ヴァイキングスでのNFL復帰を望むブレット・ファーヴが、すでに先月、右肩の関節鏡手術を受けていたことがESPNの報道で明らかになった。しかしその後にボールを投げてみたところ、期待ほどの回復はなく、本人はいまだ復帰の決断ができないでいるとのこと。手術を受けた正確な日時も、具体的な手術の内容もわからないが、部分断裂していた腱を完全に切り離す "tenotomy" という手技の可能性が高い、と別のESPNの記者は書いている。
というわけで、新事実が明らかになったとはいっても、ファーヴ騒動の見通しについて大きな変化はない。要約すると、1. 復帰への意欲は十分あり(今回の報道でこの点はさらに強まった) 2. 復帰するならばヴァイキングスであり(他からの誘いはない) 3. 肩の状態が最大の障害となっている。
ファーヴの代理人バス・クックは今回の報道について肯定も否定もしなかったが(肯定したも同然だが)、その2日前のコメントでは、「もし彼が欲しいならば、彼ら(ヴァイキングス)は最大限の努力をすることだろう。ブレット・ファーヴはどの球団にも全く新しい状況をもたらす。今いる他のQBたちを悪く言うわけではないが、ブレットはたいていのQBと比べて別格なのだ」と、セールストークとも取れる発言をしている。ブレットに対してもっと(高い金額で)積極的に誘ってほしい、と代理人が望んでいる、という見方も一部にはある。
いっぽうヴァイキングス側では、歓迎するコメントも一部にはあるものの、往年の名選手フラン・ターケントンがラジオ番組でファーヴ批判を繰り返したり、ミネソタのファンの29%しかファーヴ獲得を望んでいない(獲得すべきでない42%、わからない30%)、という世論調査もあるなど、歓迎ムード一色とは言えない状況。
サラリーキャップについては、ヴァイキングスは$18ミリオンほど空きがあるので、ファーヴに高額契約を与えることは不可能ではないが、余裕がたっぷりあるとは言えない。今年のヴァイキングスのルーキー分のサラリーキャップ"Rookie Pool" は約$3.06ミリオン。シーズン中の緊急補強用に$2ミリオンほど取っておくとする。もしファーヴが(今年ジェッツから受け取るはずだった)$13ミリオンを望んだとしたらそれでゼロになってしまう。現在暗礁に乗り上げているCBアントワン・ウィンフィールドとの契約延長交渉を前に進めるためには、ファーヴに払えるのは最大で$10ミリオン、できればもっともっとまけてほしい、というところではないか。
追記: ESPNの最新報道では、ヴァイキングスのブラッド・チルドレスHCがファーヴに対し、契約するかどうか今週決めてほしい、と期限を提示したとのこと。ヴァイキングスはすでに全員参加のミニキャンプを終え、現在OTAが行われているところ。開幕までの準備期間が刻々と減っていくなか、期限を設定するのは球団側としては当然のことで、このままファーヴ問題に振り回され続けるのでは沽券にかかわる、という面もありそうだ。