グリーンベイ・パッカーズ ニュース
2009年9月 7日
まずは前回記事の解雇選手リストを確認のこと。最大のサプライズはSアンソニー・スミス、QBブライアン・ブローム、WRルヴェル・マーティンの解雇で、RBサットンとRBランプキンが両方カットされたのも意外だった。逆にドラフト外ルーキーのG/Cイヴァン・ディートリック=スミスやWRブレット・スウェインがロースター入りを果たしている。例年、ロースターカット後もなんらかの補強の動きがあるので安心はできない。
以下の記事ではまず各ポジションの勝ち残り組を挙げ、その後で細かい点を分析していく。
- QB(2) ロジャース、フリン
- QBブライアン・ブロームの解雇がオフェンス最大のサプライズ。プレシーズン最後の2試合でそれなりの進歩は見せたが、十分でなかったようだ。関係筋の話によると「トレードを模索したが買い手がつかなかった」とのこと。ウェイバーで獲得希望球団がなければプラクティス・スクワッドに入れ、実質3番手QBとしてキープできる。チームがそれを望むのかどうかが次の注目点だが、本人が新天地を求める可能性もある。
- これほど高い指名順位の選手がケガもないのに早期解雇されるのは、1971年にダン・デヴァインHCが2巡ルーキーのRBヴァージル・ロビンソンを解雇して以来。
- QBマット・フリン(右肩打撲)が開幕戦に間に合うのは間違いなさそう。
- 外部から補強の可能性はまだある。その場合、経験のあるベテランを2番手として獲るのか、伸びシロの大きそうな若手を3番手として獲るのか。QBジョーイ・ハリントンにパッカーズが興味を示している、というのが最新の噂。
- 「3番手QBが出場するようではどうせ勝てない」とQB2人体制でシーズンを迎えるチームは他にもけっこうある。ただその場合でもプラクティス・スクワッドに1人入れておいてオフェンスに習熟させる準備は必要だろう。
- RB(3) グラント、ジャクソン、デショーン・ウィン
- プレシーズンで頑張った小兵のRBタイレル・サットンも、ウィンをしのぐことはできなかった。下半身のバネと馬力は素晴らしいものがあるが、ドラフトされなかった主因であるトップスピード不足(4.7秒前後らしい)は明らかで、たとえタックルを振り払えても一発ビッグゲインの怖さがまったくない。3rdダウンバックを任せるにはブロッキングの不安があり、キックオフリターンで使うにもトップスピードが物足りない。
- 通常どおり3人体制としたのは、RBブランドン・ジャクソン(すねの打撲)が開幕戦出場できるめどが立ったのだろうか。でなければ補強の可能性が残る。
- FB(3) ホール、クーン、クイン・ジョンソン
- 注目の選択だったが3人とも残った。トレード材料として残してあるのかもしれず、開幕まで油断はできない。ただしPress-Gazette紙によると、パッカーズはコーリー・ホールもジョン・クーンもトレードを模索しなかった、とのこと。
- FBジョン・クーンとFBクイン・ジョンソンは、RB陣にケガ人が出ても一応ボールキャリアーが務まる。
- FBホールとFBクーンとTEスペンサー・ヘイヴナーはスペシャルチームの中核選手。彼ら3人を残したのはスペシャルチーム重視の意図が明らかだ。
- WR(5) ジェニングス、ドライバー、ジェームズ・ジョーンズ、ネルソン、スウェイン
- WRルヴェル・マーティンが解雇されたのがサプライズ。安定感のある5番手だが、もはや伸びシロがあまりない、と判断されたのではないか。$1.01ミリオンのサラリーも5番手には高すぎる。(WRスウェインは$31万ドル)
- 昨年の7巡指名WRブレット・スウェインは2年越しの初ロースター入りとなった。スペシャルチームでの働きもプラス評価。キャンプ中盤からは、各STユニットの1stチームに加わることが多かった。タイタンズ戦で代役CBまで無難にこなしたフットボールセンスはあなどれない。
- TE(3) ドナルド・リー 、フィンリー、ヘイヴナー
- LB兼任のスペンサー・ヘイヴナーが勝ち残った。TEトリー・ハンフリーの戦線離脱にも助けられたが、レシーバーとしても順調な成長を見せていて、ロースター入りを予想する声が増えていた。それでも、キャンプ前には考えられなかった展開なのはたしか。
- OL(9) LTクリフトン、LGカレッジ、Cスピッツ、RGシットン、RTバーバー、Cウェルズ、RTジャコミニ、G/Tラング、G/Cイヴァン・ディートリック=スミス
- 「先発の座を失ったCスコット・ウェルズが移籍を強く望んでいる」との情報もあったが、Press-Gazette紙が関係筋から聞いた話では、「チーム側はとくに強くトレードを模索はしなかった」とのこと。ただウェルズの移籍希望が本当なら、今後もトレードの可能性はある。解雇はありえない。
- ドラフト外のG/Cイヴァン・ディートリック=スミスが勝ち残ったのがサプライズ。大学では両タックルと両ガードの経験のある器用な選手だが、センターの実戦経験だけはないようだ。サイズが小さめなのでセンターとして育成する腹づもりではないか。
- いっぽう5巡指名のOTジャマーン・メレディスはドラフト組唯一の解雇となった。プラクティス・スクワッドに入れて体作りか。プレシーズンを見た他球団スカウトたちは、「優れたアスリートだがソフトで熱意に欠ける」とドラフト前と変わらぬ評価を下している。
- OTモールのトレードとOTメレディス解雇で手薄となったタックルを心配する向きもあるが、実際はダリン・カレッジが左タックルの控え、LGラングが右タックルの控えを兼ねるはず。もし左タックルが2人ケガをしたらどんなチームでも持ちこたえられない。
- DL(6) NTピケット、NTラジ、DEジェンキンズ、DEジョリー、DEモンゴメリー、DEジャリアス・ウィン
- 予想された顔ぶれ。
- NTアンソニー・トリビオが解雇されたのは、B.J.ラジが開幕戦に間に合うと判断された証拠、と考えたい。
- DEジャスティン・ハレルのインジャリーリザーブ入りは予想どおり。解雇すべきとの声も少なくない。
- DEジャリアス・ウィンはパスラッシュ力を評価され、6巡指名からみごとロースター入り。
- DEマイケル・モンゴメリーは手をギブスで固めながらもプレシーズン最終戦での働きがよかった。
- LB(9) OLBキャンプマン、OLBポピンガ、OLBマシューズ、OLBトンプソン、OLBブラッド・ジョーンズ、ILBバーネット、ILBホーク、ILBチラー、ILBビショップ、(TE/ILBヘイヴナー)
- 予想された顔ぶれ。
- OLBシリル・オビオザーを推す声も一部にはあったが、7巡指名のOLBブラッド・ジョーンズはスピードラッシャーとしての将来性を買われたのだろう。オビオザーは他球団に拾われるのでは、と見る向きもある。
- 昨年はドラフト外からロースター入りを果たしたILBダニー・ランサナーだが、今夏は充実したILB陣の中で生き残れなかった(しかもTE兼任のヘイヴナーまでいる)。チームは彼のトレードを模索したが、買い手がつかなかったらしい。
- CB(6) ウッドソン、ハリス、トラモン・ウィリアムズ、ブラックモン、アンダーウッド、CB/Sブッシュ
- 6巡指名のCBブランドン・アンダーウッドがロースター入りを果たした。解雇してプラクティス・スクワッドに入れるだろうという見方もあったが、キャンプでのプレーぶりは将来性を感じさせ、CBパット・リーの負傷にも助けられた。
- 2日前にヒザを負傷したCBパット・リーがインジャリーリザーブに入って2年目シーズンを終えることになった。ヒザのケガは軽くなく、全治6週間と診断された模様。
- しばらく前にはCB/Sジャレット・ブッシュの居場所はないと見られていたが、DB陣のケガ人続出でしぶとく生き残った。ケガ人の多いセーフティを当面はプレーするものの、やはりコーナーバックが本来のポジション、とチームは考えているらしい。以前のマンカバレッジよりゾーンカバレッジの方が向いている、との評価。
- S(4) コリンズ、ビグビー、ラウス、デリック・マーティン
- 最大のサプライズは、3番手のはずだったSアンソニー・スミスが解雇され、Sアーロン・ラウスが残ったこと。不安定さではラウスの方がひどい、と見られていた。守備範囲の狭さやアサインメントの不確かさにコーチ陣はよほど失望したのだろう。
- トレード加入のデリック・マーティンのポジションを公式サイトは「DB」と表示しているが、マーティン本人によると、「セーフティとしてプレーさせる、とパッカーズ側から伝えられた」とのこと。T/Gトニー・モールは解雇確実だったが、Sマーティンはレイヴンズでロースター入りの公算が大きかったようだ。
- プロ入り前のコンバインでSデリック・マーティンは40yds走を4.52秒。コーナーバックとしてはやや遅いが、セーフティとしては速い部類。ショートシャトル3.95秒は素晴らしい数字で、ワンダーリックテスト26点もDBとしてはかなり高い。
- 控えセーフティがこの顔ぶれでは、実戦での不安が大きい。マーティンは加入間もなく、ディフェンス習熟にしばらくかかるはず。ラウスはハムストリング負傷中。ブッシュはCBが本職でセーフティとしてどうなのか。逆に言えば、SSビグビーの先発の座はこれで安泰だろう。
- ST(3) Kクロスビー、Pカピノス、LSグード
- めぼしいパンターがFA市場にいればPジェレミー・カピノスと入れ替える可能性も残っているが、昨年同じことをやって失敗しただけに、やりづらいのではないか。
- 今後補強の可能性(すでにウェイバー選手への獲得希望を提出してあるはず)があるとすれば、QB、RB、DL、Sあたりだろうか。ウェイバー優先順は昨季の成績に基づくので、ドラフトと同じくパッカーズは全体9位。
- 今後どこかを補強した場合に解雇される候補は、G/Cイヴァン・ディートリック=スミス、OLBブラッド・ジョーンズ、CBブランドン・アンダーウッドあたりか。フルバックの1人も。
- ドラフト指名組ではOTジャマーン・メレディスだけが解雇され、ドラフト指名8人のうち7人が残った。G/Cイヴァン・ディートリック=スミスを合わせて今年のルーキーは8人。
- 今春FA補強したSアンソニー・スミスとC/Gデューク・プレストンはけっきょくどちらも解雇されてしまった。