グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2014年5月 6日

ニーズ分析 ディフェンス編

ドラフトが3日後に迫ったのであわててニーズ分析のまとめ。ドラフトの心構えについては昨年の「総論」に書いたとおり。大事なのは昨季のチーム戦力を分析するだけでなく、2年目・3年目選手の成長を見極めること。今年のパッカーズディフェンスの場合、CB/Sマイカ・ハイド、DEデイトン・ジョーンズ、DEジェレル・ウォージー、DEジョシュ・ボイドといった選手がそれにあたる。OLBコンバート2年目のマイク・ニールも含めていいかもしれない。

以下はおおよそニーズ順にポジションを並べてみた。セーフティが筆頭なのは衆目の一致するところだが、2番目以降の並びはとても難しい。指名時に残っているベストのタレントを獲れば、そのままディフェンス強化につながるように思われる。

◆ セーフティ

ディフェンス不振の元凶にもかかわらずFA補強ではまったく動かず、「○○選手に興味」という噂さえ出ずじまいだった。SSモーガン・バーネットは不動のスターターだが、昨年大型契約延長をしたあとの働きぶりは期待を下回った。RFAとなったM.D.ジェニングスは引き留めず退団。いっぽう、新人ながらよく貢献したCBマイカ・ハイドのセーフティ挑戦がほぼ確実となっている。タックリング力がありブリッツもいいので、かつてのウッドソンのようにクリエイティブな使い方をするつもりかもしれない。ショーン・リチャードソン(一昨年ドラフト外)とクリス・バンジョー(昨年ドラフト外)は、昨季それぞれチャンスをもらったが、スターターに据えたいほどの魅力はアピールできなかった。

パッカーズに必要なのは、パスカバレッジに優れた守備範囲の広いフリーセーフティ。ラン守備得意のストロングセーフティは今どきのNFLでは必要とされなくなっている。チーム最大のニーズなのは間違いないが、ハイドしだいでは多少優先度を下げてよいかもしれない。それでもやはり、上位指名の可能性がもっとも高いポジションだろう。3巡までに指名がなかったらたいへん驚く。

◆ インサイドラインバッカー

A.J.ホークとブラッド・ジョーンズの先発コンビはスピードにもビッグプレー能力にも欠け、ラン守備不振の責任も一部は彼らにある。彼らの能力不足を指摘する声は以前から根強く、C.J.モズリー(アラバマ大)やライアン・シェイザー(オハイオ州立大)の1巡指名予想が多いのもそのためだ。ただ先発コンビはどちらも契約が2年残っており、逆にまったく指名せずに終わる可能性もある。ジャマリ・ラティモア(RFAで再契約)とサム・バーリントン(昨年7巡)はそれなりに光るものを見せており、デプス的な不安は少ない。

先発コンビはかなりの給料をもらっているが、解雇できないほどのデッドマネーが発生するわけではない。昨年減俸を受け入れたホークは今年のキャップナンバーが$5.1ミリオン、解雇した場合のデッドマネーは$3.2ミリオン(解雇すれば差額の$1.9ミリオンが浮く)。ジョーンズのキャップナンバーは$4ミリオン弱で、解雇した場合のデッドマネーは$2ミリオン。即先発ILBを上位指名した場合、彼らのどちらかが開幕前にチームを去ることになるのでは。

◆ ディフェンシブライン

世代交代期を迎えているようだ。DL4人がFAとなったうち再契約したのはB.J.ラジだけ。C.J.ウィルソンはレイダーズへ移り、NTライアン・ピケット(34歳)とDEジョニー・ジョリー(首の回復待ち)とは今のところ再契約を見送っている。昨年はDEマイク・ダニエルズがパスラッシュの主役へと成長し、相手から警戒される存在となった。今年はDEデイトン・ジョーンズ(昨年1巡)やDEジェレル・ウォージー(一昨年2巡)との成長に期待するシーズンとなりそうだ。DEを獲るとすれば、パスラッシュよりもラン守備に強い大型選手だろう。

不安があるのはどちらかというとノーズタックルの方。ラジは今年ノーズタックルに専念することになっているが、1年契約なので来年にはいなくなると思った方がいい。昨年5巡指名のジョシュ・ボイドが後任候補だが、彼だけでは心許ない。DLは体作りに時間がかかるだけに、今年ノーズタックルを指名して将来に備えたいところだ。ライアン・ピケットを呼び戻すことはいつでもできる。

◆ コーナーバック

FA予定だったサム・シールズと$39ミリオンの5年契約を結び、トラモン・ウィリアムズとの先発コンビは健在。一昨年新人王を争ったケイシー・ヘイワード(ハムストリング)も帰ってくる。昨季ニッケルバックで活躍した新人ハイドはセーフティに移るとしても、ベテランのジャレット・ブッシュはダイムバックでよい働きをしたので、現状では4番手までさほど心配する必要がない。即先発セーフティをドラフトで獲れたらハイドをダイムバックで使うこともできる。

将来的には心配がまったくないわけではない。31歳のウィリアムズは今年が契約最終年。給料の高さを考えると、再契約はおそらくないだろう(そのためにシールズを引き留めたといえる)。ヘイワードはハムストリングを複数回痛め、フルシーズン働けない心配がある。そう考えると、ドラフト1巡・2巡は贅沢すぎるとしても、3巡・4巡あたりなら指名があってもおかしくはない。

◆ アウトサイドラインバッカー

大黒柱クレイ・マシューズの相棒がいつまでたっても頼りないため、パスラッシュ強化のためにOLB/DEジュリアス・ペッパーズをFAで獲得した。ニック・ペリー(一昨年1巡)は右サイドならパスラッシュ能力が高いことを証明。マイク・ニールはDEからのコンバート1年目でまずまずの成果を挙げ、FAで再契約した。ペリーとニールとペッパーズはエレファント・エンド(DEとのハイブリッド)で使う、という話もあって起用法がまだよくわからないが、今年に関しては十分な戦力を確保できたように思われる。

34歳のペッパーズは契約内容からして実質1年と見るべきかも。今年よほどの活躍をしないかぎり、来年のキャップナンバー$12ミリオンは高すぎるだろう。またマシューズとペリーはどちらもケガが多く、なかなかフルシーズンを元気に戦うことができない。昨年6巡のネイト・パーマーとドラフト外のアンディ・ムルンバは将来性をあまりアピールできなかった。スペシャルチームのためにも、ドラフト中位以降で指名があるのではないか。

カテゴリ : Draft