グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2013年9月 2日
解雇選手リストは昨日の記事を参照のこと。注目すべき解雇選手は、QBヤング、RBアレックス・グリーン、TEマリガン、TE D.J.ウィリアムズ、ILBマニングといったところ。現状のロースター構成はオフェンス23人/ディフェンス27人とディフェンスに偏っている。
いまのところ、他球団から解雇された選手にパッカーズはまったく手を出していないようだ。パッカーズが解雇した選手のうち、RBアレックス・グリーン(NYJ)、TE D.J.ウィリアムズ(JAX)、C/Gパトリック・ルイス(CLE)、OLBデズマン・モーゼス(KC)、ILBテレル・マニング(SD)の5選手がウェイバーで他球団に拾われている。
プラクティス・スクワッド(以下PS)の契約はすでに始まり、8人枠のうち5人がすでに判明している。
以下、各ポジションの人数と状況をまとめていこう。
QB (2) ロジャース、コールマン
- ヴィンス・ヤングの解雇が最大のサプライズ。プレシーズンでの不振は入団時期が遅かったせいではなく、フットワークの雑さや判断の遅さなど、マッカーシーHCがQBに求める資質がなかったから、という見方も出てきた。
- QB2人体制は5年連続。PSに1人を置いて実質2.5人体制となる。
- プロ2年目のB.J.コールマンが残ってしまったが、本当に彼を2番手にする気なのか。先週の練習では彼の方がヤングよりずっとよかったのは事実(試合では2人とも悪かった)。もし外部から2番手QBを獲得したら再びPSに入るかもしれない。
- 先日49ersから解雇されたQBスコット・トルジーン(ウィスコンシン大から2011年ドラフト外)がパッカーズのPS入りに合意。よくある直接対決前の情報収集(あるいは心理戦)にも思えるが、本当に興味があるのかもしれない。
- パンサーズを解雇されたQBジミー・クローセン(2010年2巡指名)に強い興味を持っている、との噂が一部にはある。しかし、噂が出てから1日ほど経っても動きはない。すでにウェイバー期間は終わり、無制限FAとなっているはずだが。
RB (3) レイシー、フランクリン、スタークス
- 昨年より1人少ないが、3人体制の方がパッカーズにとって普通だ。ドゥワン・ハリスのインジャリーリザーブ入りが残念。
- エディー・レイシーがスターター、負傷の場合の代役がジェームズ・スタークス、チェンジ・オブ・ペースにジョナサン・フランクリンといった役回りか。プレシーズンでフランクリンのパスプロテクションがよくなかったかわり、レイシーはかなりしっかりしたブロッキングを披露した。ノーハドルのシリーズでフル出場しても問題なさそうに見える。
- 4巡指名ジョナサン・フランクリンはこれまでのところ期待外れで、ひょっとしたら解雇も、という見方が出始めていた。スターターの器でなくても、ブランドン・ジャクソン(2007年2巡・現CLE)のようにブロッキング技術を磨いて優秀な3rdダウンバックを目指してほしい。
- アレックス・グリーンは解雇(ウェイバーでジェッツが獲得)。オープンフィールドでのスピードは素晴らしいものがあるが、穴を選んでタイミングよく飛び込むセンスに欠けている。パスシチュエーションで使う以外はスタークスの方が頼りになる。
FB (1) クーン
- 3年連続で1人体制。RBフランクリンのパスプロテクションが悪いので、今年もジョン・クーンが3rdダウンバックを兼ねるしかないのだろうか。
- 解雇されたジョナサン・アモサ(ドラフト外)はPS契約をしないようだ。パッカーズがオファーしなかったのか、本人が他球団を選んだのか。
WR (5) コブ、ネルソン、ジョーンズ、ボイキン、ロス
- ジェニングス移籍で層が薄くなったので、トップ3が元気でいることが今季パスオフェンスのカギ。とくにコブの健康は重要だ。ネルソン、ジョーンズ、ボイキンの3人はどれもスピードに欠け、独力でフリーになる能力が高くない。
- 8月上旬にヒザ手術を受けたジョーディ・ネルソンだが、なんとか開幕に間に合いそうな雰囲気。
- 昨年ドラフト外でロースター入りしたジャレット・ボイキンは、まずまずの成長を見せて4番手を確保。リターナー兼任のジェレミー・ロスがタイロン・ウォーカーを退けて最下位当選。
- チャールズ・ジョンソン(7巡a指名)とマイルズ・ホワイト(ドラフト外)はPS入りが決定。もっと評判のよかったタイロン・ウォーカーにはPSへのオファーをしなかったらしい。ウォーカーはキャッチングこそ正確だがサイズもスピードもなく、伸びシロの魅力に欠けるからだろう。
TE (4) フィンリー、クウォレス、テイラー、ボスティック
- ヒザ前十字靭帯断裂から復帰のアンドリュー・クウォレスはブロッキング能力が元に戻っていないが、負傷前の能力を考慮されての残留か。ライアン・テイラーはスペシャルチーム、ブランドン・ボスティックはレシービングのポテンシャルを買われてのロースター入りだろう。
- マシュー・マリガンの解雇はちょっとしたサプライズ。キャンプ中盤までロースター当確とみられていたが、得意のブロッキングがプレシーズンで期待外れだったうえ、ヒジを痛めてしまった。
- レシービングTEとして期待の大きかったD.J.ウィリアムズは伸び悩み、5巡指名から3年目で解雇となった。この解雇は予想されていたこと。
- ロースターカット期限の直前、控えTEを誰かトレードに出そうと画策している、と噂があった。そうした努力は一応するが、待ってさえいれば解雇されてくる選手を買ってくれる球団はそうそうない。
OT (3) LTバクティアリ、RTバークレー、OTニューハウス
- IR入りのブライアン・ブラガに代わり、4巡指名デヴィッド・バクティアリが先発左タックル。ドラフト外入団2年目のドン・バークレーが先発右タックル。両OTが不振ならばすぐにもマーシャル・ニューハウス(先発経験29試合)が再昇格するだろう。両OTの出来が今年のオフェンスのカギを握る。
- プレミアポジションである先発両OTが4巡指名とドラフト外出身というのはNFLでは珍しいはず。とくに左タックルは1巡・2巡指名選手が大多数を占めている。
- 元1巡指名のデレク・シェロッド(すね骨折)は2年連続のPUPリスト。昨年とは段違いの回復を見せており、シーズン半ばでの復帰を目指す。復帰してくれれば層がぐっと厚くなり、来春ニューハウスがFA退団してもさほど問題ない。
G/C (5) LGシットン、Cディートリック=スミス、RGラング、C/Gヴァンローテン、OGテイラー
- 昨季終盤に先発センターに昇格したイヴァン・ディートリック=スミスは今夏の進歩がやや期待外れ。
- 既報どおり、ガードのジョシュ・シットンとT.J.ラングは昨年までとサイドを入れ替えた。
- 2年目のグレッグ・ヴァンローテンが新人パトリック・ルイスを退けて2番手センターに。大学時代にタックルだった彼はガードならまずまずだが、センターとしての未熟さは非常に心配なところだ。ルイスはPS入りが決まっており、ケガ人が出ればすぐにも昇格しそう。
- ドラフト外ルーキーのOGレーン・テイラーが最下位当選し、なんとか8人体制となった。本来は9人か10人が望ましいが、昨年の7人よりはマシか。
- 球団側はC/Gパトリック・ルイスをPSに入れようと努力していたが、ブラウンズがウェイバーで獲得してしまった。53人ロースター入りなのだから、本人のためには喜ばしい。
- OL8人では心許ないのでPSに2人ほど置いておきたいところだが、上記C/Gルイスを逃したあと、契約決定の報道はない。他球団から解雇された選手を説得しているところなのだろう。
DL (8) NT/DEラジ、NT/DEピケット、DEウィルソン、DEデイトン・ジョーンズ、DEダニエルズ、DEジョリー、DE/OLBニール、DEボイド
- 3-4ディフェンスではDL6人体制でもおかしくないところ、ニールを含めれば8人体制に。ラジ、ピケット、ウィルソン、ジョリー、ニールの5人が来春FAとなるので、契約最終年効果に期待しよう。
- 4年目のDE C.J.ウィルソンが今年もベース隊形のスターター。プレー全般で迫力アップし、足首捻挫でもたついた1巡指名ジョーンズを寄せ付けなかった。
- 昨年の4巡指名DEマイク・ダニエルズは大きく向上し、インサイドラッシャーのローテーションに加わるはず。低く強烈な立ち合いは控えOLクラスであれば簡単に揺さぶることができるが、あとは先発OL相手にどうか。
- 4年目のDEマイク・ニールはOLB兼任。昨季はパスラッシュで4.5サックを挙げたが、今年はOLB挑戦のため体重を十数ポンド落としたことがどう出るか。ロースター表などではいまだにDE扱いとなっている。
- 4年ぶりにNFLに戻ってきた前科者、DEジョニー・ジョリーは期待を大きく上回る働きでロースター入りを果たした。なかなか真似できない嗅覚を持っている。
- DL陣は9人目まで層の厚い激戦区だったが、5巡指名DEジョシュ・ボイドはなんとかロースター入り。現時点の能力ではNTジョーダン・ミラー(昨季PS)が上だったかもしれないが、伸びシロを評価されたのだろう。ここ2週間のプレーぶりは光るものがあった。
- 昨年の2巡指名DEジェレル・ウォージーはヒザ前十字靭帯断裂のリハビリ途上でPUPリスト。今季中に復帰できるかは微妙だ。ルーキーシーズンは4巡DEダニエルズより見劣っただけに、復帰できてもすぐに大きな貢献ができるとは考えにくい。
OLB (5) マシューズ、ペリー、ムルンバ、モーゼス、パーマー、(DE兼任ニール)
- パッカーズディフェンスの宝、クレイ・マシューズはプロ入りして初めてハムストリングを痛めずにキャンプ/プレシーズンを終えることができた。スナップ数をかなり抑えているはず。
- 昨年の1巡指名、左サイドで先発のニック・ペリーは順調に進歩してきた。インパクト・プレーヤーといえるほどではないが、昨年のエリック・ウォルデンよりはアップグレード。ラン守備は力強いのでパスラッシュ向上を期待したい。
- マイク・ニールはDEとの兼任。プレシーズンではOLBで大した働きができなかったが、本番でもこのまま続けるのだろうか。
- アンディ・ムルンバはドラフト外からのロースター入り。元DEだけあってラン守備が力強い。12歳のときに彼の一家はコンゴ内戦を逃れてモントリオールに移り住んだ。
- 6巡指名ネイト・パーマーはモーゼスの不振にも助けられて最下位当選。パスラッシュで時おり光るものを見せるがラン守備は脆い。
- デズマン・モーゼスは昨年ドラフト外入団からよく働いてくれたが、2年目の成長があまり見られず解雇。つま先を痛めていたせいだとすれば気の毒だ。ウェイバーでチーフスに拾われた。(ジョン・ドーシー新GMは元パッカーズ)
ILB (5) ブラッド・ジョーンズ、ホーク、フランソワ、ラティモア、マニング、バーリントン
- 昨季代役として頑張ったブラッド・ジョーンズをスターターに据え、6月にデズモンド・ビショップを放出した。つまり昨季後半と同じく、彼とA.J.ホークの先発コンビ。
- 控えILB陣は層が厚く、DLに次ぐ激戦区となった。
- ロバート・フランソワは今夏のプレー内容が非常によく、すでにケイパースDCが「先発組が負傷した場合の代役1番手」と明言している。
- ジャマリ・ラティモアはスペシャルチームの中核の1人。7巡指名サム・バーリントンはプレシーズン後半に調子を上げてポテンシャルの高さをアピールした。プレシーズン14タックルはチーム2位。
- 昨年の5巡指名テレル・マニングは新人バーリントンに敗れて解雇。ウェイバーでチャージャーズが獲得し、代わりに解雇されたのがこれまた元パッカーズのILB D.J.スミス。
CB (6) トラモン・ウィリアムズ、シールズ、ハイド、ヘイワード、ハウス、ブッシュ
- キャンプ序盤から予想された顔ぶれで、他の選手にチャンスはなかった。
- トラモン・ウィリアムズ(ヒザ)は開幕に間に合いそうだが、ケイシー・ヘイワード(ハムストリング)は無理かもしれない。それでも十分なデプスがある。
- 上記ライバルが休んでいる間、サム・シールズはシャットダウン・コーナーへと成長してきた。彼との契約延長交渉は難しいものになりそうだ。
- トラモンとヘイワードの負傷を5巡指名マイカ・ハイドが補ったキャンプだった。ヘイワードと似た実戦向きのタイプだが、縦へのスピードに弱い分、ランサポートやブリッツはヘイワードよりさらに強力。プレシーズンではかつてのウッドソンのように起用されていた。
- 昨年はダイムバックとしてSマクミリアンをLB的に起用したが、今年は新人マイカ・ハイドがその役を務めるかもしれない。
- 先発争いも期待されたデヴォン・ハウスだが、期待外れのプレー内容で5番手どまり。すっかり忘れ去られた存在となり、ケガ人がないかぎり控えに留まるのでは。
- ジャレット・ブッシュはスペシャルチームのエース。
- ジェームズ・ニクソンは2年連続のPS入り。大学3年目までRBやKRをしていた選手で、CB経験の浅いスピードスター。
S (4) バーネット、M.D.ジェニングス、マクミリアン、バンジョー
- 大型契約延長したモーガン・バーネットだが、ハムストリング負傷で開幕戦出場は微妙。
- M.D.ジェニングスとジェロン・マクミリアンの争いについて、まだスターター決定のコメントはない。パス守備の安定感でSジェニングスに軍配だろうか。
- ドラフト外ルーキーのクリス・バンジョーはキャンプに入ってからの入団だが、活きの良いプレーぶりで見事にロースター入りを果たした。
- PUPリストに入ったショーン・リチャードソン(首の椎間板手術)は現役続行が可能なのか、最終的な診断を待っているところ。
ST (3) Kクロスビー、Pマステイ、LSグード
- Kメイソン・クロスビーはファミリーナイトでの大不振から立ち直り、2人のライバルを退けて正キッカーの座を守った。大幅減俸($2.4M→$0.8M)も受け入れた。ただし本番で不振に陥ればすぐにでも代役と入れ替えるべく、球団側は準備を怠らない。
- Pティム・マステイは盤石。今年のオフシーズンのテーマは自陣深くからのロングパントだったという。
- リターナーはパント/キックオフともWRジェレミー・ロスが確保したのではないか。CBマイカ・ハイドもパントリターンができるので、今年はWRランドール・コブをレシーバーに専念させられそうだ。
その他
- 今後補強の可能性があるとすればQBとOLか。
- ベテランを補強する場合、開幕戦終了を待つ手もよくある。NFL経験4年以上の選手が開幕週にロースターにいた場合は年俸全額が保証され、途中で解雇しても球団側は1シーズン分のサラリーを支払わなければならないからだ。開幕戦さえ終えていれば、在籍期間分を週割りで支払えばよい。
- 今後補強した場合に解雇される有力候補は、OLBネイト・パーマー、ILBサム・バーリントン、DEジョシュ・ボイド、DEジョニー・ジョリー、OGレーン・テイラーといったところか。
- ドラフト指名11選手のうち8人が当選し、ドラフト外の3人を含めて新人11人がロースター入りとなった。PUPリストのOT J.C.トレッターを含めれば12人となる。
- ドラフト指名組でロースター入りを逃したのは、WRチャールズ・ジョンソン(PS入り)とWRケヴィン・ドーシー(IRから解雇へ)の7巡指名コンビ。どちらもキャンプ初日のケガに泣いた。
- ドラフト外ルーキーからロースター入りしたのは、OGレーン・テイラー、OLBアンディ・ムルンバ、Sクリス・バンジョーの3人(昨年は4人)。今年はNFL全体で78人だそうなので、平均より多い。
- ドラフト外出身者は18人に上り、パッカーズの3分の1強を占める。
- 2011年ドラフト組は10人のうち6人がすでにチームを去った。(2010年組は7人全員が残っている)
- 昨季の53人からもっとも変化が少なかったのはパッカーズとヴァイキングスとベンガルズの3球団で、昨季終了時から11人しか入れ替わっていない(パッカーズはすべて新人)。4位はスティーラーズの12人。
- ロースター平均年齢ではパッカーズが若い方から5番目。トップ10球団のうち昨季プレーオフに出たのはシーホークス(4位)とパッカーズだけ。