グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2011年9月 4日
まずは前回記事の解雇選手リストを参照のこと。簡単にまとめると注目点は、QBグレアム・ハレルの解雇(ウェイバーで声がかからないと見切ってプラクティス・スクワッド確保へ)、超異例のTE5人体制、控えOL不足、OLBジャマリ・ラティモアとFS M.D.ジェニングスのロースター入り、といったあたり。
以下はまず各ポジションの人数と勝ち残り組を挙げ、その後で細かい点を分析していく。
QB (2) ロジャース、フリン
- 3番手グレアム・ハレルはロースター入りならず。ウェイバーで他球団から声がかからなければ、昨年同様プラクティス・スクワッドに入れる予定。というより、他球団から声がかからないと確信できたから解雇したのだろう。
- それなりに成長してきたハレルだが、あきらかに才能に限界があり、フリンの抜ける来年彼に2番手を任せられるとも思えない。けっきょく昨年と同じように、ロジャース負傷欠場時に2番手を務めるだけの存在なのではないか。
RB (3) グラント、スタークス、アレックス・グリーン
- グラントの復帰と3巡指名アレックス・グリーンの加入で戦力が大幅アップ。ディミトリ・ナンスには気の毒だった。
- 落選のブランドン・セイン(ドラフト外・オハイオ州立大)はプラクティス・スクワッドか。ケガの多いポジションだけに、たいてい1人RBを入れておくものだ。
FB (1) クーン
- 伸び悩み気味だったクイン・ジョンソンはタイタンズにトレード。タイタンズは唯一のフルバックだったアマード・ホールがドーピング違反で4試合出場停止になったため、必要に迫られたのだろう。パッカーズのオフェンスに合っていない印象もあったので、移籍先で成功するかもしれない。トレードで何巡をもらえるのかが気になる。タイタンズのマイク・ラインフェルトGMはトンプソンGMの現役時代からの親友であり、スカウトの道へ誘ってくれた恩人でもある。
- 過去2年連続で異例のFB3人体制だったが、今年は1人体制に。もともとそう予想する声は多かった。ブロッカーとしてTEをあちこちに動かす起用法が増えるはず。
WR (5) ジェニングス、ドライバー、ネルソン、ジョーンズ、コブ
- 優勝に大きく貢献した4人組に2巡指名のWR/KRランドール・コブが加わり、頼もしいことこの上ない。
- 6人枠にするという見方もあったが、トリ・ガーリー(ドラフト外)もチャスティン・ウェスト(昨季プラクティス・スクワッド)も残れなかった。ぜひプラクティス・スクワッドに確保したいところだが、できるかどうか。
- 上記2人がダメでも、ケリー・テイラーやディオンドレ・ボレル(ともにドラフト外)はプラクティス・スクワッドで育ててみる価値がありそう。
- ドラフト外のシェイキー・スミソン(ユタ大)はインジャリーリザーブに入ることに。”Injury settlement”(数週分のサラリーを受け取る)に合意して退団、ということがない限り1シーズン分のサラリーが保証されるので、プラクティス・スクワッドのおよそ4倍の高給取りになる。
TE (5) フィンリー、クウォレス、クラブトリー、D.J.ウィリアムズ、テイラー
- 例年3人のところを驚きの5人体制。しかしキャンプ中から予想されていたことでもあった。よい話があればトレード材料にする手はある。
- TEが豊富なのはスペシャルチーム戦力の面でも好都合。
- 控え4人にはそれぞれの良さがあって解雇が難しかった。クウォレスはフィンリーに似たアスレチック能力。クラブトリーはTE随一のブロッキング。7巡指名テイラーはスペシャルチームで即戦力。5巡指名D.J.ウィリアムズは未熟だがレシービングで将来性が高そう。
OT (4) LTクリフトン、RTブラガ、シェロッド、ニューハウス
- キャンプ中からこの4人で決まっていたようなもの。
- 1巡指名デレク・シェロッドがまだ頼りないため、当分は彼をゲームデイのインアクティブにし、ニューハウスを両OTの控えにするしかない、という声も多い。
G/C (4) LGラング、Cウェルズ、RGシットン、C/Gディートリック=スミス
- 先発3人はしっかりしているが、控えのレベルがもっとも懸念されているポジション。例年OLは9人枠だが、このまま8人のまま開幕を迎えるのだろうか。もし今後補強があるとしたらここだろう。
- ニック・マクドナルドはキャンプ終盤まで2番手センターを務めながら、不振続きでイヴァン・ディートリック=スミスに逆転を許した。勝ち残ったディートリック=スミスも決して評判がいいわけではない。
- ドラフト外のG/Tレイ・ドミンゲス(アーカンソー大)はチャンスありと見られていたが、惜しくも落選となった。プラクティス・スクワッドの有力候補。右タックルと右ガードをプレーしている。
DL (6) DE/NTラジ、NT/DEピケット、DEニール、NTグリーン、DEウィン、DEウィルソン
- ここはほぼ無風。6人枠は例年どおり。
- 7巡指名のDEローレンス・ガイ(脳震盪)はインジャリーリザーブに入ってシーズンを終えることになった。キャンプ序盤に負った脳震盪の影響が長引いているのはたしかだが、IRに確保して1年間体作りに専念させたい考えではないか。
- 3年目DEジャリアス・ウィンと2年目DE C.J.ウィルソンもそれなりに伸びている。
- DEマイク・ニール(ヒザ)は開幕戦出場が難しいとの見方が増えてきた。DEジャリアス・ウィンが開幕スターターを告げられたとの一部情報も。
OLB (6) マシューズ、ウォルデン、ジョーンズ、ソート、ラティモア、ゾンボ(骨折中)
- 予想されていたより1人多いが、フランク・ゾンボが肩甲骨を骨折したせいでこうせざるをえなかったのか。LBが計10人もいるのはスペシャルチーム的にもプラス。
- サプライズはドラフト外のジャマリ・ラティモア(ミドルテネシー州立大)が入ったこと。まだ230ポンドと軽量で非力なので、1年プラクティス・スクワッドで鍛えるものと予想されていた。
- 同じくドラフト外のヴィック・ソート(ブリガムヤング大)はしばらく前からロースター入りを確実にしていた。先発組をどれだけプッシュできるかが楽しみ。
- ラティモアが入ったと報じられたときにはブラッド・ジョーンズは絶望的と思われたが、なんとか食い込んだ。
ILB (4) ホーク、ビショップ、フランソワ、D.J.スミス
- ここはキャンプ中盤からまったくの無風。ILBバーネットとILBチラーを放出したため控えのレベルが心配されたが、2ndチームの2人の内容がよく、他の連中につけ入るスキを与えなかった。
- ロバート・フランソワ(ボストン・カレッジ)は一昨年12月にパッカーズのプラクティス・スクワッドに加わった。今夏はインサイドに専念できたのがよかったのか、新人D.J.スミスとのコンビで安定感ある働きをしていた。
- 6巡指名のD.J.スミス(アパラチアン州立大)も危なげなく当選。小兵だが見ていて楽しい選手で、スターターの器かもしれない。
CB (6) ウッドソン、トラモン・ウィリアムズ、シールズ、ブッシュ、リー、ハウス
- 2008年2巡指名のパット・リーがしぶとく生き残った。スーパーボウルやプレシーズン最終戦で頑張ったように、意外に土壇場に強いのか。
- 昨季プラクティス・スクワッドのジョシュ・ゴーディは惜しくもパット・リーに敗れた。今年もプラクティス・スクワッドに確保したいところだが、他から声がかかるかも。
- 4巡指名デヴォン・ハウスはハムストリングが治ったら足首を捻挫してしまったが、負傷前に十分ポテンシャルの高さを見せていたので問題なし。
- 解雇されたブランディアン・ロス(ヤングズタウン州立大)はプラクティス・スクワッドの候補。
S (4) コリンズ、バーネット、ペプラー、M.D.ジェニングス
- セーフティ3人プラスCB兼任のブッシュで行くかとも思われたが、例年どおり4人体制に。
- ドラフト外からM.D.ジェニングス(アーカンソー州立)がロースター入りを果たしたのがサプライズ。プレシーズンでも意外に安定感ある働きをしていたのはたしか。あまり予想されていなかったが、「なるほどそういう手もあるか」といった感想も多い。
- 昨季先発経験を積んだチャーリー・ペプラーがいてくれるので、もう1人の控えは荒削りでもさほど心配はないのだろう。
- 落選はS/CBブランドン・アンダーウッド。一昨年ドラフト6巡指名され、昨年春には3番手CB候補と期待されたが完全に伸び悩み、優勝に貢献できなかった。2年連続でオフシーズンに不祥事を起こし(記事1・記事2)、セーフティ(大学で経験あり)にコンバートされた今夏もプレーぶりはパッとせず、とくにプレシーズン最終戦では精彩を欠いた。
ST (3) Kクロスビー、Pマステイ、LSグード
- 今年はまったくの無風だった。パッカーズはパンターで長年苦しんできただけにティム・マステイの成長が頼もしい。
- リターナーはWRランドール・コブの活躍に期待。(ヒザ負傷で開幕戦は微妙)
その他
- 今後補強の可能性がもしあるとすれば、C/G、OLB、DEあたりか。ウェイバー優先順は昨季の成績に基づくので、最下位では欲しい選手を確保できる可能性は高くない。ここ2年間、トンプソンGMは開幕直前の補強をしていない。
- ベテランを補強する場合、開幕戦を終えるのを待つ手もよくある。規定により、NFL経験4年以上の選手が開幕週にロースターにいた場合、途中で解雇しても球団側は1シーズン分のサラリーを全額支払わなければならないからだ。開幕戦さえ終えていれば、在籍期間分を週割りで支払えばいい。
- 今後補強した場合に解雇される有力候補は、FS M.D.ジェニングス、OLBジャマリ・ラティモア、OLBブラッド・ジョーンズ、TEトム・クラブトリーあたりか。
- ドラフト外ルーキーからOLBヴィック・ソート、OLBジャマリ・ラティモア、FS M.D.ジェニングスが喜びのロースター入り。今年はミニキャンプやOTAがなかっただけに、合流わずか1か月強で力を認めさせたのは立派だ。
- ドラフト指名10選手のうち7人が53人ロースターに生き残った(DEガイはIRで残っている)。ドラフト外選手が3人残ったので、けっきょく今年の新人選手は計10人となる。