グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2006年11月 2日

Pジョン・ライアン: 故郷からの贈り物

カナダ人パンターのジョン・ライアンは、NFL1年目ながらリーグ4位の平均47.1ヤードを記録してチームの期待に応えている。フィールドでは順調な彼だが、開幕前に父ボブが末期がんと判明し、精神的には非常に苦しいシーズンを過ごしている。バイウィークには特別休暇をもらって故郷サスカチュワン州レジャイナに滞在し、父と会うのはこれが最後のつもりで、涙の別れをすませてきたばかりなのだ。(先月の記事

死病に冒された父ボブに、なんとかしてランボーフィールドでジョンの雄姿を見せることはできないものかと、ジョンの代理人ギル・スコットがCFL サスカチュワン・ラフライダーズのジム・ホプソン社長に相談を持ちかけたのが事のはじまりだった。ただ航空券をプレゼントするだけでは旅はできない。ボブは、もう普通に旅行して普通にスタンドで観戦することができる体ではなく、どうしても特別扱いが必要なのだ。

そこで、実業家のポール・ヒル球団理事にホプソン社長が声をかけると、ヒルは即座にプライベート機の提供を承諾した。彼はライアン一家とは全く面識がないが、サスカチュワンを代表してNFLで頑張っているジョン・ライアンのためだ。こうしてカナダ側から連絡を受けたパッカーズは、一家のために急いでプライベート・ボックス席を割引価格で用意。病人がレジャイナ空港を往復するための救急用車両も手配され、ライアン一家の日帰り観戦旅行が実現した。

こうした成り行きを何も知らずに試合前のウォームアップをしていたPジョン・ライアンのところに、用具担当のレッド・バティがやってきて、「お父さんがあそこに来てるぞ」と声をかけた。振り返ると、選手入場トンネルの隅っこに、家族と一緒に父の姿が見えた。「こんなことは二度とない、人生で最も素晴らしい瞬間だった。ウォームアップを終えて父や家族と抱き合えるなんて。みんな目に涙を浮かべていたし、僕は泣き叫んでいた。この日のことは、きっと家族の誰もが一生忘れることはないだろう」

ファーヴをはじめ選手全員が列になってひとりずつボブと握手し、ハイファイブし、幸運を祈ると声をかけ、フィールドに出て行った。ライアン一家はプライベート・ボックス席に陣取ってパッカーズがカーディナルスに快勝するのを心から楽しみ、ジョンもNFLパンターにふさわしい50yds級を2本蹴って試合を終えることができた。子供の頃からパッカーズファンだったボブのため、試合後にはマイク・マッカーシーHCも挨拶に訪れ、ジョンは特別に家族と過ごす時間を許された。

ジョンの姉エリカは言う。「まったく現実離れした1日でした。朝レジャイナで目が覚めて、国境を越えてNFL観戦、しかも弟のプレーする試合を観て、夜にはまたレジャイナでベッドに入ることができるんですから。私たちが今日ここにいるのはとてもつらい病気のせいですが、こんな素敵な場所で素晴らしい試合を観ることができれば、あまり悲しくなどありません。この旅を実現させてくれたみなさんには、どう感謝したらいいか想像もつきません。私たちにとってどれほど意味のあることだったか」

「父はこのあいだ、『俺は幸運の星の下に生まれた』 と言っていました。重病人がなぜそんなこと言うのだろうと思ったら、『素晴らしい人生を過ごせた・・・充実した暮らしだった。何か悪いことが起こったときでさえ、必ず良いことが俺には起こるんだ』 って」

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