グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年2月26日

シーズン総括と展望 CB編

アル・ハリスが脾臓損傷のため4試合欠場し、その間にトラモン・ウィリアムズがまずまずの働きで穴を埋めた。チャールズ・ウッドソンが7INT(3TD)、ウィリアムズも5INTを挙げ、FSニック・コリンズの7INTを含めてDB陣でターンオーバーを量産。シーズン後半にパス守備の成績が悪化したのは、彼らよりもプレッシャーをかけられないフロントラインの責任といっていいだろう。

現在のプレー内容よりも、ウッドソン32歳、ハリス34歳という年齢が最大の問題。ウッドソンは円熟のプレー内容で5回目のプロボウルに選ばれ(欠場)、アル・ハリスも安定したプレーを見せ、(ウッドソンらの欠場により)繰り上げで二度目のプロボウル出場を果たした。ウィリアムズはいちおう一人前になったものの、4番手のウィル・ブラックモンは伸び悩み、2巡ルーキーのパット・リーは出番を勝ち取ることさえできず5番手どまり。ベテランコンビが今年急に衰える心配はしなくてよいかもしれないが、世代交代の準備ができたとはとても言えない。

これまではNFLでも最もマンカバレッジを多用してきたパッカーズだが、3-4ディフェンスへの移行にともない、ゾーンカバレッジがかなり増えるものと予想されている。万能のウッドソンはむしろ向いていそうだが、プレスカバレッジ職人のハリスは、ゾーンでは存在価値がなくなってしまう。経験豊富なケイパース新DCのこと、彼らのよさを殺さないスキームを工夫してくれると期待したい。

プレミア・ポジションだけに若い一流CBがFA市場に出てくるはずもなく、補強するならやはりドラフトだろう。重要度としてはOLBやNTの次といったところか。1巡指名を予想するモック・ドラフトも一部にはある。

チャールズ・ウッドソン  Charles Woodson

ミシガン大ではディフェンス選手として史上初のハイズマン賞。1998年のドラフト1巡4位でレイダーズに入団し、すぐにプロボウルの常連となった。ケガ続きで評価の落ちた2006年にパッカーズにFA移籍し、ハリスと強力なベテランコンビを形成している。QBの意図を読んでパスコースに飛び込む嗅覚と技術が素晴らしく、移籍後3年間で19INTを量産している。密着カバレッジ専門のハリスと比べると、全般的なフットボールセンスの良さを活かした役割が多く、ニッケルバックの位置からブリッツに入ることも多い(3サック)。

2008年は開幕戦でつま先の骨にひびが入り、毎週ろくに練習できないまま16試合頑張り通した。終盤はチーム事情からセーフティをやらされたが、来季はCB専業に戻るようだ。本来は一匹狼タイプだが、最近は若手DBたちの師匠格としてリーダーシップも発揮している。移籍後2年間務めたパントリターナーの仕事は、完全にブラックモンに譲っている。

アル・ハリス  Al Harris

ディビジョンIIのテキサスA&Mキングズヴィル校から1997年のドラフト6巡でバッカニアーズに入団、解雇されてイーグルスで実質的なキャリアをスタート。地道な努力で一歩ずつ階段を上り、いまや2年連続のプロボウラーとなった。細身ながら芯が強く、強力なバンプで相手WRのルートを狂わせ、キャッチ間際に手を出す技術も見事なもの。ウッドソンと比べてINTが少なく、しつこく接触するために反則が多いのが玉にキズ。しかしウッドソンのインターセプトがGB移籍後に急増したのは、ハリスのカバレッジがよいためにウッドソン側にパスが行くためだ。

昨年は第3週に脾臓を損傷しながらわずか4試合しか欠場せずにすみ、復帰後のプレーは、最終戦を除き非常によかった。34歳となっても衰えを見せず、「あと8年やりたい」と希望しているが、問題はゾーンカバレッジでどれだけのプレーができるか。今年のプレー内容によっては、パッカーズ最後の年になってもおかしくはない。

トラモン・ウィリアムズ  Tramon Williams

ルイジアナ工科大から2006年のドラフト外で入団し、2年目には多くのライバルを退けてロースター入りを果たした。2007年シーズンから2008年にかけてさらに成長を見せ、両ベテランに次ぐ3番手CB/ニッケルバックの座をしっかり確保。相手が両ベテランを避けてくるのでターゲットになることが最も多く(チーム最多の90回)、よいプレーと悪いプレーの波がやや大きかった。スピードがあり、ボールスキルに優れ、失敗をひきずらない強気なメンタリティもいい。これまではマンカバレッジの技術を磨いてきたが、新スキームでどうなるか。

ウィル・ブラックモン   Will Blackmon

ボストン・カレッジから2006年の4巡指名で入団、最初の2年は足の骨折に悩まされたが、3年目に初めて全試合に出場できた。4番手CB/ダイムバックで、ケガ人状況によっては3番手/ニッケルバックを務めたが、パスカバレッジに関してはあまり成長が見られない。相手WRのルートの読みが悪く、ターゲットになったうち54.8%がパス成功、2TDを許している。プロ入り後にケガで時間を無駄にしたとはいえ、3年目でこの程度では、スターターになるのは無理なのかもしれない。

パントリターナーとしては平均11.1yds(NFL9位)、2TD(3位タイ)と優秀な成績を残したものの、キックオフリターナーとしては平均21.0yds(NFL34位)の不振だった。スペシャルチームでの計18タックルはチーム最多。パントリターンの際に4回もファンブル(全てこちらがリカバー)した雑なボールハンドリングはいただけない。

ジャレット・ブッシュ  Jarrett Bush

ユタ州立大から2006年のドラフト外でパンサーズに入団、開幕前に解雇されてパッカーズでロースター入りを果たした。2007年にはいったん3番手CBとなったが、シーズンが進むうちにプレー内容が悪化し、トラモン・ウィリアムズに追い抜かれた。昨年途中からセーフティの練習もしたが、転向は不発に終わったようだ。練習でよくても実戦に弱いのは、ウィリアムズとは対照的にメンタルが弱いためだろうと言われている。スペシャルチームでは中核の1人として17タックルを挙げているが、ミスタックルも6回(スペシャルチーム最多)あり、反則も6回。そろそろ見切りをつけられてもおかしくないシーズンだろう。

パット・リー  Pat Lee

公式サイトがニックネームの「パット」となっているので、当サイトでも「パトリック」から「パット」に変更。
オーバーン大から昨年のドラフト2巡指名で入団。しかしプロのディフェンスに馴染むのに時間がかかったのか、4番手を脅かすことさえできないうちに1年目が終わった。出場はわずか5試合で、ディフェンスでの出番は計26スナップ、1タックルのみ。スペシャルチームでも69スナップに出場してわずか2タックルだった。サイズがありフィジカルなマンカバレッジが評価されてパッカーズに入ったが、そういったタイプであればスキームの変更はマイナスではないか。

ジョー・ポーター  Joe Porter

ルトガーズ大から2007年のドラフト外で入団、2年連続でプラクティス・スクワッドだったが、12月初めにロースターに昇格した。おそらくチーム最速、40yds走4.31秒のスピードがあるが、大学時代にニッケルバックでしかなかったのは、やはり何か欠けているのではないか。

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