グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2012年7月24日

トレーニングキャンプの見どころ 2

今年のトレーニングキャンプの見どころ、今日はオフェンスとスペシャルチームについて。オフェンスはパスの球団記録をあらかた塗り替えた昨季のメンバーがほとんど残り、ディフェンスと比べて課題はずっと少ない。

OL オフェンシブライン

第1は左タックル争い。暫定スターターのLTマーシャル・ニューハウスは昨季チームダントツ最多の41.5プレッシャーを許したが、昨季が実質ルーキーシーズンのようなものだった。今年はかなりの成長が見込まれており、ブルラッシュに押し負けない体ができてくれば、フットワークの軽さが活きてくる。彼に挑戦するのは昨年1巡指名のLTデレク・シェロッド。右スネ骨折のリハビリは順調で、コーチの予想が正しければキャンプ最初から参加できるはず。こちらも体作りが課題だが、リハビリの関係で今年は難しいかも。もし彼がニューハウスを脅かせるようなら、比較的高いレベルで争えていることになる。7巡指名のOTアンドリュー・ダトコも楽しみな素材。

第2はインサイドの控えがレベルアップできるかどうか。FA補強したCジェフ・サタデー(2年契約)は1年限りで引退の可能性があり、先発LGのT.J.ラングも来春FA予定だからだ。意外なことにドラフトでは1人も指名しなかったため、C/Gイヴァン・ディートリック=スミス(昨季5試合に出場、先発3試合)、OGレイ・ドミンゲス(出場経験ゼロ)、Cサンプソン・ジーナス(出場経験ゼロ)といった若手の成長に期待する夏だ。

RGジョシュ・シットンとRTブライアン・ブラガの右サイドは盤石といっていい。

QB クォーターバック

マット・フリンのFA移籍で2番手QBに昇格したグレアム・ハレルが一人前になれるのか。たとえばロジャースが数試合欠場した場合に1つぐらい勝ちが拾えるのか。NFLじゅうの2番手QBの中で、NFL公式戦でパスを投げた経験がないのはハレルだけらしい。しかしコーチ陣は、球速アップを含め今オフの彼の成長を高く評価している。FAでベテランを獲るのでは、という話はいまのところ外部の憶測でしかない。

3番手は7巡指名のQB B.J.コールマン。身体能力が高く粗削りなタイプということからすると、1年目から2番手を務めるのは難しいだろう。QB2人体制にしてコールマンはプラクティス・スクワッドで育てるのが順当に見える。

RB/FB ランニングバック/フルバック

元エースのライアン・グラントとの再契約を見送り、ジェームズ・スタークス、アレックス・グリーン、ブランドン・セインの3人が残った。昨季スタークスは併用制もあって不完全燃焼だったが、今年はエースとしてバリバリやってもらわなければならない。昨年3巡指名のグリーンは前十字靭帯手術明けでどれぐらいやれるのか。ゾーンブロッキングのスキームに不慣れだった昨季からどれぐらい成長できるのか。器用なセインが3rdダウンバック候補になりそうだが、グリーンも本来そういったタイプではある。

目立たないが重要なのは、パスプロ技術の向上だ。熱血パスプロテクターだったブランドン・ジャクソンが昨年春にFAで去ったため、昨季は重要なパスプレーで若手RBたちがブロッキングをしくじってQBロジャースをピンチに陥れる場面が多かった。パス主体のパッカーズにとってはランよりも重要なポイントといっていい。

なお、グラントはフリーのままFA市場に残っているので、ケガ人が出たらすぐに呼び戻すことが可能だ。

いっぽうフルバックでは、人気者のジョン・クーンにジョン・ヘイジー(昨季プラクティス・スクワッド)とニック・クーパー(今年ドラフト外)の2人が挑戦する。タレント豊富なWRなど他ポジションの選手を多く残すために、FBは今年も1人枠になるのではないか。

プレーオフでヒザを負傷したクーンはOTAやミニキャンプに参加できず、キャンプ初日から参加できるかは微妙なところ。ケガの直後には内側側副靭帯(MCL)の捻挫と報じられていたが、もっと重いものだったのか、リハビリ途上で何か悪いことが起きたのだろうか。

TE タイトエンド

若い控えTEたちのロースター枠争いが注目だ。例年はTE3人枠のところ昨季は5人もロースター入りしたが、今年もそうなると思うのは虫がよすぎる。ただ、2番手のアンドリュー・クウォレスは前十字靭帯の手術明けのため、PUPリストで開幕を迎えるかもしれない。その場合、開幕時点でTE3人枠として、トム・クラブトリー、D.J.ウィリアムズとライアン・テイラーのうち1人が解雇されることになる。

昨年5巡指名のウィリアムズはレシービング能力が高く、課題はブロッキングの強化。TEはFBの位置に入る場面も多いだけに、パスプロのミスの多い選手は怖くて使いづらい。昨年7巡指名のテイラーはスペシャルチームの鬼。昨年はレシービングも意外に能力の高いことがわかった。3年目のクラブトリーはブロッキング能力の高さが取り柄だが、クウォレスが昨季そちらで急成長して同レベルに近づいている。ウィリアムズとテイラーの2年目コンビが順調に成長すれば、押し出されるのはクラブトリーかもしれない。

もう1つの注目はやはりフィンリー。昨季は全TE中3位の8TDを記録したものの、コントラクトイヤーを意識しすぎてかイージーミスが目立った。今年はFAとなる前の2月に2年契約を結んだ。年平均$4ミリオン強という金額を受け入れるかわり、2014年春(そのときまだ26歳)に再びFAとなるやり方を選んだ。さらに成長してプロボウラーになれれば2年後に超ビッグな契約が待っているし、そうなるとパッカーズが引き留めるのは難しいかもしれない。それまでに後継スターター候補を育てたいところ。

WR ワイドレシーバー

例年は5人枠だが今年は6人枠にするのかどうか。昨季の記録ずくめのパス攻撃を支えた5人組が全員残り、ディオンドレ・ボレルとトリ・ガーリー(ともに昨季プラクティス・スクワッド)も将来を有望視されているためだ。大学までQBだったボレルの急成長はとくに注目されている。ガーリーはTE並のサイズを持つポゼッション型でキャッチング力が非常に高い。

解雇が懸念されたドナルド・ドライバー(37歳)はちょうど半額への減俸を受け入れたが、それでもロースター枠が確実というわけではなく、健在ぶりをアピールする必要がある。ジェームズ・ジョーンズはトレードの憶測があるものの、それを言うのは中央メディアばかりで、地元記者たちは懐疑的。せっかく昨年安価に再契約できたのに、老いさき短いドライバーのために放出してしまうのはもったいない。

グレッグ・ジェニングス(2年連続プロボウル)とジョーディ・ネルソン(昨季1263yds・15TD)の先発コンビはいまやリーグ屈指。昨年2巡指名のランドール・コブは今年はジョーンズやドライバーの出番を食い、3番手への昇格があってもおかしくない。

ST スペシャルチーム

キッカー、パンター、ロングスナッパー、リターナーとも今年は無風。FAやドラフトでの補強もなかった。課題といえば、Kメイソン・クロスビーが80%以上(昨季初めて記録)のFG成功率を保つこと、KR/PRランドール・コブがボールセキュリティを向上させることぐらいだろう。

カテゴリ : Camp, Player