グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2004年6月25日

ヴィンス・トービンとの一問一答

現在60歳のヴィンス・トービンは、プロとカレッジで通算35年ものコーチ経験を持っている。カーディナルスではヘッドコーチも務めた大ベテランを "Special Assistant" の肩書きでパッカーズに招いたのは、「ゲーム中の判断に難がある」と批判されるシャーマンHCが、直属のアドバイザーを置くことで自分の足りない部分を補おうとしたのではないか、という見方が多い。ではトービンの具体的な仕事はどのようなものになるのか。

Q. "Special Assistant"とはどのようなもので、どんな仕事を?

「LBやセカンダリーをコーチする、といったものではない。長年かけて積み上げた経験を元に、必要とされた時にその知識を役立たせる、といったものだろう」

Q. では、あなたはシャーマンHCの父親代わりのようなもの?

「その表現は違うだろうね。むしろ、別の視点を提供するのだと考えている。ディフェンスやオフェンスの展開や、流れや傾向のようなものを見る視点だ」

Q. 毎週の具体的な仕事は?

「コーチたちはいつも時間との戦いで、試合の直後は次の対戦相手の準備に十分な時間が取れないものだ。終えたばかりの試合のビデオを見て評価し、それを選手たちに見せる。それが月曜日。次の試合の準備を始めるのは月曜の夜になる。月曜と火曜は1stダウンと2ndダウンとゲームプラン。水曜日にニッケルパッケージ。だから、私は前の週から準備を始め、3rdダウンや4thダウン、2ミニッツを検討しておき、OCやDCがゲームプランを立てた時には、すぐにその情報を提供することができる。それが、私が誘われた時の構想だ。具体的な個々のプレーではなく、相手チームのやろうとしていることやフィロソフィーといったものについての分析だ」

Q. ゲーム・デイのあなたの仕事は? シャーマンHCとは密接に連絡を取るのでしょうか?

「具体的な所はまだわからない。他のコーチたちと連絡を取れるよう、回線をつないでおくのは確かだ。それに、助言をどの程度求めるかは、実際はシャーマンHCしだいだからね。私のポジションは発展していくポジションで、RBコーチやセカンダリーコーチのような、決まった枠はない」

Q. ゲーム・デイは、サイドラインでなく、プレスボックスに?

「そうだ」

Q. シャーマンHCは、2ポイントに行くべきか否かの判断、それにクロック・マネジメントについて批判されているようです。そのような判断について、シャーマンHCはあなたを頼りにするのでしょうか?

「これらのことは、正解などあってないようなものだ。ヘッドコーチはチームの勝利のために最善と思う決断をしなければならない。そして、その判断をするのはヘッドコーチただ一人。それは変ることはない。私が一つ貢献できると思うのは、前もって情報を提供しておくことだ。私の立場からは、実際のプレーコールなどに関係なく、より客観的に全体の状況を見ることができる。だから、クロック・マネジメントや2ポイントの可否について、役に立てると思う。その時の状況に応じて、いろいろな要素を明確にして伝える。その上で、彼が判断を下さなければならない」

Q. あなた自身、かつてはヘッドコーチだったわけですが、緊迫した中でそのような判断を次々に下していくのは、やはり大変なことですか?

「それは間違いない。5年のヘッドコーチ経験があり、コーディネーターやポジション・コーチよりもヘッドコーチに近い視点で物事を見ることができる。それが、私がここに呼ばれた最大の理由だと思う」

Q. あなたがヘッドコーチだった時にはそのような立場のアシスタントはいませんでした。いてくれたら良かったと思いますか?

「全くそう思うね。各コーチはそれぞれ狭い分野を担当しているため、自分の利害に関係なく、先入観のない客観的な情報を、ヘッドコーチに提供できるとは限らない。誰だって好きで偏った見方をするわけではないが、全体像よりも自分の担当部署を見てしまうのは人の常だ」

Q. 練習では、他のコーチと話し合ったりするのですか?

「いや、そうはしない。全般的に、影で仕事をすることになるだろう。フィールドには必ず出て観察し、何か気になることがあれば、ためらわずに口に出すだろう。しかし、特定のポジションをコーチすることはない」

Q. あなたは多くのフットボールの知識をチームにもたらしてくれます。しかし他のコーチの領分を侵すリスクは?

「そうは思わない。私が見たことのあるようなことがあれば、そして我々がもっとうまくやれると思うことがあれば、スロウィックDCや、ロスリーOCにも伝えるだろう。私はオフェンスのコーチをしたことはないが、ディフェンスの立場から、こちらがこう攻撃すればあちらはどのように反応するだろう、といった見方で貢献できる。もしそれが助けになると思えば、(オフェンス側も)取り入れてくれるだろうし、そう思わなくても、それは彼らの領分だ」

Q. シャーマンHCから最初に声をかけられた時、何か特定の仕事内容を言われましたか? それとも、しだいに発展していくような、やや曖昧なポジションでしたか?

「どちらかというと、後者だろうね。私の経験や、ものの見方、観察力などを欲しい、と彼は言ってくれた」

Q. 今回の地位について、最も魅力を感じたのは?

「長いことコーディネーターをやって、ヘッドコーチも経験した。今になって、LBコーチやセカンダリーコーチをやる気には、あまりならなかったのだ。DCの仕事が他にあれば、そちらに行っただろう。しかし、今のポジションでなら、35年のコーチ経験を十分に活かすことができると私は思っている」

Q. マイク・シャーマンの方から声をかけてきたわけですが、それまでの2人の関係は?

「われわれ2人がヘッドコーチをした期間は少し重なっているから、オーナー会議で知り合う機会があった。ヘッドコーチ全員が集まるから、交流の良い機会なのだ。お互いをよく知っていたかというと、ノーだ。むしろ、人柄などの評判といったものだ」

Q. 熱心に口説かれました?

「そんな必要はなかった。ここは、NFLの多くの人間が来たがるチームだからね。運営形態や、独特の地位や、所属する選手の能力の高さや、勝つチャンスの大きさ」

Q. 1年契約ですね。あなたとシャーマンHCのお互いが、"やってみて様子を見よう"といった感じ?

「その見方が正しいと思う。(1年やってみた上で)この関係を続けるに十分なほど私が貢献した、とチーム側が思うかどうか。そして、私は残留するに値するほど満足できたか、だね」

Q. あとどれくらいフットボールにたずさわっていたいと思いますか?

「あと何年かはコーチを続けたいと思っている。まだ60歳だ。引退には早い。もしその時が来れば、喜んで引退するが」

Q. シーズンが終わった時、サラリーに見合う貢献を得られた、とパッカーズは言うと確信していますか?

「こんな風に見ているんだ。例えばもし、1試合の勝利に私が貢献できたとしたら、それだけでも私が来た価値はあったと言えるだろう。NFLでは競争が激しく、1勝の違いがプレーオフ進出できるかどうかを決めてしまう。だから、もし1勝か2勝に私が貢献できたとしたら、両者にとって、価値があったということだ」

カテゴリ : Coach/Front Office