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2002年 ルーキー紹介

2002 Green Bay Packers Draft Picks
Pick Overall Pos. Name College 備考
1巡20位 20位 WR Javon Walker Florida State 2年目後半に急成長
3巡27位 92位 S Marques Anderson UCLA なかなかスターターになれない
4巡37位 135位 FB Najeh Davenport Miami (FL) 2番手RBに
5巡21位 156位 DE Aaron Kampmann Iowa 貴重なパワーDE
5巡29位 164位 QB Craig Nall Northwestern State 3番手QB
6巡28位 200位 OT Mike Houghton San Diego State 開幕ロースターに残れず
ドラフト外 OT Kevin Barry Arizona 貴重な控えOT
ドラフト外 RB Tony Fisher Notre Dame 3番手RB


WR ジャヴォン・ウォーカー Javon Walker
ドラフト1巡(20位) 背番号84 190cm 95kg Florida State 1978年10月14日生

経歴 : 高校時代は野球とフットボールの両方で活躍したマルチアスリート。マーリンズからドラフト8巡指名を受け、高校卒業後は2シーズンをマイナーリーグでプレー。しかしバッティングで芽が出ず、2Aどまり。そこでフットボールに戻る決心をしてジュニアカレッジで2年間過ごし、2000年にフロリダ州立大に編入。1年目から期待されたが、足首のケガなどで20キャッチ、311ydsにとどまる。そして翌2001年は、45回944yds、7TDと、平均20yds超の活躍。ヴァージニア工科大とのゲイター・ボウルではなんと195ydsの大活躍で、最後のシーズンを締めくくった。

セールスポイント : スピード(40ヤード走を4.4秒弱)とサイズの理想的なバランス。ストライドが大きいが、動きが柔らかい。ディープスレットとしてのビッグプレー能力にも事欠かない。手が大きく、腕が長く、パスキャッが上手い。サイドライン際の高く難しいボールも巧みにキャッチする。2001年になってから急成長したため、粗削りの反面、まだまだ伸びる余地を残している。

弱点? : 1部校での経験が2シーズンしかなく、まだまだ粗削り。特にルート取りや、相手のカバーを読む能力などを磨く必要がある。難しいボールを捕るかわり、集中力を失って簡単なボールを落とすことがある。恵まれた体の活かしかたをまだわかっていない、との声も。

メンタル面 : 大学3年時に"Wonderlic Test"(知能・一般常識テスト)でわずか9点しか取れなかったことから、「頭が悪い」とか「注意力障害では?」という噂があった。そのためドラフト前にグリーンベイに呼んでみっちり面接。プレーブックを見せたり、ホワイトボードを使ったりなどして複雑なウェストコーストオフェンスを学習する能力があるかどうかをチェック。これなら大丈夫、との結論に至った。

野球のマイナーリーグで大人に混じって苦労した経験があるせいか、「人間として成熟している」とパッカーズ首脳は高く評価。マイナーリーグと契約した時の金をちゃんと投資してあるように、金銭面でも堅実。明るく人懐っこいタイプで、ヘイトリー副社長が「カリスマ性がある」と評するほど首脳陣は彼の性格に惚れ込んでいる。警察沙汰を起こしたことは一度もない。一人っ子で、父の顔は知らない。

指名の経緯 : 4年生時は頼りないQBのせいで、それほど際立った数字を残したわけではない。その後のスカウティング・コンバインや大学での公開ワークアウトで素晴らしい動きを見せ、大幅に評価を上げた。パッカーズは「スタルワースに次ぐ今ドラフト2番目のWR」と評価し、ブロンコスが19位でWRレリーを指名した時点で、シアトルのホルムグレンHCとトレードを敢行。2巡指名権を投げ出し(5巡をもらったが)てまでウォーカーを獲りに行った。「確かにいいWRだが、トレードアップしなくても28位で指名できたのでは?」と疑問視する声も多い。

パッカーズにとって : 1988年のスターリング・シャープ以来、パッカーズがWRを1巡指名するのは初めて。「QBファーヴが全盛期のうちに、十分な武器を与える」という首脳陣の決意の表れだろう。しかし大豊作と言われた昨年のドラフト1巡WRたちが苦しんだように、WRが1年目から活躍するのは難しい。彼が即戦力になれるかどうかは、いかに早くウェストコーストオフェンスに習熟するかにかかっている。

現時点ではテリー・グレンがエースWRとなるのは確定的。4月末のミニキャンプでは、2年目のファーガソンが急成長を見せ、評価がうなぎ上りで今のところ2番手。ウォーカーは3番手をドナルド・ドライバーと争う、といったところか。もちろんフリーマンが減俸を承諾して残留すれば、フリーマンが2番手に入り、ファーガソンやウォーカーは順位が一つずつ下がることになる。また、ウォーカーはパントリターナーの候補でもある。

◆ 一年目を終えて ◆

トレーニングキャンプでファーガソンを上回り、3番手WRとしてシーズンへ。開幕戦でパスキャッチ4回56ヤードの活躍を見せて期待されたが、その後は50ydsの試合が一つあっただけで、1巡指名としては不満の残るシーズンだった。シーズン終盤には4番手WRに降格となり、レギュラーシーズンの最終成績は23回319ydsに留まった。

スピードを買われてキックオフリターンを任されることが多かったが、あまりリターナー向きの走り方でもなく、ビッグプレーはほとんどなかった。シーズン終盤には完全に「ルーキーの壁」にぶつかり、11週以降の7試合ではパスキャッチわずか10回109yds。時おり光るものを見せるが、集中力に欠けるのかイージーな落球が多く、毎試合のように凡ミスがあった。しかし両先発WRの途中退場したプレーオフでは、キャリア最高の5回104ydsの活躍。

確かにドラフト1巡としては物足りない成績だったが、ルーキーWRというのはえてしてこういうもので、2年目以降にブレークすることも多い。プロのオフェンスに習熟し、考えなくても体が動くようになれば、集中力不足による凡ミスも減るはず。もちろんファーヴの剛速球にも慣れてくる。サイズがあって競り合いにも強いので、本来ウェストコーストオフェンスに向いたタイプ。来季は、グレンやファーガソンと2番手WRの座を争うことになりそうだ。

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S マーカス・アンダーソン Marques Anderson
ドラフト3巡(92位) 背番号20 180cm 97kg UCLA 1979年5月26日生

経歴 : 高校時代はフットボールの他に陸上のスプリンターとしても活躍。UCLAに入って1年目からCBでスターターに。フレッシュマン・オールアメリカンに選ばれる。しかし3年目となるはずの1999年は、学内でのトラブルで1年間の出場停止処分。しかし翌年復帰してからは精神的にも大きく成長し、ディフェンスのリーダーに。3年時はSS、4年時はFSをプレー。ジム・ソープ賞の候補。

セールスポイント : パワーがあり、アグレッシブで非常にフィジカル。ハードヒットが売り物でランプレーに強い。身長はやや低いが、腕が非常に長く、手が大きい。ジャンプ力もある。2年生まではCBをやっていたように、CBとしての能力もそこそこある。彼のヒットによってWRにパスを落球させたのが2001年には24回もあったという非公式記録も。DB全てをこなした経験もパッカーズからは高く評価された。スペシャルチーマーにもうってつけ。

弱点? : 3巡まで下がった理由は、ややサイズが小さいこと。強烈なヒットを得意とするかわり、時折ミスタックルがある。バックペダルがやや硬く、WRとの1on1でビッグプレーを許すことがある。しかしそれは彼の責任と言うよりも「UCLAのディフェンス全体がそんな感じだった」という同情的な評価も。

メンタル面 : '99年に、「障害者用の駐車スペースを勝手に使っていた」という件で、数人のチームメイトとともに大学から1年間の出場停止処分に。しかし「この経験で僕は成長した」と本人が語るように、復帰後の練習熱心さは高く評価されている。プロでも問題なさそう。

パッカーズにとって : もちろんチームの期待はリロイ・バトラーの後継者に、ということに尽きる。バトラーもエドワーズも大ケガからの復帰シーズンとなるため、彼らの体調次第では意外に早く出番が来るかも。また彼の獲得によって、2年目のバウ・ジューはCBに固定化でき、これでDB陣の駒は十分揃ったと言える。

指名後最初のミニキャンプでの評価は上々。他チームから偵察に来たスカウトによると「パッカーズのルーキーの中では最も良かった。むしろベテランのように見えた。スターターになる日も近いのでは」との嬉しい評価。ミニキャンプではCBとしてパスカバー能力のチェックも受け、まずまずの動きを見せたようだ。スペシャルチームでの貢献にも期待。

◆ 一年目を終えて ◆

第2週までは出場機会が全くなかったが、A・エドワーズが腕を骨折した第3週の@DETで、78ydsのINTリターンTDを決めてラッキーボーイに。第6週からは先発に昇格し、そのままシーズン終了までスターターを務めた。シーズン中盤までに4INT、2ファンブルリカバーを記録し、中盤の7連勝の原動力の一人だった。ビッグプレーメーカーとして、新人王の有力候補に挙げられたほどだった。

今季のルーキーの中で最もチームに貢献したアンダーソンだったが、終盤には完全に失速。ボールへの嗅覚は優れたものがあるが、まだポジション取りやアサインメントのミスが多く、終盤はミスタックルも増えた。最後の4試合でわずか合計5タックル。INTもファンブルフォースorリカバーも一つもなかった。相棒のダレン・シャーパーがカバーしてくれるうちはあまりボロが出なかったが、シャーパーが欠場した第17週とプレーオフでは、ディフェンス陣のウィークポイントになってしまった。今では、「中盤の活躍は単なるラッキーだった」と酷評する記者もいる。

来季も同じように、彼とエドワーズ、ボウエンの3人が先発の座を争うことが予想されるが、エドワーズは運動能力こそ高いがアンダーソンのような嗅覚やセンスに欠ける。ボウエンは堅実だがややスケールが小さい。というわけで、来季もアンダーソンがスターターとなる可能性は高い。今季はアンダーソンがスクリメージ近くで実質ストロング・セーフティとなることが多かったが、シャーパーは前に上がった方が活きる、という意見も多い。アンダーソンはCBの経験もあってパスカバー能力も高いから、フリーセーフティとして安心して使えるようになれば、シャーパーももっと自由自在に動き回れるようになるはず。

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FB/RB ナジェ・ダヴェンポート Najeh Davenport
ドラフト4巡(135位) 背番号44 185cm 112kg Miami 1979年2月8日生

経歴 : 高校時代はフットボールの他に陸上のスプリンター。マイアミ大に入ってテイルバック。1年目は、先発こそしなかったものの55回387yds、6TDを挙げる活躍。2年目、開幕戦で81ydsの大活躍を見せるが、その試合中に前十字靭帯断裂の大ケガを負い、そこでシーズンエンド。そのケガから復帰した3年時からはフルバックに転向。パワーランナーとしてショートヤーデージではRBも務める、というパターンは4年時も同様。大学最後のオレンジボウルは足の骨折のために棒に振ったが、全米王座マイアミ大の一員として知名度は高かった。

セールスポイント : 非常にガッチリとした良い体格。フルバックのサイズでありながら、スピードやクイックネスもあって、テイルバックも十分やれる。パスキャッチが非常に上手く、難しいボールにも器用にアジャストできる。フルバックとしての経験は浅いが、4年時にはリードブロッカーとしてもかなり進歩した。重心が低い。今年のドラフトではFBの中で1番か2番に評価されていて、4巡の最後で彼を指名できたのはラッキーと言える。

弱点? : フルバックでの経験が浅いこと。「まだテイルバックに未練があるのでは?」という意見もあり、そのせいでリードブロックにアグレッシブさが足りない、との指摘も。2年時の前十字靭帯断裂に4年時の骨折と、ケガに弱いのかもしれない、という懸念もある。

足の骨折 : 4巡の一番最後まで売れ残った理由は、左足(第五中足骨)を骨折した後の状態が芳しくなく、「さらなる手術が必要なのでは?」という懸念が大きかった(その場合、開幕に間に合わない可能性が大きい)。それさえなければ、悪くても3巡での指名が予想されていた。しかし、ドラフト後の詳細な検査の結果、「とりあえず再手術は必要なし」という診断が下されて、ホッと一息。4月末のミニキャンプはほとんどを見学したが、うまくいけば6月のミニキャンプから練習に参加できる・・・はず。

メンタル面 : マイアミ大では、最も尊敬されるリーダーの1人だった。何よりもチームの成功を優先する彼の自己犠牲の精神が認められ、チーム内で"Unsung Hero Award"に選ばれている。

パッカーズにとって : パスキャッチが上手いので、FBウィリアム・ヘンダーソンの後継者として理想的。昨年、ロースター上のRB/FBは5人だったが、FBはヘンダーソン1人で乗り切った。しかし本来これは好ましいことではない。ダヴェンポートなら両方の控えをこなせるので、ロースター構成の上でも理想的。フルバックとしては、ヘンダーソンの下で修行を積んでいく必要があるが、スペシャルチームでは即戦力として期待できるはず。

◆ 一年目を終えて ◆

大学時代にRBからFBへコンバートされたわけだが、今年の新人王、RBポーティス(DEN)や、今季ハイズマン候補となったRBマッゲイヒーがいたことを考えれば、RBでは出番がなかったのも無理はない。ドラフト前はFBの中ではトップクラスの評価だったが、骨折した足の状態が悪く、「今季はプレーできないのでは?」という懸念から、ドラフト指名順位が下がってしまった。パッカーズにとってはラッキー。

下位指名の割に記事になる機会が多かった。ドラフト前に起こしたトラブル(ウ○コ事件)のため、キャンプ前になって逮捕されて心配されたが、100時間の社会奉仕を条件に不起訴が決定。大学4年時に骨折した足の状態は、トレーニングキャンプになってもイマイチで、痛みをだましだましプレーを続けることになった。シーズン中にケガが多かったことも、キャンプで十分に体を作れなかったことが影響しているのだろう。しかし、体調が万全でなくても使いたくなるほど、キャンプではRBとしての能力の高さを示した。

ダヴェンポートは、「値段の安い T.J. ダケット(ATL)」と評される、250ポンド級の大型パワーランナー。パスキャッチも非常にスムーズなため、使い勝手は良い。シーズンに入り、彼が最も活躍したのはRBグリーンが欠場した@DET戦。22回84yds、パスキャッチも4回31ydsと大活躍し、そのせいか翌週にはRBミーリーが解雇されてしまった。これで完全にダヴェンポートは2番手RBの座におさまり、2番手フルバックの仕事は新加入のFBカーターが務めることになった。第10週のDET戦でもグリーンが途中退場した穴を埋めて10回73ydsの活躍。

少ないプレー機会で質の高いプレーを見せていただけに、第11週の@MINでキックオフリターナーをタックルした際に眼窩を骨折してしまい、インジャリーリザーブでシーズンを終えたことは本当に残念。来季は、今のところRBグリーンに次ぐ2番手RBの最有力候補だが、安いベテランRBを獲得するパターンも十分考えられ、2番手の座は決して安泰ではない。まずは故障箇所をきちんと治し、しっかり体を絞ってキャンプを迎えること。彼が潜在能力を出し切れば、グリーンの負担を減らし、チームのラン攻撃に別の味付けを加えることもできる。

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DE/DT アーロン・キャンプマン Aaron Kampman
ドラフト5巡a(156位) 背番号74 193cm 130kg Iowa 1979年 11月 30日生

経歴 : 高校時代はラインバッカーとしてオールアメリカン。アイオワ大に入っても2年間はインサイドLB。2年時は全試合に先発して103タックルを記録。3年時からディフェンシブ・エンドにコンバートされ、2000年は94タックル。2001年はエンドとタックルの両方をプレー。92タックル、9サックに加え、チーム最多17回のロスタックルを決めている。

セールスポイント : 「骨格からしてあと15ポンドは楽に増やせる」という評価が多く、パッカーズではDEよりもDTとして育てるつもりらしい。努力を惜しまないハードワーカーで、常に全力を出し切るタイプ。非常に賢い。ディシプリンもしっかりしていて、システムをキチンと守る。低いブロックも手を使ってうまくかわし、最後までボールキャリアーを追う。DEとDTの両方をこなせる柔軟性も魅力。

弱点? : NFLでパスラッシャーとしてやっていくにはやや瞬発力不足のため、やはりウェイトトレーニングでバルクアップしてDTをやるべき。DTでの経験は少なく、バルクアップとともに技術も身に付ける必要がある。

メンタル面 : 学業は非常に優秀。小学校の時は4年間で5年生の分まで修了してしまった。もちろん大学での成績もよかった。フットボールでは、決して手を抜かない、タフなハードワーカーとして評価が高い。精神面での欠点はほとんど見当たらない。

田舎育ち : 彼の育ったアイオワ州ケスリーは、人口80人。 銀行ひとつ、郵便局ひとつの町。「小さな、農業中心の町なんだ。お互いに全員の顔を知ってる。あまり動きがないけど、暮らすのには素晴らしいところだよ」とキャンプマン。しかし彼の通っていた高校からは、この6年間で4人のNFL選手を輩出している。

指名の経緯 : この5巡指名権は、WRウォーカーを指名するためにトレードアップした際に、2巡と引き換えにシアトルから受け取ったもの。また、キャンプマンを指名しようとしている時にビルズからトレードアップの申し出があったが、シャーマンHCは拒否。あとで聞くと、ビルズもキャンプマンを指名しようとしていたらしい。彼はスカウティング・コンバインには招待されなかったが、大学で行ったワークアウトが非常によく、スカウトの評価を上げたらしい。

パッカーズにとって : バルクアップするまでは、主に”パワー・エンド”としてDEヴォニー・ホリデイの控え、また”エレファント・エンド”の控えをさせることになるだろう、というのがヘイトリー副GMの考え。そして次第にサイズが大きくなればDTへ。今年に関してはどのくらいやれるかは未知数だが、ホリデイの控えの座をビリー・ライオンと争う、といったところか。

◆ 一年目を終えて ◆

開幕して3試合はアクティブ登録さえされなかったが、先発DEホリデイとジョンソンが相次いで戦列を離れ、非常事態となった第4週以降は、6試合に先発出場。堅実な働きで、ディフェンスラインの崩壊を防いだ。しかし第11週のMIN戦で手を骨折してしまい、(手で掴めないため)大幅にパフォーマンスが落ち、やや尻すぼみになってしまったのが惜しまれる。それでも、5巡指名ルーキーにしては貢献度は高かった。

ドラフト指名当初は、「体重を増やしてDTとして育てる」という話だったが、やはりDE、ストロングサイドを守る"パワー・エンド"が良さそうだ。サック数は0.5と少なかったが、大事なのはランプレーで押されないこと。DEバジャ=ビアミラのような爆発的なスピードはないが、学習能力が高く、試合前の準備を確実に試合で活かせる頭脳的なタイプ。相手の動きをしっかり判断でき、アサインメントミスが少ないところは信頼できる。このあたりはドラフト前の評判どおり。

来季は、ホリデイが再契約するかどうかで、彼の運命は大きく違ってくる。ホリデイ、ジョンソン、バジャ=ビアミラと3人揃えば、キャンプマンのプレー機会はかなり制限されるだろう。しかしホリデイがいなくなったら、先発に定着するチャンスも出てくる。バジャ=ビアミラのラン守備は(良くなったとはいえ)まだ不安定で、DEジョンソンがそちらのサイド("エレファント・エンド")の先発に固定されるかもしれないからだ。

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QB クレイグ・ノール Craig Nall
ドラフト5巡b(164位) 背番号12 191cm 103kg Northwestern St.(La.) 1979年 4月 21日生

経歴 : フロリダ大の誘いを断ってルイジアナ州立大へ。しかしLSUでの3シーズン、毎年のように先発QBの座を争うが、ケガをしたり、Josh BootyやRohan DaveyがいてQBの層が厚かったこともあってチャンスを活かせず。WR陣にケガ人が続出した時には志願してWRをプレーしたり、スペシャルチームに参加することもあった。2001年春、出場機会を求めてノースウェスタン州立大に移る。即スターターとなり、大学記録となる2022ydsを投げてチームをディビジョンI-AAのプレーオフに導く。インターセプトはわずか3回(全てディフレクトされたもの)。両大学で陸上の槍投げの選手としても活躍。

セールスポイント : サイズはまずまず。肩もまずまず。足もまずまず。つまり、NFLの中では強肩と言えるほどではないが、水準以上の肩の強さはある。俊足といえるほどではないが、ウェストコーストオフェンスをこなすのに十分な、ファーヴ並のフットワークの良さがある。メカニカルが非常にしっかりしていて投球フォームに無駄がない。それによってクイックリリースが可能になっている。

弱点? : 上に書いたように、どのポイントもそこそこである。鉄砲肩ではなく、走りまくれるような脚ではない。ややミスが多い。ただ、弱点を指摘する方も、LSU時代のプレーしか見ていない人ばかりなわけで、転校後のことはよくわからない。結局のところ、QBというのはプロでやってみなければわからない。

メンタル面 : ディフェンスをよく読み、判断力もよい。リーダーシップにも優れている。LSUで苦労したこともあって、精神的にはしっかりしている。信仰心の篤さが、ポジティブな生活態度を支えている。転校後、すぐに結果を出したことは、頭のよさ、理解の速さを示しているのかもしれない。ドラフト指名後も、プレーブックの理解が進むにつれてミスは減ってきている。

アウトドア・ガイ : 狩猟やフィッシングの好きな完璧なアウトドア派。夏は水上スキーやウェイクボード。冬はスキーやスノーボード。どれも親戚ぐるみで楽しむらしい。

指名の経緯 : 全くの隠し球。名門校からマイナー校への、いわば「都落ち」であり、しかも転校先で1年しかプレーしなかったこともあって、ほとんどのスカウトの視界には入っていなかったようだ。スカウティング・コンバインにも招待されず、興味を示したのは3チームほど。「うまく隠しおおせたと思うよ。これなら6巡まで待っても指名できたかもしれないけど、下位指名でこれほど使えそうな本格QBを見たのはハッセルベック以来だしね」とシャーマンHC。本人はドラフトで指名されることはほとんど期待せず、ドラフト外ルーキーとしてどこかのキャンプに参加できればいい、と思っていた。

パッカーズにとって : 昨年あたりから、シャーマンHC/GMは「ファーヴ後のエースQBも探さなければ」と公言しており、彼の指名はその方針の一環でもある。2度のミニキャンプでの評価は高く、それはQBジョシュ・ハイペルの解雇にも表れている。現時点では、3番手QBの座はほぼ確定。「ひょっとしたら2番手のピダーソンを脅かすかも」とコーチたちは言っているが、さすがに1年目でそこまでは無理ではないか。

◆ 一年目を終えて ◆

プレシーズンゲームでは、最初の2試合の出来が芳しくなかったためにロースター入りが危うくなったが、あとの2試合で活躍を見せ、無事ロースター枠を確保。しかしシーズンでは上位2人のQBが欠場しなかったため、出場機会は全くなし。しかし多くのケガ人が出てやり繰りが大変だった中で、彼がロースターに残れたということは、ある程度の評価をされていることが窺える。'01年の第3QB、ヘンリー・バリスは、シーズン中にプラクティス・スクワッドに落とされたのだから。

今春のドラフトでQBを上位指名した場合、 彼の立場はどうなるのか。普通、QBはロースター上に3人だから、(ピダーソンのような)実績のある控えQBと、有望ルーキーQBの両方を抱えることになると、ノールの居場所がなくなってしまう。となると、彼としてはキャンプでベテランを打ち負かすしかない。もしドラフトでQBが指名されなければ、ロースター入りは大丈夫だろう。

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OT/OG マイク・ホウトン Mike Houghton
ドラフト6巡(200位) 解雇 196cm 143kg San Diego State 1979年12月1日生

経歴 : 生まれてからずっとサンディエゴで育つ。高校時代は円盤投げでも活躍。”ウォーク・イン”(奨学金なし)でサンディエゴ州立大へ進み、1年後にようやく奨学金を得る。このころ、練習では現パッカーズのDEバジャ=ビアミラを相手に毎日鍛えられる。2年時からはスターターになり、左タックルと右タックル。3年時はセンターと右タックル。4年時は主に右ガードをプレー。

セールスポイント : 5つのポジション全てをこなしたヴァーサティリティがなんといってもセールスポイント。毎年違うポジションをプレーできたこと自体、器用さや適応力、学習能力の高さを示しているとも言える。もちろん複数のポジションをこなせれば、NFLで生きていく上で非常に有利なのは間違いない。重心が低く、手の使い方が非常に素早い。横への動きも良い。

弱点? : 悪く言えば器用貧乏か。ただし、それは一つのポジションに固定せず、いくつものポジションをやらされたことが、成長を妨げた面もあるのかもしれない。

メンタル面 : ハードワーカー。精神的にはタフ。情報が少ないため、よくわからない。

DEバジャ=ビアミラを相手に : 「高校を出てすぐ、DEバジャ=ビアミラのような素早い相手と練習しなきゃならないっていうのは、ものすごく厳しい試練だった。でも僕はいつか彼をやっつけようとあきらめずに頑張ったよ」とホウトン。そのバジャ=ビアミラは2年先にNFL入りし、昨年は13.5サックの大ブレークで話題の人になった。「彼はNFLですでに成功を収めている。彼とまた会えて一緒にプレーできるというのは素晴らしいことだと思う」

指名の経緯 : 全くの無名選手で、スカウティング・コンバインにも招待されず、ドラフト前の各種資料でも全く触れられていない。本人もドラフトされるとは思わず、FAルーキーとしてプロ入りするつもりだった。パッカーズ首脳は同大学の別のOT(ドラフト2巡でテキサンズに指名されたChester Pitts)のビデオをチェックしている際に彼を発見したらしい。ベクトルOLコーチは、同大学のOLコーチから何度も何度もホウトンを強力に推薦され、渋々ビデオテープを見たら、彼の能力に惚れ込んだ、とのこと。「今年のドラフト指名選手の中では間違いなく最もヴァーサタイルな選手だ」とベクトルOLコーチ。

パッカーズにとって : 本人が言うには、「1年しかやっていないけど、ガードが一番向いていると思う。でもチームからやれと言われればどこだって喜んでやるよ」とのこと。しかしとりあえず、チーム事情から、手薄な左タックルと左ガードの控えとして試してみることになっている。これまでのミニキャンプではフルコンタクトではなかったため、まだ彼の能力はわからない。7月のトレーニングキャンプが本番。昨年までのバリー・ストークスのようにLT/LGの控えを兼ねてくれれば理想的だが、1年目からそこまで望むのは無理かもしれない。

◆ 一年目を終えて ◆

ドラフト指名直後のミニキャンプのころから、「期待はずれ」との声が多く、その評価を覆せないまま、開幕前に解雇されてしまった。その後すぐにビルズと契約。シーズン序盤は出番が全くなかったが、第8週のライオンズ戦でプロ初出場。がんばってほしい。

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OT/OG ケヴィン・バリー Kevin Barry
ドラフト外 背番号71 193cm 147kg Arizona 1979年7月20日生

ドラフト外入団。アリゾナ大4年の時、HC交代に伴うスキームの変更にとまどってしまい、シーズン中盤に何試合か先発を外されてしまう。それが響いて、ドラフトで指名されなかったようだ。パッカーズと契約してからは、すぐにそのポテンシャルの高さを見せつけた。キャンプではケガのせいで最初はモタついたが、しっかり開幕ロースター入りを果たした。ウィスコンシン出身ということもあり、キャンプ中から話題の人に。

大学時代は右ガードをプレーすることが多かったが、タックルの層の薄いチーム事情もあって、右タックルとして修業することに。長期計画で育てるつもりだったはずが、RTタウシャーの戦線離脱で、RTの2番手に昇格。そして第15週の49ers戦の直前、ドットソンが腰痛を悪化させてしまい、急きょバリーが先発することになった。時おりパスプロテクションで混乱もあったが、隣を守るRGリヴェラがつきっきりでアドバイスしてくれたこともあり、無事に大役を果たし終えた。そのまま3試合連続で先発出場。彼が並のドラフト外ルーキーだったら、オフェンスラインは崩壊していたところだった。

恵まれた身体を活かしたランブロックが得意、という点ではドットソンに似ているタイプ。やや学習能力に問題があると言われていたが、ルーキーでこれだけやれれば心配する必要はなさそうだし、先発で経験を積んだことは大きな財産になる。一年目は右タックル専門でやってきたが、クリフトンの大ケガもあって左タックルが足りないため、今年は左タックルの練習をさせていくとのこと。クリフトンの回復が遅れるようだと、ひょっとすると来季の開幕戦にバリーが先発していることも、ありえない話ではない。

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RB トニー・フィッシャー Tony Fisher
ドラフト外 背番号10 185cm 101kg Notre Dame 1979年 10月 12日生

ドラフト外入団。高校時代はオハイオ州の最優秀選手に選ばれたスター選手で、非常に期待されて名門ノートルダム大に進んだらしい。しかし何度もケガに泣かされたこともあって、4年間でラッシング384回1849yds。大学を出るころには忘れられた存在だった。しかしパッカーズのキャンプでは、キジャナ・カーターやジェイソン・ブルッキンズの不調を尻目に、オールラウンドな能力をアピール。第3RBとして見事開幕ロースター入りを果たした。

シーズン途中でFB兼任のダヴェンポートが2番手RBとなり、RBミーリーが解雇された時も、フィッシャーはなんとか3番手の座を守った。やがてダヴェンポートが眼窩の骨折で戦線離脱すると2番手に昇格。RBグリーンが途中退場した第13週のCHI戦では17回91yds。翌週のMIN戦は初めて先発出場し、25回96yds、1TDの活躍でエースの穴を埋めた。シーズン通算では70回283yds(平均4.0yds)。

185cm、101kgのフィッシャーは、どちらかというとパワータイプのRB。ファンブルも少ない。最大のセールスポイントは、何でもそつなくこなすことだ。パスキャッチが上手く、ブロッキングもしっかり出来て、ブリッツのピックアップも安心して見ていられる。ドラフト外ルーキーにありがちな、荒削りなタイプではないのだ。逆に言うと、突出した部分がないのがやや物足りない。RBグリーンのような一瞬のスピードはもちろん望めないし、パワーランもRBダヴェンポートほどゴリゴリいけるわけでもない。

今年もチーム側は比較的安いベテランRBと契約して競争させるだろうし、ドラフト下位でRBを指名する可能性もある。FB兼任のダヴェンポートのロースター入りはほぼ間違いないから、フィッシャーがロースターに残るには、やはり昨夏と同じようにキャンプでライバルを蹴落とさなければならないだろう。

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updated : 2003/02/07