グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年7月 7日

ロースター展望 QB編

ファーヴからロジャースへの世代交代が(フィールド上では)驚くほどスムーズにいったクォーターバック。ディフェンス不振のせいもあって勝ち星こそ伴わなかったものの、アーロン・ロジャースは先発1年目でNFL上位の成績を残し、若手有力QBの一角としての地位をすでに確保した。

問題は控えQB陣のレベルの低さ。昨年ドラフト指名された2人が今年も控えを務めるが、とくに2巡入団のブライアン・ブロームが伸び悩んでいて、7巡入団のマット・フリンにさえ劣っているのだから頭が痛い。今のままでは、もしロジャースが大ケガでもしたらパッカーズのシーズンはそこで終了になってしまう。今夏のキャンプやプレシーズンゲームでは、控えコンビの成長ぶりに期待したいところだ。2人はほぼ同格扱いで、プレー機会もほぼ同数与えられる予定。

ロースター枠は3人なので、大ケガさえなければこのままの3人で開幕を迎えることになる。ドラフト外で新人を獲らなかったのは、ロースター枠80人の制限よりも、2年目コンビにできる限りプレー機会を与えたい、という考えからではないか。

アーロン・ロジャース Aaron Rodgers

カリフォルニア大から2005年のドラフト1巡24位で入団。3年間控えで我慢した甲斐あって、4年目に訪れたチャンスを見事にモノにした。2年目までは「これが1巡指名QBか?」と思うほどのプレーぶりで、3年目にようやくNFLのQBらしくなった。いま思えば大学3年終了でアーリーエントリーした判断が誤りで、プロ4年目での先発昇格は理想的なタイミングだったにちがいない。このまま順調に伸びてくれさえすればよく、当分フランチャイズQB確保の心配をしなくて済むのはありがたい。

プレースタイルは、ウェストコーストオフェンスの基本に忠実なタイプ。判断が安定していて、ポケットでの落ち着きがあり、コントロールも非常によく、高低のブレが少ない。ロングボールも優秀で、40yds以上のパス成功16回はブリーズと並んでNFL首位タイ。俊足を活かした思い切ったスクランブルで1stダウンを稼ぐプレーも随所に見られた。前任者と比べるとローリスク志向なのは間違いないが、先発1年目はやや安全運転すぎるきらいはあったので、今年はもっと彼の色を出していくことになるようだ(先月の記事参照)。

ファーヴ時代と比べて明らかに悪くなったスタッツは被サックだろう。OL陣の能力はさほど変わらないのに、被サックは前年の19回(NFL3位タイ)から34回(19位)へと大幅増。「焦って無理な場所に投げ込むよりは」というロジャースの性向によるもので、これも経験を積んでより素早く的確な判断ができるようになれば、しだいに解消できるのではないか。

マット・フリン Matt Flynn

ルイジアナ州立大では3年間ジャマーカス・ラッセル(現OAK)の控えを務め、ようやく先発に昇格した4年目に同大を全米制覇に導いた。肩の強さやパスの正確性など、すべてにおいてそこそこで、スケールの大きさが感じられないためにプロのスカウトから評価されず、7巡指名に甘んじた。タフで気骨がありリーダーシップに優れ勝負強い、といった"Intangibles"に優れ、成長しだいではNFLで一人前の控えQBとしてやっていける(それだって立派なものだ)可能性はある、と評価されている。

昨年夏に2番手QBに昇格したのはむしろ後述のブロームの不振によるもので、今年もそのまま2番手の座を確保しているが、はっきりとした差があるわけではない。2人のうちどちらかが成長してくれなければ心配で仕方がないが、昨夏のプレー内容からすると、2人が本当によくなってくるのは来年かもしれない。

ブライアン・ブローム Brian Brohm

ルイヴィル大のスターQBとして3年間活躍し、昨年の2巡25位指名でパッカーズに入団。ドラフト前は1位指名候補としても取り沙汰されたが、プロの見る目は正しかった。入団後はパッカーズのオフェンス習得に手間取り、プレッシャーに対処できず判断ミスを連発、よかったはずのコントロールもガタガタ。昨夏のプレシーズンでのQBレーティングは45.2で(フリンは100.2)、ついにフリンに2番手の座を譲った。すっかり自信を失ったまま今にいたっている。

リリースをクイックにするため、最近はコーチの指導で投球モーションの改善にも取り組んでいる。昨年よりマシになったとはいえ今年のミニキャンプでもプレーぶりは不安定で、今のところ大きな進歩は見られない。「球団首脳に静かな失望が広がりつつある」との噂まであるが、ロジャースも1年目・2年目はまったく使い物にならなくなったのだから、まだ希望はある。

カテゴリ : Player