ブロンコス戦終了後のロッカールームでヘッドコーチのスピーチも終わり、RBライアン・グラントがシャワーを浴びる前に携帯電話を見てみると、不在着信が42件、テキストメッセージが75件も入っていた。その全てがお祝いの言葉で、自分が成し遂げたことの大きさに改めて気がついた。ジャイアンツでチームメイトだったRBブランドン・ジェイコブス、RBデリック・ウォード、RBルーベン・ドロウンズ。それにノートルダム大の仲間たち、そこらじゅうの友人や親戚たち。
ここまでのキャリアはアップダウンの連続だったとRBライアン・グラントは言う。ノートルダム大の2年目に1085ydsラッシングを挙げたものの、3年目は5試合しか出られず510yds、4年目も515ydsに終わった。これでは2005年にドラフトされなかったのも当然で、ドラフト外でジャイアンツに入った。1年目はプラクティス・スクワッドで過ごし、2年目の昨季はオフシーズンに手をひどく負傷してインジャリーリザーブ。3年目の今年ようやくロースター枠を争えるようになった。
いっぽう、コンバインで40yds走4.43秒を出した彼の将来性をパッカーズは評価し、ジャイアンツのプレシーズンゲームには全てスカウトを送り込んで注視していた。「NFL最初のプレシーズンゲームから我々は熱心に見ていた。しかし1年目はケガ(足首)でほとんど出られず、2年目はオフシーズンのケガ(手)で全くプレーできなかった」とレジー・マッケンジー・プロ人事部長は振り返る。
「しかし今年のプレシーズンでは、ジャイアンツは彼にたっぷりボールキャリーの機会を与えた。みなで話し合って、『よし、彼を獲りにいこう』と全員が一致した。他にも注目していたRBはいたが、我々は彼が気に入っていた。今夏の活躍だけを見て飛びついたんじゃない」とレジー・マッケンジーは言う。公式戦出場ゼロの選手をトレードするのに(条件なしの)6巡指名権というのはやや異例だが、それだけ高く評価していたからだ。
「目立っていたのは、サイズがあって、スピードがあって、タフネスがあるという3つの特質だ。キャリー数さえ与えれば、このような活躍をしてくれると期待していた。彼はまだ洗練されていないが、それはこれまでプレー機会が少なかったからだ。毎週15キャリーぐらいをしばらく重ねるまでは、荒削りさは残るだろう。うまくやってくれればと応援している」