グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2011年4月 3日

シーズン総括と展望 OLB編

若きクレイ・マシューズが13.5サックを含むオールラウンドな活躍で、プロ2年目ながらディフェンスMVPにあと一歩まで迫る大活躍。アーロン・キャンプマン(FAでJAXへ)移籍で空いた左サイドへ彼を移したのも大成功だった。

いっぽう右OLBは補強が進まなかったうえにケガが多く、雑草軍団でやりくりする苦しいシーズン。2年目のブラッド・ジョーンズは先発右OLBの座を守ったものの、キャンプから肩の問題に悩まされ、期待ほどの成長を見せることができなかった。6試合出場してサックゼロに終わり、肩の手術を受けるため10月末にインジャリーリザーブ入り。ベテランのポピンガもヒザのケガで同時期に戦線離脱してしまった。

代役スターターとなったのはドラフト外ルーキーのフランク・ゾンボ。元DEだけにラン守備が力強く、パスラッシュでも4サックを挙げる堅実な働きを見せた。ヒザの捻挫でNFC決勝まで6試合欠場したものの、スーパーボウルではチーム唯一のサックも決めている。ゾンボ不在の6試合で代役を務めたのが途中加入のエリック・ウォルデンで、最終週CHI戦では3サックの大活躍でプレーオフ進出に貢献した。

マシューズの逆サイドのパスラッシュ向上は一昨年から続く重要なテーマ。優れたパスラッシャーがもう1人加われば、相手はマシューズをダブルチームしづらくなり、相乗効果が生まれるからだ。各種モックドラフトでも、1巡指名予想がもっとも多いポジションとなっている。DEジェンキンズのFA移籍(見込み)でDE陣のパスラッシュがややダウンすることを考えれば、右OLBのレベルアップはなおさら重要だろう。

クレイ・マシューズ Clay Matthews | Outside Linebacker | Southern California
6-3 (191cm) | 255lbs (116kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト1巡26位

プロ1年目から10サックを挙げて新人王を争い、2年目は13.5サック(プレーオフを含め17サック)を挙げてオールプロの1stチームに選出(パッカーズ唯一)。早くもリーグを代表するディフェンス選手の1人となった。パスラッシュだけでなく、ラン守備もバスカバレッジも優れているのが素晴らしいところ。スーパーボウルでは自分の側へのパワーランに苦しめられたが、勝負どころで値千金のファンブルフォースを成功させている。

キャンプからシーズン前半にかけてはハムストリングの問題に悩まされ、シーズン後半はスネの(重度の)打撲でろくに練習できない週が続いた。ずっと元気ならば楽にディフェンスMVPを獲得できていたはずだ。今年の課題はケガを減らすことで、2年連続で苦しめられたハムストリング問題の解消が重要なテーマになるはず。精神的にも非常にしっかりしたハードワーカーで、慢心してしまう心配がないのもいい。

フランク・ゾンボ Frank Zombo | Outside Linebacker |  Central Michigan
6-3 (191cm) | 254lbs (115kg) | 2年目 24歳 | 2010年ドラフト外

(DEジェンキンズと同じ)セントラル・ミシガン大では4-3のDEで、3-4のOLBはプロ入り後に初めて挑戦した。ドラフト外入団ながらシリル・オビオザー(現ARI)に競り勝って開幕ロースター入りを果たし、下記ジョーンズの戦線離脱でスターターに昇格。スーパーボウルを含めて5サック、6ロスタックル、2ファンブルフォースを挙げ、堅実なプレーで優勝に貢献した。ラン守備ではポイントオブアタックでよく持ちこたえ、パスラッシュでもレパートリーを次第に増やしてきた。LB経験が浅いせいかスペースでの動きは今ひとつ。

現時点で先発右OLBを選ぶとしたら彼かウォルデンだろう。今年はルーキーを加えた先発争いとなるはずだが、まだ伸びシロがありりそうなので2年目の成長が楽しみ。

エリック・ウォルデン Erik Walden | Outside Linebacker | Middle Tennessee State
6-2 (188cm) | 250lbs (113kg) | 4年目 25歳 | 2010年FA(2006年DAL6巡)

ミドルテネシー州立大から'08年ドラフト6巡でカウボーイズに指名され、その後チーフスを経てドルフィンズでプレーしていたが、'10年第3週にスペシャルチームで大きなミス(パントブロックの原因を作った)を犯して即解雇。1か月ほどフリーでいたところを、ケガ人続出のパッカーズに拾われた。MIA最後のゲームもGB最初のゲームもNYJ戦だった。

ゾンボが負傷したためNFC決勝まで5試合にわたって代役スターターとなり、最終週CHI戦では3サックを挙げて週間MVPに。ワイルドカードプレーオフでは主に「スパイ」役を担い、QBヴィックのランを8回32ydsに抑えた。トンプソンGMにとって、NTハワード・グリーンとならぶ途中補強のヒットだろう。右OLB候補の中ではおそらくもっともパスラッシュに優れ、パスカバレッジでもミスが少ないが、ラン守備では脆さを抱えている。

ブラッド・ジョーンズ Brad Jones | Outside Linebacker | Colorado
6-3 (191cm) | 242lbs (110kg) | 3年目 24歳 | 2009年ドラフト7巡

1年目は7巡ルーキーながら7試合に先発したが、2年目の昨夏は肩のケガもあって伸び悩んだ。なんとか開幕スターターを確保したものの、けっきょく肩の手術のため10月末にインジャリーリザーブ入り。ラン守備ではポイントオブアタックで頼りになるが、パスラッシュがあまりにも弱い。逆サイドのマシューズが相手の注意を引き付けてくれるのに、彼は6試合でサックもファンブルフォースもリカバリーもインターセプトもなかった。

昨年は10ポンドほどバルクアップしたが、その効果があまり見られなかった。同じような伸び悩みが続けば、今年はスターター争いどころかロースター入りも危なくなる。

ブレイディ・ポピンガ Brady Poppinga | Outside Linebacker |  Brigham Young
6-3 (191cm) | 250lbs (113kg) | 6年目 31歳 | 2005年ドラフト4巡

かつては先発ストロングサイドLBを3年間務めたが、3-4導入とともにスターターの座を失い、毎年存在感が薄くなってきている。昨年はヒザのケガで10月末にインジャリーリザーブに入ってシーズンを終えた。31歳の今年はサラリーも$2ミリオンを超えるので、いよいよ解雇されるのではないか。スペシャルチームではよく頑張るが、いなくて困るほどの働きではない。

ロバート・フランソワ Robert Francois | Outside/Inside Linebacker |  Boston College
6-2 (188cm) | 255lbs (116kg) | 2年目 25歳 | 2009年FA

2年目の昨夏も開幕ロースターに残れず解雇され、プラクティス・スクワッドへ。ILBバーネットの戦線離脱に伴って10月半ばにロースターに昇格した。11月上旬にプラクティス・スクワッドに戻るが、1週後に再昇格。ゾンボとウォルデン不在のNYG戦で代役スターターとなってQBヒット3回、ウォルデンの途中退場したNFC決勝CHI戦では、後半まるまる代役出場して3タックルを決めている。インサイドとアウトサイドの両方がこなせる器用な選手で、パスラッシュよりもラン守備に優れる。

ダイレル・ブリッグス Diyral Briggs | Outside Linebacker |  Bowling Green
6-3 (191cm) | 248lbs (112kg) | 3年目 25歳 | 2010年ウェイバー

'09年ドラフト外で49ersに入団し、昨年はブロンコスでロースター入りを果たしたが10月下旬に解雇。ケガ人続出のパッカーズがウェイバーで獲得した。レギュラーシーズン4試合とプレーオフ全試合に出場し、スペシャルチームでチーム6位の12タックルを挙げている。

 

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