水曜から始まった今年のOrganized Team Activities(OTA)。2日目の木曜は絶好の好天のもと、今年初めてファンや記者にチーム練習が公開された。労使協定により、選手たちはパッドを着けず、コンタクト練習も禁止されている。選手たちにとっては、7月末のトレーニングキャンプに向けて今年のシステムのインストールが主体。観る側にとっては先発組のラインナップやケガ人の回復具合が注目ポイントとなる。練習は1時間40分ほどで終了。次の公開練習は来週火曜日に予定されている。
欠席は3人。2巡指名WRダヴァンテ・アダムズと3巡a指名DTカイリー・ソーントンはNFL選手会主催のルーキー・プレミア(@ロサンゼルス)出席のため不在。また、DEジェレル・ウォージーは個人的事情のため休んでいる(後述)。
2日間にわたってルーキー・オリエンテーション・キャンプが行われた。参加したのはドラフト指名9選手、ドラフト外14選手、トライアウト参加28選手(下表)のほか、昨季プラクティス・スクワッドなどでまだ「1年目」の7選手。総勢58名だった。
練習は屋内練習場ドン・ハトソン・センターで行われ、ファン非公開。記者は初日だけ見学できた。このキャンプの目的は、パッカーズの練習やミーティングの流れに慣れ、今後のOTAやミニキャンプで先輩たちに遅れないようにすること。そうはいってもドラフト外やトライアウト参加の選手たちはつねに競争。初日から熱のこもったプレーが見られた。
2014 Packers Rookie Free Agents | |||||
---|---|---|---|---|---|
Pos. | Name | College | ht. | wt. | 40走 |
TE | Colt Lyerla | Oregon | 6-3 | 242 | 4.61 |
DE | Luther Robinson | Miami | 6-3 | 296 | 5.04 |
S | Charles Clay | Hawaii | 5-11 | 190 | 4.42 |
Invited to Minicamp as Try-out | ||||
---|---|---|---|---|
Pos. | Name | College | ht. | wt. |
QB | Jacob Karam | Memphis | 6-0 | 205 |
RB | Chris Rycraw | Ouachita Baptist | 5-10 | 199 |
RB | James Sims | Kansas | 5-10 | 207 |
FB | Jeremy Eddington | Rice | 6-2 | 250 |
WR | Cole Stanford | Cal Poly | 6-2 | 225 |
WR | Nick Truesdell | Cincinnati | 6-7 | 230 |
WR | Wilson Van Hooser | Troy | 6-0 | 197 |
WR | Travis Van Leeuwen | Utah State | 6-3 | 195 |
TE | Ike Ariguzo | Eastern Kentucky | 6-4 | 221 |
OT | Rico Forbes | Washington State | 6-6 | 300 |
OG | Jamal Ellis | Newberry | 6-4 | 315 |
OG | DaShawn Johnson | William Paterson | 6-4 | 310 |
OG | Theo Goins | Central Florida | 6-4 | 317 |
DE | Ted Ouellet | Bowling Green State | 6-3 | 282 |
DT | LT Tuipulotu | Utah | 6-1 | 305 |
LB | Brandon Denmark | Florida A&M | 6-4 | 230 |
LB | Nate Dreiling | Pittsburg State | 6-4 | 229 |
LB | Demetrius Hartsfield | Maryland | 6-2 | 240 |
LB | Cole Klotz | Wisconsin-Whitewater | 6-4 | 240 |
LB | Shaun Lewis | Oklahoma State | 5-11 | 225 |
S | Demetruce McNeal | West Alabama | 6-2 | 185 |
S | Greg Worthy | Furman | 6-1 | 208 |
K | Vincenzo D'Amato | California | 6-1 | 205 |
P | Paul Layton | Temple | 6-1 | 215 |
LS | Bryan Whitaker | Youngstown State | 6-3 | 230 |
パッカーズは下表のとおりドラフト外ルーキー13選手との契約を発表した。だいたいルーキーはドラフト/ドラフト外合わせて20人前後、というのが普通だ。CBトラモン・ウィリアムズやCBサム・シールズを筆頭に、パッカーズはドラフト外からの成功例が数多い。
新人たちは今週金・土と行われるルーキー・オリエンテーション・キャンプに向けてそろそろグリーンベイに集まってきている。彼らにくわえ、おそらく20人ほどの選手がトライアウト参加するはず。そのうち数人が正式契約に至るだろう。
2014 Packers Rookie Free Agents | |||||
---|---|---|---|---|---|
Pos. | Name | College | ht. | wt. | 40走 |
QB | Chase Rettig | Boston College | 6-2 | 214 | 4.97 |
RB | LaDarius Perkins | Mississippi State | 5-7 | 195 | 4.44 |
RB | Rajon Neal | Tennessee | 5-11 | 220 | 4.57 |
TE | Justin Perillo | Maine | 6-4 | 250 | 4.77 |
OG | John Fullington | Washington State | 6-5 | 301 | 5.39 |
OG | Jordan McCray | Central Florida | 6-3 | 310 | 5.42 |
DT | Carlos Gray | North Carolina State | 6-3 | 296 | 5.12 |
DT | Mike Pennel | Colorado State-Pueblo | 6-4 | 332 | 5.19 |
OLB | Jayrone Elliott | Toledo | 6-3 | 240 | 4.77 |
OLB | Adrian Hubbard | Alabama | 6-6 | 257 | 4.66 |
ILB | Jake Doughty | Utah State | 6-0 | 227 | 4.56 |
ILB | Joe Thomas | South Carolina State | 6-0 | 230 | 4.72 |
CB | Ryan White | Auburn | 5-11 | 196 | 4.51 |
パッカーズはトレードを一度もトレードを行わず、もともとの9つの指名権でそのまま指名してドラフトを終えた。交渉はたくさんあったが結果として成立しなかっただけ、とトンプソンGMは説明している。2日目までに指名された4人は背番号が決まっている。追記 : 全員決定。
ポジションを見ると、5巡a指名のCコーリー・リンズリーまではぴったりニーズに沿った指名と言える。5巡と7巡でさらにWRを獲ったのはニーズよりもBPAの結果だろう。指名がありそうでなかったのはクォーターバックぐらいか。
ドラフト最後の指名が終わった瞬間から、ドラフト外選手の獲得合戦が始まっている。すでに契約合意が伝えられた選手が何人かいるが、正式発表されてから紹介することにする。
2014 Green Bay Packers Draft Picks | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Pick | 全体 | Pos. | Name | College | 備考 | No. | |
1巡21位 | 21位 | S | Ha Ha Clinton-Dix | Alabama | 嗅覚に優れた即戦力フリーセーフティ | 21 | |
2巡21位 | 53位 | WR | Davante Adams | Fresno State | ジェームズ・ジョーンズに似たタイプかも | 17 | |
3巡21位 | 85位 | DT | Khyri Thornton | Southern Mississippi | ラン守備に優れたタイプ | 94 | |
3巡34位 | 98位 | TE | Richard Rodgers | California | TEフィンリーの後継者になれるか | 89 | |
4巡21位 | 121位 | OLB | Carl Bradford | Arizona State | ビッグプレー量産。ILBの可能性も | 91 | |
5巡21位 | 161位 | C | Corey Linsley | Ohio State | 馬力よりもフットワークの軽いセンター | 63 | |
5巡36位 | 176位 | WR | Jared Abbrederis | Wisconsin | 地元ウィスコンシン大の人気選手 | 84 | |
6巡21位 | 197位 | CB | Demetri Goodson | Baylor | 大学バスケで活躍した変り種 | 39 | |
7巡21位 | 236位 | WR | Jeff Janis | Saginaw Valley St. | 素晴らしいサイズとスピード | 83 |
パッカーズは7巡21位(全体236位)でサギノーヴァレー州立大(ミシガン州)のWRジェフ・ジャニスを指名。なんと今年3人目のWR指名はタイトエンド並の長身選手だ。もう1つ珍しいのは今年一度もトレードを行わなかったこと。少なくともトンプソンGM時代に入って初めてのことだ。
Bio : 人口1800人のミシガン州タワスシティ出身。高校ではWRの他にバスケもプレー。指を骨折した時にはギブスをしたままボールが持てるRBをやったこともある。ディビジョンI校からのオファーがなく、故郷に近いディビジョンII校のサギノーヴァレー州立大へ。レッドシャツを経て2010年途中からスターターに。2012年には106回1635yds(ディビジョンII最高)の同大記録を樹立。昨年は1572yds・14TDを挙げ、ディビジョンIIのオールアメリカンに。シニア・ボウルやNFLのコンバインにも招待された。
Strengths : 素晴らしいサイズとスピード、ジャンプ力を兼ね備えている。一段上のギアがビッグプレー能力に直結している。コンバインでの3コーンドリル6.64秒は全WR中3位。ベンチプレス20回は4位。
Weaknesses : キャッチングが不安定。しっかり手で確保できず落としてしまうボールが多すぎる。加速にやや時間がかかる。ルート取りが鋭さに欠ける。アフターザキャッチのクイックネスや力強さは今ひとつ。ディビジョンIIの競争レベルは高くない。
メンタル : ハードワーカーで、練習熱心さは申し分ない。すでに昨年12月に卒業している。
チーム事情 : なんと今年3人目のWR指名。純粋に Best Player Available で選んだ結果だろう。サイズとスピードを兼ね備えた粗削りなスモールカレッジ選手、という点で昨年7巡a指名のWRチャールズ・ジョンソン(現ブラウンズ)と似たパターンだ。
その他 : 大学在学中に父を亡くしたのは4巡指名OLBブラッドフォードと同じ。サギノーヴァレー州立大出身といえば、ドラフト外だがWRルヴェル・マーティン(在籍2006-08)がいる。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / サギノーヴァレー州立大
パッカーズは6巡21位(全体197位)でベイラー大のCBディミトリ・グッドソンを指名。バスケの強豪ゴンザガ大で3年間バスケをしてからベイラー大に移った変り種で、来月には25歳になる。
Bio : テキサス州スプリング(ヒューストン郊外)出身。フットボールは高校2年までで、その後はバスケットボールに専念。バスケの強豪ゴンザガ大に進むと2年目から先発ポイントガードを務め、連続NCAAトーナメント出場に貢献した。2011年になるとバスケをやめてベイラー大に移り、5年のブランクを経てフットボールを再開。2年目にはスターター昇格するが腕の骨折で戦線離脱。昨年はフル出場してパスブレークアップ16回、インターセプト3回(チーム最多)。
Strengths : 十分なサイズとアスレチック能力に恵まれている。ターン&ランが速く、パスが来た時に飛び込む動きもいい。ボールスキルがいい。ゾーンカバレッジでレシーバーとボールを見る力は平均以上。キックオフリターン経験が多少ある。
Weaknesses : 2011年は足首の腱を痛め、2012年は腕の骨折のためシーズン半ばで戦線離脱している。経験が浅いぶん嗅覚に問題があるかもしれない。プレスの技術を向上させる必要がある。INTチャンスに何度か落球あり。タックリングの実績は少ない。ランサポートはブロッカーにコントロールされやすい。回り道をしたため、来月には25歳になる。
メンタル : 昨年12月に学位を取って卒業している。フィールド外でのトラブル歴は特になし。
チーム事情 : 即戦力より将来性寄りの指名なのだろう。1巡でFSハハ・クリントン=ディクスを獲ったのでマイカ・ハイドをセーフティに専念させる必要もなくなり、CBの層も厚くなっている。今夏のロースター争いは熾烈になりそうだ。
その他 : 兄マイクは控えRBとして現在ジェッツに所属している。父マイケルは$12ミリオンの不動産融資詐欺で2007年に有罪となり、連邦刑務所で27年の刑に服している。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / ベイラー大 / ゲーム映像集
パッカーズは5巡36位(全体176位)でウィスコンシン大のWRジャレッド・アブレデリスを指名。パントおよびキックオフリターン実績も豊富な白人レシーバーだ。
Bio : ウィスコンシン州中部ウォートマ出身。高校時代はQB兼DBとして州大会優勝を経験したが、ウィスコンシン大学へ入ったのはウォークオン(奨学金なし)だった。レッドシャツを経て2010年(2先発)は20回289yds・3TD。2011年に先発定着し、ビッグテン・カンファレンス史上8位の通算3140ydsを記録している。昨季は1081ydsを挙げて同大史上4人目の1000ydsレシーバーとなり、カンファレンスの1stチームにも選ばれた。
キックオフリターン25.8ydsは同大記録。パントリターン平均10.7ydsは同大史上5位。オールパーパス4818ydsは同大史上7位。ウォークオン出身で活躍した選手に与えられる Burlsworth Trophy も受賞している。
Strengths : サイズとスピードのバランスがよい。キャッチング能力が高く、遠いボールも腕を伸ばして引き寄せることができる。タイトなカバレッジ相手にも競り勝てる。巧みなフットワークやフェイクで相手DBを振り切る。ゾーンカバレッジのソフトなスポットを見つけるのが上手い。ミドルよりもアウトサイドが得意に見える。オハイオ州立大戦ではCBブラッドリー・ロビー(1巡31位でブロンコス)に完勝したらしい。
Weaknesses : 体がかなり細身でバルクアップの必要あり。ベンチプレスわずか4回はコンバイン全参加者中最低だった。エリート級のスピードはなく、アジリティも平凡なので、クイックなDB相手にはセパレートに苦労するかもしれない。ジャンプボールには強くない。アフターザキャッチは直線的で工夫がない。脳震盪歴あり。
メンタル : すでに学位を取って卒業している。昨年はアカデミック・オール・ビッグテンに選ばれている。すでに結婚している。
チーム事情 : WRの状況については2巡指名アダムズの項を参照。アブレデリスはリターナー実績も加味しての指名だろう。
その他 : じつはトンプソンGMが地元ウィスコンシン大の選手を指名するのは就任10年目でこれが初めてのこと。チームとしても2001年4巡OGビル・フェラリオ以来13年ぶり。ドラフトで地元贔屓を一切しないGMなので、たまたまベストの選手がウィスコンシン大だっただけだろう。パッカーズの白人レシーバーといえばビル・シュレーダー(在籍1997-2001)。彼もウィスコンシン州出身でリターナー兼任だった。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / ウィスコンシン大 / ゲーム映像集
パッカーズは5巡21位(全体161位)でオハイオ州立大のCコーリー・リンズリーを指名。パッカーズがドラフトでOLを指名するのは1999年以来16年連続。センター専業選手をドラフト指名するのはトンプソンGMにとって初めてのことだ。
Bio : オハイオ州ヤングスタウン出身。高校ではフットボールの他に砲丸投げと円盤投げでも州のチャンピオンに。州内の名門オハイオ州立大に進むと、最初はタックルやガードをしていたが、3年目の2012年春にセンターにコンバート。スターターとして無敗シーズンに貢献。昨年春は足の手術で休んだが、シーズンはフル出場している。
Strengths : フットワークがクイックで、セカンドレベルへの動きもナチュラル。パスプロテクションの動きも軽く、追いつくステップもクイック。首を動かしてブリッツァーを認識するのも巧み。しっかり踏ん張る体幹の力があり、容易には押し込まれない。ガードやタックルの経験がありヴァーサタイル。ホイッスルが鳴るまでしつこくプレーする。同大でも最もパワーのある選手の1人。
Weaknesses : 腕は短く、体重は軽い方。強さはあるが瞬発力は今ひとつ。伸びシロは大きくないかもしれない。2012年11月に足のリスフラン関節を負傷して手術を受けている。
メンタル : スクリメージ上でラインのコールをすべてを行ってきた。ケガを押してプレーするタフネスがある。昨年はチームキャプテンも務めた。すでに昨年12月に経済学の学位を取って卒業している。
チーム事情 : センターはディートリック=スミスがFA退団し、現在の暫定スターターは出場経験のないJ.C.トレッター(昨年4巡)。そのため、もっと上でセンターを指名するのではとの憶測もあった。リンズリーは馬力よりもフットワークに優れたタイプのようで、パッカーズの好みに合っている。ジェームズ・キャンペンOLコーチは指名後の会見で、「先発はトレッターとガース・ゲアハートと彼が争う」としている。
その他 : 子供のころからパッカーズファンだったという。オハイオ州立大からのパッカーズ指名は2006年1巡5位のA.J.ホーク以来。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / オハイオ州立大 / ゲーム映像集
パッカーズは4巡21位(全体121位)でアリゾナ州立大のOLBカール・ブラッドフォードを指名。事前予想では2巡か3巡という声も多かった選手のようだ。大学では4-3のアウトサイドLBをプレーしたが、3-4ディフェンスではインサイドLBになるかもしれない。カレッジスカウト部長のブライアン・グートクンストは会見で、「インサイドかアウトサイドを決めるのはこれから」としている。
Bio : カリフォルニア州ノルコ出身。高校ではLBだけでなくフルバックとしても活躍(平均6.5yds)。ヘッドコーチはRBトビー・ゲアハートの父だった。大学に進むと1年目はレッドシャツ。翌2011年にははやくも全試合出場し、ボウルゲームでも大活躍した。2012年はフルタイムのスターターとなり、81タックル・20.5ロスタックル・11.5サックを記録した。昨年も19ロスタックル・8.5サック・3ファンブルフォースの活躍を見せ、カンファレンスの1stチームに選ばれた。
Strengths : 嗅覚に優れ、フィジカルでビッグプレー能力が高い。破壊力あるタックラー。DE/OLBのハイブリッドをプレーし、ヴァーサタイルなラインバッカー。パスラッシュの技は豊富で、スタントやループを用いたブリッツも得意。パスカバレッジに下がる役目はかなり少なかったが、動きは滑らかで悪くなかった。先発27試合を含めて大学3年間で全試合出場している。立ち幅跳び122インチはLB中のトップクラス。
Weaknesses : エリート級のスピードはない。下半身強化の必要あり。ラン守備ではブロッカーを振り払えず飲み込まれることがある。ビッグヒットを狙いすぎ空振りすることも。非常にアグレッシブなスキームでプレーしたおかげで、ビッグプレー能力が最大限に、ミスが最小限で済んだ部分がある。感情的になるすぎることがあり、サイドラインでチームメイトといさかいをおこしてフィールドから下げられた試合もあった。
メンタル : ウェイトトレーニングやフィルム・スタディも非常に熱心。すでに犯罪学の学位を取って卒業している。
チーム事情 : ホークとジョーンズの先発ILBコンビは平均点のプレーしかできずインパクトに欠ける。OLB陣はケガが多く、今年補強したOLB/DEジュリアス・ペッパーズ(34歳)は実質1年契約。そのため両ポジションとも、デプス要員としても将来のスターター候補としてもこうしたタイプの選手が必要だった。スペシャルチームでも頼りになりそう。
その他 : 昨年3月、家族旅行の際に父を心臓発作で喪っている。亡くなったのは彼の腕の中だったという。ツイッターのアカウントはこちら。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / アリゾナ州立大 / ゲーム映像集
パッカーズは3巡34位(全体98位)でカリフォルニア大のTEリチャード・ロジャースを指名してドラフト2日目を終えた。直前のDTソーントンと同じく、世評ではもっと下位での指名が予想されていた選手だ。パッカーズが3巡終了までトレードを行わなかったのは3年ぶり。トンプソンGMが2005年に就任して以来わずか2回目のことだ。TEの3巡指名は2008年のフィンリー以来。
Bio : マサチューセッツ州ウースター出身。高校ではWR兼DE兼リターナーとしてプレーし、3年時はカンファレンスのディフェンスMVP、4年時はパスキャッチ65回1064yds・16TDを挙げた。バスケでも4年間活躍。大学にはTEとして誘われ、レッドシャツを経ず1年目から主にスペシャルチーマーとして全試合に出場。翌2012年途中にスターターとなってパスキャッチ20回288yds・1TD。昨年は39回608yds・1TDを挙げてドラフト候補となった。
大学時代の数字についてはコーチングスタッフの変化に翻弄された面が大きい。2012年はバルクアップを求められ275ポンドのオーバーウェイトに。ジェフ・テッドフォードHC(現バッカニアーズOC)が去った昨年は30ポンド減量を求められ、インサイドレシーバーとして活躍を見せた。
Strengths : サイズに恵まれている。手が大きく、キャッチングが上手い。バランスとボディコントロールに優れている。一歩目のクイックネスがよく、テクニックや縦への加速でディフェンダーをかわすことができる。遠いボールも競り勝ち、素早く引き寄せて確保できる。アフターザキャッチではハードに前進する。コーチの息子らしくフットボール頭がよい。粗削りだが伸びシロがありそう。
Weaknesses : 4.8秒台のスピードはレシービングTEとしては物足りない。素晴らしいキャッチを決めるいっぽう、イージーなパスを落とすことがある。バルクに欠け、NFLのインライン・ブロッカーとしてはまだ強さが足りない。フィジカルに当たるよりアスレチック能力に頼るところがある。ブロッキングでは足を止めて腕だけになって逃げられることがある。クイック・アウトやドラッグといった比較的単純なルート取りしか大学では求められなかった。先発経験が11試合のみ。
チーム事情 : エースTEを務めてきたジャーマイケル・フィンリーがFA退団し(首のケガが完治すれば再契約もなくはないが)、アンドリュー・クウォレスと再契約(2年)。クウォレスは長くスターターを任せたい器ではないので、今年のドラフトで後継候補を獲りたかったところ。即スターターになる必要はなく、1年か2年かけて伸びてくれればいい。
その他 : 「カリフォルニア大のロジャース」といえばQBアーロン・ロジャースとまったく同じ。父リチャードSr.もかつて同大で活躍し、1982年の ”The Play” でラテラルパスに参加した1人(ビデオ)。現在はカロライナ・パンサーズでスペシャルチームコーディネーターを務めている。背番号はWRジェームズ・ジョーンズのつけていた89番に決定。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / カリフォルニア大 / ハイライト映像 / ゲーム映像集
パッカーズは3巡21位(全体85位)でサザンミシシッピ大のDTカイリー・ソーントン Khyri Thornton を指名。世評からするとリーチ気味の指名らしい。ポイントオブアタックで力強いランストッパーのタイプで、DEジョニー・ジョリーのような役回りになるのか。ファーストネームの読みは Ky-ree とのことなので、「カイリー」とカナ表記することにする。
Bio : フロリダ州パナマシティ出身。高校ではDTだけでなくRBもプレーした。最終学年には49タックル・2サックの他に678ydsラッシング・10TDランを挙げている。大学ではレッドシャツを経た1年目から出番をもらい、2年目から3年間スターターを務めた。2012年は36タックル・9.5ロスタックル。チームキャプテンの1人に選ばれた昨年は39タックル・6.5ロスタックルを挙げ、カンファレンスの2ndチームに選ばれた。
Strengths : 分厚い体つきをしている。上体が強く下半身の踏ん張りも平均以上。一歩目のクイックネスがよく横方向のアジリティもある。ヴァーサタイルで、ディフェンシブラインすべてにラインナップしたことがある。体重は304ポンドだが、ノーズタックルができる力がある。3年の先発経験があり、大学4年間で欠場は1試合だけ。世間では4巡以降の評価が多かったが、「最も過小評価されている選手」との声も。
Weaknesses : 腕が短めで手が小さめ。ブロックを振り払ってセパレートするのが必ずしもうまくない。試合後半にバテると腰高になって相手につけこまれる。パスラッシャーとしての実績は少なく、パスラッシュ・ムーヴを増やす必要あり。上体の力に頼りすぎることがある。
メンタル : 嗅覚には疑問符がついたが、昨季は進歩を見せた。精神的に未熟で、セルフ・モティベーションにやや難がある。フィールド外のトラブルを心配する声も。
チーム事情 : FAとなったNTライアン・ピケット(34歳)とDEジョニー・ジョリー(首の回復待ち)の再契約を見送っているため、ランストップDEとノーズタックルのデプスに難があった。B.J.ラジとは1年契約。ソーントンは当面ディフェンシブエンドをプレーするようだが、後継ノーズタックルとして育てるかもしれない。
その他 : サザンミシシッピ大といえばもちろんブレット・ファーヴ。彼はトレード入団だったので、同大からのドラフト指名としては33年ぶり。背番号は94番に決定した。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / サザンミシシッピ大 / ゲーム映像集
パッカーズは2巡21位(全体53位)でフレズノ州立大のWRダヴァンテ・アダムズを指名。直前でTEジェイス・アマロとTEトロイ・ニクラスが消えたため、今年豊作のWRを狙うのは自然な流れだった。パッカーズOBとしてポディウムで指名アナウンスをしたのは殿堂入りWRのジェームズ・ロフトン。
Bio : カリフォルニア州パロアルト出身。高校ではフットボールの他にバスケットボールでも大活躍。地元のフレズノ州立大に進むと、レッドシャツの1年を経て、レギュラー入りした1年目にいきなりパスキャッチ102回1312yds・14TDの大活躍。2年目の昨季は131回(全米最多)1719yds・24TDのモンスターシーズンを過ごした。QBはレイダーズ2巡指名のデレク・カー。カンファレンスの1stチームおよびオール・アメリカン2ndチームにも選出され、出場資格を2年残してアーリーエントリーを選んだ。
Strengths : 肩幅が広くがっちりした体形。素晴らしいボールスキルがあり、体から離れたボールも巧みなボディコントロールでアジャストして捕ることができる。垂直跳び39.5インチはWR中3位。ディープボールには体をうまく使って高い位置で競り勝てる。重心を低くして素早くリリースできる。キャッチ後は巧みなフェイクを使い、アームタックルを振り切る力強さもある。
Weaknesses : エリート級のスピードには欠ける。サイズのわりにスクリメージでジャムを破れないことがある。アップテンポのスプレッドオフェンスのおかげでスタッツがインフレ気味。マウンテンウェスト・カンファレンスのレベルはあまり高くない。
メンタル : 仕事第一のハードワーカー。フィールド外でのトラブル歴なし。フットボール頭はよく、人格的にもしっかりしているとの評判。
チーム事情 : 昨年WRジェニングス、今年WRジェームズ・ジョーンズがFA退団し、WRの層が薄くなっていたのはたしか。しかも今年はネルソンとコブが契約最終年を迎えている。ニーズ的にはTEの方が上だったが、目ぼしいTEが直前で立て続けに売れ、2巡指名にふさわしいTEが残っていなかった。
その他 : トンプソンGMはグレッグ・ジェニングス、ネルソン、コブとドラフト2巡でWR指名を成功させてきた。2005年のテレンス・マーフィ(首のケガで早期引退)を含めると2巡WR指名はこれで5人目。いなくなってから獲っていたのでは遅いポジションであり、早め早めに上位指名するのがパッカーズオフェンス成功の1つのカギだった。背番号は17番に決定。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / フレズノ州立大 / ゲーム映像集
パッカーズは1巡21位でアラバマ大のFSハハ・クリントン=ディクスを指名。十位台でLBシェイジア、LBモズリー、FSプライアーが消え、ニーズ的に順当な指名と言えそうだ。今年のトップセーフティとの世評が多かったが、本番ではFSカルヴィン・プライアー(18位でジェッツ)に次ぐ2番目の指名。パッカーズが1巡でディフェンスを指名するのはこれで3年連続となった。
管理人注 : 指名選手の評価記事は主だったドラフトガイドの評をごっちゃにして紹介しています。個々のサイトの中でも Strength と Weakness が矛盾した内容になることも珍しくありません。
Bio : フロリダ州オーランド出身。高校ではセーフティに加えてRBとリターナーもプレーした。全米最高クラスのセーフティと評価されて名門アラバマ大へ。レッドシャツを経ず、いきなり1年目から出番をもらう。はやくも2年目にはフルタイムのスターターとなり、全米連覇に大きく貢献。3年目の昨季は規定違反(アシスタントコーチから500ドルを借りる)で2試合出場停止処分に。12月には半月板損傷で手術を受けたがボウルゲームには復帰している。オールアメリカンおよびオールSEC1stチームにも選出。
Strengths : 十分なサイズがあり、腕も長い。嗅覚や分析能力に優れ、ポジション取りをしくじることが滅多にない。読みと反応が速く、ラン・パスとも守備範囲が広い。動きが滑らかで、スロット・レシーバーやタイトエンドについていける。直線的に正確な角度でパスに向かい、インターセプト能力もまずまず。ランの予測もよく、オープンフィールドでのタックルもしっかりしている。プロ・スタイルのディフェンスで鍛えられている。まだ21歳4か月の若さで、伸びシロは十分。
Weaknesses : エリート級のアスリートではない。ひょろっとしていてバルクに欠ける。相手ブロッカーを振り払う馬力が不足しているかも。かならずしもフィジカルなタックラーではなく、激しいヒットよりもつかんで引きずり倒すタイプ。時おり慎重すぎて反応が遅れることがある。ワンダーリックテストは平均を下回る15点。やや知名度先行のきらいがなきにしもあらず。
チーム事情 : セーフティがディフェンス最大の弱点なのは今さら言うまでもない。その最大の穴をドラフト初日に埋めることができた。彼の評価は人によってまちまちで、21位で別の選手(たとえばCBデナード)を指名すべきとの声もあったが、「昨年のM.D.ジェニングスと比べれば大幅なアップグレード」という点では一致している。典型的なセンターフィールダー(つまりフリーセーフティ)のタイプというところもニーズにぴったり。
トンプソンGMは指名直後の会見で、「彼は真のオールパーパス・セーフティだ。スロットでカバーする能力があり、ランサポートがよく、フィジカルで、ボールスキルも非常にいい」 「残っていた中でベストの選手であると我々は考えた。しかもこちらはセーフティを必要としてもいた」と語り、ニーズだけで決めたわけでないことを強調している。キャンプで彼を即スターターに据えるのか、ハイドと競争の形にするのかも興味深い。
その他 : アラバマ大からはRBレイシーに続いて2年連続のパッカーズ指名。球団史上最高の選手WRドン・ハトソン、QBバート・スターもアラバマ大の大先輩にあたる。背番号はチャールズ・ウッドソンと同じ21番に決定。
本名は Hasean で、Ha Haは子供の頃に祖母がつけたあだ名。ドラフト数日前にはパッカーズのTシャツを着て自撮りした写真もネットに流れた。ツイッターのアカウントはこちら。
紹介記事 : NFL.com / CBS Sportsline / Journal Sentinel / アラバマ大 / ゲーム映像集
日本時間金曜朝に迫った2014年NFLドラフトについて、概要をまとめておこう。内容は例年とほぼ同じ。
今年のモックドラフト集も最終回。前回から更新されていないサイトもそのまま載せた。ハイライト映像より詳しいゲーム映像が観たい方はこちらがおすすめ。
今回もニーズ順に並べたつもりだが、とくに上位3つは拮抗していて予想が難しい。3巡までに指名権が4つあるうち、ディフェンス2/オフェンス2とするのではないかと個人的には思っている。
先発Cディートリック=スミスがFA退団したため、パッカーズはこの4年間で4人目の先発センターを迎えることに。暫定スターターはJ.C.トレッター(昨年4巡)となっているが、センター経験がまったくないうえ、昨季をケガで棒に振っている(終盤にはチーム合流して練習できた)。OLの要をFA補強せずにドラフトを迎えるのはリスキーに思えるが、パッカーズらしいとも言える。これがトレッターの高評価の表れであればいいのだが。
先発両ガードはLGシットンとRGラングで盤石だが、インサイド3ポジションは控えの層が非常に薄い。控えC/Gのなかで公式戦出場経験(STを除く)があるのはOGレーン・テイラー(14スナップ)だけ。そうしたことを考えると、遅くとも4巡までに指名がありそうだ。ところで、これまでトンプソンGMはタックルを獲ってはガードやセンターに育ててきた。昨年の先発OL5人全員が大学ではタックルだった選手だ。そのため「初めてセンター専業選手を指名するか」が1つの注目ポイントとなっている。
ジャーマイケル・フィンリー(首の回復途上、現在フリーのまま)を見送り、アンドリュー・クウォレスと再契約(2年)した。これで昨季後半の陣容を確保した形だが、QBロジャースに十分な武器を与えられたとはとても言えず、1巡・2巡指名予想が多くなっている。元WRのブランドン・ボスティック(一昨年ドラフト外)は今夏の成長を期待したい選手だが、4年目のライアン・テイラー(2011年7巡)はスペシャルチーマー止まり。
ぜひ上位指名で大器を獲得したい年ではあるが、問題は他のポジションとの兼ね合い。チームとしてはディフェンス立て直しの方が重要だろう。魅力的なタレントがいれば1巡指名があってもおかしくないが、逆に4巡以降まで指名しない可能性もある。パッカーズが1巡でTEを指名したのは過去43年間で1回だけ(2000年のババ・フランクス)。
無類のデプスを誇ってきたWR陣も、昨年ジェニングスが抜け、今年はジェームズ・ジョーンズが抜けた。彼らを手放せたのは、ランドール・コブが恐れられるスロットレシーバーとなり、昨季後半ジャレット・ボイキン(一昨年ドラフト外)が急成長したおかげだ。ボイキンは終盤にはジョーンズをしのぐ力を見せていた。
エースのネルソンを加えた先発トリオは十分な力があるが、4番手以降のデプスは不安があり、ケガが怖い。育成に時間のかかるポジションということを考えれば、今年はWRを上位指名して武器を増やしておきたいところだ。とはいっても指名権にはかぎりがあるので、3巡までにTEかWRのどちらかしか獲得できないように思われる。今年はWRがかなり豊作らしいので、TEよりもこちらを指名する結果になるかもしれない。
昨季はCBマイカ・ハイドがパントリターナーとして頑張ったがキックオフリターナーがいないので、リターナー経験のあるWRが望ましい。
昨年は4巡指名のLTデヴィッド・バクティアリが期待以上の働きでブラインドサイドを立派に守った。ブライアン・ブラガ(ヒザACL断裂)はRTに戻って復活をめざし、順調にいけばドン・バークレーは控えRT/RGに戻る見込み。デレク・シェロッド(2011年1巡)はスネ骨折の重傷で実質2年を棒に振ったが、この4人でデプスは十分といえそう。
ただ将来的には不安がないわけではない。ブラガとシェロッドが来春FAとなるからだ。ブラガはぜひ契約延長したい選手だが、本人が「他球団で(より給料の高い)LTをやりたい」と望んだら交渉がこじれる可能性もある。大ケガからの復帰途上ということもあり、球団側はWRネルソンやWRコブとの契約延長を優先している。シェロッドを引き留める可能性は低い。
というわけで上位指名の優先度は高くないが、中位以降なら可能性は十分ある。前述のようにセンターやガードにコンバートする常套手段を考えればなおさらだ。
昨季2勝1分けを挙げたマット・フリンと1年契約し、昨季中盤に将来性を見せたスコット・トルジーンも残留しているため、例年よりかなり充実したデプスがある。30歳となったアーロン・ロジャースだが、「あと9年プレーしたい」と意欲を見せていて、後継QBの心配は数年後でよさそうだ。ロジャースが1巡指名されたのはファーヴが35歳のときだった。
とはいえ、マッカーシーHCは「QB4人が望ましい」と公言しているので、ドラフト下位かドラフト外で1人獲ってキャンプを迎えることになりそうだ。トルジーンの成長しだいではフリンが開幕ロースターに残れない可能性もある。
2巡指名エディー・レイシーが新人王となり、本格パワーバックがパスオフェンスを助ける理想形が見えてきた。ジェームズ・スタークス(控えで平均5.5yds)とも再契約に成功。ドゥワン・ハリス(膝蓋腱のケガで昨季全休)と4巡指名ジョナサン・フランクリン(首/脳震盪)も帰ってくるので、デプスは十分あるといえる。キックオフリターナー経験のある選手なら下位指名するのは面白そうだが、3人枠に食い込むのは容易でない。
むしろフルバックの方が指名の可能性が高いように思われる。FBジョン・クーン(31歳)との再契約が安価な1年契約だったのは、世代交代を考えているからか、フルバックの存在価値がより下がってきた表れか。レイシーのパスプロがよいので、3rdダウンバックでのクーンの出番はさらに減るかもしれない。現状では有力な後継候補がいるわけではないので、下位指名して育てていく可能性は十分ある。
ドラフトが3日後に迫ったのであわててニーズ分析のまとめ。ドラフトの心構えについては昨年の「総論」に書いたとおり。大事なのは昨季のチーム戦力を分析するだけでなく、2年目・3年目選手の成長を見極めること。今年のパッカーズディフェンスの場合、CB/Sマイカ・ハイド、DEデイトン・ジョーンズ、DEジェレル・ウォージー、DEジョシュ・ボイドといった選手がそれにあたる。OLBコンバート2年目のマイク・ニールも含めていいかもしれない。
以下はおおよそニーズ順にポジションを並べてみた。セーフティが筆頭なのは衆目の一致するところだが、2番目以降の並びはとても難しい。指名時に残っているベストのタレントを獲れば、そのままディフェンス強化につながるように思われる。
ディフェンス不振の元凶にもかかわらずFA補強ではまったく動かず、「○○選手に興味」という噂さえ出ずじまいだった。SSモーガン・バーネットは不動のスターターだが、昨年大型契約延長をしたあとの働きぶりは期待を下回った。RFAとなったM.D.ジェニングスは引き留めず退団。いっぽう、新人ながらよく貢献したCBマイカ・ハイドのセーフティ挑戦がほぼ確実となっている。タックリング力がありブリッツもいいので、かつてのウッドソンのようにクリエイティブな使い方をするつもりかもしれない。ショーン・リチャードソン(一昨年ドラフト外)とクリス・バンジョー(昨年ドラフト外)は、昨季それぞれチャンスをもらったが、スターターに据えたいほどの魅力はアピールできなかった。
パッカーズに必要なのは、パスカバレッジに優れた守備範囲の広いフリーセーフティ。ラン守備得意のストロングセーフティは今どきのNFLでは必要とされなくなっている。チーム最大のニーズなのは間違いないが、ハイドしだいでは多少優先度を下げてよいかもしれない。それでもやはり、上位指名の可能性がもっとも高いポジションだろう。3巡までに指名がなかったらたいへん驚く。
A.J.ホークとブラッド・ジョーンズの先発コンビはスピードにもビッグプレー能力にも欠け、ラン守備不振の責任も一部は彼らにある。彼らの能力不足を指摘する声は以前から根強く、C.J.モズリー(アラバマ大)やライアン・シェイザー(オハイオ州立大)の1巡指名予想が多いのもそのためだ。ただ先発コンビはどちらも契約が2年残っており、逆にまったく指名せずに終わる可能性もある。ジャマリ・ラティモア(RFAで再契約)とサム・バーリントン(昨年7巡)はそれなりに光るものを見せており、デプス的な不安は少ない。
先発コンビはかなりの給料をもらっているが、解雇できないほどのデッドマネーが発生するわけではない。昨年減俸を受け入れたホークは今年のキャップナンバーが$5.1ミリオン、解雇した場合のデッドマネーは$3.2ミリオン(解雇すれば差額の$1.9ミリオンが浮く)。ジョーンズのキャップナンバーは$4ミリオン弱で、解雇した場合のデッドマネーは$2ミリオン。即先発ILBを上位指名した場合、彼らのどちらかが開幕前にチームを去ることになるのでは。
世代交代期を迎えているようだ。DL4人がFAとなったうち再契約したのはB.J.ラジだけ。C.J.ウィルソンはレイダーズへ移り、NTライアン・ピケット(34歳)とDEジョニー・ジョリー(首の回復待ち)とは今のところ再契約を見送っている。昨年はDEマイク・ダニエルズがパスラッシュの主役へと成長し、相手から警戒される存在となった。今年はDEデイトン・ジョーンズ(昨年1巡)やDEジェレル・ウォージー(一昨年2巡)との成長に期待するシーズンとなりそうだ。DEを獲るとすれば、パスラッシュよりもラン守備に強い大型選手だろう。
不安があるのはどちらかというとノーズタックルの方。ラジは今年ノーズタックルに専念することになっているが、1年契約なので来年にはいなくなると思った方がいい。昨年5巡指名のジョシュ・ボイドが後任候補だが、彼だけでは心許ない。DLは体作りに時間がかかるだけに、今年ノーズタックルを指名して将来に備えたいところだ。ライアン・ピケットを呼び戻すことはいつでもできる。
FA予定だったサム・シールズと$39ミリオンの5年契約を結び、トラモン・ウィリアムズとの先発コンビは健在。一昨年新人王を争ったケイシー・ヘイワード(ハムストリング)も帰ってくる。昨季ニッケルバックで活躍した新人ハイドはセーフティに移るとしても、ベテランのジャレット・ブッシュはダイムバックでよい働きをしたので、現状では4番手までさほど心配する必要がない。即先発セーフティをドラフトで獲れたらハイドをダイムバックで使うこともできる。
将来的には心配がまったくないわけではない。31歳のウィリアムズは今年が契約最終年。給料の高さを考えると、再契約はおそらくないだろう(そのためにシールズを引き留めたといえる)。ヘイワードはハムストリングを複数回痛め、フルシーズン働けない心配がある。そう考えると、ドラフト1巡・2巡は贅沢すぎるとしても、3巡・4巡あたりなら指名があってもおかしくはない。
大黒柱クレイ・マシューズの相棒がいつまでたっても頼りないため、パスラッシュ強化のためにOLB/DEジュリアス・ペッパーズをFAで獲得した。ニック・ペリー(一昨年1巡)は右サイドならパスラッシュ能力が高いことを証明。マイク・ニールはDEからのコンバート1年目でまずまずの成果を挙げ、FAで再契約した。ペリーとニールとペッパーズはエレファント・エンド(DEとのハイブリッド)で使う、という話もあって起用法がまだよくわからないが、今年に関しては十分な戦力を確保できたように思われる。
34歳のペッパーズは契約内容からして実質1年と見るべきかも。今年よほどの活躍をしないかぎり、来年のキャップナンバー$12ミリオンは高すぎるだろう。またマシューズとペリーはどちらもケガが多く、なかなかフルシーズンを元気に戦うことができない。昨年6巡のネイト・パーマーとドラフト外のアンディ・ムルンバは将来性をあまりアピールできなかった。スペシャルチームのためにも、ドラフト中位以降で指名があるのではないか。