グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年2月20日

シーズン総括と展望 WR編

パス成績の躍進した2007年のWR陣は合計パスキャッチ220回3140ydsだったが、2008年も222回3093ydsとさほどダウンしていない。違うのは先発コンビの占有率が62.7%から74.5%にアップしたこと。グレッグ・ジェニングスがスターWRに成長したのはめでたいが、3番手以下の貢献度が低いのは、ウェストコーストオフェンスとしてはあまり望ましくないことだろう。原因はジェームズ・ジョーンズの負傷&不調、代わって3番手を務めた新人ネルソンの才能がまだフル活用できなかったこと、そしてマルチプルWR隊形の回数が減ったこと。

ドナルド・ドライバーはエースの座をジェニングスに譲ったとはいえ、さほど衰えを見せていない。5番手のルヴェル・マーティンは制限付きフリーエージェントなので残留するかどうかわからないが、ネルソンの成長とジョーンズの復調が見込めるので、今年は大きな補強は不要だろう。キックオフリターナーも兼ねて、ドラフト中位以降で1人指名するぐらいか。(昨年も似たような状況だったが、けっきょくトンプソンGMは2巡でネルソンを指名、就任以来4年連続で2人WRをドラフト指名している)

グレッグ・ジェニングス  Greg Jennings

ウェスタン・ミシガン大から2006年のドラフト2巡指名で入団。毎年着実に成長を続け、2008年は80回1292yds・9TDを挙げて惜しくもプロボウル、というところまで伸びてきた。「シルキー・スムーズ」とプレーぶりが表現されるように、見た目はダイナミックではないが、ごく自然な動きで加速し、カバーを引き離し、スピードを落とさずにキャッチし、ランアフターキャッチでゲインできる。もうさほど注文を付けるところもないが、試合序盤に集中力不足から落球する場面がある。ランアフターキャッチが2007年よりも悪くなったのは、相手のマークが厳しくなってきたからだろう。

ルーキー時の契約が今年いっぱいで切れるので、彼と長期契約するのが今オフのフロントの最優先事項。いまのところ慢心系や天狗系の選手には見えず、大型契約のリスクは小さいのではないか。

ドナルド・ドライバー Donald Driver

アルコーン州立大から1999年のドラフト7巡指名で入団。たゆまぬ努力でロースターに食らいつき、ついにはプロボウラーとなった。6年間守ってきたエースWRの座はジェニングスに譲ったものの、33歳となった2008年も74回1012ydsを記録して健在ぶりを示した。飛び抜けた能力があるわけではないが、密集でのハードヒットを恐れぬタフなプレーぶりはなかなか真似できるものではなく、たとえスピードが衰えてもショートパス中心のポゼッション型として頼りになりそう。

オフシーズンも練習熱心なので、急激に衰えるタイプではない。ジョーンズやネルソンの成長しだいでは先発の座が危うくなってもおかしくないが、今年はまだ大丈夫なのではないか。

ジェームズ・ジョーンズ James Jones

サンノゼ州立大から2007年のドラフト3巡指名で入団し、47回676yds(新人WR中3位)を記録したが、期待のプロ2年目はヒザのケガに悩まされて6試合欠場、わずか20回274ydsに終わった。ヒザの捻挫が治りかけてはぶり返すことの繰り返し。痛みのせいで集中力のないプレーぶりが目立ち、重戦車のような上半身にもかかわらずブロッキングのミスも多く、コーチ陣の信頼と3番手の座を失った。3年目の今年は、下記ネルソンとハイレベルの3番手争いをしてほしいところ。

ジョーディ・ネルソン Jordy Nelson

カンザス州立大から昨年の2巡指名で入団し、新人WR中5位の33回366ydsを記録。ジョーンズの負傷のため、実質3番手としてプレーすることが多かった。全てのルートで信頼できる状態ではまだなく、ワンフェイクを入れて縦に抜け、6フィート3(191cm)の高さを活かそうとするプレーが多かった。53回ターゲットとなって1回しか落球がなかったのは立派。ランアフターキャッチはユニット中最低の平均2.58ydsだったが、最初の1人さえかわせばロングゲインできる良いセンスを持っている。

それなりに能力の高さを示した1年目シーズンだったが、万能タイプの先発WRとなれるか、地味なポゼッション型白人WRで終わるのか、今年・来年の成長を見守りたい。スクリメージ上でジャムされてルート取りを乱されやすいのが課題。腰回りはかなりガッチリしているので、あとは上体をバルクアップすること。キックオフリターナーの候補でもある。

ルヴェル・マーティン Ruvell Martin

サギノーバレー州立大からドラフト外入団、NFLヨーロッパやプラクティス・スクワッドを経て、3年目の2006年に初めてロースター入りを果たした。2007年はマルチプルWRの一翼として16回242yds・4TDを記録したが、2008年は15回149ydsに後退。身長6フィート4(193cm)はWR陣で最も高く、パスキャッチがうまく競り合いに強い典型的なポゼッション型。ランブロッキングも非常によく、自己犠牲をいとわない。不遇の時代からQBロジャースとは非常に仲が良く、「僕のレシーバー」とロジャースが言うほど(冗談めかしてだが)。

今春は制限付きフリーエージェントとなるので、他球団から狙われる可能性もある。もし引き留めることができれば、WR5人枠が2008年と同じ5人ですんなり固まってしまいそう。移籍する場合は、プラクティス・スクワッドにいた3人や新人が5人目の座を争うか。

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