グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2009年7月23日

ロースター展望 OLB編

3-4ディフェンスへの転換により、アウトサイドラインバッカーの役割もやはり大きく変わる(先月の記事参照)。パスラッシュの主役としてフロント7で最も目立つポジションになるのは間違いないが、ラン守備やパスカバレッジの役割も重要で、ヴァーサタイルな能力を求められる。これまで1人だけだったLBコーチはOLBとILBに分けられ、アウトサイドはかつての名選手ケヴィン・グリーンが担当することになった。

昨年までのDEからアーロン・キャンプマンとジェレミー・トンプソンがOLBに転向し、A.J.ホークとブランドン・チラーはアウトサイドからインサイドに移る。左OLBのスターターはキャンプマンで確定しているが、問題は右OLBで、今夏のトレーニングキャンプで最も注目される先発争いの1つだ。2年目のトンプソンと1巡ルーキーのクレイ・マシューズがスターターを争い、昨年までストロングサイドで先発していたブレイディ・ポピンガは早々に脱落してキャンプマンの控えに回る見込み。

ロースター枠は昨年までよりも大幅に増える。他の3-4のチームを見てみると、LB陣全体で9人または10人、というところが多いようだ。アウトサイド組は4人か5人。(控え)LBが増えるのはスペシャルチームの強化にもつながり、それが3-4の美点の1つでもある、とマッカーシーHCはコメントしている。

アーロン・キャンプマン  Aaron Kampman

プロ8年目の29歳。アイオワ大から2002年のドラフト5巡指名で入団、いまやNFLを代表するDEの1人に成長した。昨季は逆サイドが弱体化したために9.5サックに終わり、3年連続プロボウル出場は逃したが、プレー内容自体が悪くなったわけではない。今オフは3-4ディフェンス導入とともに彼のOLB転向も発表され、首脳陣はプロボウルDEの心情に配慮した発言を繰り返した。それでも本人は6月上旬までメディアに口を開かず、コンバートに乗り気でないのではないかと取り沙汰された。

体重は入団時の286ポンドから昨季は265ポンドまで絞り込んでおり、サイズ的にはぴったり。もともとDL陣最高の頭脳派で、アスレチック能力も高いので大丈夫だろう、という見方が多い。心配されるパスカバレッジの方は、もしイマイチならばドム・ケイパース新DCがスキームの方を調整するはず。今年が契約最終年なので本来は最優先で契約延長するべき選手だが、チーム側もキャンプマン側も、「3-4への適性を見きわめてから」と静観しているようだ。もしうまく行くようならシーズン中盤にも契約延長、逆に不向きとなれば、来春はFA市場に出て行くことになる。

ジェレミー・トンプソン Jeremy Thompson

ウェイク・フォレスト大から昨年のドラフト4巡指名でDEとして入団。トンプソンGMにとってキャリア初のトレードアップ指名だった。DEジェンキンズ負傷後は数試合スターターを任せられたものの、いくつものケガに悩まされ、サックはけっきょくゼロに終わった。もどかしいルーキーシーズンではあったが、首脳陣はそのポテンシャルを高く評価していた。今年はキャンプマン同様アウトサイドLBに転向し、多少体重を絞る方向でトレーニングしている。

もともとパスラッシュ一辺倒ではなくラン守備もよいバランスの取れたDEで、嗅覚に優れた頭のよい選手。大学時代のディフェンスではパスカバレッジに下がる仕事も多く、OLBへのコンバートは彼にとって大きくプラスに働いたようだ。今春のOTAやミニキャンプではずっと先発組でプレー。トレーニングキャンプではクレイ・マシューズの挑戦を退けられるかどうか。

クレイ・マシューズ Clay Matthews

USCから今年のドラフト1巡26位指名で入団。トンプソンGMにとってキャリア二度目のトレードアップだった。素晴らしいサイズとスピードとクイックネスに恵まれ、柔軟な動きのパスカバレッジも評価が高い。超名門一家の出身ではあるが、ウォークオン入学して最終学年でスターターに這い上がった努力家。大学ではDE/OLBハイブリッド、しかも入学時はセーフティをプレーしていたヴァーサタイルな選手で、3-4のOLBはパーフェクト・フィットと見られている。

高い代償を払ってトレードアップ指名した選手だけに、入団即スターターかと思われたが、OTAやミニキャンプではジェレミー・トンプソンに次ぐ2番手ROLBに留まっている。それでも、開幕時にはマシューズがスターターだろうと予想する記者は少なくない。大学ではスペシャルチーム経験が豊富なので、たとえ即先発できなくてもチームに貢献はできそう。

ブレイディ・ポピンガ  Brady Poppinga

ブリガム・ヤング大から2005年のドラフト4巡指名で入団し、2年目からストロングサイドのスターターに。ブランドン・チラーが入団した昨季も先発の座を守ったが、ポピンガのパスカバレッジの拙さを補うため、パスシチュエーションではチラーが起用される場面が多かった。苦手なりにカバレッジ技術は向上し、昨季は一度もTDを許さなかった。終盤はパスラッシャーとして右DE(大学時代に経験豊富)にも入ったが、サックはゼロに終わった。

今春は右OLBの仮スターターかと思われたが、2年目のジェレミー・トンプソンの後塵を拝し、しかもマシューズ入団のため、ポピンガは左サイドでキャンプマンの控えとなっている。スペシャルチーマーとしては優秀だが、先発LBの座は遠のくばかりで、昨年7月に結んだ4年$13.4ミリオンの契約延長はチームにとって裏目だったかもしれない。3-4に不向きと判断されれば、開幕前に解雇の可能性も。

ブラッド・ジョーンズ Brad Jones

コロラド大から今年のドラフト7巡指名で入団。40yds走4.54秒という素晴らしいスピードの持ち主だが、232ポンド(LB陣最軽量)はやや線が細い印象。本人によると、「大学では3ポイントスタンスからパスラッシュもしたし、タイトエンドをマンカバーしてセーフティのようにドロップバックすることもあった」とのことで、ヴァーサタイルなところが3-4向きと評価されての指名だろう。おそらくロースター最後の枠を争い、ダメならばプラクティス・スクワッド。

シリル・オビオザー Cyril Obiozor

テキサスA&M出身のドラフト外ルーキー。大学2年の終盤から先発DEを務めた。身長6フィート4のサイズと、40yds走4.75秒のスピードを兼ね備えている。両親ともナイジェリア生まれ。

カテゴリ : Player