グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2010年7月21日

感染症を防ぐ

ふつう選手が心配するケガといえば、ヒザや足首やハムストリングそれに脳震盪。感染症を心配せずに済んでいるのは、エクイップメントマネージャー(用具担当)のレッド・バティがいてくれるおかげだ。彼はヘルメットやパッドなど用具のフィッティングを担当するだけでなく、選手の知らないところで、用具の洗浄や殺菌消毒にも気を配っている。4年前にSani Sport社の大型マシンをNFLで初めて導入したのも彼だった。

このマシンは、危険で感染力の強いブドウ球菌、大腸菌、インフルエンザウィルスなどを殺す効果があるという。これをいちはやく導入できたのは、自分がホッケー狂であったおかげだとレッド・バティは言う。NHLモントリオール・カナディアンズの本拠地から数分のところで育った彼は今でもNHLを熱心に観戦し、そこでジョー・ソーントンという選手が感染症のために手術が必要になった、という話を聞いたのだ。「そうなると当分は動けなくなるからね。他にも症例はたくさんある」

細菌の恐ろしさを再認識したバティはSani Sport社のことを聞いて開発者と面会した。開発者であり社主であるスティーヴ・シルヴァーもまたモントリオール出身で、スケート研磨のマシンも作っている。「レッド・バティはNFLで最初に我々のテクノロジーを採用したエクイップメント・マネージャーだった。彼はあの世界で非常に高い尊敬を集め、同業者たちから敬愛されている」

バティが球団に戻って報告すると、すぐに小切手が用意された。「私はスティーヴをNFLエクイップメント・マネージャー会議に招き、その後の採用例はうなぎ上りになった」とバティは振り返る。現在ではNHL27球団に加えてNFL13球団が同社のマシンを採用している。

アスリートの感染症など一般ファンにはあまり馴染みがないが、NFLではこれまであちこちで問題が起きている。QBトム・ブレイティは2008年、前十字靭帯再建手術の後に感染症を起こして何度も手術を受けなければならなかった。同じく2008年にはブラウンズでTEケレン・ウィンズロウを含む7、8人が感染症にかかって話題となった。中でもWRジョー・ジュレヴィシャスは、ブラウンズとその医療施設が予防措置を怠った(そのせいで7回の手術のすえに解雇)として訴えを起こし、現在も係争中だ。

どの感染症と闘うのも大変だが、最近とくに懸念されているのはMRSA、つまり通常の抗生物質への耐性がある病原菌だ。「MRSAは日常生活のどこでも感染しうる。フットボールはその特性からすり傷や切り傷がつきもので、それだけ細菌が体内に入りやすい」とシルヴァーは語っている。

バティはSani Sport社の殺菌マシンを1年中回し続けている。1回のサイクルでヘルメットなら10個、ショルダーパッドなら5、6個。シューズなら20足。まるで巨大なオーブンのようだが、このマシンはオゾンを使って細菌をやっつけ、その後で保護コーティングを施す仕掛けになっている。

「トレーニングキャンプでは、今日はこのポジションの選手たち、と決めて殺菌作業を行っている。我々はヘルメットとパッドをターゲットにしている。このマシンのほかにも、洗濯機の水温を155度(68℃)に保つことも大事だ。120度(49℃)や130度(54℃)では殺菌に十分ではない。水温が高ければそれだけ洗剤が活発に働き、細菌を殺す役目を果たしてくれる、というわけだ」

カテゴリ : Coach/Front Office, Team/Organization