グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2010年9月 9日
今年のトレーニングキャンプとプレシーズンでの良かった点、悪かった点をまとめてみる。悪かった選手の多くはチームを去っているわけで、総花的な評価になるのはお許しを。
- Excellent : オフェンスにケガ人が少ないこと。先発両タックルは今年も1日1回練習に制限しているが、オフェンス全体に予定外の休養が非常に少なかった。ディフェンスやスペシャルチームに不安を抱えるだけに、開幕からフル回転で得点を重ねてほしいところだ。
- Excellent : QBアーロン・ロジャースはいまやMVPの有力候補。判断の速さ、パスの正確さ、リーダーシップとも申し分ない。一発を狙ってボールを持ちすぎる悪癖も大幅に改善されてきた。
- Excellent : 昨年躍進したTEジャーマイケル・フィンリーがさらに成長。難しいボールもやすやすとキャッチし、ルート・ランニングも洗練されてきている。ブロッキングにもまじめに取り組み、決して悪くない。戦術眼が肥えた今年は彼をモーションさせることが増え、QBロジャースのメインターゲットとして、WRジェニングスと最多キャッチを争うことになりそう。
- Very Good : CBチャールズ・ウッドソン、WRドナルド・ドライバーの両ベテランは体調万全で衰えも見られない。WRジェニングス、RBグラント、ILBバーネット、FSコリンズといった主力組も順調。
- Very Good : 新人DEマイク・ニール。ドラフト時は疑問視された2巡指名だったが、今はその正反対。新人離れした力強いプレーぶりは3-4のDEにぴったり。ニッケル隊形(2DL)では、彼とDEジェンキンズとNTラジの3人でローテーションするのではないか。今オフはOLBのパスラッシュ向上が今ひとつだったかわり、インサイドからのパスラッシュは戦力アップできた。ひょっとしたらDEジェンキンズの契約延長にも影響を与えるかもしれない。
- Very Good : CBサム・シールズ。ドラフト外入団、しかも大学では1年しかCB経験がないのに、プロ1年目で3番手CB/ニッケルバックの座をつかんでしまった。40yds走4.3秒を切る身体能力に加え、ボールへのプレーもなかなかセンスがいい。粗削りなのはたしかで、アサインメントミスや判断ミスをどれだけ減らせるかが勝負。キャッチングが下手でリターナー失格となったが、カバレッジチームでは大きな戦力になる。
- Very Good : オフェンシブラインのデプス。C/GスピッツとT/Gブラガは先発組と遜色ない。T/Gラング(後述)の2年目は期待外れだが、復調しつつある。両OTが高齢化しているだけに、この3人が控えにいてくれるのは心強い。T/GニューハウスとC/Gマクドナルドの両ルーキーはいわば育成枠。
- Good : 先発オフェンシブライン。これだけ同一メンバーでキャンプを過ごせたのは2004年以来。昨年のプレシーズンゲームも同じく被サックゼロだったので過大評価は禁物だが、今年はOL各選手の間の粘着力が増すはず。ただしベテラン両タックルを据え置いた分、ランブロッキングはあまり期待できない。
- Good : LGダリン・カレッジ。降格のプレッシャーがかかるとやはり強い。スターター確保はブラガの負傷もあるが、彼のプレー内容が充実していたのも事実。
- Good : T/Gブライアン・ブラガ。股関節屈筋の負傷までは、LGカレッジの先発の座を奪う勢いだった。非常に基本に忠実なプレーをし、実戦での応用問題にもしっかり対応できる。ガードでならすぐ一流になれることを示したが、先発LTとして一流スピードラッシャーを抑えられるかどうかはまだ答えが出ていない。
- Good : 控えクォーターバック。3年目のマット・フリンは一人前の控えQBに成長し、QBロジャースが数週間休んでもいくつか星を拾えそうなレベルに。Pro Football Weekly誌の控えQBランキングでは14位。プラクティス・スクワッドのQBグレアム・ハレルもキャンプ中に大きく進歩し、プレシーズン後半のプレー内容はよかった。
- Good : RBブランドン・ジャクソン。まさに練習の虫で、ブリッツのピックアップ、スクリーンパスでのディスガイズなど、3rdダウンバックとしてのプレーに磨きをかけている。縦へのランプレーもタフに頑張っていて好感が持てる。
- Good : WRジェームズ・ジョーンズとWRジョーディ・ネルソンの3・4番手コンビは順調に伸びている。ジョーンズが3番手を確保した模様だが、実戦での起用法は大差ないかもしれない。TEフィンリーの存在があるだけに、彼らがレシービング成績を伸ばすのは容易でないが。
- Good : 控えTE陣。TEドナルド・リーはTEフィンリーと比べて目立たないが、ミスが減った。3番手TEクラブトリーは相手DEを押し込むブロッキングがあり、4番手TEクウォレスはフィンリー型のアスレチックなタイプで将来性十分。
- Good : NT B.J.ラジ。DEライアン・ピケットに代わって先発昇格し、持ち前の破壊力を見せている。まだプレー内容に波があり、下を向いて揉み合っているうちにボールキャリアーがそばを通り過ぎるなど、ボールへの反応が遅れることが少なくない。
- Good : OLBフランク・ゾンボ。OLB陣の層が薄かったせいもあるが、ドラフト外入団での開幕ロースター入りは立派。大学ではDEだったので、3-4のOLBとしては経験が浅い。
- Good : 熾烈なパンター争いに勝利したPティム・マステイ。時おりミスはあるが、昨年のPジェレミー・カピノスと比べれば、飛距離・安定性とも上。
- Good : Kメイソン・クロスビーも順調。ホルダー問題もあってキャンプ序盤にミスが多かったが、その後は調子を上げた。プレシーズンでは6本すべて成功。
- Not Bad : SSモーガン・バーネット。新人スターターにこの評価は厳しすぎるかもしれないが、期待ほどのキャンプ内容でなかったのは否めない。パスカバレッジでの守備範囲の広さ、ボールへのセンスは非常によいが、ランサポートでのアングル、タックリング、思い切りのよさ、といった点で今ひとつ。ディフェンス最後の砦だけにミスを恐れるのは無理もないところで、習熟してくるにつれ思い切りのよい動きが出てくるはず。プレシーズンのコルツ戦での活躍が本物だと信じたい。
- Not Bad : CBトラモン・ウィリアムズ。決して悪くはないが、さほど伸びているわけでもない。契約最終年の今年は正念場。
- Not Bad : ILBブランドン・チラー。キャンプ序盤にOLBマシューズが負傷するとアウトサイドに移った。プレー内容は可もなし不可もなしといったところで、OLBジョーンズから先発の座を奪うには至らず、キャンプ中盤で本来のインサイドに戻った。ただの実験だったのかもしれず、OLBの控えを兼ねられることがわかった点はプラス。レギュラーシーズンでの起用法は昨季と同じく、ニッケル隊形でILBホークに代わって入るパターンだろう。
- Not Bad : DEジャスティン・ハレル。腰の張りで一度休んだほかは、なんとかキャンプ終了まで持ちこたえ、今年は実力で開幕ロースター入りを果たした。プレー内容は「控えでなら合格レベル」というもので、1巡指名選手としてバストなのは変わらない。この程度の選手なのだろう。
- Bad : ディフェンスのケガ人。先発両OLBやDEジェンキンズのケガで、プレシーズンで一度もベストメンバーを組めなかった(今は3人とも完全復帰)。シーズン半ばにCBハリスやSSビグビーが復帰してくれれば、DB陣の層の薄さは解消されると信じたい。
- Bad : アウトサイドLB陣。OLBクレイ・マシューズ(ハムストリング)は約1か月、OLBブラッド・ジョーンズ(肩)もキャンプ後半を休んだ。伸び盛りのプロ2年目コンビ、しかも左右サイドの入れ替えを断行した直後だけに、練習量をこなせなかったのは痛い。しかも選手層が薄いため、彼らが負傷したらパスラッシュ力がかなり落ちる。
- Bad : リターナー。エースと期待していたSウィル・ブラックモンのヒザが今ひとつでけっきょく解雇。そもそもACL手術明けの彼に頼るのが間違いだったのではないか。パントリターナーは先発CBウィリアムズ、キックオフリターナーはWRネルソンやRBジャクソンが担うことになった。
- Bad : キッキングのカバレッジチーム。プレシーズンでは毎試合ビッグリターンを許した。メンバーが一定しないプレシーズンでは実力を測りようがないとはいえ、不安は大きい。PRデショーン・ジャクソンとKRエリス・ホッブズを擁するイーグルス戦はいきなりの試金石。
- Bad : CBパット・リー。CBアンダーウッドと3番手/ニッケルバックの座を争うはずが、ドラフト外ルーキーに抜かれて5番手に。上体ががっちりしていてフィジカルなプレーをするが、アスレチック能力が物足りず、プレーぶりがはっきり言って遅い。2巡指名選手がプロ3年目でこれではバストと言われても仕方がない。
- Bad : T/G T.J.ラング。右タックルでタウシャーの先発の座をプッシュするはずが、オフシーズンの手首の手術のため明らかなトレーニング不足。ようやくキャンプ終盤に調子を上げて2番手RTの座を確保した。まだ伸びシロは十分ある。
- Bad : FBクイン・ジョンソン。パワフルなランブロッキングの一芸だけで何とか開幕ロースターに残った。つまり昨年と同じだ。レシービングミスが目立ち(多少は減った)、スペシャルチームでの働きも先輩FB2人に遠く及ばない。今のような雑なプレーばかりでは、パス主体のオフェンスのスタイルに合わない選手になってしまう。
- Bad : CBアル・ハリス、SSアタリ・ビグビー、RBジェームズ・スタークスはPUPリストから出ることができないまま開幕となった。CBハリスはACL手術明けなので半ば覚悟していたが、SSビグビー(足首)はミニキャンプをホールドアウトした後だけに情けない。新人RBスタークスは復帰後に3番手RBになれるかどうか。