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2007年 ルーキー紹介

2007 Green Bay Packers Draft Picks
Pick 全体 Pos. Name College 備考
1巡16位 16位 DT Justin Harrell Tennessee 大型のランスタッファー
2巡29位 63位 RB Brandon Jackson Nebraska ゾーンブロッキング向きの万能RB
3巡14位 78位 WR James Jones San Jose State ウェストコースト向きの強いWR
3巡25位 89位 S Aaron Rouse Virginia Tech
大型でアスレチックなSS
4巡20位 119位 OT Allen Barbre Missouri Southern 身体能力高い軽量OT。ディビジョンII
5巡20位 157位 WR David Clowney Virginia Tech やや細身の快速WR
6巡17位 191位 FB Korey Hall Boise State LBをFBに転向させてST兼務
6巡18位 192位 LB Desmond Bishop California 典型的なインサイドLBタイプ
6巡19位 193位 K Mason Crosby Colorado 飛距離のあるキッカー
7巡18位 228位 RB Deshawn Wynn Florida 2人目のRB指名は問題児タイプ
7巡33位 243位 TE Clark Harris Rutgers レシービングTEだがややスピードに難


 1巡16位 DT ジャスティン・ハレル Justin Harrell
Tennessee Senior 6-4 (193cm) 310lb(141kg) 40yds/5.05秒 1984年2月14日生

経歴 : テネシー州マーティン出身。高校では州西部のディフェンスMVPに選ばれたほか、TEとしても2年間で9TDを挙げるなど好成績を残した。バスケットでも3年間スターターを務めて平均17得点を記録。テネシー大に進むと2年目からスターターとなり、2005年には39タックル・2.5サックを挙げてオールSECの2ndチームにも選ばれた。

期待された4年目は第2戦で上腕二頭筋の部分断裂を負ってしまい、次のフロリダ大戦だけは強行出場したものの、そこでシーズンエンドとなった。手術後の経過は順調で、後遺症の心配はないとの診断を受けている。すでにリハビリの最終段階に入っており、ドラフト後ここまでコンタクト練習には参加せず個人ドリルにとどめているが、近いうちに完全復帰となりそう。

Strengths : サイズのわりに動きが軽く柔軟な素晴らしいアスリート。しっかりしたガタイとパワーがあり、腕が長い。腰まわりや太ももなど、さらに大きくできそうな骨格がある。ランプレーに対してライン中央をしっかり支える馬力がある。手の使い方が良く、相手を崩すのが上手い。ノーズタックルも3テクニックも両方問題なくこなせる。チェンジ・オブ・ディレクションもスムーズでボールキャリアーをよく追いかける。まだ伸びシロはかなりありそう。

Weakness : ケガが多い。昨年は上腕二頭筋の断裂でシーズンのほとんどを棒に振り、2003年春にも右足首のケガで手術を受けたことがある。高いランストップ能力と比べ、相手DLを割るペネトレートが得意でなく、サックを量産するタイプではない。パスラッシュでの嗅覚や判断力にはやや疑問符がつく。

メンタル面 : ワンダーリックテスト24点はDTとしてはトップクラス。精神的に非常にしっかりしていて、全プレーでホイッスルが鳴るまでハードに頑張る。キャプテンを務め、リーダーシップも評価されている。ケガを押してプレーできるタフさがある。昨季の第2戦で大ケガを負ったが、その次の大事なフロリダ大戦に強行出場してから手術を受ける道を選んだ。「フィールドに出てプレーして、大学でのキャリアを終えたかったんだ。エアフォース戦でケガをしたことを、テネシーでの最後の思い出にしたくなかった」

指名の経緯 : 他のポジションと比べてディフェンシブラインは弱点と見られておらず、RBかWRかTEを指名するとの予想が圧倒的だったため、指名の瞬間にはパッカーズファンからブーイングが起こった。12位でビルズがRBマーショーン・リンチを指名しており、残っていればRBリンチを指名するつもりだった、との情報もある。

ケガさえなければ1巡1ケタで指名されるような能力の持ち主との声もある。トンプソンGMが他の要補強ポイントを見送って指名した以上、ハレルを"Best Player Available"だと評価したのは間違いない。

パッカーズにとって : パッカーズには同タイプのライアン・ピケットがいることを考えると、ジム・ベイツ前DC(サンダース現DCの師匠格)の好んだ「大型DTを2人並べる」というスタイルに近づける意図なのか。DTはDEと比べて1年目から活躍することが難しく、2年か3年かけて成長していくことが多い。そのうえハレルは大ケガからの回復途上であるため、1年目からスターターとして活躍すると期待するのは酷かもしれない。ただ、彼がいなくても昨年の戦力はキープできている。

昨季DTコーリー・ウィリアムズは7サックの活躍を見せ、契約延長の方向と伝えられていたが、DTハレルを獲得したことで話が変わってくるかもしれない。ウィリアムズはどちらかというと(DTに多い)ナマケモノ系タイプと言われているため、今季の活躍しだいでは再契約してもよし、要求額が高ければ再契約を見送ることも可能になった。

テネシー大 : パッカーズはこの10年間テネシー大選手の指名が多く、1998年3巡DEジョナサン・ブラウン(この指名は失敗だった)、2000年2巡OTチャド・クリフトン、2001年6巡TEデヴィッド・マーティン、2004年7巡Cスコット・ウェルズ、そして今回のハレルで5人目となっている。ハレルとLTクリフトンは出身地も同じテネシー州マーティン。(人口1万人)

レジー・マッケンジー・プロ人事部長は母校テネシー大に人脈を持ち、ここの選手に非常に詳しいことが指名の多さの要因かもしれない。テネシー大の選手となると、彼が調査に派遣されるらしい。「レジー・マッケンジーは我々にとってMr.テネシーだ。あの見苦しいオレンジ色を常に身にまとい、非常に大きなコネを持っている。あそこの選手のことは知り尽くしている。それが役に立っているのは間違いない」とトンプソンGM。

故レジー・ホワイトもテネシー大の出身。ハレルは大学でレジー・ホワイトと同じ92番を着けていた。パッカーズでは92番が永久欠番となったため、91番を着ける。「レジー・ホワイトと同じ足跡をたどれるのは嬉しい。僕も大学では何度か彼に会う機会があった。チームを訪れて話をしてくれたんだ。偉大な人物であり、彼のフットボールを真似したいと思うような人だ」

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 2巡31位 RB ブランドン・ジャクソン Brandon Jackson
Nebraska Junior 5-10(178cm) 212lb(96kg) 40yds/4.41秒 1985年10月2日生

経歴 : シカゴに生まれ、11歳でミシシッピ州ホーン・レイクに移った。同市は州の最北部にあり、むしろテネシー州メンフィスの南郊と言った方がいい。RBとして活躍し、州の優秀選手として多くの賞を受賞。陸上の100m走では州大会6位、ベスト記録は10秒6。ネブラスカ大に進むとレッドシャツを経ずに1年目から390yds(平均4.6)、6TDを挙げる活躍を見せたが、2年目は肩のケガでプレー機会はほとんどなかった。

エースRBだったコーリー・ロス(現BAL)が昨年春に抜けると、ジャクソンを含め3人のRBが交代でプレーする体制となった。序盤は3rdダウンバック的な使われ方だったが、第6週からスターターに定着して万能バックとしてブレークアウト。14試合のうち9試合に先発してラッシング989yds(平均5.3)、パスキャッチ33回313yds、計10TDを挙げた。4年目は大学に残らず、アーリーエントリーする道を選んだ。

Strengths : 身長は高くないが、全体的にガッチリした体型で、肩まわり、太もも、ふくらはぎとよく発達している。アジリティに優れ、バランスがいい。インサイドを突くタフネスも、アウトサイドを駆け抜けるスピードもある。嗅覚に優れビジョンがよく、素早く穴を見つけてカットバックする、ゾーンブロッキング向きの鋭い加速がある。捕まえにくく、ビッグヒットを受けにくい。

今のネブラスカ大はウェストコーストオフェンスかつゾーンブロッキング・スキームを採用していて、パッカーズと全く同じ。パスキャッチ(チーム3位の33キャッチ)がうまく、ランアフターキャッチがよい。先発経験わずか1年のため、よく言えば使い減りしていない。レッドシャツを経ず3年間プレーしただけなので、まだ21歳と若い。

Weakness : スピードもパワーもエリート級ではない。コンバインでの40yds走は4.54秒で、"Pro Day"での4.41秒はかなり速いサーフェスに恵まれた。サイズが小さく、脚が短め。先発経験が1年しかなく、エースとしてキャリー数をこなせるか未知数のところがある。ボールの持ち方が雑になるときがあり、ボールセキュリティを改善する必要がある。パスプロテクションでのテクニックが磨かれておらず、簡単に押し込まれやすい。2005年春には肩関節の大きなケガで手術を受けた。

メンタル面 : 7巡指名のRBデショーン・ウィンと比べると問題児タイプではなく、メンタルはしっかりした選手のようだ。同大のランディー・ジョーダンRBコーチ(元OAK)によると、「自分の好きなことしかやりたがらない選手は多いが彼は違う。最初のころはパスプロテクションが好きじゃなかったが、『使ってもらいたければパスプロテクトだ。見せてみろ』と課題に挑戦させた。すると彼は居残り練習をして頑張った。(ブリッツしてくる)ラインバッカーのフィルムも居残り勉強して、とてもよいブロッカーになった」

指名の経緯 : パッカーズは1巡16位でRBマーショーン・リンチが残っていれば指名するつもりだったらしい。2巡15位(全体47位)の時点では、RBケニー・アイアンズ(17位でCIN)やRBクリス・ヘンリー(18位でTEN)が残っていたが、パッカーズはトレードダウンして3巡と6巡指名権を増やし、2巡31位(全体63位)でジャクソンを指名した。パッカーズ向きのジャクソンを高く評価し、彼なら2巡末でも残っていると予想したためかもしれない。他球団スカウトのコメントを見ると、かなり惚れ込んでいる者も一部にはいるが、3巡から4巡クラスとの評価が多い。

パッカーズにとって : RBアーマン・グリーンがFA移籍し、RBヴァーナンド・モレンシーは昨季代役スターターとして活躍したものの、シーズンを通して先発を務めた経験がない。そのため、少なくとも共同でスターターの重責を担えるRBが必要だった。RBジャクソンならウェストコースト経験が豊富なため、パスオフェンスでも期待できる。RBモレンシーも先発の座を狙ってバルクアップしており、今夏のトレーニングキャンプでは2人のスターター争いが注目の的となりそうだ。

ネブラスカ大 : パッカーズでネブラスカといえばやはりRBアーマン・グリーン(98年3巡でSEA)で、その他には1996年3巡指名のCBタイロン・ウィリアムズがいる。オプション攻撃の牙城だったかつてのネブラスカとは違い、今はビル・キャラハン(元レイダーズ)のもとでウェストコーストオフェンスをしており、同じくレイダーズで活躍したランディー・ジョーダンがRBコーチをしている。パッカーズのオフェンスにぴったりのタイプで、パスキャッチやブロッキングを含めた総合力でいえば、RBアーマン・グリーンのプロ入り時より即戦力タイプの可能性もある。

「ネブラスカはブロッキングにすごく力を入れてる。『ウチのシステムでは、ブロックできなければ出番はない』とコーチたちが言うんだ。1回の練習で二度もブロッキング・ドリルがある」とRBジャクソン。

アーリーエントリー : 先発経験がわずか1年、それもシーズン途中からエースとなったのに、4年目をパスしてアーリーエントリーする道を選んだ。「理由は2つある。いいシーズンを送れたのでそれを最大限に活かしたかった。もう1つは経済的な理由。母は糖尿病があって、それでも正看護婦として老人ホームで大変な仕事をしている。僕に全てを与えてくれた母を、今度は助けてやりたかった」

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 3巡14位 WR ジェームズ・ジョーンズ James Jones
San Jose State Senior 6-1(185cm) 207lb(94kg) 40yds/4.59秒 1984年3月31日生

経歴 : カリフォルニア州サンノゼ出身。フットボールのほかバスケと陸上でも活躍し、走り高跳びでは2m03cmを記録。西海岸の多くの大学から誘いが来たが、家族のそばにいるため地元サンノゼ州立大へ。2年目・3年目はスターターを出たり入ったりしていたが、4年目の昨季は70キャッチ893yds・10TDを挙げる大活躍でブレークし、一気にドラフト候補となった。

シーズン最後のボウルゲームでもニューメキシコ大相手に6キャッチ106yds2TDを挙げ、ゲームのオフェンスMVP。昨季のチームMVPとなり、カンファレンスの2ndチームにも選出された。

Strengths : 身長が高くしっかりしたガタイがある。クイックでスムースなルートランナー。腕が長く手が大きく、パスキャッチが上手い。ミドルに走り込むのを恐れず、競り合いに強い。ランアフターキャッチでのカットが鋭く、ショートパスをロングゲインにする。跳び上がるタイミングが良く、ジャンプボールに強みを発揮する。ベンチプレス(225ポンド)22回はWRとしてはトップクラスのパワー。ブロッキングがしっかりしている。パントのキャッチが上手く、昨年はパントリターン平均11.0ydsの好成績を残している。

Weakness : トップスピードがイマイチなので、ディフェンスをストレッチできない。ランアフターキャッチでディフェンダーをかわすのは上手いが、その後でぶっちぎることはできない。最も活躍した昨年も1キャッチ平均12.8ydsで、上位指名選手の成績としては物足りない。大活躍したのは昨年だけで、その前の3年間を合わせて先発9試合、計56キャッチ603ydsしか稼いでいない。

メンタル面 : 真面目なチームプレーヤーで、人柄は非常によいという評判。しかしワンダーリックテストはわずか9点で、今年コンバインで同テストを受けた中では下から4番目。

指名の経緯 : 昨季のパッカーズはレシーバー不足に苦しみ、両先発を除くとドラフト外入団の選手ばかり。今年はWR補強が必須と見られていたが、FAにはほとんど興味を示さず、WRランディ・モスのトレード交渉に集中していた印象。トレード条件は4巡指名権あたりだったため、3巡でのジョーンズ指名の後もおそらくトンプソンGMはモス獲得のつもりだったものと思われる。

ジョーンズはスピードやアシレティシズム不足のため4巡か5巡指名が予想されており、パッカーズの3巡指名はサプライズだったようだ。「非常に強く、とてもフィジカルなプレーヤーだ。身長は約6フィート1だが、プレーぶりはそれよりさらに大きい。彼が高いボールに飛びつこうとするとき、相手ディフェンダーはまるで崩れ落ちるかのように見える。トラフィックでもキャッチができ、ランアフターキャッチがいい。リターナー能力もある」とトンプソンGM。

パッカーズにとって : ランディ・モス獲得が不発に終わったため、今年の新戦力WRは3巡のジョーンズと5巡のデヴィッド・クラウニーだけ。あとは昨季出場経験を積んだルヴェル・マーティンやカーライル・ホリデイ、ショーン・ボディフォードの成長に期待するしかない。先発2人は確定しているため、ジョーンズは3番手争いをすることになる。パントリターン経験が豊富なのも魅力で、すでにミニキャンプではパントリターナー候補の1人に加わって練習をしている。

サンノゼ州立大 : 同大からのパッカーズ指名は球団史上わずか5人目で、33年ぶり。

極貧 : 子供のころは母と姉と従妹(その母は刑務所)の4人でホームレス暮らしをしていた。「僕の家族にとっては本当に大変だった。小さい頃は、僕らはホームレス向けののシェルターで寝泊りし、次はこのシェルター、次はあちらのシェルターという感じだった。食事にありつけない日もあった。僕はただハードに頑張り続け、それと神への信仰のおかげで、ここまで来ることができた」

ホームレスの境遇に堕ちたのはドラッグのせい。どちらもクスリ漬けだった両親は、彼が1歳半のとき離婚していた。母ジャネットはドラッグで逮捕されたせいで、10年以上勤めたヒューレット・パッカードの工場をクビになってしまい、やがて一家はホームレスに。彼は家計を助けようと路上でキャンディを売ったりした。「ママ、もうクスリはやめなきゃダメだ」と母に言ったのは彼が8歳のとき。しかし一家が安定した暮らしを手に入れるまでさらに4年ほどかかった。各シェルターは3ヶ月までしかいられないので、転校ばかりの彼は4つか5つの小学校に通ったという。

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 3巡25位 S アーロン・ラウス Aaron Rouse
Virginia Tech Senior 6-4(193cm) 223lb(101kg) 40yds/4.55秒 1984年1月8日生

経歴 : ヴァージニア州ヴァージニア・ビーチ出身。高校ではWR、RB、S、LB、CBで活躍し、地区の優秀選手の賞を多数。ヴァージニア工科大に進むと、レッドシャツを経て最初の2年間は控えアウトサイドLB兼スペシャルチーマー。3年目の2005年にはローバーとして全試合に先発し、カンファレンスの1stチームにも選出された。

1巡指名候補と期待された4年目だったがプレー内容が不安定で、13試合のうち3試合でベンチに下げられてしまった。2試合で3回ものパーソナル・ファウルを犯し、コーチの怒りを買ったということもあるようだ。

Strengths : かなりの長身セーフティで、6フィート4にしては素晴らしいスピードとフィジカル能力がある。元LBだけあってランサポートがいい。とんでもないビッグヒットはしないが、しっかりしたタックラー。ボールスキルに優れ、ビッグプレー能力がある。ディープを守るよりもボックス近くを守る方が向いている。

Weakness : まだセーフティ経験が浅く、粗削り。昨年はフルタイムのスターターではなかった。恵まれたアスレチック能力をフットボールで活かしきれていない。やや動きが硬く、プロのレシーバーを1on1でカバーする能力には不安が残る。ときおり抑制のきかないプレーが見受けられる。ラインバッカーとしてアグレッシブさやタフさが足りず、セーフティとしてカバレッジのミスが多すぎる、との評も。

メンタル面 : ワンダーリックテストは17点で、DBとしてなら平均クラスか。リーダーシップに優れたチームプレーヤーで、ウェイトルームのトレーニングも熱心。プレーぶりはあまり賢くないとの評判もある。

指名の経緯 : パッカーズは2巡15位から31位にトレードダウンして、この3巡25位指名権をジェッツから手に入れた。ディフェンスではセーフティが最も大きな穴と見られており、3巡指名権を使ったことは自然な流れ。ただ、3年終了時には1巡指名候補とも目されていたラウスだが、昨季の不振で評価が大幅ダウンしており、他チームのスカウトの評判もあまり芳しくない。3巡を使ったのはギャンブルとみなされており、LBとして起用した方がよいとの見方も。

パッカーズにとって : パッカーズはFSニック・コリンズの相棒となるストロング・セーフティが問題で、昨年はマーカンド・マニュエルをFAで獲って大失敗した。今春はFA補強がなく、大ケガから復帰してくるマーヴィール・アンダーウッドや、このアーロン・ラウスがマニュエルをプッシュしてほしいところ。しかしラウスの評判を聞くと「素材はすごいが荒削り」といった印象で、一人前になるのに時間のかかりそうなタイプではないか。

今年のパッカーズ指名選手は、3巡以降にスペシャルチームで期待できそうな選手が多く、このラウスも例外ではない。「アーロンについては、我々はずいぶん研究をした。ヴァージニア工科大の選手に多いが、彼は非常にダイナミックなスペシャルチーマーで、ヘビーヒッターだ。(課題とされる)パスカバレッジも問題ないとコーチたちは考えている」とトンプソンGM。

ヴァージニア工科大 : 同大からのパッカーズ指名は、1995年3巡のWRアントニオ・フリーマン以来12年ぶり5人目。同大のフランク・ビーマーHCは、2000年1月にマイク・シャーマンがパッカーズの新ヘッドコーチに選ばれたとき、惜しくも(事実上の)次点だった。

ラウスは同大での4月16日の乱射事件の際にはキャンパスにいなかった。「僕の知り合いは犠牲者にはいなかったけれど、ヴァージニア・テックは結束の固いコミュニティだ。ブラックスバーグの者にあのようなことが起きれば、全員が影響を受ける。僕はクラスメートを失ったわけじゃないが、同じような気持ちだ。心の中はとてもつらい。人生の全ての時を大切にし、与えられた全ての機会を大事にしようという気持ちにさせられる」

家族 : 彼にはすでに3歳の息子がいる。父ルーズヴェルトとは会ったことがない。彼が生まれる前年に父は兄弟を殺して服役。1999年に出所するとまた殺人を犯し、50年の刑に服しているからだ。

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4巡20位 T/G アレン・バーバー Allen Barbre
Missouri Southern State Senior 6-4(193cm) 300lb(136kg) 40yds/4.88秒 1984年6月22日生

経歴 : ミズーリ州グランビー出身。カンザスやオクラホマやアーカンソーとの州境に近い人口2000人ほどの街だ。高校ではフットボールとバスケの両方で活躍したがディビジョンI-Aからの奨学金オファーはなく、実家に近いディビジョンIIのミズーリ・サザン州立大へ。1年目の半ばから先発左タックルとなり、時おりDTとしてプレーしたり、スペシャルチームでも活躍した。

4年間で通算33試合に先発出場。通算254ノックダウンを挙げるなど圧倒的な力を発揮し、ディビジョンIIのオールアメリカン1stチームにも選出された。

Strengths : OLとしては最高クラスのスピードを持つアスリート。パスプロテクションではしっかりヒザを曲げる柔軟さがあり、パスセットも速い。ランプレーでは素早いファーストステップで優位に立つことができる。横へのモビリティもあり、プルブロックや自分のアウトサイドへのリードブロックも速い。相手のスタントやブリッツにアジャストするセンスもいい。軽量アスレチックでゾーンブロッキング向き。

Weakness : まだ粗削りで安定感に欠ける。アグレッシブになりすぎて、腰高になったりフットワークが乱れることがある。左タックルとしては、横方向へのクイックネスが理想的ではない。バルクに欠ける。下半身のパワーはやや物足りず、ランブロックで相手を押し込めないところがある。ディビジョンIIのスモールスクール出身で、NFLへの適応に不安が残る。

メンタル面 : 練習熱心で、ハードかつアグレッシブにプレーする。学習の早い方ではないが、そのぶん居残りでフィルム・スタディをしっかりやって補っている。ワンダーリックテストで11点しか取れず、今年ドラフト指名されたOL選手25人の中で最下位タイだった。そのためコンバインでは面接に呼んで、パッカーズのコーチたちが彼のフットボール理解力などをチェックしたが、結果は非常によかったとのこと。

指名の経緯 : 無名校出身ながら、ディビジョンIIのオールアメリカンに選ばれる活躍が認められてコンバインに招待された。コンバインでは各種目で優秀な数字を記録し、特に40yds走では全OL中最速タイムを出して注目の的となった。4巡指名は大方の予想通りのようだ。パッカーズとしてもドラフト中位でOL指名は予想されていたところ。

パッカーズにとって : ややパワーに不安のあるアスレチックなOT、という点で昨年の2巡指名のダリン・カレッジと全く同じで、ゾーンブロッキングにぴったりのタイプ。大学では3年半にわたって先発左タックルを務めたが、パッカーズに入団してからは、これまで全く経験のない左ガードを専門にプレーしている。センター以外の全てをこなせる能力がある、とコーチ陣は見ており、これから次第に複数ポジションを試していくことになりそうだ。

パッカーズOL陣はLTクリフトンの控えに不安があるが、バーバーに左ガードをやらせているということは、クリフトンが負傷の場合はLGダリン・カレッジを左タックルに回すつもりのようだ。その場合RGスピッツを左ガードに回してトニー・モールを右ガードに入れるか、トニー・モールを左ガードに入れるか、このバーバーを左ガードに入れるか、トレーニングキャンプでのプレー内容しだいとなる。将来的には、ダリン・カレッジかバーバーのどちらかがクリフトンの後継者となってくれれば理想的。

スモールカレッジ出身 : ミズーリ・サザン州立大からドラフト指名されるのは史上3人目で、今回のOTバーバーが最も高い順位。ただしドラフト外では、名WRロッド・スミス(DEN)やWRジェームズ・スラッシュ(WAS)を輩出している。「アスレチック的に非常に優れているし、強さもある。スモールスクールでプレーしていたのでアジャストメントは必要だろうが、コンバインでも有力校の選手に混じって全く物怖じしていなかった」とトンプソンGM。キャンペンOLコーチによると、「彼のビデオを見たら1試合で16回もパンケーキ・ブロックをした試合があった」

スペシャルチーム : 彼のスタッツで興味深いのは、スペシャルチームで7タックルを記録していること。300ポンドのOL選手なのに、なんとパントチームで(通常もっとも速い選手が担当する)ガンナーを務めていた。「やれと言われた時は、ジョークか何かだと思ったよ。でもやってみたらすごく上手くできることがわかった。去年は1年通してガンナーをやって、いいプレーがたくさんできた。とても楽しかったね」

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5巡20位 WR デヴィッド・クラウニー David Clowney
Virginia Tech Senior 6-0 (184cm) 188lb(85kg) 40yds/4.36秒 1985年7月7日生

経歴 : フロリダ州デルレイ・ビーチ出身。高校ではWR兼Sとして活躍し、シーズン10TDを挙げて無敗シーズンにも貢献。陸上では200mで州大会決勝に進出し、またバスケでもガードとしてプレーした。ヴァージニア工科大に進むと、レッドシャツを経ず1年目から12試合に出場。3年目にスターターとなって34キャッチ619yds、平均18.2ydsの好成績を残したが、4年目は肩のケガや盲腸の手術などで十分に力が出せず、424yds、0TDにとどまった。

Strengths : 優れたスピードとクイックネスを持つアスリート。スリム型だがバルクを増やせる骨格はある。トップスピードへの加速が速く、縦にフィールドをストレッチできる。難しいボールもキャッチできる。体重移動がスムーズで、スピードを落とさずにカットできる。ミドルへのルートを恐れず、ヒットされてもしっかりボールを守れる。細いわりにはブロッキングを頑張る。

Weakness : 華奢で馬力がないため、スクリメージでのリリースで相手DBに押されるとルート取りが乱れやすい。時おり(手でなく)体でボールを受けてしまう悪い癖があり、キャッチ力を疑問視する声もある。ジャンプボールへの対応が不安定。相手のカバレッジのソフトスポットを探すのがまだうまくない。ややケガが多い。大学でのリターナー経験はキックオフリターンが5回(平均23.8yds)あるだけ。

メンタル面 : 練習熱心で、陸上競技の方も大学4年間続けていた。昨年9月には盲腸で緊急手術を受けながら、9日後には試合に出場してタフなところを見せた。体調不十分なのに自ら志願してスペシャルチームのガンナーもプレー。学業優秀な選手の少ないWRというポジションだが、彼はすでに1学期早く卒業を済ませている。

指名の経緯 : 昨季34回424ydsしか稼げなかったのは、ケガに盲腸の手術そしてQBがヘボかったためだと同情する見方もある。シニア・ボウルの練習ではナイスキャッチを連発してアピールできた。コンバインでは、ハムストリングを少し痛めていたが4.36秒を出し、大学での"Pro Day"では4.29秒。各球団スカウトのコメントを聞くと、世間の評判よりもプロの評価が低いといった印象。

周囲も本人も3巡後半あたりを予想しており、5巡指名に不満な様子。「ドラフト初日はとてもがっかりした。待っても待っても他のレシーバーが指名されるばかりで、聞いたこともないような選手がいっぱいいた。4巡を見ているときもイライラが募ったよ。でも今の状況にはとても喜んでいる。グリーンベイに行けて、史上最高のQBの1人である殿堂入りクォーターバックがいて、そこで僕の能力を示すことができる」

パッカーズにとって : あらゆる面で3巡のWRジェームズ・ジョーンズとは対照的なタイプのようだ。素晴らしいスピードはあるが、ミドルへのパスを密集で競り勝つタイプではなさそう。入団後のミニキャンプでも前評判どおり、時おりビッグプレーは見せるが荒削りなところがあり、ジョーンズの方が明らかに評判がいい。スペシャルチームでは、クラウニーはパントリターンはせず(大学でも未経験)、キックオフリターナーの候補となっている。

WR陣では、両先発に加えて3巡のWRジョーンズまではロースター入りが確実。5人枠とすると、残り2つの枠を、このクラウニー、ファーガソン、ルヴェル・マーティン、カーライル・ホリデイ、ショーン・ボディフォードらで激しく争うことになる。昨年は4巡指名のWR/KRコーリー・ロジャースが開幕ロースター入りを逃している。

ヴァージニア工科大 : 同大からは3巡のSアーロン・ラウスに続いて今年2人目の指名。かつてのエース、アントニオ・フリーマン(1995年3巡)が同大の出身で、クラウニーとは以前から連絡を取り合っていたらしい。「僕と彼はメールとかで時々連絡を取り合っていた。僕の働きぶりを常にチェックしてくれてたんだ。ドラフトされたときも、お祝いの電話をくれたよ」

32名の犠牲者を出した同大銃撃事件では、彼はすでに卒業していたため校舎にはいなかったが、ニアミスに近い状況だったようだ。「事件現場からわずか道一本へだてたところがトレーニング施設で、いつもなら僕らはプロ入り準備のために、朝8時ごろから集まって鍛えていたところだった。あの日はたまたま仲間の1人の都合で時間を変更し、事件の時にはあそこにいなくて済んだ」

「僕の出身地のフロリダ州パームビーチ郡は殺人事件発生率が全米3位なんだ。だから、そんなところから家族を連れ出したい、というのが僕の夢だった。ヴァージニア工科大を選んだ理由の1つも、あそこならあんな事件など起きないと思ったからなのに」

陸上競技 : 大学でも4年間続けた陸上競技(60mや200mで活躍)の経験について、「僕は自分のことを『陸上もやるフットボール選手』だと考えている。陸上はフォームやスピードを作る役に立ったし、(フットボールの)オフシーズンにも体を作っておく助けになった」と本人。

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6巡17位 FB コーリー・ホール Korey Hall
Boise State Senior 6-1(185cm) 236lb(107kg) 40yds/4.73秒 1983年8月5日生

経歴 : 人口1600人のアイダホ州グレンズ・フェリー出身。高校ではRB兼LBとして活躍し、通算2,802ydsラッシング、359タックルを記録。レスリングでも州大会で準優勝した。地元ボイジー州立大に進むと、レッドシャツを経た1年目から先発ミドルLBに定着し、4年間ディフェンスの中心として活躍した。チームキャプテンとなった4年時も、スペシャルチームの中核としてもプレーを続けた。

105タックル、3.5サック、6INTと素晴らしい成績を残した昨年は、カンファレンス(WAC)のディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーやオールアメリカンの2ndチームにも選出されている。カンファレンスの1stチームは3年連続。

パッカーズにとって : 大学ではミドルLB専門だったが、パッカーズはフルバックへの転向を前提に指名した。スペシャルチーマーとしての評価が極めて高く、むしろそちらを期待されての指名のようだ。通常フルバックは2人枠なので、先発のブランドン・マイリーに加え、ルーキーの中から1人が開幕ロースターに勝ち残ることになる。ただし、彼ならLBとしてもロースター入りが狙える、と評価するスカウトもいる。

Strengths : 未経験のフルバックとしての長所や短所は知りようがない。スペシャルチームではオープンフィールドのブロックが非常に良い。アグレッシブで嗅覚に優れた、フットボールセンスのよいプレーヤー。LBとしては異例の通算11INTを記録しており、パスキャッチ力があると見てよさそう。直線スピードはないが、3コーンドリルだけはインサイドLBの中でトップクラスのタイムを記録し、FBとしてならトップ。

「ラインバッカーとしては小さいが、フルバックとして、スペシャルチームでも使える。よいタックラーであり、ヘッドハンターであり、よいブロッカーだ。よいモーターを持っている」とストックSTコーチ。

Weakness : LBとしてプロで先発するにはサイズが小さく、スピードも物足りない(FBとしては標準クラス)。フルバックは高校時代に少し経験があるだけで、1年目から戦力となるにはかなりの努力が必要。これ以上サイズを大きくする余地はあまりなさそう。

メンタル面 : ハードワーカー。ワンダーリック・テストは平均以上の25点で、メンタル面も頭脳面も申し分ない。高校でも大学でもキャプテンを務め、優れたリーダーシップを発揮してきた。タフなプレーぶりに加えて地元出身選手ということもあり、大学では非常に人気があった。学業は優秀で、すでに昨年12月に学位を取得して卒業済み。

指名の経緯 : トレードダウンを繰り返したことにより、パッカーズは6巡17位から3人連続指名。最初のコーリー・ホール、2番目のLBデズモンド・ビショップ、3番目のKメイソン・クロスビーと、全てスペシャルチーム強化を意識した指名となった。

2番手FB争い : 今年2番手FBを争う3人は全員がルーキー。しかも全員が他のポジションからの転向組で、18ヶ月前には誰もFBの経験がなかった。FBコーリー・ホワイト(アラバマ大バーミンガム)は大学ではRBとして活躍し、RB/FB兼用で使えそうなのが魅力。FBライアン・パウドレル(USC)は昨年春にLBからFBに転向し開幕スターターとして4キャッチ72yds1TDを挙げたが、第2戦で足首を骨折してシーズンエンド。3人の中でFBとして大学で出場したのは、このパウドレルの2試合だけだ。

先発のブランドン・マイリーも大学ではRBだったように、他ポジションからFBへの転向組が多いのは、ゾーンブロッキングのスキームではパワー型よりも軽量クイックネス型が求められ、「大学でフルバックしかさせてもらえないような選手では務まらない」という事情があるようだ。

スペシャルチーム : 「率直に言って、彼の最大の価値はスペシャルチームプレーヤーだと思っている。彼は最高のスペシャルチームプレーヤーで、ウチのスタッフはいくら褒めても褒め足りない様子だった。キャッチも非常に上手いし、信じられないほどタフだ」とトンプソンGMは賞賛している。ホール本人も、「僕の目標はNFLのロースターに入ることで、そのためにできることは何でもするつもりだ。オフェンスでもディフェンスでもスペシャルチームでも。とても気持ちが興奮しているし、オープンマインドで一生懸命頑張るつもりだ」

今年のパッカーズはスペシャルチームに重点を置いており、6巡指名の3人を筆頭に、11人中8人ほどがスペシャルチームで貢献できる可能性がある。マイク・ストックSTコーチは、「Mr.トンプソンの考えを代弁することはできないが、もといた若手選手に加えて今回のドラフトの質で、ウチのスペシャルチームをよくしてくれるだろう」と語っている。ドラフト後のミニキャンプやOTAでも、今年のマッカーシーHCはスペシャルチーム練習に多くの時間を割いている。

ボイジー州立大 : 同大からパッカーズにドラフト指名されたのは昨年2巡のLGダリン・カレッジが初めてだったが、すぐ翌年に2人目の指名となった。13戦全勝、全米ランク5位だっただけあって、今年のボイジー州立大からは同大史上最多の4人がドラフト指名された。なお、同大出身のFBブライアン・ジョンソン(現ベアーズ)もLBからFBへの転向に成功している。同大のクリス・ピーターセンHCとパッカーズのマッカーシーHCとは、15年前にピッツバーグ大のアシスタントコーチとして同僚だった。

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6巡18位 LB デズモンド・ビショップ Desmond Bishop
California Senior 6-2(188cm) 239lb(108kg) 40yds/4.77秒 1984年7月24日生

経歴 : ベイエリアに近いカリフォルニア州フェアフィールド出身。高校では同州のオール・ステート2ndチームに選ばれた。(おそらく学業成績の問題で)サンフランシスコの短大に進むと、13勝無敗の全米王座に貢献し、カリフォルニア州ジュニアカレッジ最優秀ディフェンス選手にも選出された。2年間そこで目覚しい活躍をしてからカリフォルニア大に移り、いきなり1年目から先発ミドルLBとしてディフェンスの中心となった。

カリフォルニア大に移って1年目の2005年には全試合に先発出場し、チーム最多の89タックルを挙げてPac-10カンファレンスの2ndチームに選出。翌2006年も着実に進歩を続けてカンファレンス最多の126タックルを挙げ、カンファレンスの1stチームにも選出された。

Strengths : 十分なサイズがあり、ぶ厚い体つきをしている。速いというよりクイック。頭とセンスがいい。嗅覚に優れ、常にスナップ後最初に動く選手。パスートのアングルが良い。ブロッカーを受け止められるサイズとパワーがあり、インサイドのランに対してしっかり穴を埋められる。タフでハードノーズなハードヒッター。コンバインでのベンチプレス33回はLBとしては最多。

Weakness : プロで先発LBとなるにはスピードやクイックネスがなく、速いRBについていけるかどうか。ブロックを振り払う手の使い方があまり上手くない。パスカバレッジに不安があり、ボールスキルもイマイチ。ランストップ系の控えミドルLBぐらいが精一杯ではないかという声もある。

メンタル面 : 常に全力を出し切るハードワーカー。ワンダーリックテストは15点で平均をやや下回るものの、フットボール頭はよく、ディフェンスの司令塔として的確に指示を出す。

指名の経緯 : ミドルラインバッカーは先発のニック・バーネットが契約延長も済ませて磐石、控えも昨年の3巡指名LBアブドゥル・ホッジがいるため、ミドルしかできそうにないビショップの指名には首をかしげる向きが多かった。スペシャルチーマーとしての能力も期待されての指名だろう。

パッカーズにとって : LBブレイディ・ポピンガの務めるストロングサイドが一番弱いというチーム事情のため、本来のミドルだけでなくストロングサイドでも試されることになる。スピード不足によるパスカバレッジ不安についてビショップ本人は、「パス攻撃の多いPac-10カンファレンスでは、ヴァーサタイルでなければやっていけない。パスカバレッジで苦労したとは自分では思っていない。どこからそんな評価が出てきたのかさえわからない」

LB陣のロースター枠は通常6人。ここまでのミニキャンプやOTAでは、ドラフト外のロリー・ジョンソン(ミシシッピ大)やジュワン・シンプソン(アラバマ大)の方が、ビショップよりも評判がいいようだ。スペシャルチーム能力が期待されているといっても、そのためにはまずロースターに残らねばならず、キャンプでの熾烈な控えLB争いを勝ち抜かねばならない。

スピード不足 : ビショップのスピード不足についてウィンストン・モスLBコーチ。「十分速くない、などと言う時は、気をつけた方がいい。4.5秒台のラインバッカーとか、世間はそういった選手に夢中になってしまうものだ。デズモンドが4.6秒や4.7秒であっても、フットボールプレーヤーとして速いプレーができるなら、私にとってはそれで十分なのだ。フットボールフィールドでいいプレーができるか? 相手を倒すのに十分速く走れるか? スペシャルチームでマイク・ストック(STコーチ)の助けになるか? ということが問題なのだ」

父もプレーヤー : 父デニス・ビショップはイリノイ大でDBとして活躍し、1983年にはUSFLからドラフト指名されてシカゴ・ブリッツでプレーしたことがある。この年のシカゴ・ブリッツでは名将ジョージ・アレンがヘッドコーチを務めていた。

カリフォルニア大 : 同大から指名されたのはパッカーズ史上9人目。一昨年の1巡指名QBアーロン・ロジャースも、同じようにジュニアカレッジ経由でカリフォルニア大に入っている。

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6巡19位 K メイソン・クロスビー Mason Crosby
Colorado Senior 6-1(185cm) 212lb(96kg) 40yds/5.2秒 1984年9月3日生

経歴 : テキサス州ジョージタウン出身。高校ではキッカー(最長59yds)とパンター(最長64yds)の他にフリーセーフティとしても活躍した。全米トップクラスのキッカーと評価されてコロラド大に進むと、レッドシャツを経ず1年目からスターターに。2年目から3年連続してBig12カンファレンスの1stチームに選出、3年目にはオールアメリカンの1stチームにも選ばれた。通算307得点、FG成功66回など同大史上最多記録をいくつも樹立している。

昨年FG成功率が下がったのは、60yds級のロングFGトライが多かった(50yds超を9回)ためで、無理をさせたヘッドコーチに責任があるという指摘も。50yds以内に限ると4年通算で84.4%、昨季も89.4%の好成績を残している。キックオフは通算203回蹴ってタッチバック138回。

Strengths : 非常に強い脚力があり、長い飛距離を誇る。キックが正確で40yds以内を滅多に失敗しない。キックオフの飛距離と滞空時間は素晴らしいものがある。雨など悪天候にも強い。PATは過去2年間失敗していない。 昨年は正パンターの座も争ったように、代理でパントを蹴ることもできる。ゴルファーとしてもシングルの腕前で、その点はKライアン・ロングウェル(現MIN)と同じ。

Weakness : コロラドがホームだけに、その飛距離は標高の高さ(標高1655m)に助けられているという声もある。昨年はブロックされるキックが目立ったので、ブロックされないよう弾道を高くする必要がある。「ロングFGやキックオフでオーバーキック(無理に強く蹴るの意か?)しがちだ」という指摘もある。キッカーの中でも足は遅い方。

メンタル面 : 勝負強く、第4Qで真価を発揮するメンタルタフネスがある。ワンダーリックテスト25点は平均以上。すでに昨年12月に学位を取得して卒業済み。

指名の経緯 : 今ドラフト最高のキッカーという前評判が多かったが、コンバインでの出来がよくなかったせいか、けっきょく3番目。指名順位も予想よりはやや低かった。「6巡で指名されるのは、正直ぼくが夢見たようなことではなかったけれど・・・」と本人も語っている。パッカーズとしては、キッカー補強をするつもりはあまりなかったが、指名権がふんだんにあり、あまりに優秀なキッカーが残っていたため指名した、という事情のようだ。

パッカーズにとって : 先発1年目のKデイヴ・レイナーが合格点の成績だったのにクロスビーを指名した理由を聞かれたマイク・ストックSTコーチは、「競争だ」とひとこと。トンプソンGMは、「クロスビーは(ニーズ・ピックではなく)バリュー・ピックだと感じたからだ。彼があそこで残っているとは思わなかった。競争を持ち込む1つの方法だし、キッカーなどスペシャリスト・ポジションには特に大事なことだと思う」と語っている。

クロスビーを指名したパッカーズに対し、ジャイアンツからKデイヴ・レイナーのトレードの打診があったらしい。しかしパッカーズが断ったため、ジャイアンツはチーフスからKローレンス・タインズを獲得した、という事情のようだ。今夏のトレーニングキャンプでは、クロスビーとレイナーのキッカー争いが注目を集めることになる。

標高のおかげ? : 標高の高いコロラド大(標高1655mのボルダー市)でプレーしていただけに、「飛距離は薄い空気のおかげでは?」という疑問がつきまとう。「去年の僕はアウェーでのFGトライが多かったし、3年生のときには50yds超を5本蹴ったうちホームは1本だけだった。通算では、50yds以上成功のうち半分ほどがアウェーでのものだったはずだ。薄い空気のおかげでロングキックを成功させていたとは思わない。(たとえ飛距離が出ても)成功させるにはバーの間を通さなければならないのだし、海抜0mで30ydsしか決められないヤツがコロラドに行ったって60ydsは決められない。標高などたいしたことはないと思う」

コロラド大 : 同大からのドラフト指名はパッカーズ史上16人目。60年代黄金期のエースレシーバー、ボイド・ダウラーが1959年の3巡指名でコロラド大からパッカーズ入りしている。また、WRとして活躍したあと長年ランボーフィールドの場内アナウンサー(一昨年引退)を務めたゲイリー・ノーフェル(Knafelc)もコロラド大の出身。

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7巡18位 RB デショーン・ウィン Deshawn Wynn
Florida Senior 5-11(181cm) 232lb(105kg) 40yds/4.48秒 1983年10月9日生

経歴 : オハイオ州シンシナティ出身。高校では4年のうち3シーズンで2000ydsラッシング・30TDという驚異的な成績を残し、全米トップを争う有力RBと評価される。フロリダ大に進むと、レッドシャツを経た1年目から控えRBとして540yds・5TDを挙げる活躍。しかし2年目は成績が落ち込み、3年目はスターターとなったものの問題を起こして出場停止処分を受け、先発は6試合にとどまった。

4年目の昨季は中盤にヒザを捻挫、終盤には肩を痛めたため、シーズン後半のキャリー数が大幅に減り、けっきょく124回630yds(平均5.1yds)どまり。それでもオハイオ州立大とのBCSチャンピオンシップゲームでは69yds・1TDを挙げ、全米王座に貢献している。中途半端なシーズンばかりだったため、賞には無縁の大学4年間だった。

Strengths : フルバックのような発達したガタイと、十分なスピードを持っている。バランスがよく、鋭いカットができる。オープンを走るよりも、鋭い加速で両タックル間を走り抜けるタイプ。ブロッキングは改善が必要だが、NFLでパスプロをこなせるだけのサイズとパワーはある。パスキャッチは大学通算でわずか35回しかないものの、ランアフターキャッチはよく、アンダーニースのレシーバーとしてまずまず武器になる。

Weakness : 大学入学時の評判はかなりのものだったが、4年間通して期待を下回る成績しか残せなかった。やや姿勢が高いため、ビッグヒットを受けやすい。インサイドランナーとしてはフィジカルさに欠け、アウトサイドを走るにはスピードや瞬発力に欠けるかも。ブレークアウトの兆しを見せたところでケガをしてしまい、なかなかシーズンをフルに活躍できない。精神面でのリスクが大きい問題児タイプ。

メンタル面 : コーチと問題を起こして出場停止を喰らったことがある(詳しくは下記で)。酷評するスカウトたちのコメントをまとめると、才能はあるがハードに走らない、食うのは好きだが体調管理に興味がない、不真面目、やる気に欠ける、悪いヤツじゃないが精神的にタフでない、などなど。ワンダーリックテストは平均をやや下回る16点。

指名の経緯 : フロリダ大のスタン・ドレイトンRBコーチはかつてパッカーズでコーチをしていたので、パッカーズ側は彼からウィンの精神面について詳しく聞き、ドレイトンは良いことも悪いことも包み隠さず話したのだという。「彼は悪い人間ではなく、人格面のリスクがあるとは我々は思っていない。ただ、フロリダ大で何度かルールに従わなかった、ということだ」とトンプソンGM。多少のリスクがあっても7巡なら、と判断したのだろう。

パッカーズにとって : アーマン・グリーンが抜けてエースRB不在となったため、2巡指名のブランドン・ジャクソンに続いて2人目のRB指名となった。ジャクソンとヴァーナンド・モレンシーが先発を争い、このウィンとノア・ヘロンが3番手を争うものと見られているが、目覚しい働きを見せれば誰がスターターになってもおかしくないチーム状況にある。

232ポンドのサイズがあるので、コーチ陣はフルバックとしても試したい意向を明らかにしている。「フィールド上のこともフィールド外のことも、我々は十分に調査して熟慮した結果、魅力ある選手と判断して指名した。ヴァーサタイルな才能があるので、おそらくハーフバックとフルバックを兼ねることも可能だろう」とエドガー・ベネットRBコーチ。大学ではリターナー経験はないが、ミニキャンプやOTAではキックオフリターナー候補として練習をしている。

問題児 : 事件を起こしたのは2005年のキャンプでのこと。練習中に携帯電話で話していて指示に従わなかったのが2005年開幕戦出場停止の理由と言われているが、実際は駐車ステッカーのちょっとした問題が原因だったと本人は語っている。3年目まではやる気に乏しかったと自分でも認めているが、4年目の昨年は精神的に大きく成長したとのこと。(5月の記事を参照)

「僕のしたことについていろいろな噂が出回っていて、自分ではどうすることもできない。ただ実際に会った相手には、正しい印象を持ってもらおうと努めている。僕の悪い噂を聞いていても実際に会う以上は、フェアなチャンスをもらいたいと思うだけだ」と本人。

フロリダ大 : 全米王座に輝いただけあって、今年は9人ものフロリダ大選手がドラフト指名された。同大からパッカーズに指名されたのは7年ぶり通算12人目。パッカーズで活躍した選手は不思議と少ないが、60年代にキッカー兼パンターとしてスーパーボウル連覇に貢献したドン・チャンドラーがいる。また、ホルムグレンの前にヘッドコーチを務めたリンディ・インファンテも同大の出身。(DBとしてブラウンズに9巡指名)

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7巡33位 TE クラーク・ハリス Clark Harris
Rutgers Senior 6-5(196cm) 261lb(118kg) 40yds/4.78秒 1984年7月10日生

経歴 : ニュージャージー州マナホーキン出身。高校ではTE兼DE兼ロングスナッパーとして活躍し、バスケや陸上の槍投げでも実績を残した。地元ラトガーズ大に進むと、レッドシャツを経た1年目は2番手TEとしてパスキャッチ213ydsを記録。2年目には先発に昇格して53回725yds・5TDの大活躍を見せ、カンファレンスの1stチームにも選出される。

しかし3年目は38回584yds(それでもカンファレンス1stチームに選出)、4年目は34回493ydsとスタッツが少しずつ下がってしまい、ドラフトに向けてアピールすることはできなかった。RBレイ・ライス(1794yds・20TD)とFBブライアン・レナード(2巡でラムズへ)をフル活用するチーム方針の中でブロッカーを務めることが多く、2人の影に隠れた面もあったようだ。

Strengths : サイズがあり、スピードはまずまず。スムーズで流れるような動きをする。体から遠いボールもうまくキャッチする。タフでミドルを走る度胸があり、密集での競り合いにも強い。嗅覚に優れルート取りがよく、ゾーンの隙間を探してフリーになるのがうまい。ロングスナッパーを兼ねていた。

Weakness : 安定感のある優れた大学選手だが、NFLでやるには身体能力が低いのでは、と見られている。レシーバーとしては瞬発力に欠け、スナップ直後の爆発的な加速がない。フィールドを縦にストレッチするスピードがなく、ランアフターキャッチもイマイチ。時おり集中力を欠き、イージーな落球をすることがある。腕が短い。ブロッカーとしてはフットワークなどテクニックが磨かれておらず、フィジカルなマッチアップでは弱い。発達した上体に比べ下半身のパワーが物足りない。

メンタル面 : Wonderlicテストが40点と非常に頭がよく、全ドラフト選手中2位か3位の高得点。フィールド外での優等生ぶりと比べ、フィールド上での激しさに欠ける。タフガイぶっているだけの "Fake Tough" と酷評するスカウトもおり、ブロッカーとしてやる気に欠ける、とも。

指名の経緯 : 大学3年までの実績から昨季開幕前は有力TEの1人と目されていたが、プレー内容や身体能力を精査されるにつれ評価が下がり、ついには今ドラフト最下位指名のタイトエンドとなった。TEが不作だった今ドラフトで7巡終盤まで残るということは、プロの評価がよほど低かったのだろうと想像できる。

「彼は非常によいパスキャッチャーだ。ルート・ランニングの能力もとても高い。デカい選手だが、おそらくブロッキングは少し改善する必要があるだろう。あの順位としては、十分価値のあるピックだったと思う」 とトンプソンGM。

パッカーズにとって : ただでさえ低レベルのユニットからデヴィッド・マーティンが抜け、タイトエンドはかなり手薄になってしまっている。FA補強もできず、新戦力と言えるのはこのTEハリスだけ。(OLに新人が3人いた)昨年よりはブロッキングの仕事が減り、ババ・フランクスが大スランプから立ち直るとしても、大きな上積みは見込めない。ドナルド・リーやトリー・ハンフリーの伸びシロもたかがしれている。できれば総替えしたいぐらいだ、という地元記者もいる。

ミニキャンプやOTAではハリスの出来について、良いとも悪いとも評判はあまり聞かれなかった。ロースター枠は通常3人で、ハリスは3番手を争うことになる。残れなければプラクティス・スクワッドの有力候補となるだろう。

ロングスナッパー : ロングスナッパーもできるのはプラスだが、ミニキャンプではLSロブ・デイヴィスと比べてかなり不安定で、1年目からロングスナッパーの座を奪うのは無理のようだ。もしロースターに残れれば、1年か2年修業していずれデイヴィスの後継者となる可能性も出てくる。ロングスナッパーが他のポジションも兼務できれば、ゲームデイの45人ロースターを編成するのに余裕ができる。「スナップは大好きだ。僕はプライドを持ってやっているし、キャッチ練習などと同じぐらい練習している。NFLに入っても同じようにロングスナップできればいいと思っている」と本人。

その他 : 同大からパッカーズにドラフト指名されたのは57年ぶり2回目。パッカーズの7巡指名選手といえば、WRドライバー、RTタウシャー、Cウェルズの3人が現在スターターを務めている。

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updated : 2007/07/03