グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2008年9月 6日
開幕を前に、今年のトレーニングキャンプでの良かった点、悪かった点を、地元記者たちの評価をもとにしてまとめてみる。ただ今年はファーヴ騒動のあおりでキャンプ前半の報道が少なく、十分なキャンプレポートがされたとは言い難い。
- Good : QBアーロン・ロジャース。「自分はあの立場にはなりたくない」と有力QBたちが口を揃えるほどの巨大なプレッシャーに耐え、しっかりしたプレーと、リーダーにふさわしい言動を続けているのは賞賛に値する。ファーヴ騒動の試練をくぐり抜け、あとは実戦で力を発揮するだけ。3年間の準備期間があったことを考えると、「初先発QBだから」と甘く見てもらえるのは長くて2年ではないか。足で1stダウンが稼げるのは魅力だが、ヒットを恐れずポケットで我慢できるかどうかが一流QBへのカギだろう。
- Good : 4巡ルーキーのRGジョシュ・シットン。OLの下位指名としてはRTタウシャー(2000年7巡)以来のスマッシュヒットかもしれない。入団直後から評判はよかったが、トレーニングキャンプでフルパッド練習になるとさらに充実したプレーを見せた。負傷直前までは、彼を右ガードで先発させてスピッツを左ガードに回す、というプランだった。ヒザの捻挫で9月中は使えないかもしれないが、左ガードの出来次第ではシーズン前半にスターター復帰する可能性もある。
- Good : 2番手RBブランドン・ジャクソンは「今年最も進歩した選手」との声もある。先発RBグラントがプレシーズンで一度もボールキャリーしなかったこともあり、昨季後半と比べるとジャクソンのキャリー機会は増えるはず。ブロッキングやキャッチング等も進歩し、3rdダウンバックとしても大いに期待されている。
- Good : WR陣。ややケガがちなグレッグ・ジェニングス、ヒザの捻挫でしばらく欠場するジェームズ・ジョーンズと不安もあるが、5番手まで粒ぞろいのWR陣はオフェンス最大の武器であることに変わりはない。
- Good : 控えLB陣。LBブランドン・チラーは先発ストロングサイド争いでは敗れたものの、どのポジションも経験があるので控えの層が格段に厚くなった。LBデズモンド・ビショップは1年目からよかったが今年も順調な成長を見せ、復活したLBアブドゥル・ホッジ(解雇)を寄せ付けなかった。ビショップは両アウトサイドも練習しているようで、有力スペシャルチーマーのLBトレイシー・ホワイトを残すことができたのも、チラーとビショップがヴァーサタイルなおかげだろう。
- Good : DEモンゴメリーとDEハンター。先発組を脅かすほどではないが着実に力をつけ、特にDTとしてのパスラッシュが戦力として計算できるレベルになった。DEバジャ=ビアミラもヒザに爆弾を抱えているので、今年は彼らの出番が増えてきそうだ。
- Good : CBトラモン・ウィリアムズ。ミニキャンプの頃からずっと好評で、3番手の座をがっちりキープし、先発の両ベテランのどちらかが欠場してもスターターとして問題なくやれそう。ボールへのプレーに強く、精神的にもタフ。リターナーとしても一発が期待できる。
- Good : スペシャルチーム。若いながらもそれなりに経験を積んだ優秀なスペシャルチーマーたちがロースター争いに勝ち残り、リターナーも粒ぞろいで、4人も5人も候補がいる。唯一の不安材料は新ロングスナッパーと新ホルダーの組み合わせ。
- Good : Kメイソン・クロスビーは入団2年目でさらに安定感を増し、キックオフでもタッチバックを蹴りまくっている。不安材料は開幕直前になってロングスナッパーとホルダーが両方交代したこと。あとは、昨季苦しんだ強風や厳寒といった悪条件下でのキッキングだろう。
- Good...? : 7巡a指名のQBマット・フリン。キャンプ前半はQBブロームと同じように苦しんでいたが、次第に進歩を見せて2番手を確保。ただこれはQBブロームが悪すぎたためで、フリン自身をどれほど評価してよいものか。やはり肩は強くない。パンサーズのQBジェイク・デロームに似た、気骨のあるタイプとの評判。
- Good...? : 2巡a指名のWRジョーディ・ネルソン。昨年のWRジョーンズや一昨年のWRジェニングスのときは、WR陣が手薄なため無理やりでも1stチームでガンガン起用されたが、今年のWR陣はU充実しているため、ネルソンはプレー内容はよいのに出場機会に恵まれない。いっぽうリターナーとしてはキックオフでもパントでもビッグプレー能力の高さをアピールしており、シーズン中にCBブラックモンやCBウィリアムズを追い抜く可能性も。
- Good...? : ケガに苦しんでいるパッカーズだが、主力にシーズンエンドの大ケガがないのがわずかな慰め。
- Bad...? : 上記3人を除くルーキーたち。詳細は後述。
- Bad : 2巡b指名のQBブライアン・ブロームは、7巡指名のQBマット・フリンに2番手の座を奪われるハメに。「今年の新人QB全体で最も即戦力タイプ」という評判だっただけに、ここまで苦しむのは意外だ。パッカーズのオフェンスが消化できておらず、躊躇してばかりで決断が遅く、パスそのものも球筋が不安定で投げ損ないばかり。全く進歩の気配がないままプレシーズンが終わってしまった。アーロン・ロジャースの1年目・2年目も決してよくはなかったが、ここまでひどくはなかった。
- Bad : RBライアン・グラント。契約問題でミニキャンプを全欠し、一週遅れでトレーニングキャンプに合流すると、わずか3日でハムストリングを負傷。プレシーズンで一度もキャリーしないまま開幕を迎えることになった。契約問題で長く欠場したRBは、自分の価値を証明しようと無理してケガするパターンが多いのでなおさら心配だ。体調万全であれば走る方は問題ないはずだが、パスキャッチやブロッキングなど細かい技術を磨くべき2年目にそれができなかったのは痛い。
- Bad : 先発左ガード争い。2年目の飛躍を期待されていたアレン・バーバーだが、トレーニングキャンプではダリン・カレッジを引き離すことができず、彼らはケガ人さえなければRGシットン&LGスピッツに先発の座を奪われるところだった。1on1のパスラッシュドリルではバーバーの成績がよかったのにカレッジを開幕スターターに選んだのは、ブリッツやスタントの処理を含めた頭脳面でカレッジの先発経験を頼りにしたからか。
- Bad : OL陣のケガ。Cスコット・ウェルズは腰を痛めていつ復帰できるか不透明。RGジョシュ・シットンはヒザの内側側副靭帯(MCL)捻挫で1ヶ月ほど欠場か。LGカレッジ、Cスピッツ、RGモールという心配な布陣で開幕を迎えることになってしまった。
- Bad : DT陣のケガ。DTライアン・ピケット(ハムストリング)はキャンプに全く参加できず、ぶっつけ本番。DTジョニー・ジョリーはいくつものケガで昨年ほどの出来ではない。戦線離脱中のDTハレルは後述。ケガ人がこのポジションに集中したため、今春DTコーリー・ウィリアムズをトレードに出したことがモロに響いている。
- Bad : 昨年の1巡指名DTジャスティン・ハレルは、1年目はパワー不足で期待はずれ、2年目の今年も春に腰を痛めて現在PUPリスト入りしている。たとえ第7週から復帰できたとしても、期待されたような「2年目の成長」を見せられるはずがない。1巡指名選手でなければ解雇されていてもおかしくない。
- Bad : 2巡c指名のCBパトリック・リー。パスカバレッジの技術が未熟で、4番手のウィル・ブラックモンを脅かすことさえできないのは、はっきり言って期待はずれ。今年は修業の年になりそうだが、キックオフリターナーとしては好リターンを何回も見せている。
- Bad : 3巡指名のTEジャーマイケル・フィンリーは、ブロッキングが全く頼りにならず、得意のパスプレーでも未熟さをさらけ出している。大ケガから復帰してきた2番手のハンフリーを脅かすことはできず、今年はまだ戦力になりそうにない。もし彼が3巡指名でなかったらドラフト外のTEジョーイ・ヘイノスが3番手になったはず、という声も。
- Bad : 5巡指名のOTブレノ・ジャコミニは、4巡のRGシットンとは対照的に苦しんでいる。かろうじて開幕ロースター入りを果たしたが、OLのケガ人が回復してきたら解雇されてプラクティス・スクワッド入りの可能性も。
- Bad...? : ウッドソンとハリスの高齢CBコンビ。体調万全なら実力的に問題はないが、チャールズ・ウッドソンはヒザ、アル・ハリスは腰に爆弾を抱えている。今年もウィークデイの練習量を加減しながらシーズンを乗り切るしかないだろう。