グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2003年8月 2日

Sバウ・ジュー: 祖国リベリアの苦悩

昨年の鼠蹊部のケガから立ち直ったCBバウ・ジューは、プロ入り以来最高のコンディションをキープし、3番手CBを争っている。フィールドに出ているときはフットボールに集中できるが、練習が終わったとき、考えてしまうのは祖国リベリアの内戦のことだ。彼が1歳のとき、ジューの家族は略奪が横行するリベリアを離れ、合衆国へ渡った。バウ・ジュー本人はそれ以来リベリアに帰ったことはないが、可愛がってくれた祖母や、たくさんの親戚がいまでもリベリアの首都モンロヴィア周辺に住んでいる。

西アフリカに位置する人口320万人のリベリア共和国は、 合衆国とは密接な関係がある。1820年代に、合衆国の解放奴隷の居住地としてアメリカ人によって開拓され、1847年に独立した国なのだ。この国がクーデターや内戦を繰り返してきたのには、実権を握る解放奴隷の子孫と、それに反抗する土着の人々との争いが背景にある。1980年代のはじめ、バウ・ジューの家族が出国を決意したのも、軍のクーデターの際に親戚が殺されたのがきっかけだった。

「指導者たちがしていることは、権力を握り、国の資源を自分たちのために使い、人民を貧困の中に留めるということだ。大きな軍隊を持ち、その軍隊は略奪し、殺戮し・・・。10歳や12歳の子供がAK-47ライフルを持ってる。そんな状況を、テイラー大統領が作り出してきたんだ」とCBジューは憤りを隠せない。さいわい祖母たち親族は、ジューからの多額の送金もあり、今のところは無事に暮らしていて、食料の不足もない。しかし首都周辺の多くの人々は、戦闘のために救援物資さえ行き渡らず、飢餓と疫病にさらされている。

1989年に支配権を掌握したテイラー司令官は、1997年の選挙で大統領になった。そのテイラー政権を倒そうと反政府勢力が攻勢を強めている、というのがこのところの内戦だ。「テイラーを退陣させたからって、全ての問題が解決するわけじゃない。彼でさえ、軍のすべてを掌握していないからだ。市民社会が平静を取り戻すには、まだ何年もかかると思うよ」

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