グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2010年6月20日

マーフィ社長が諸問題を語る

パッカーズのマーク・マーフィ社長兼CEOがNFL Networkのインタビューを受け、労使交渉の現状などについて語った。マーフィはかつて選手側で交渉を行った経験があり、それもあって今回の労使交渉で重要な役割を担っているため、彼の発言内容が注目されている。今回はシーズン18試合制の問題に加え、IR制の変更や育成リーグの設立やオフシーズンの負担軽減など、興味深い発言がいくつもあった。

Q. レギュラーシーズンの大きな変化(試合増)は2012年?

「そう、早くても2012年だね。我々オーナーは1年以上にわたってこのことを話し合ってきた。レギュラーシーズン、ポストシーズン、コンバイン、ドラフトといった(充実した)流れを見渡したとき、際立っているのはプレシーズン(のつまらなさ)だ。ファンはプレシーズンゲームを好まない。プレシーズンにはあまり価値がなく、『選手にとってもチームにとっても、準備に4試合は不要ではないか』 と我々の多くが考えている。それに対して何が変えられるかを検討している」

「 『プレシーズン3試合・レギュラーシーズン17試合制』 も検討してきたが、いま勢いを得ているのは 『プレシーズン2試合・レギュラーシーズン18試合制』 の方だ。率直に言って、選手側と合意する道もあると私は考えている。試合を増やすことによって収入を増やすことを選手側と検討している」

Q. 試合を増やすと聞けば、コーチたちは選手数の増加を望むのでは? どういった方策を?

「今オフを通じて選手会と話し合い、プラクティス・スクワッドやアクティブ・ロースターの人数を増やすことなど、彼らの意見を聞いてきた。我々はまた、インジャリー・リザーブ(以下IR)のルールも見直すことになるだろう。以前は、いったんIRに入っても一定の期間が経てば復帰できた。たしか6週間だったと思うが。そうしたルールを復活させれば、チーム側も多少のフレキシビリティが得られるかもしれない。(試合数が増えれば)必要性はより高くなるからね。ゲームをより安全にするために何ができるかも、選手側と話し合っていきたい」

Q. 選手の安全といえば、パッカーズは過去3年でIR入り31人、昨季はCBハリスとOLBキャンプマンを第11週に失いました。2試合増えるのは多すぎるとファンも選手も考えています。(脳震盪の防止など)選手の安全を強化するコミッショナーの取り組みとも矛盾するのでは?

「この分野では選手側と利害が一致している。我々はフットボールができるだけ安全になるようあらゆる努力を惜しまない。ケガはフットボールにつきもの、というのが現実ではあるが、我々はそれを最小限にしたい。CBハリスとOLBキャンプマンの話が出たが、あの2つはノン・コンタクトでの負傷だ。相手にヒットされたわけではないのにヒザを壊した。シーズン中の消耗だけでなく、オフシーズンから彼らにかかる負担が大きすぎたせいではないか、という疑問も生じる。シーズンを通して選手たちを健康に保つために我々は何ができるか、考えている」

「いっぽう、(プレシーズンが減るので)コーチたちは 『若い選手を育てる必要もある。よいNFL選手に育てる環境を若手に与えたい』 と思うだろう。そこで我々はこのところ、育成リーグ設立の可能性を話し合っている。かつてのNFLヨーロッパは、若手育成という意味で大きな利点があった。とくに心配が大きいのは若いクォーターバックの育成だ。彼らは実戦経験を必要としているし、とくにクォーターバックとオフェンシブラインマンに経験を積ませることが焦点になるだろう。育成リーグを作ることができれば、若い選手の育成とともにコーチやオフィシャルを育てることもできる。春だけでなく秋にもゲームをすることは、リーグ全体にとって有益だろう」

Q. オフシーズンの負担、というのはOTAを減らすこと? それとも、実質的に強制参加に近くなっている"自主参加"練習の問題を解決すること?

「その両方を検討しなくてはならないと思う。我々はオフシーズンに選手に多くを求めている。私としては、身体面の消耗だけでなく、選手たちが各自でしているトレーニングのことも心配だ。彼らのトレーニングについて、チーム側はしっかり目を光らせていなければならない」

「長期的視野に立って、選手たちが学位を取ったり(マーフィは現役時代にロースクールを出た)、フットボール後の人生のため、別の仕事の経験を積むのに十分な時間を与えてやりたいと私は思っている。選手全員がフットボール後の人生を考え始めることは、引退後の変化に備えるうえで非常に有益だと思う」

Q. 私が話を聞いた選手たちは、同じ年俸を16週でなく18週で割るのでは割に合わない、もっと金が欲しいと言います。シーズンが延びることで選手たちの報酬面は?

「これは交渉のテーブルで説明することだが、(試合増に応じた)システムはできあがっている。我々は彼らのパートナーだ。両者は収入を分け合っているし、『4試合・16試合制』 から 『2試合・18試合制』 への変更により、収入はかなり増えると我々は見込んでいる。両者がその増収を分け合う、というコンセプトだ。今でも我々は20試合を行っている。それを組み替えることによって全体の収入を増やすことができ、選手側もそれをパーセンテージで受け取ることになる」

Q. 育成リーグ、IR制の変更、ロースター枠の拡大、といった話題が出ましたが、選手会側の反応はあなたから見ていかがです?

「それは彼らに直接聞いた方がいい。私はデモーリス(スミス選手会事務局長)たちの代わりに話すことはしたくないが、さきほど言ったように、彼らも我々と同じ懸念を抱いている。(試合数の増加が)選手たちの安全とケガに対してどのような影響を与えるか。この変更がもたらすケガの増加を最小限に留めるために、彼らと取り組んでいきたい」

Q. 労使交渉の現状は? 5月のシンポジウムにおいて、あなたは「ストライキの可能性はない。あるとすれば(オーナー側の)ロックアウトだ」と言いましたが、その真意は?

「まず第一に、労使協定の失効まであと9か月あり、それまでに合意に達することができると我々は楽観している。フットボールを大きく育て、ゲームへの関心をより大きくする、といった課題に共に取り組んでいくほど、合意に達する可能性も高くなるだろう。選手会がストライキの相談をしているとは私は思わない。我々の側も、期限切れまでに交渉がまとまるようあらゆる努力をする、それが最優先事項だ」

Q. あなた個人についてですが、いまこうしてNFLの運営委員会に加わり、かつて自分がいた選手会をテーブルの反対側から見るのは感慨深いのでは?

「昨年夏にワシントンDC(の選手会本部)で会議があって、我々はエド・ガーヴェイの名のついた会議室に入り、会議前にすこし自由時間があった。見回すと、過去数十年間の選手会の記念写真が飾られていた。1982年の労使交渉の写真もあって、私が選手会の側でテーブルについていた。それは感慨深かったよ。しかし最終的には、我々は同じものを求めているんだ。選手たちもオーナーたちも、このリーグにとって最善のことをしたい。NFLは驚異的なスポーツ・リーグであり、今後もそうあり続けたい、その考えは誰もが同じだ。私のように選手経験があり、選手会で働いた経験もある人間がこちら側にいるのは有益なことだと思う。私は選手の視点で見ることができ、そのことは期限切れまでに交渉をまとめるのに役立つはずだ」

カテゴリ : Coach/Front Office