ロングスナッパーのブレット・グードは昨季開幕直前に入団し、ほとんどミスのないシーズンを過ごした。ライバルとなるはずのJ.J.ジャンセン(昨季インジャリーリザーブ)が先日パンサーズにトレードされたので、今夏はポジション争いをしなくていい。「僕への信頼の表れだと思う。でも同時に、チームの判断が正しかったことを僕は証明しなきゃいけない。この業界ではパフォーマンスが全てだ。ライバルがいま球団にいなくても、この仕事を守るためには毎日自分をプッシュしなければだめなんだ」
彼はアーカンソー大から2007年のドラフト外でジャガーズに入団したが開幕ロースターには残れず、昨年は早くも6月半ばに解雇されてしまい、どこのトレーニングキャンプにも参加できなかった。「故郷アーカンソーへと向かうロング・ドライブの間、いろいろ考えさせられたよ。どうしてもNFLを諦めたくなかった。家に帰り、働き始めた。当座をしのぐための金を稼ぎながら、できればトライアウトのチャンスを待ちたいと思った」。 グードは父の建設会社で働いた。そうすれば、半日働いて、あとの半日はフットボールのトレーニングに充てられたからだ。そうした暮らしを続けながら、代理人からトライアウトの連絡を待ち続けた。
8月29日金曜日、初めての電話がパッカーズからかかってきた。正ロングスナッパーに決まっていた新人J.J. ジャンセンが前日のプレシーズン最終戦でヒザを負傷してしまい、急きょ3人の選手を集めてトライアウトを行うことになったのだ。灼熱の日差しの下で車庫の工事をしていた彼は飛行機に飛び乗り、グリーンベイに着いたのは土曜深夜のこと。翌日曜には約2年ぶりのフルパッド練習でロングスナップを行い、みごと開幕スターターの座をつかみ取った。
そしてNFL初出場が全米放送のマンデーナイトゲームとなった。「チャンスをものにできて素晴らしい気分だった。そのうえ、初めてのゲームがマンデーナイトだからね。ただ、どんな試合であろうとパンターやホルダーの位置が変わるわけじゃない。雰囲気は変わるかもしれないが、僕がスナップする相手は同じ場所。そのことに助けられた」
シーズン唯一の汚点は第2週ライオンズ戦でセーフティとなったプレーだが、これとてスナップはパンターの顔の高さに飛んでおり、むしろPデリック・フロストのキャッチミスだろう。「シーズンを通して1つか2つ、タイミングを崩して正しいテクニックでスナップできなかったプレーがあった。素人目には、悪いスナップとはパンターの頭を越したりワンバウンドしたり、というヤツだけだろう。でも僕としては、スパイラル等を含めてさらに正確性を追求したい。今はそれに取り組んでいる」
第14週テキサンズ戦ではファンブルリカバリーを記録。第16週ベアーズ戦では、完璧なスナップをQBフリンに送ってフェイクパントを成功させた。ただしカバレッジチームのタックラーとしては、12年間で通算57タックルを記録した前任者のロブ・デイヴィスと比べてまだ線が細く、物足りない。今オフはパワーもスピードも向上させたいと本人は語っている。