グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年2月19日

シーズン総括と展望 TE編

ドナルド・リーがスプレッド隊形の一翼として活躍した2007年とは違い、新先発QBを守るため(両OTのケガや不調のせいもあったかもしれない)パスプロの仕事が増え、レシーバーとしての役割は縮小してしまった。複数TE隊形から1人フルバックの位置にシフトする、いわゆるHバック的な起用も多く、2006年シーズンに戻ったような印象。2007年のTE陣は合計パスキャッチ68回718ydsだったが、2008年は56回539yds。

むしろ2008年最大の話題は、TEトニー・ゴンザレス(KC)のトレード話だった。10月のトレード期限ぎりぎりに3巡指名権と交換でゴンザレスを獲得することに両球団がほぼ合意したが、チーフス側が「やはり2巡でなければ」と言い出してご破算に。実績からすればたしかに3巡は安いが、実績よりも伸びシロを重視するタイプのトンプソンGMが、32歳のTEにそれだけの代償を支払おうとしたことは注目に値する。優秀なTEがいればエースWRジェニングスへのマーク集中を防ぐことができ、また相手セーフティの仕事を苦しくすればこちらのラン攻撃を楽にすることにもつながる、という考えか。

そういった経緯からすると、今春またTE補強に動いてもおかしくない。昨年3巡指名でフィンリーを獲ったばかりなので、それなりに経験のある選手を補強して、リーとフィンリーの3人で競わせる形が理想的か。その前にまずフィンリーの潜在能力と成長具合の見極めが重要だろう。2年目の今年、先発のリーを脅かすほど伸びると判断したら、逆にまったく補強に動かなくてもおかしくはない。

ドナルド・リー  Donald Lee

ミシシッピ州立大から2003年の5巡指名でドルフィンズに入団し、2005年にパッカーズへ。初スターターの2007年に48キャッチ・575yds(TE中11位)・6TDの活躍を見せ、4年総額$11ミリオンの契約延長も手にしたが、2008年は303yds(TE中29位)に逆戻り。パスプロ重視の役割になり、パスキャッチ機会そのものが前年の69回から49回へと減ったのだから、彼の不調というわけではないだろう。パスキャッチ1回あたり12.0ydsから7.8ydsへと大幅ダウンしたのも、ディープへ走り込む機会が減ったことを示している。

いっぽうブロッキングは努力の甲斐あって、以前よりずっとマシになってきている。先発3年目の今年は、フィンリーの挑戦を受けることになりそうだ。

ジャーマイケル・フィンリー Jermichael Finley

テキサス大から昨年の3巡指名で入団。公式デプスチャート上は最後まで3番手のままだったが、実際はシーズン途中で2番手に昇格したようだ。いかにも新人TEらしい不安定なプレー内容でパスキャッチ6回74ydsにとどまったが、シーズン終盤には才能の片鱗を見せるプレーもあった。それよりも注目を集めたのは、第9週タイタンズ戦直後の生意気発言。ようやくその試合でNFL初キャッチを決めたばかりの新人が、QBのパスの精度やプレーコールを批判したためチーム内外で不興を買い、コーチたちからこっぴどく叱られて神妙な謝罪コメントとなった。

身長6フィート5(195cm)のサイズとスピードを兼ね備えた魅力的な素材だが、いかにも名門テキサス大で甘やかされたらしき精神的未熟さは進歩の妨げになりかねない。こうした「未完の大器」タイプのTEはNFLじゅうに数多いからだ。ドナルド・リーの先発の座を脅かせるかどうか、プロ2年目の成長が大いに注目されている。

トリー・ハンフリー Tory Humphrey

セントラル・ミシガン大から2005年にドラフト外入団し、NFLヨーロッパ派遣やプラクティス・スクワッドを経て2006年にロースター入り。しかし毎年ケガに悩まされ、2008年が初めてのフル出場だった。パスキャッチ11回162ydsを記録し、キャッチミスはゼロ。しかしサイズはTE陣で最も小さく(身長6フィート2)、ブロッキングは物足りない。フィンリーが入団したいま、ハンフリーの成長を待って使い続ける価値があるのかどうか。今夏もまた開幕ロースター入りを賭けて必死で争う必要がありそうだ。

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