グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2011年7月13日
ロックアウト入りからはや4か月。6月から本格化した労使交渉もいよいよ大詰めを迎えている。先週も今週も月・火は弁護士だけ、水曜から大物が合流して本交渉となる。7月に入ってから思いのほか時間がかかっているものの、レギュラーシーズンに食い込むことを心配する声は全く聞かれなくなり、今の焦点はプレシーズン最初のホール・オブ・フェーム・ゲーム(8月7日 CHI対STL@カントン)が予定どおり行えるかどうか。(プレシーズン全スケジュール)
プレシーズン初戦の15日前にならなければトレーニングキャンプ入りできない、という規定なので(新協定で変わる可能性もあるが)、ベアーズとラムズは23日にキャンプイン(翌日初練習)となるのが普通。その前にFA期間なども必要なので、「HOFゲーム開催のためのタイムリミットは今月15日ごろ」と言われていたが、現実には15日までの労使合意は難しくなりつつある。
仲裁役(スーザン・ネルソン連邦地裁判事の指名による)アーサー・ボイラン判事は、彼の休暇が明けた19日に会合を召集しているので、それまでに労使合意しておくのが今の目標だろう。1993年と同じく、新労使協定は(ロックアウトの違法を訴えた)ブレイディ訴訟の和解調停(settlement)の形で結ばれるらしい。新協定に合意した後、以下の手続きが迅速に行われる見込み。
- オーナー側は3分の2(24票)以上の賛成で承認。選手側ではトム・ブレイディほか10人の原告が承認。
- ブレイディ訴訟を扱ったスーザン・ネルソン連邦地裁判事が和解を承認。
- 選手は全体の半数以上の賛成で組合を再結成し、新協定を承認。
こうした手続きを21日までに完了するのが目標、という見方が現在は大勢を占めている(もっと早く可能という見方も)。HOFゲームの中止だけならばさほどの痛手ではないとオーナー側が考えている、という憶測があるいっぽう、キャンプインから15日なくてもHOFゲームを強行させるつもりだ、という噂も流れている。
なお、もともとHOFウィークのメインイベントはゲーム前日の殿堂入り式典であるといってよく、こちらはロックアウトに関係なく開催されることが決定している。
◆ 交渉の争点
判事による箝口令がかなり守られているので、詳しい交渉内容はなかなか漏れてこないが、これは交渉進展のためには大変よいこと。おおよそ明らかになっている争点は以下の3つで、それ以外は枝葉末節といってよさそう。とはいっても労使協定は2006年版で300ページ近くあるシロモノなので、弁護士たちが文言を整えるだけでも大変な作業だ。
- リーグ総収入(一般席チケット・放映権料・ライセンス収入などレベニュー・シェアリング分)におけるオーナー側と選手側の配分。 選手の取り分、つまりサラリーキャップが48%、といったあたりで話し合いが進んでいて、この点は意外なほどモメていない。昨年のリーグ総収入は$9.3ビリオン(約7340億円)だった。
- サラリー総額の下限(フロア)をこれまでより大幅に高くし、数字をキャップ算定額でなく実際の支払金額とする、という改定もほぼ確実となっている。サラリーキャップを欲張るよりもフロアを高くすることで、選手の実際の取り分を大きくできる、と選手側は満足しているのかもしれない。昨年はキャップがなかったためフロアもなく、支払総額を$50ミリオン台に抑えてしまう球団まであらわれた。
- 2006年に改訂された旧サラリーキャップ制度では、総収入から$1ビリオンを差し引いた額(スタジアム建設や改修などに必要、とオーナー側は主張)の60%弱がサラリーキャップとなっていた。春ごろはこの控除分を$2ビリオンに倍増させることをオーナー側が望み、それが交渉決裂・ロックアウト突入につながった。
- その控除分をなくすことに同意したことが6月以降の交渉進展のカギだったが、オーナー側は「$500ミリオン前後の控除が欲しい」とまだ望んではいる。(固執はしないかもしれない)
- ドラフト上位指名ルーキーのサラリー抑制策。 こちらの話し合いが意外に手間取っている。1巡上位指名選手の契約年数を5年とする(2位以下は4年)ところまではよいが、5年目のサラリーをどのように算定するかで隔たりがある。
- 引退選手への年金や健康保険など保障の拡充。 引退選手たちは、労使双方が自分たちへの手当てを犠牲にして妥協しようとしている、と訴えを起こしている。法的な根拠は乏しいらしい。ただし、安い給料で現在のNFL興隆に貢献し、健康問題を抱えて高額な医療費に苦しむ過去の選手たちに対し、NFLとしては道義的な義務がある。
◆ 新協定締結後のスケジュール
仮に21日に新労使協定が承認・発効した場合の、その後のスケジュール案をESPNが入手している。かならずこうなるとまだ決まったわけではないが、目安にはなりそうだ。
- 7月21日 : 新ルールを全球団に通知(周知期間のスタート)。球団施設を使った自主練習の許可。
- 7月25日 : ドラフト外ルーキーとの契約開始。FA予定選手は旧所属チームとのみ契約交渉できる(例年の2月末のような)。
- 7月28日 : 新リーグ年度スタート。FAおよびトレード解禁。(各球団は新リーグ年度に入るまでに新サラリーキャップ枠に収めなければならない)
- 8月02日 : ロースター枠を90人に。(例年より10人多い。理由ははっきりしない)
- 8月03日 : 制限付きFA選手(RFA)が他球団からのオファーシートにサインできる期限。
- 8月07日 : 旧所属球団がRFA選手へのオファーシートにマッチできる期限。
前述のとおり、「各球団のトレーニングキャンプ開始はプレシーズン初戦から15日前」という規定なので、パッカーズの場合は29日キャンプイン、翌日初練習となるはずだ。
カテゴリ : NFL