≪ 前頁へ | パッカーズの歴史 9 | 次頁へ ≫

二連覇

1966年。ラン攻撃はやや衰えを見せ始めましたが、QBバート・スター率いるパス攻撃がチームを引っ張ります。レーティングは105.0、インターセプトはわずか3回で、QBスターはMVPを受賞。ディフェンスも1試合平均11.6失点と、1962年に次ぐ素晴らしい数字を残し、パッカーズは12勝2敗で、過去7年間で5回目の地区優勝を果たします。

明けて1967年の元旦、NFL決勝の相手は、創立7年目にして躍進し、初めての地区優勝を果たしたダラス・カウボーイズ。率いるのはかつてのロンバルディの同僚 トム・ランドリーです。ダラスのコットンボウルに乗り込んだパッカーズは終始優位に試合を進め、スターが304yds、4TDを挙げてリードを広げます。しかしパッカーズのPAT失敗のあと、カウボーイズはQBメレディスの68ydsTDパスで7点差とし、試合終了直前にはパッカーズ陣2ヤードまで攻め込みます。しかし残り24秒、同点TDを狙ったパスをSトム・ブラウンがインターセプトして、34-27で試合終了。ロンバルディは二度目のNFL連覇を成し遂げます。

このシーズンは、NFL決勝で終わりではありませんでした。1960年に結成されたAmerican Football League (AFL)はNFLのライバルとして成長を遂げ、両者は話し合いの末、NFLが吸収する形で合併することに合意、1966年6月8日、NFLコミッショナーのピート・ロゼールがそれを発表しました。正式に合併してNFCとAFCになるのは1970年のことですが、さしあたってこの1966年シーズンから、両者の優勝チームによって、AFL-NFL World Championshipが行われることになりました。これがスーパーボウルと呼ばれるようになるのは、第3回大会からのことです。

バート・スターはロンバルディの分身 NFL決勝でアクロバティックなTDを決めた
WRボイド・ダウラー

第1回スーパーボウル

1967年1月15日、ロサンゼルス・コロシアムで開催された第1回スーパーボウル(面倒だからこう呼びます)。パッカーズの対戦相手はQBレン・ドーソン擁するカンザスシティ・チーフスです。今では考えられないことですが、観客席は3分の2も埋まらず、このイベントのまだ頼りない地位を物語っています。前半は14-10と思わぬ接戦になりますが、第3Qの最初にFSウィリー・ウッドがインターセプトを奪うと、後半は21-0とパッカーズが圧倒し、最終スコアは35-10でチーフスを一蹴しました。

この時期、NFLとAFLとの力の差はまだ大きいと(実際のところはともかく)考えられていましたから、前評判はパッカーズの圧倒的有利。勝っても得るものは少ないが、負ければ全てを失うと恐れたロンバルディは、スーパーボウルまでの2週間、かつてないほどの厳しい練習を選手たちに課します。勝つだけでは十分でなく、圧勝しなければならないのです。そのせいもあって、百戦錬磨の選手たちも本番では固くなり、イージーなチャンスを逃してしまうことが何度もありました。ハーフタイムにロンバルディは、「固くなりすぎだ」と選手たちに言いますが、「そもそも俺たちをこんなに緊張させたのは誰だと思ってるんだ・・・」とLBレイ・ニチキはつぶやきます。試合後のロッカールームの雰囲気は、喜びの爆発というよりも、心からの安堵でした。

この試合で意外なヒーローとなったのがWRマックス・マギーでした。かつてはエースWRだった彼も盛りをとうに過ぎ、このシーズンはわずかパスキャッチ4回91yds。出番などないとタカをくくった彼は、前夜ホテルを抜け出して(門限破りは得意技でした)、素敵なブロンドとロサンゼルスの夜を満喫していたのです。試合開始直後、眠い目をこすりながら無駄話をしていた彼に、ロンバルディから声がかかります。「マギーーーーーー!」 門限破りがバレたのかと思いきや、最初のシリーズでエースWRボイド・ダウラーが負傷退場したため、彼に出番が回ってきたのです。

慌ててフィールドに飛び出した二日酔いのWRマギーは、ここで歴史に残る活躍をしてのけました。第1Q、自分の背中に当たりそうなパスをたぐり寄せるようにワンハンドキャッチした彼は、そのままエンドゾーンに走り込んで、37ydsのタッチダウン。このスーパーボウル史上初のタッチダウンを含め、パスキャッチ7回138yds、2TDの大活躍でした。

この試合がスポーツ史上どれほど重要なものになるのか、(他の人々と同様)わかっていなかったWRマギーは、スーパーボウル史上初のタッチダウンを決めたボールをいつものように審判に手渡してしまい、審判も何も考えずスタンドに放り込んでしまいました。後になって後悔したマギーはロサンゼルスの新聞に賞金付きの広告を出して記念のボールを探しますが、数十人もが名乗り出てどれが実物かわからないため、けっきょく断念したといいます。

スーパーボウル史上初のTDを
アクロバティックなTDパスキャッチ
で決めたWRマックス・マギー
NFLコミッショナーのピート・ロゼールから
トロフィーを受け取るロンバルディHC
後に自分の名前が冠せられることになる
≪ 前頁へ | 目次へ | 次頁へ ≫