グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2007年2月24日

シーズン総括と展望 OL編

2巡・3巡・5巡ルーキーが左右両ガードで先発し、代役左右タックルも務めるという大変なシーズンだったが、QBファーヴを壊されないよう工夫を重ねてなんとか乗り切った。「また新しいガードを探さなきゃ」だった昨年の今ごろとは違い、彼ら若手が育っていけば大丈夫という見方が支配的で、大きな補強はなさそうな雰囲気だ。

実績あるベテランが務める左右タックルは、RTタウシャーが鼠蹊部を痛めて5試合を休んだ他は問題なかった。FA移籍のフラナガンに代わって先発センターに昇格したCウェルズは、合格点以上のプレー内容を見せて、すでに11月に契約延長を勝ち取っている。

複数ポジションをこなせるヴァーサタイルな選手ばかりなのでケガ人には対処しやすいが、控えのデプスには心配がある。クリフトンがすでに30歳でケガがちになってきたことを考えると左タックルの控えを用意しておきたいが、彼が負傷してもLGカレッジがスライドすればいいのでガードの控えでいいのかもしれない。右タックルの控えのバリーは大ケガで2006年を棒に振ったうえ、タイプ的にゾーンブロッキングに向かないので、こちらもFA補強があるかもしれない。

ドラフトではよほどいいのがいれば上位指名もなくはないが、今年はスキルポジションやDB補強が優先されるだろう。

LTチャド・クリフトン Chad Clifton

15試合出場(流感で1試合休み)で2サックしか許さず、プレッシャーを許した回数も2005年の17.5回から14回にダウン。相変わらず安定したパスプロテクションでQBファーヴを守っている。ランプレーのバックサイドでのカットブロックもシーズン中に上達し、反則も6回と(彼にしては)減った。先発左タックルとして実力は十分だが、ヒザの慢性的な痛みをかかえており、重要ポジションだけにそろそろ後継者の準備が必要かもしれない。

RTマーク・タウシャー Mark Tauscher

クリフトンと同じく、こちらも先発右タックルとして実力に何の問題もない。鼠蹊部の負傷のためインジャリーリザーブ入りさせる案もあったが、5試合欠場しただけで復帰。無理しながらの出場だったがT/Gトニー・モールとの実力差は明らかで、終盤の連勝に貢献した。サックを許したのは11試合でわずか1回、キャリア7年間で12回しかない。ランブロックもOL陣で最もミスが少なかった。

Cスコット・ウェルズ Scott Wells

プロ3年目、先発昇格の期待に応えて大きな成長を見せ、すでに前任者のフラナガンとさほど差のないプレー内容を見せている。ゾーンブロッキングへの適応も彼が最もスムーズだった。サックを許したのはわずか0.5回。ランブロックのミスがRGスピッツに次いで多かったのが来季への課題だが、両隣のガードが成長してくれば、不安定さも解消されてくるかもしれない。

LGダリン・カレッジ Daryn Colledge

大学4年間は全て左タックル。2巡指名入団の直後から先発左ガードを任されたが、フルパッド練習の始まるトレーニングキャンプになると力不足が明らかとなり、いったんは控えに下がった。しかし開幕直後にRGスピッツが負傷すると再び先発に戻り、今度はその座を手放すことはなかった。代役左タックルをしたときを除いてサックを一度も許さなかったパスプロテクションは立派。

カットブロックはなかなか上手いが、ドライブブロックはまだ馬力が足りない。ランブロッカーとしてよくなるためにも、またパスプロテクションでブルラッシュに押されないためにも、このオフに全身のパワーをつけることが重要だろう。ドルフィンズ戦で欠場のクリフトンに代わって左タックルを(2サックの後は)大過なく務めており、来季も左タックルの控えを兼ねるかもしれない。将来的にクリフトンの後継者となる可能性もある。

RGジェイソン・スピッツ Jason Spitz

ドラフト3巡指名から即先発右ガードとなり、13試合に先発した。左右両ガードが問題なくこなせて、2番手センターも兼ねる。Cクリス・ホワイトをシーズン中に解雇したのは、スピッツが控えセンターで問題ない、と判断されたためだろう。タフでアグレッシブなブロッカーで、狭いエリアで相手を押し込む馬力はよいが、大きく動いてのブロッキングには課題が残る。ハマったときは素晴らしいランブロックを見せるもののまだ不安定で、ブロックミスがチームで最も多かった。

RT/RGトニー・モール Tony Moll

大学4年目の春までは控えTEだったのが、左タックルに転向して1年でドラフト5巡指名を受け、プレシーズンでのLGカレッジの不振により開幕から先発右ガードに。カレッジの復活で控えに戻るが、RTタウシャーが負傷すると先発右タックルに入った。けっきょくRGとRTで5試合ずつ先発出場。ルーキー3人の中では最も不安定で、サックやプレッシャーを許した回数ではどちらもチーム最多。彼が出ている間はどうしてもオフェンスが苦しかった。反則5回もいただけない。

彼がRTとRGの控え、RGスピッツがCとLGの控え、LGカレッジがLTの控えを兼ねるので、モールが控えにいるだけでOL全ポジションのケガ(2人出てはだめだが)に対応できる体制になっている。スターターとしては足手まといだったとはいえ、プロ2年目のジュニアス・コストンらに出場機会を与えなかったということは、それだけ将来性があると見られているのだろう。大学でやっていた左タックルよりも右タックルが向いているとの見方もあるが、OL転向からまだ2年も経っておらず、全てはこれからの修業しだい。

OTケヴィン・バリー Kevin Barry

昨年3月に2年契約を結んだが、5月のミニキャンプで大腿四頭筋腱の断裂という大ケガを負って即シーズンエンド。ゾーンブロッキングに向かない、機動力に欠ける巨漢タイプで、ここ数年の試行錯誤の結果として右タックル以外は務まらないことが判明している。一昨年のRBグリーンと同じケガだが、巨漢ラインマンだけに同じように復活できるとは限らない。順調に復帰できた場合は、キャンプで若手たちとロースター枠を争うことになる。

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