グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年8月17日

トンプソンGMのチーム作り

テッド・トンプソンGMは徹底した再契約中心のチーム方針で知られ、2005年の就任以来、高額FAを獲ったのは2006年のCBチャールズ・ウッドソンとNTライアン・ピケットだけ。キャップに余裕があればFA獲得でなく中心選手との契約延長に使うため、サラリーに不満を抱く選手が少なく、ロッカールームをハッピーに保っている(大物のホールドアウトは3年前のRBグラントが最後)。契約内容も出場試合数や成績に応じたインセンティブが多めで、自然と身の丈に合った金額になる。

トンプソン/マッカーシー政権がモットーにしているのは「内側からの成長」だ。安価でフレッシュな若手を起用し、1つのシステムの下で育てていく。名前ばかり有名なベテランFAの獲得よりもケミストリーを重視する。手厚い契約で生え抜きのベテランに報いつつ、世代交代のときが来れば躊躇することなく、アンタッチャブルな存在と思われたQBブレット・ファーヴでさえ例外ではなかった。「彼でさえ特別扱いしなかった」という感想は球団全体に浸透しているといっていい。

ドラフトでも目先のニーズより一歩先を考えた指名が目立つ。LTクリフトンやRTタウシャーの衰えに備えてRTブラガとLTシェロッドを1年ずつ早くドラフト指名。DEジェンキンズ流出に備えて昨年DEニールを指名。今年RBアレックス・グリーンを3巡指名したのも、来年のRBグラント流出に備えてのことだろう。ここ数年はTEフィンリー、RGシットン、NTラジ、OLBマシューズとスター選手を次々と生み出しただけでなく、CBトラモン・ウィリアムズを筆頭にドラフト外の成功例も多い。

以前はオフになるたび、トンプソンGMの”消極的な”FA方針にファンは苛立ちをつのらせたが、それももう過去の話。FA補強選手が実質2人だけという驚異的な生え抜き率のチームでロンバルディ・トロフィーを勝ち取り、いまやリーグを代表するGMの1人として尊敬を集めるようになった。今夏サラリーキャップに$13ミリオンも余裕がありながらFAに手を出さないのは、チームにひしめく優秀な若手選手たちと契約延長しなければならないからだ。

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マイク・マッカーシーHC。 「我々は基本方針を貫くよう努力している。選手たちをドラフトし、育て、できれば再契約したいと。今はそのプランが世間にも理解されてきたように思う。最初の数年は、世間はあまり忍耐強くなかったが。今はドラフトした選手が育ち、彼らが2回目の契約を手に入れているところだ。それこそが、我々にとってのフリーエージェンシーだ」

マーク・マーフィ社長。 「そうするにふさわしい中核選手を選んで我々は契約延長してきた。それがきわめて重要だ。多少のリスクは常にあるが、ドラフトほど不確定要素が多いわけではない。すくなくとも力量を確認したベテランばかりだからね。ケガは予想ができないので難しいが」

NT B.J.ラジ。 「カレン(DEジェンキンズ)がいなくなって、僕はすごく腹を立てた。優秀な選手だしスーパーボウル制覇のために残してほしかったからだ。でもジェネラルマネージャーの立場になってみれば、現在だけ考えるわけにはいかない。将来を考えないと。結果的には、すごく良い判断だったと言われるんじゃないかな。僕に言えるのは、テッドは頭のいい人だってことだ。彼は優先度リストを作り、そこから外れることなく仕事を進めていく」

来春FAとなるWRジョーディ・ネルソン。 「見回してみてよ。みんなしっかり(高い給料を)もらっている。でもパッカーズについて1つ言えるのは、決してオーバーペイしないということだ。FA市場であれこれ買い物をしない最大の理由はそれだと思う。僕個人としては、契約のことは今は考えられない。ただフットボールをプレーするだけだ」

RGジョシュ・シットンも契約最終年を迎え、パッカーズにとって契約延長の最優先課題とみられている。 「テッドは自分の選手が好きなんだと思う。だからちゃんと結果を出し、チームに従い、よきチームプレーヤーであれば、契約は後からついてくる。これはビジネスだ。今季が終われば、フリーエージェントという選択肢ができる。でも僕としては当分ここでプレーしたいね(笑)」

カテゴリ : Coach/Front Office, Team/Organization