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Draft Notebook 1: OLB Nick Perry
グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2012年4月27日
1巡28位指名のOLBニック・ペリー(サザンカリフォルニア大)について。
- ミシガン州デトロイトのいわゆるインナー・シティ(低所得者層だけが取り残された荒れた地域)で、9人兄弟の末っ子として育った。通っていた高校が途中で閉鎖されたため転校を強いられている。
- 高校ではDL、LB、TEをプレー。4年生シーズンにはなんと36サック(同州新記録)を記録した。レシービングでも310yds・8TDを挙げ、14戦無敗の州大会制覇に貢献。さまざまなメディアのオールアメリカン1stチームや2ndチームに選出され、全米から注目される存在となった。フットボールの他にバスケットボールもプレー。
- 地元の名門ミシガン大を含め、数多い誘いの中からUSCを選び、入学1年目はレッドシャツで過ごした。翌2009年のフレッシュマン・シーズンには主にパスシチュエーションで起用され、先発1試合ながらチーム最多の8サックを挙げた。2010年は4サックに留まったものの、昨年はPAC10最多の9.5サックを記録してカンファレンス1stチームに選出。当然、最終学年を待たずドラフトにアーリーエントリーすることを選んだ。
- コンバインでは素晴らしい数字を残した。40yds走は4.58秒。垂直跳び38.5インチ、立ち幅跳び10フィート4インチは、どちらもDL中1位(LBとDEを合わせた中で2位タイ)。ベンチプレス35回も立派。ただ3コーンドリルで7.25秒とDL中15位にも入らず、方向転換の能力に疑問は残る。
- 大学でのポジションはDEだったが、パッカーズはもちろんOLBとしての指名。OLBマシューズは大学時代にDE/OLBハイブリッドのポジションだったが、ペリーはDE専門だった。そのため2ポイントスタンスからのパスラッシュは経験が少ない。コンバインでのインタビューでは、「慣れている4-3のDEで3ポイントスタンスからラッシュする方が好き」といった趣旨のコメントをしていた。
- プロのDEとしてやっていくため、昨年は体重を10ポンド以上増やした。その271ポンドがナチュラルな体重でないのなら、3-4のOLB転向はプラスになるかもしれない(その体重でこれだけ速く走れるのだから驚異)。パッカーズ公式サイトのロースター表では早くも265ポンドと軽めに表示されている。
- コンバインの数字が良いためDEヴァーノン・ゴルストンを彷彿とさせ、単なるワークアウト・ウォリアーではないかという懸念は根強い。いっぽうで、スタンフォード大OTジョナサン・マーティン(2巡指名が予想される)など、レベルの高い同カンファレンスのOTたちを苦しめたことは評価できる。以前は疑問視されていた嗅覚の点でも、昨季は大きな進歩を見せた。
- 同僚のOTマット・カリルは1巡4位でヴァイキングスに指名された。 「ニックは僕が戦った中で最高の選手だ。毎日彼を相手に練習することで、ゲームでプレーすることがすごく容易になった。どのチームに入ることになっても、彼を獲ったチームはすごくトクをすることになる。素晴らしい選手であり、ハードワーカーだ。あの体を見ればどんなバケモノかよくわかるはずだ」とカリル。
- 専攻は経済学。成績のことは不明だが、「落ち着いたら学業を続け、何とか学位は取りたい。ファミリーで大学を出た者がいないので、僕とファミリーにとってすごく大事なことなんだ」と話している。卒業まであと2学期分とのこと。ワンダーリックテスト29点はパスラッシャーとしては非常に高い数字。
- 4か月前、故郷デトロイトで高校生の甥が友人たちとともに銃撃を受けた。いまも弾丸の破片が頭に多数残り、甥は現在もまだ入院したまま。さいわい2週間前にふたたび会話できるようになり、ドラフト2日前には電話で話せた、とペリーは喜んでいる。 「やあニック、どうしてる? って言ってくれたことが僕にとって今週最高のニュースだよ。TVに出るから必ず見ろよ、と言ったら 『わかった』 と言ってくれた。『一緒に遊べるようにマデン買ってくれよ』 って」
- デトロイトの荒れた地域だけに、高校の卒業率は高くない。 「成功しようと頑張っている元同級生たちもいるけど、学業を諦めたり、フットボールをしてなかったりする連中も少なくない。高校を出たときは明るい将来が見えていたのに、計画した通りにはいかないものだ。(抗争などで)負傷したり死んだりする友人たちも見てきた。友人のそんな姿を見るのは本当につらい。そこから抜け出せた僕はすごく恵まれているし、自分を向上させようと努力してる」
- 1巡でのOLB指名はパッカーズにとって2009年のOLBクレイ・マシューズ以来3年ぶり。パッカーズ指名の時点で、ペリーの他にOLBコートニー・アップショウ、DE/OLBアンドレ・ブランチ、OLBザック・ブラウンといったパスラッシャーたちが残っていた。
- USCからのパッカーズ指名はOLBクレイ・マシューズ以来、通算34人目。パッカーズで最高のUSC選手といえば、ドラフト外入団から殿堂入りを果たしたSウィリー・ウッド(在籍1960-71)だろう。50年代にリターナーとして活躍したRBアル・カーマイケル(1953-58)、長く先発LTを務めたケン・ルトガーズ(1985-96)もいる。
- 大学では背番号8番だったが、パッカーズでは53番に決定。これまでパッカーズで53番を着けた主な選手は、プロボウル3回のLBフレッド・カー(在籍1968-77)、LBマイク・ダグラス(1978-85)がパッカーズの殿堂に選ばれている。90年代にはLBジョージ・クーンス(1992-99)、最近ではLBパリス・レノン(2002-05)がいる。
- 本人のインタビューから。
- 「グリーンベイと聞いて最初に思い浮かべたことは?」という質問に、「スーパーボウル(複数形)」
- 「僕には高いスキルと頭脳がある。チームにもたらすものは大きく、僕から引き出せる潜在能力は大きいと思っている。僕はグリーンベイに行く。偉大な伝統のある球団であり、僕の向上を助け、将来にわたってよりよいプレーヤーになることを助けてくれるはずだ」
- ポジション変更について。 「自分が決められることではない。僕はフットボールが大好きだし、そこで競争するためにできることは何でもやる。チームを助けられることなら喜んでやるよ」
- 体重を落とすことについて。 「自分としては今の体重で動きやすい。何も問題はないよ。動きは速いと思うし、カバレッジにも下がれる。だから体重は問題にならないと思う」
- 「指名されるとしたら、1巡半ばから2巡の初めぐらいと思っていた。パッカーズがOLBを必要としてることは意識してたけど、自分がどこで指名されるかはわかってなかった。頭をクリアにするよう心がけ、自分が指名されるよう願ってた。すべてが僕にとって良い方向に転がったと思う」
- パスカバレッジの経験について。 「あるよ。これまでにもパスカバレッジに下がるプレーはやっていた。自分にとって決して目新しい経験ではないけど、優れたOLBになるために多くの練習が必要なのはたしかだ」
- 先輩OLBクレイ・マシューズについて。 「そう、彼は(電話またはメールで)僕の指名を祝福してくれた。クレイとは大学1年目に一緒にプレーし、それ以来友人なんだ。僕は彼の逆サイドでプレーし、彼のように活躍するためにドラフトされたんだ。逆サイドで脅威になれることが嬉しい」
- 同僚のOTマット・カリル(1巡4位でMINへ)と対戦する可能性について。 「これまで対戦した相手や一緒に練習した仲間と対戦できるのは素晴らしいことだ。彼と対戦できたらすごく嬉しいね」
- デトロイトから南カリフォルニアに移ったことについて。 「故郷を離れ、選手として、人間として成長できたのはすごくいい経験だった。今度はまた故郷に近くなり、ファミリーもサポートしてくれるのが嬉しい。子供の頃からライオンズファンではなかった。どのチームも少しずつ観てた。いろんなチームのいろんな選手が好きだった。決してライオンズファンじゃなかったんだ」
- 壇上でパッカーズのジャージを掲げたことについて(写真)。 「素晴らしかった。グリーン&イエローは僕にとって素晴らしいことだ。ここにいられて嬉しいし、パッカーになれて嬉しい。それがどんな重みを持つものかはよくわかっている。その挑戦を受け入れる心構えはできている」
- 最終学年を残してアーリーエントリーしたことについて。 「とくに誰かが影響を与えたということはない。自分ひとりで決めたことだ。これが僕の運命であり、USCでは素晴らしい4年間を過ごしたと思っている。大学生活を満喫したし、次のレベルに行く準備はできている。これが僕にとって生涯の夢だったし、今そこに飛び込んでいく心構えはできている」
- テッド・トンプソンGMの記者会見から。
- 「我々はオフェンスを含めて何人かの選手を検討していた。ニード・ピック? そうではない。彼は我々が狙っていた選手であり、入団後すぐから貢献できる選手であると感じていた。彼ならばウチのOLBグループにとって良い補強になると感じてのことだ。彼はこれまで、手をついて(DLとして3ポイントスタンスで)プレーしてきたから、スタンドアップの姿勢からプレーすることを学ぶ必要はあるだろう」
- 「彼はパスラッシュ能力の高い、活力にあふれた選手だ。非常にフィジカルで、エッジを形作ることができる。彼をケヴィン(グリーンOLBコーチ)やドム(ケイパースDC)たちの手にゆだねるのが楽しみだ。彼はウチの選手たちの競争に加わってくれるはずだし、力を発揮してくれると期待している」
- DEからOLBへのポジション変更について。 「スタンドアップでプレーした経験がないわけではないが、主にDEをプレーしてきたことは事実だ。我々はコンバインのワークアウトを見て、ビデオを見て、プロデイにも地区スカウトのサム・シールを派遣して、非常によい感触を持った」
- 「我々はオフェンスの選手も検討した。昨年や今年のような遅い順位となると、展開を予想するなんてことはできない。何が起こってもいいように備えるだけだ。今日は我々にとって非常によい流れになったと感じている」
- ドム・ケイパースDCの記者会見から。
- 「爆発的な力のある選手だ。あのサイズで垂直跳び38.5インチだし、このレベルで求められる瞬発力を持っているのは間違いない。USCではハイレベルな敵を相手によい結果を残してきた。(DEからOLBへの)コンバートということになる。これまではスタンドアップのポジションでなく、主に手をついてプレーしてきた。しかしそうした変化は我々にとって慣れたことだ。このディフェンスにおいて我々が求めるのはまずパスラッシュの能力であり、彼はコーナーからスピードでラッシュできる選手だと我々は考えている。スピードをパワーに変換できるだけのサイズと馬力がある」
- 「競争を通して、誰が浮上してくるかを見るものだ。ニックはすぐにOLBの争いに加わり、そこでどれだけやれるか、我々は見極めることになる。彼ならばそのポテンシャルがあり、我々が求めるようなOLBになれると考えている」
- 「パスラッシャーを補強できたことは非常に大きな意味がある。我々のディフェンスの基本は両サイドから相手オフェンスを脅かすことだ。ニッケル隊形を使うことが非常に多いし、彼がウチのニッケル・スキームにフィットするのは間違いないと思っている。(右OLB固定ではなく)彼をいろいろと動かすこともあるかもしれない。彼のような瞬発力のある選手がいれば、そうしたフレキシビリティも手に入る」
- OLBへの転向について。 「第一にアスレチック能力がなければならないし、第二にフットボールのセンスが良くなければならない。クレイ(OLBマシューズ)は大学時代にラインでなく、インサイドLBの経験もあった。指名した当時はよくコーチ仲間から、『インサイドとアウトサイドのどちらで使うんだ?』 と聞かれ、私は 『アウトサイドで使うがインサイドもできるはずだ』 と答えたものだ。優れたフットボール選手であればどこでもプレーできるし、なんとか適応するものだ。ニックがそうなるかは試してみる他ない」
- 昨季ディフェンス不振の理由について。 「両方の問題が組み合わさっていると私は思う。スーパーボウル・シーズンの我々はどこにも負けないほどのパスラッシュがあった。プレッシャーがカバレッジを助け、またカバレッジがプレッシャーを助けてもいた。その頃のようなプレッシャーを取り戻すことを我々は目指している」
- FSニック・コリンズの抜けた穴について。 「彼は3回もプロボウルに選ばれた選手であり、そんな選手を失うのは嫌なものだ。今年のセーフティ陣を見てみると、我々には経験豊富な選手たちがいる。SSチャーリー・ペプラーは900プレー以上の経験があるし、FSモーガン・バーネットを我々は高く評価している。控えだった選手たちが競争の中で浮上してくることに期待している」