ジョシュ・ラックスの「元代理人の告白」という手記がSports Illustrated誌に掲載されて話題となっている。かつて若き代理人として大学選手の勧誘において積極的に金をばらまき、数々のNCAA規定違反を犯してきた経験を、大量の実名入りで暴露しているのだ。大学選手側が代理人候補に金を要求し、しかも金を受け取っても他の代理人と契約する恥知らずな行状を明らかにし、「汚い代理人に金をつかまされた無垢な若者の方が被害者である」といったイメージは全くの誤りであることを指摘している。長文でとても訳しきれないが、英語がイケる方はぜひ。
今のように人気の職業でなかった1980年代に高卒の自分がエージェント業を始めるのがいかに容易だったか、駆け出しの若き代理人が初期の顧客をつかむまでの苦労、金を受け取らない選手がいかに少なかったか、大物QBライアン・リーフにさんざん投資したあげく裏切られた経験、両親の死をきっかけに「ばらまき系」から脱却した心境の変化、大学コーチが代理人から金を受け取って選手勧誘を手伝う手口、師匠格のゲイリー・ウィチャードから離れるに至った経緯、ハリウッドを売り物にする2000年代の新手法、ウィチャードとの訴訟に敗れてNFL選手会からも1年の資格停止にされたこと、ついにエージェント業を辞める決断をした理由、いずれ事実を知る子供たちのためにこの告白を決意したことなど、どのエピソードもきわめて興味深い。
またラックスはこの告白の中でESPNドラフトアナリストのメル・カイパーにも触れ、ゲイリー・ウィチャードのために有力選手の獲得を手伝ってきた手口も紹介。カイパーはウィチャードの顧客を高くランク(今春はQBジミー・クローセンについてその疑惑がささやかれた)することで株価上昇も手伝ってきたのでは、とも示唆している。これを受けてESPNは、カイパーとウィチャードの馴れ合い関係を調査し始めたとコメント。
この告白記事の最後に、実名を挙げられた関係者がSI誌の取材にどのように反応しているか、最新情報がリストアップされている。金品を受け取ったと認めた元選手もいるが、ほとんどは否定またはノーコメント。メル・カイパーはクビがかかっているだけに必死で否定している。