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Draft Notebook 3: CB Casey Hayward
グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2012年5月 6日
2巡30位(全体62位)指名のCBケイシー・ヘイワード(ヴァンダービルト大)について。
- アトランタの南約170kmに位置するジョージア州ペリー出身。人口は約13000人。
- 高校ではQB兼DB兼リターナーと出ずっぱりの活躍で、4年時にはパス1300yds・18TD、ラン1284yds・18TD、DBとして4INT(うち3TD)を挙げた。DBとしてオール・ジョージア州、QBとして地区のオフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー、郡のアスリート・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。陸上(短距離と三段跳び)やバスケットボールもプレーしている。
- ヴァンダービルト大ではレッドシャツを経ず、入学1年目からニッケルバックとして全試合に出場。2年目には先発に昇格し、3年目・4年目とオールSECの2ndチームに選ばれている。4年時は7INTを挙げ、通算15INTは同大史上最多タイ記録。オールアメリカン(2ndチーム)選出は同大としては4年ぶりだった。
- シニアボウル・ウィークには好プレーを続けて評価を上げた。また、有力選手ひしめくSEC(1巡9人を含む42人がドラフト指名)で4年間もまれてきた経験は軽視できない。
- コンバインでは40yds走こそ4.52秒と物足りない数字だったが、ショートシャトルは全CB中トップの3.90秒、ロングシャトルでも2位の11.10秒を出している。他球団スカウトたちのコメントを読むと、1巡指名されなかったのはトップスピードのなさが大きい。
- ワンダーリックテスト16点は平均より少し下。
- 偏頭痛のため2009年に2試合ほど休んだことがある。今でも予防のため薬を服用して試合に臨んでいるらしい。
- 同大のジェームズ・フランクリンHCは2005年にパッカーズのWRコーチを務めた人物。マイク・シャーマンHCがこの年限りで解任されたため彼も退団し、その後はカンザス州立大OCとしてWRジョーディ・ネルソンも指導した。メリーランド大OCを経て昨年ヴァンダービルト大HCに就任し、同大初の黒人HCに。過去2年連続2勝10敗だったチームを久しぶりのボウルゲーム出場に導いた。
- また同大ではQBアーロン・ロジャースの弟ジョーダンが昨季途中から先発QBを務めている。兄アーロンと同じようにビュート・カレッジでプレーしたあとヴァンダービルトに転入した。プレー内容はまだまだ不安定で、9TD・10INTと苦しんでいるところ。
- パッカーズで活躍したヴァンダービルト大出身者は、1940年代のOTベイビー・レイ(パッカーズ殿堂入り)、1960年1巡5位指名のRB/KRトム・ムーア(プロボウル1回)ぐらいか。1999年2巡のCBフレッド・ヴィンソンはヒザのケガのためトレードされ、代わりにやってきたRBアーマン・グリーンが大活躍してくれた。2003年5巡のLBハンター・ヒレンマイヤーは1年目で解雇されたあと、ベアーズで6年間スターターで活躍した。
- 1巡指名OLBペリーと2巡a指名DEウォージーがややハイリスクな素材であるのに対し、このCBヘイワードはローリスクなタイプ。センスが良く非常に実戦向きで、超一流になるポテンシャルはなくても、ロールプレーヤーとしてやっていけるはず、という評判が目立つ。
- はっきりと「ゾーン向き」という前評判のCB指名は当サイト開設以来12年目で初めてかもしれない。パッカーズは2008年まで長らくマンカバレッジ主体だったうえ、2009年の3-4転向後もドラフトは「どちらかというとマンカバレッジ向き」といわれたCBばかり指名してきた。
- じつはパッカーズはCBのドラフト指名が失敗続きで、一人前の先発CBに育ったのはなんと1999年3巡のマイク・マッケンジーが最後。バウ・ジュー(2001年3巡)、アマド・キャロル(2004年1巡)、ジョーイ・トーマス(同3巡)、パット・リー(2008年2巡)など8人がことごとく失敗に終わっている。トレードでアル・ハリス、FAでチャールズ・ウッドソン、ドラフト外でトラモン・ウィリアムズを育てて補ってきた。
- 3巡27位(全体90位)から2巡30位(全体62位)へとトレードアップするのに、代償が5巡28位(全体163位)だけなのはとんでもなくラッキーだった。一般に流布しているバリューチャートによると62位指名権の価値は284ポイントもあって、90位140ポイント + 163位27.2ポイントでは遠く遠く及ばない。ふつうこうした損を受け入れるのは、(2009年1巡のOLBマシューズ指名のように)どうしても欲しい選手を獲るためトレードアップする側だ。トレードダウンする側がこれほど損をした例は見たことがない。
- 今年はCBが不作なのか、需要の問題なのか、2巡まででCBが5人しか指名されなかった(ヘイワードが5人目)。すくなくとも過去5年間では最も少ない。
- 背番号は29番に決定。パッカーズの29番は活躍した選手がいない番号で、2年間だけ29番を着けたジャグ・アープ(1920年代の攻守ライン)がパッカーズの殿堂入りしているぐらい。最近は控えセーフティのデリック・マーティンが着けていた。
- 本人のインタビューから。
- 「もう少し早く指名されると思っていたけど、不満はまったくないよ。グリーンベイのような伝統ある偉大なフランチャイズの一員になれてとにかくうれしい」
- 「僕は鋭い嗅覚と、プレーメイキング能力をチームにもたらせると思う。グリーンベイはそれを持っているチームだし」
- 「昨年はロスタックル7.5回、一昨年も8.5回あった。そういったタックリング能力は、多くの人が知らない僕の長所だ」
- 「高校で先発QBだったことが嗅覚を磨くのに役立った。ゾーンでも、マンでも、QBが狙ってくることがわかりやすいから。ボールキャリアー(高校4年時はラン1284yds)をさんざんやったことも、嗅覚やビジョンの向上に役立った」
- テッド・トンプソンGMの記者会見から。
- ドラフト2日目の連続トレードアップについて。 「私はどうかしてしまったんだ」
- 「今回のドラフトではかなり高く評価していたコーナーだ。オールラウンドプレーヤーだと思う。スペースでの認識力が非常によく、ボールをよく見ている。(ゾーンだけでなく)QBに背を向けてプレーすることもできる。キャッチングが上手く、インターセプトするコツを心得ている。非常によいタックラーだ」
- ショートシャトルのタイムがCB中1位だったことについて。 「もちろんそれも彼の能力の表れだと思う。非常にクイックで、またスナップの瞬間に素早く手を使える」
- ジョー・ウィットCBコーチの記者会見から。
- 「彼はきわめて頭がいい。コンバインで話をしたときに私がとても気に入ったのは、彼がCBの仕事をよく理解している点だ。フィールドではハイレベルなコミュニケーションができる。相手オフェンスが自分にしてくることを常に理解している」
- 「(ランサポートでも)熱心なタックラーだ。進んでそこへ突っ込んでいく。欠点のない選手だ。私が評価を下す上で、とくに穴は見つからなかった」
- 「知性のある若者だよ。早くミーティングルームに連れて行ってプレーブックを消化させたいね。ウチのプレーブックは分厚いから。ウチのディフェンスにも彼はフィットする。彼はいろいろなスキームに対応してそこで成功できるから、彼を欲しがるチームはいくつもあっただろう」
- 「どの試合を見ても、彼を気に入る点があった。サウスカロライナ戦はとくによかった。彼の振る舞い方ひとつを見ても、非常に成熟した大人だということがわかる。常にチームメイトを叱咤している。彼は自分の限界と長所をよく理解し、コンスタントに好プレーを決める。あの年齢にしては成熟した選手だ」
- 「彼の方向に何度もランプレーはできない。彼は一度見るとそれを理解し、次に来たときにはボールキャリアーに対してインパクトのあるプレーを決めてしまう」
- CBの駒は揃っていたのでは?との質問にドム・ケイパースDC。 「どうして? ウチとやったセインツやライオンズのオフェンスを見なかったのかい? 相手はWRを4人とか、ときには5人も投入してくる。それが最近のフットボールだ。カバーができなければ。50回も60回も投げてくるのだから、パスラッシュがよくなければならないし、カバーもできなければその日は大変なことになる」