グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2010年7月12日

申し込み40年目のシーズンチケット

1960年代後半から70年代前半、パッカーズ戦のある日曜になると、スタジアムから通り1本を隔てたティナの一家はドライブウェイを仮設駐車場としていた。小さかったティナは、3人の姉と交替で1台25セントずつ徴収する役目を受け持った。ロードゲームは父と一緒にポップコーンのボウルを抱え、テレビで熱心にパッカーズを応援した。

「子供が4人全員女の子であろうと、父にとっては関係なし。父にとってはパッカーズがすべてでした。私は父とフットボールを観て育ち、ニッケルやダイムディフェンスのことや、バート・スターのことを話して過ごしたものです」

しかし、子供のころティナはランボーフィールドで観戦したことがなかった。親族で持っていたシーズンチケットは、大人だけのものと決まっていたからだ。そのころ、父ローウェルが娘たちのためにウェイティングリスト登録しておいてくれたシーズンチケットが、今年ついにティナのものになった。申し込みからちょうど40年、父が亡くなって16年が経っていた。

パッカーズはNFLダントツ最長、83881人のウェイティングリストを誇り、今年新たにシーズンチケットを手にしたのはティナを含めてわずか126人。更新率は驚異の99.6%だ。不況に入った昨年でさえ更新率99.4%を保ち、新たにシーズンチケットホルダーとなったのは192人だけだった(不況前は毎年50人から70人)。いまや多くの球団がチケット完売に苦しみ、公式サイトのトップページで大々的に購入を呼びかけたり、TVブラックアウトを避けるためチケット費用を球団が自費負担する裏技を使うことさえある。しかしパッカーズは半世紀にわたってそうした苦労をしたことがない。

2003年のランボーフィールド大改築によって12000席が増設され、新たに数千人(ティナの姉たちを含む)がウェイティングリストから繰り上がったものの、その後はふたたび牛歩ペースに逆戻り。リストに登録している人々の多くは存命中にシーズンチケットを手にできず、子供や孫が権利を受け継ぐのが普通なのだ。

パッカーズは毎年8月から9月にかけてウェイティングリスト全員にハガキを送り、引っ越し等で所在不明の人には1年間の猶予期間が与えられ、翌年になっても連絡がなければウェイティングリストから外されることになる。「キャンセルする人よりもそうしたパターンの方がずっと多いのです」と語るのはチケット部長のマーク・ワグナー。チケットを手にできるのはいつ?という質問を頻繁に受けると彼は言う。「答えるのは不可能なんですよ。以前は35年から40年ぐらいでしたが、(90年代以降にリストがふくらみ)将来はどうなるか我々にもわからない」

ティナの一家はずいぶん前にグリーンベイを離れ、4人姉妹はそれぞれ結婚、母アンもフロリダに住んでいる(それでもシーズンチケットは手放さない)。ティナがゲーム観戦の際、かつて住んでいたShadow Laneを覗いてみると、多くの家がゲーム・ウィークエンドだけ貸し出されるなど、通りは様変わりしてしまったが、懐かしい思い出はたくさんよみがえってくる。そして今年は初めて、自分のシーズンチケットでランボーフィールドを訪れることができるのだ。「残る難問は、誰を一緒に連れて行くか。希望者があまりにも多くてね(笑)」

カテゴリ : History, Lambeau Field, Team/Organization