよくなかったのも事実。RTタウシャーはヒザの前十字靭帯(ACL)断裂で1月に手術を受けリハビリ中、LTクリフトンも慢性のヒザ痛のため、今オフに両ヒザの関節鏡手術を受けている。

ガード陣がそれなりに一人前になってきたこともあり、両タックルの補強はオフェンス最大のテーマ。LTクリフトンはらくらくキャンプに間に合うはずで、ケガさえ治ればあと数年活躍できてもおかしくはない。問題は長いリハビリ期間が必要なRTタウシャーの方だ。今春FAとなり、契約できたとしてもキャンプ開幕にはおそらく間に合わず、一時的な代役スターターが必要になる。

コーチ陣はしきりに昨年の5巡指名RTブレノ・ジャコミニを高く評価するコメントをしているものの、昨年のキャンプでのプレーを見た地元記者たちは、あまり信じていない。シーズン末に試したように、T/Gダリン・カレッジを右タックルに移すのが現実的な策かもしれないが、LGカレッジ&RGシットンがベストのガードコンビと思われ、彼ら2人はできれば動かしたくない。

まずフリーエージェント市場だが、プレミア・ポジションだけにどのチームも長期契約で引き留めていて、いまどき優秀なタックル(とくに左タックル)がFA市場に出てくることは滅多にない。「今年のFA市場で有力なタックル」といったところで、たいていは年をとって衰えていたり、若ければ能力的に疑問符のつく(そのため現所属チームが大型契約を見送った)選手ばかり。

そこでドラフト上位指名が有力になる。今年は上位指名候補として優秀なタックルが数人いるが、タックルがほしいチームも上位にひしめいていて、パッカーズの1巡9位までに上位OT3人が消えてしまうと予想するモックドラフトも少なくない。それに今年3-4に転換するパッカーズはディフェンスのフロント7補強が急務なので、そちらとの兼ね合いが難しいところ。ディフェンスを優先した場合でも、遅くとも3巡までにはOTを指名するだろう。

LT チャド・クリフトン  Chad Clifton

テネシー大から2000年の2巡指名で入団、1年目から先発左タックルを務め、昨年2月には初プロボウルも経験した。鉄壁のパスプロテクションでQBファーヴの背後を守ってきたクリフトンだが、ここ数年は両ヒザ痛に悩まされ、2008年はキャリア最悪(チーム最多)のプレッシャー25回(サック + ノックダウン + ハリー)を許した。最近左サイドへのランプレーが増えたのも、彼のブロッキングが強力だからではなく、逆サイドへのランプレーだと、バックサイドの彼が苦手なカットブロックを失敗しがちだから、というのがどうやら理由らしい。

ヒザさえ問題なければ能力的にはまだ大丈夫と見られているが、重要なポジションだけに、早く後継者を確保するにこしたことはない。たとえば左右両サイドをこなせる新人をドラフト上位で獲り、今年は右タックルで先発を争わせ、将来的にLTクリフトンの後継になってくれる、という形になれば最高だろう。

RT マーク・タウシャー Mark Tauscher

クリフトンと同期、2000年のドラフト7巡指名で地元ウィスコンシン大から入団、1年目から不動の右タックルとして活躍を続けてきた。相手のスピードに多少出遅れても、巧みに追いついて最後はまるめこんでしまう技術は玄人筋から評価が高い。2008年は序盤こそ不調に苦しんだが、しだいに調子を上げ、安定したプレーを見せていた。それだけに第14週テキサンズ戦でのACL断裂は残念だった。ACL断裂は2002年以来2回目。

長いリハビリが必要なACL断裂だが、リハビリはきわめて順調だと本人は強調。チーム側としてもこれといった有力な後継者がいないこともあり、出場試合数に応じたインセンティブを多くした契約で引き留めるのではないか。地元ウィスコンシン州出身だけに、ホームタウン・ディスカウントに応じてくれればありがたい。

G/T ダリン・カレッジ  Daryn Colledge

LTクリフトンの控えでありRTタウシャーの後任候補でもあるが、次回先発左ガードの項で紹介。

RT/RG トニー・モール Tony Moll

ネヴァダ大から2006年のドラフト5巡指名で入団、右サイドのタックルおよびガードの控えとして、ときおり代役スターターを務めてきた。2008年序盤3試合はCウェルズとRGシットンの負傷のため右ガードとして先発出場し、第15・16週はRTタウシャー戦線離脱のため右タックルとして先発した。出場数のわりに被サックや反則(チーム最多の8回)が多く、この3年間の成長(大学では3年目までTEだった)を見せたとはとても言えない。スターターの器でないことはもはやはっきりしていて、今年の夏はロースター枠ぎりぎりを争うことになりそうだ。

RT ブレノ・ジャコミニ Breno Giacomini

ルイヴィル大出身のドラフト5巡ルーキーで、身長6フィート7(201cm)の長身選手。彼もモールと同じく大学途中までタイトエンドをしていて、先発RTに定着したのは大学4年目になってから。経験が浅いせいか技術的に未熟で、トレーニングキャンプではパスプロテクションにひどく苦しんだ。かろうじて開幕ロースター入りを果たしたあと、レギュラーシーズンに入ってから大きな進歩を見せた、とコーチ陣は高く評価している。ほんとうにRTタウシャーの後継候補としてポジション争いができるレベルなのか、地元記者たちも半信半疑で、今夏のキャンプでのプレーぶりが注目される。

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