今年は3月2日にFAが解禁される。実質ここからが新年度となり、各チームとも、新年度のサラリーキャップ額($85ミリオンほど)にサラリー総額(ただし上位51人だけでよい)が収まるよう、高給取りを解雇するなり契約を結び直すなり、3月1日いっぱいにやりくりを済ませておかなければならない。
この23日から3月1日まで、インディアナポリスでスカウティング・コンバインが開催される。330人以上のドラフト候補生が招待され、身体検査、さまざまな体力測定、フットボール関連のワークアウト、個別チームとの面接などを行う。NFL各チームとも、GMをはじめとして30人から40人以上のスタッフが現地に入るため、代理人たちもその間を飛び回ることになる。コンバインの期間中は、以下のような契約交渉やトレード交渉なども、このインディアナポリスが主戦場となる。
パッカーズの場合、LGウォール(無茶な額なので、解雇か新契約の締結が必須)を解雇すれば当面キャップ内に収めることはできるが、それでは新戦力の補強もできず、ドラフト指名ルーキーとの契約にも足りない。
そこで注目されるのが、高給取りのFSダレン・シャーパーの契約をどうするか、という問題だ。$8.63ミリオンにもなるキャップ額(SSローマンのほぼ10倍)をなんとかできれば、それだけでキャップの空きをかなり作ることができる。彼を解雇した場合、$3.4ミリオンの余裕ができる。ただし、相方のセーフティにも補強が必要な現状で、両セーフティを新たに探すというのは戦力的なダメージが大きすぎる。それに今年解雇すると"dead money"(用語集参照)が$5ミリオン以上になってしまう。
そこでシャーパーとはサラリーカットまたは契約の見直しをすることでキャップに空きを作ることが有力視されている。晩年のSSリロイ・バトラーのように純粋なサラリーカットを飲んでくれれば言うことはないが、まだ29歳と年齢的にピークにあるシャーパーがそれを受け入れることは考えにくく、「解雇するぞ」と脅しをかけられるようなチーム戦力もない。となると、今年のロースターボーナス$2.6ミリオンを契約ボーナスに変えるような、小手先の契約見直しをするしかないかもしれない。
その他の契約見直しの候補は、QBファーヴ(キャップ額$11.73ミリオン)、LBディッグス($3.25ミリオン)あたりか。しかし引退間近のファーヴの契約見直しを行うことは、引退した時の"dead money"がより高額になることを意味し、「ファーヴ後」のチーム再建をスムーズに行うためにも、これはできるかぎり避けたいところ。純粋なサラリーカットを受け入れてくれれば言うことはないが、それは望み薄。
制限つきフリーエージェント(RFA)となる選手に3段階のうちどのオファーをするか、3月1日いっぱいまでに決定しなければならない。今年の場合、「特上」は$1.9ミリオン、「上」は$1.43ミリオン、「並」は$656,000ドルの3段階となっている(用語集参照)。高い額をオファーするほど拘束力は強く、他チームに引き抜かれる可能性は低くなる仕組みだ。
今年のパッカーズからRFAとなるのは、DEキャンプマン、RBダヴェンポート、OTバリー、QBノール、QBオサリバン、LBレノン、DEトゥルーラックの7人。問題はDEキャンプマンとRBダヴェンポートの2人だろう。
DEキャンプマンはスターターとしてまずまずの実績があり、ドラフト5巡指名だったため、「並」のオファーをしてしまうと、狙うチームは5巡指名権だけをパッカーズに譲渡すればよく(もちろん本人への契約オファーは別に必要だが)、比較的手を出しやすい状況にある。RBダヴェンポートも4巡指名だったので、彼を高く評価するチームがあれば、同様のリスクはある。ただし今年はドラフトでRBが豊作と言われているので、わざわざ指名権を犠牲にするチームはないかもしれない。確実に引き留めるには「上」のオファーをすればよいが、それぞれ$77万ドル余計にかかることになる。