グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年9月24日

ケガを明かしたくない

NFLでは誰もケガの詳細を話したがらない。相手チームのゲームプラン作成を少しでも楽にしないため、主力選手の出否をできるだけボカしたいのがヘッドコーチの本音だ。極端なヘッドコーチになると、ほとんどのケガ人を "Questionable" にリストしてしまうこともある。

しかし今回は選手側の話。選手が自分のケガのことを話したがらないのは別の理由がある。悪い場所を知られたら、実戦で相手に狙われかねない、という恐怖感が根強くあるのだ。老人のようにロッカールームを歩いているWRドナルド・ドライバーも、どこか悪いのかと記者に聞かれると、「いや、何ともないよ」と答えるのがいつものこと。開幕前にRBエイリアン・フォスター(HOU)がハムストリングのMRI映像を公開して失笑を買ったがこれは例外的なことだ。 

◆ ◆ ◆

WRドナルド・ドライバー。 「お前のヒザを壊してやる、っていう選手に出会ったことはない。でもそれを狙ってくる選手はいると思う」

匿名希望パッカーズ選手。 「ケガの詳細を明かすのは賢くない。対戦相手にアドバンテージを与えてしまう。たとえばこちらのハムストリングが悪いとわかっていても、ピンポイントで狙うことはできない。ゲームのスピードの中でそれは無理。でも脚全体を狙ってくることはあるかもしれない」

元セーフティのリロイ・バトラーは、かつてQBファーヴが親指を負傷していたとき相手ディフェンスに狙われたと証言する。 「そういうことは起こりうるってことだ。ヒザの負傷明けだと知られたら、相手は低いタックルで狙ってくる。誰も口にしないだけでね。コーチは 『いいか、ファーヴの親指を狙え』 とは言わないよ。でもミーティング室からコーチが去ったあと、『マイケル・アーヴィンは背中を痛めてる。アルヴィン・ハーパーは肋骨を痛めてる。もしフリー・ショットのチャンスが来たら、肋骨に行っとけ』 という話になる。冗談半分ではあるけれど」

昨季をヒザのケガで棒に振ったTEジャーマイケル・フィンリーは、まだ誰からも低いタックルで狙われてはいないが、審判の目の届かない場所での汚いプレーには気を付けていると言う。 「ケガをしてると知られたら狙われかねないし、パイルの下になったときに相手は狙ってくる。それはたしか」

◆ ◆ ◆

今週はCBデアンジェロ・ホール(WAS)が、「QBトニー・ロモ(肋骨骨折)の肋骨をヘルメットで狙いたい」と公言して話題になった。NFL広報部長のグレッグ・アイエロは、「ケガをさせると公言するのは不適切であり不快ではあるが、我々が懸念するのは主にフィールド内でのことだ。我々にはアンネセサリー・ラフネスやアンスポーツマンライク・コンダクトといったルールがある。選手が何を言ったか、試合前に何を言ったかに関係なく、タックルやヒットが合法であるかどうかだ」としている。

こうしたトークはむしろ相手を威圧するためのもの、と見る選手も多い。 「そのようにして相手に威圧され、本来走るべきルートから逸れたり、キャッチングができなかったりすることもありうる。相手のコメントが頭に入り込んで、本来のプレーができなかったりね」とWRドライバー。

DEライアン・ピケット。 「ケガのことを誰にも知られたくないのはたしかだ。でも誰かがわざとハムストリングを狙ってひねりに来る? いや、選手はわざとそんなことしないよ。プレーはあまりにも速く、狙っている余裕なんてない。目に映った最初のものをひっつかむことしかできないよ。それにフリーエージェントのこともあるね。今年の敵が来年にはチームメイトになる」

なお、選手はケガをしたら速やかにチームに報告することが労使協定で定められていて、違反者には球団が重い罰金を科すことができます。いっぽうチーム側は、練習を欠席したり一部休んだ選手を必ずインジャリーリポートに載せなければならないので、あまり隠すことはできない仕組み。オフになって「自分はヒザの腱を部分断裂しながら出場していた」と明かす例もありますが、"Knee"と公示さえすればどう悪いかまで公開する義務はないので、ぎりぎり合法というわけです。

カテゴリ : Football, Player