グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年4月 4日

シーズン総括と展望 ILB編

開幕時と終了時ではすべてが変わってしまったポジション。ニック・バーネットが第4週に手首を負傷すると万年バックアップのデズモンド・ビショップが先発昇格し、彼らしい迫力あるプレーぶりで見事に穴を埋めた。1月には契約延長を手に入れ、来季のスターターを事実上確約されている。

A.J.ホークは開幕戦でまったく出番をもらえず、これがパッカーズ最後のシーズンかと思われた。しかしバーネットの戦線離脱でフルタイムに返り咲くと、非常に安定感あるプレーぶりでシグナルコーラー役として優勝に大きく貢献した。LB陣が許したTDパスが'09年の8.5回からわずか2.5回へと激減したのも、ホークとビショップの頑張りのおかげだろう。ホークも先月5年契約にサインし、来季のスターターの座を固めた。

そういった成り行きで、長年スターターを務めてきたニック・バーネットがあっという間にスターターから転落してしまった。今年は$5.5ミリオンの高額サラリーなので、放出は避けられないと見られている。ブランドン・チラーも控えとしては$2ミリオンは割高で、補強次第では解雇もありうる。

過去2年間は不動のカルテットだったILB陣だが、バーネット放出を考えると、今年はドラフト下位で指名があるのではないか。

A.J.ホーク A.J. Hawk | Inside Linebacker | Ohio State
6-1 (185cm) | 247lbs (112kg) | 6年目 27歳 | 2006年ドラフト1巡5位

元1巡5位指名選手も'09年はパスシチュエーションでサイドラインに退くことが多く、'10年開幕PHI戦でもまったく出番をもらえなかった。「これでは今季かぎりで退団確実」と見られていたが、バーネットの戦線離脱で状況が一変。フルタイムで活躍してチーム最多タックルを記録しただけでなく、シグナルコーラー役としても的確なコミュニケーションで失点NFL2位のディフェンスに貢献した。

常にアサインメントが確かだがプレーに激しさや思い切りに欠ける、という傾向は相変わらず残っている。しかし同じく課題だったパスカバレッジは非常に安定し、彼の責任によるTDパスは'08年第5週以来1回もない。インターセプト3回もNFLの全LB中最多タイ。ブリッツァーとしてはあまり効果的ではない。先月初めに総額$33.75ミリオンの5年契約にサインし、ビショップとともに来季のスターターの座を固めている。

デズモンド・ビショップ Desmond Bishop | Inside Linebacker |  California
6-2 (188cm) | 238lbs (108kg) | 5年目 26歳 | 2007年ドラフト6巡

いつまでも控えから抜け出せず不満を漏らすこともあったが、バーネットの戦線離脱でチャンスをつかみ、一気に飛躍した。守備範囲の広さではバーネットにやや劣るものの、ブロッカーを押し返す馬力と激しさがあり、ホークよりも嗅覚に優れる。以前は目立っていたアサインメントミスもすっかり影をひそめた。パスカバレッジでも意外に効果的な働きを見せ、ハードヒットでキャッチ失敗に追い込むプレーもしばしば。

1月には総額$18ミリオンの4年契約を手に入れた。今年が$1.19ミリオン、来年が$2.83ミリオンならかなりのお買い得ではないか。

ニック・バーネット Nick Barnett | Inside Linebacker |  Oregon State
6-2 (188cm) | 236lbs (107kg) | 9年目 29歳 | 2003年ドラフト1巡29位

ルーキーシーズンからディフェンスの中核として活躍してきたが、第4週DET戦で右手首の腱を損傷する大ケガ。シーズン続行も検討したが、大事な利き腕に将来ダメージが残る恐れがあるため手術を選んだ。その間にビショップが急成長し、気がつけば彼の居場所はなくなっていた。ブロッカーの波にさらされる3-4のILBには、サイズと馬力のある上記2人の方が向いていた、ということもあるかもしれない。来月30歳という年齢も彼にとって不利なところ。

すんなりトレード先が見つかればよいが、今年$5.5ミリオン(契約は'12年まで)の高額サラリーのうえ、いったん放出確実ということが明らかになると、買い手は解雇されてくるのを待つことができる。本人の実力に見合ったトレード条件などとても望めず、おそらく(ドラフト4巡以下といった)安い条件で手放さざるをえないだろう。タダで解雇してしまうよりはマシだ。

ブランドン・チラー Brandon Chillar | Inside Linebacker | UCLA
6-3 (191cm) | 237lbs (108kg) | 8年目 28歳 | 2008年FA(2004年STL4巡)

パスシチュエーションでの起用が多く、開幕戦ではホークを退けてフル出場した。第3週に肩の回旋腱板を損傷すると、手術を受けず回復を待つことを選んだが、第12週で悪化させてしまい、けっきょくインジャリーリザーブ入りして手術となった。パスカバレッジ能力をコーチ陣は高く評価しているものの、昨年はTEに置いていかれる場面も目立った。昨夏のトレーニングキャンプ前半は先発アウトサイドLB候補として練習したが、けっきょくインサイドに戻っている。

今後もパスシチュエーションで活用するならば存在価値があるが、純粋な控えとしては$2ミリオンのサラリーは割高で、ドラフト補強しだいでは放出の可能性もある。

マット・ウィルヘルム Matt Wilhelm | Inside Linebacker | Ohio State
6-4 (193cm) | 247lbs (112kg) | 8年目 28歳 | 2010年FA(2003年SD4巡)

'03年4巡指名でチャージャーズに入団、スペシャルチーマーとして4年間過ごしたあと、'07年から'08年にかけて21試合に先発。'09年7月に解雇されるとイーグルスを経て49ersに移り、主に控えで11試合出場した。昨年開幕前に解雇され、10月末にパッカーズへ。スペシャルチーマーとしてスーパーボウルまで11試合に出場している。3-4経験豊富な選手だが、ディフェンスでの出番はない。もう伸びシロのない30歳なので、残留は難しそうだ。

 

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