グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2012年9月 8日
開幕戦を迎える前に、今年のトレーニングキャンプとプレシーズンでの良かった点と悪かった点を、地元記者たちの評価を元にしてざっと書き出してみた。本当に悪かった選手の多くがチームを去っており、どうしても総花的な評価になってしまう。
- Excellent : 半月休んだWRジェニングス(脳震盪)と対照的にWRジョーディ・ネルソンは皆勤賞で、非常に質の高いプレーを続けた。効果的でキレのよいルート・ランニング、安定したキャッチング、力強いランアフターキャッチと揃っている。昨年10月に安価な契約延長(4年$13.35ミリオン)にサインしてしまったが、これだけ実力と金額の差が大きくなると、近いうちに昇給があってもおかしくない。
- Excellent : RTブライアン・ブラガはラン・パスとも文句なし。すでにリーグ屈指の右タックルとチーム側も評価している。ブラインドサイドのパスプロが悪くても、QBがいつでも右サイドに逃げられるのは重要なことだ。1巡指名OLBペリーは毎日彼に負けてばかりで気の毒だったが、学ぶことは多いはず。
- Excellent : 昨年のRGジョシュ・シットンは膝蓋腱に問題を抱えてプレーの質が落ちたが、今年はそれも完治。今夏のパスラッシュドリルではOL陣最高の成績だった。一昨年の状態に戻れば、初プロボウルも見えてくるはず。
- Excellent : OLBクレイ・マシューズはこれまでのようにハムストリング負傷に悩まされることなく、素晴らしいキャンプを過ごした。「練習では子供の中に1人だけ大人が混じっているように見える時さえあった」と振り返る記者あり。逆サイドのパスラッシュがよくなってくれば彼の数字も回復してくるはず。
- Excellent : NT B.J.ラジはオフシーズンのボクシング・トレーニングがよかったのか、パスラッシュドリルではDL陣で最高の成績を残した(彼にとっては4年目で初めて)。チームとしては彼の出場スナップ数を減らしたい方向だが、それは新人DLたちの働き次第だろう。
- Excellent : CBトラモン・ウィリアムズは、肩の負傷で本来のプレーができなかった昨季の不調からから完全に復活した。今年は2010年と同じようなシャットダウン・コーナーとしての活躍に期待。
◆ ◆ ◆
- Very Good: QBアーロン・ロジャースは6月・7月のトレーニングで体がさらに絞れ、力強くなっている。すべてにおいて素晴らしいが、プレシーズンゲームの出来にかぎれば、過去3年(合計でレーティング142.5)ほど完璧でなかった。
- Very Good : RBセドリック・ベンソンはファンブル懸念で1点減点。穴を見つけて飛び込む速さ、的確なカットバック、タックラーを引きずって前進する力強さと、走る部分は申し分ない。近年RB補強を軽視してきたパッカーズにこれだけのランナーがいるのは、RBアーマン・グリーン以来久しぶりのことだ。
- Very Good : WRジェームズ・ジョーンズはオフシーズンの熱心なトレーニングも実り、キャリア最高のキャンプを過ごした。下位指名権とならいつでもトレードできるが、安価で再契約した彼を手放すのはあまりにももったいない。相手ディフェンスに軽視されてビッグプレーのチャンスが生まれるときが必ず出てくる。
- Very Good : WRジャレット・ボイキン。 ドラフト外ルーキーとしては非常によく、WRガーリーとWRボレルを退けての開幕ロースター入りとなった。直線スピードは並以下だが、ルートランニングがよくキャッチングが上手い。
- Very Good : TE D.J.ウィリアムズは、キャンプ終盤に足首を捻挫するまでは今キャンプで最も進歩した選手の1人だった。5巡指名入団から2年目、アスレチック能力の高い彼が成長してくればペイトリオッツ的な多彩なTE起用も可能になる。ただレシーバーの選択肢は多く、どの程度オフェンスに貢献できるかは予想がつかない。
- Very Good : OLB陣。 前述のマシューズや1巡指名ニック・ペリーだけでなく、控えのエリック・ウォルデンやデズマン・モーゼス(ドラフト外)も非常によかった。マシューズ1人に頼ってきたOLB陣にこれだけ人材が揃うのは、2009年に3-4隊形を導入して以来初めてのこと。
- Very Good : ILB D.J.スミスはビショップの戦線離脱でスターターに昇格し、ダイム隊形(1ILB)ではホークでなく彼がフィールドに残る。すでにディフェンスの知識は豊富で、フットボールセンスのかたまりのような選手。それなりにやれることは間違いないが、ビショップのビッグプレー能力まで穴埋めするとなると大変な仕事だ。身長180cmの小兵だけにTE相手のパスカバレッジでどうなるか。
- Very Good : CBデヴォン・ハウスはプレシーズン初戦で肩を負傷するまではディフェンスで最も進歩した選手であり、新先発CBの座を固めてしまう勢いだった。腕の長さなど十分なサイズがあり、ランサポートなどフィジカルな部分もシールズよりいい。復帰は遠くないが、今季中はハーネスを着けてのプレーを強いられるようだ。先発昇格は来季までおあずけだろうか。
- Very Good : FSモーガン・バーネットは先発も2年目となり、順調に成長しているのは間違いない。今年は相棒がさらに若い選手となり、DB陣のリーダーとしての役割も重くなる。
- Very Good : Pティム・マステイは飛距離と滞空時間が非常によく、プーチパントのコントロールも安定している。寒冷地球団なので数字そのものは伸びなくても、実力的には一流パンターの1人と評価していいのでは。
◆ ◆ ◆
- Good : RBアレックス・グリーン。 あいかわらずゾーンブロッキングでの普通のランプレーはいまひとつだが、最近のパッカーズはショットガンの1バック隊形も多く、これならハワイ大学時代から慣れ親しんでいる。一瞬の加速は素晴らしく、前十字靭帯断裂の影響は感じられない。
- Good : Cジェフ・サタデーはコルツでプロボウル5回の古狸。パッカーズオフェンスの習熟は問題なく進んだが、37歳となって急激な衰えが露呈する可能性もある。
- Good : C/Gイヴァン・ディートリック=スミスは、層の薄い控えOLの中で順調に進歩を続けている。タックルにケガ人が出た場合はおそらくLGラングがOTに回って彼がLGに入るので、実質全ポジションの控えを兼ねているようなもの。将来先発センターが務まるかとなると疑問だが、控えとしては十分なレベル。
- Good : DE C.J.ウィルソン。 大学時代はむしろパスラッシャーとして好成績を残したが、最近はかなりバルクアップして3-4隊形の先発DEとなった。
- Good : DEマイク・ダニエルズ。 4巡指名DLの1年目としては期待以上で、2巡指名ウォージーとさほど力の差があるようには見えない。低い姿勢からのパスラッシュが鋭く、ウォージーと違って止まらないエンジンがある。ただ、NFLの一流ガード相手に通用するかはまだわからない。
- Good : DEマイク・ニールはヒザのケガに苦しんだ昨年と比べてかなり良いキャンプだった。開幕から4試合出場停止となるが、新人DLコンビが十分活躍できなければ、シーズン中盤からパスラッシャーとして重用される可能性はじゅうぶんある。
- Good : 1巡指名OLBニック・ペリーには新人ばなれした馬力があり、ポイントオブアタックでしっかり持ちこたえられる。まだパスラッシュのレパートリーは少ない。「新人ラッシャーはアウトサイドのスピードに頼りがちだが、彼はまずパワーで押し込んで崩す力があるので、そこから技を覚えていくのは難しくない」とケイパースDCは言う。DL出身だけにパスカバレッジはまだぎごちなく、大学時代からOLBだったマシューズの1年目と比べるのは酷だろう。
- Good : CB/Sチャールズ・ウッドソンはベース隊形(全体の4分の1)のときだけストロングセーフティに入り、それ以外はこれまでどおりスロットCBとなる。つまり、彼にもうアウトサイドのレシーバーはカバーさせないというコーチ陣の強い決意の表れだ。スピードの衰えが露呈する場面が減り、常にスクリメージ近くで彼の卓越した嗅覚を活かすことができる。
- Good : 2巡指名CBケイシー・ヘイワード。 優れた嗅覚やフィジカルなタックリングなど前評判どおりで、ハウス負傷後の先発争いに加えないことを不思議がる記者も多かった。キャンプ半ばで、得意のスロットからアウトサイドに移されたのは将来スターターに育てるためなのだろうか。
- Good : CBサム・シールズ。 優勝シーズンのドラフト外出身ヒーローもはやプロ3年目。キャンプ前半はハウスやブッシュの後塵を拝したが、プレシーズン後半に調子を上げて開幕スターターの目も出てきた。出来は日によって波があるが、課題だったタックリングが向上してきたのはたしか。
- Good : CBジャレット・ブッシュ。 きわめてハードワーキングな選手で、どんな練習でも全力投球。サイズがありフィジカルなプレーが特徴。ただ肝心のカバレッジでは、実戦でボールが来たときにうまく反応できない、というプレーを毎年繰り返してきた。彼が一流WRをカバーするようでは、とても安心して観ていられない。
- Good : 4巡指名SSジェロン・マクミリアンは開幕戦スターターの可能性あり。身体能力が高くアグレッシブなランサポートがいい、という前評判どおりだが、パス守備は未知数な部分が多い。キャンプ終盤で先発争いに加わったのは彼がよかったからか、M.D.ジェニングスが悪かったからか。
◆ ◆ ◆
- Not Bad : QBグレアム・ハレルはプレシーズン最終戦の活躍でようやく合格点といったところ。肩は弱く、コントロールも決してよくない。相手ディフェンスの読み、ポケットでの落ち着きとフットワーク、レシーバーを選ぶ判断などはかなり進歩している。逆に言えば、これらの点が進歩したのにフィールドで結果が出せないのは基本的なパス能力が低すぎるからではないか。
- Not Bad : LTマーシャル・ニューハウスは、アウトサイドのラッシュについていけるフットワークの軽さは十分だが、パワーに欠け、ブルラッシュに崩されやすい。最後まで嫌らしくブロックできないのは、アグレッシブな気性に欠けているせいか。
- Not Bad : 7巡指名OTアンドリュー・ダトコ。 ケガで大学最終年はほとんどプレーできなかったため、キャンプ序盤は散々な出来。ようやく調子を上げたと思ったら脳震盪でプレシーズン後半はまったくプレーできなかった。解雇されてプラクティス・スクワッドに入ったが、将来的には控えOTが務まりそうな器に見える。
- Not Bad : 2巡指名DEジェレル・ウォージーはパスシチュエーションのインサイドラッシャーとしてB.J.ラジとコンビを組む予定だが、キャンプ・プレシーズンで期待ほどの出来でなかったのはたしか。一歩目の鋭さは素晴らしいが、そこを止められると次の動きが出ない。いっぽう、ベース隊形のDEとしては良くなってきているらしい。
◆ ◆ ◆
- Bad : これほどケガ人が出たキャンプは初めてのこと。特にTE陣やRB陣はケガが多く、プレシーズンゲームを戦うにもやりくりに苦労した。シーズン終了の大ケガがILBデズモンド・ビショップだけなのは不幸中の幸いだが、LTシェロッド(スネ骨折でPUPリスト)の復帰が遅れているは予想外の痛手。
- Bad : RBジェームズ・スタークスはプレシーズン初戦でミスを繰り返したあげく、"Turf Toe"で当分欠場することに。そろそろ負傷から1か月になるが、まだ練習に復帰することもできない。大学4年目から毎年どこかしら負傷している。
- Bad : OL陣のデプス。OLを7人しか残さなかったのは、ロースターに入れる価値のある控えOL選手が2人しかいないからだ。LTデレク・シェロッド(スネ骨折)の復帰が遅れているのはかなり痛い。ドラフト外のG/Tドン・バークレーは拾い物だったが、まだ代役スターターが務まるとは考えにくい。もしシーズン中にOL不足の事態になれば、トンプソンGMの補強不足が批判されても仕方がないところだ。
- Bad : 5巡指名ILBテレル・マニング。 ビッグプレーメーカーとの前評判はどこへやら、練習ではまったく目立たず、プレシーズンゲームでも大きなミスを連発した。大学では4-3のウィークサイドLBで、3-4のILBに慣れるのが遅れている。キャンプ中には3週間も大腸の病気で苦しんでいた事実が先日明らかに。かろうじて開幕ロースター入りしたのは、現在の能力よりもポテンシャルを買われてのことだろう。
- Bad : 先発SS争い。 新スターターとなったM.D.ジェニングス(昨年のドラフト外)は10ポンド増量してのキャンプインだったが、控え組を引き離すことができず、途中から新人ジェロン・マクミリアンが先発争いに加わった。経験やケミストリーが重要なポジションで、開幕直前までスターターが決まらないという事態はとても残念。