グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2014年3月 3日

2014年FA選手詳解 ディフェンス編

今回はディフェンスのFA予定選手について考えてみる。最後に挙げるILBラティモアとSジェニングスは制限つきフリーエージェント。なお、今年のFAおよびトレード解禁は3月11日(米東部時間16時)となっている。

ディフェンスの最重要FAはCBサム・シールズだったが、報道によると、金額面で折り合わないためいったん交渉を打ち切ってFA市場に出ていくようだ。DLは4人がFAとなるので予想が難しいが、高望みをしなさそうなNTライアン・ピケットは残留するかもしれない。DE B.J.ラジは無理に引き留めないだろう。OLBマイク・ニールは再契約の可能性あり。DEジョニー・ジョリー(頸椎)とILBロバート・フランソワ(アキレス腱)はケガの回復しだい。

なおリンクを張った「FAリスト」はCBS Sportsによるポジション別のランキング。その他、Yahoo!(オフェンス/ディフェンス)と Rotoworld(オフェンス/ディフェンス)も参考に。

B.J.ラジ B.J. Raji | Defensive Tackle | Boston College | 2009年ドラフト1巡 | 5年目 27歳
先発63/出場76 | 通算 129タックル/10.5サック | 2013年 16試合/17タックル/0サック | DTのFAリスト

プロ2年目に6.5サックを挙げてスーパーボウル制覇に大貢献した後は下り坂。ここ2シーズンはサックゼロが続いている。以前はほとんど出ずっぱりだったのに今はパスラッシャーとしての出番が激減し、昨年は全スナップの58.6%しか出場していない。ラン守備でもシーズン後半はだらしない試合が目立った。ケガをしたわけではない。契約最終年ということを考えると信じられない話だが、問題はセルフモティベーションなのか。プロ入り前、「尻を叩かれないと必死でやらない面がある」と心配されたことが現実になったように見える。

昨年春の時点では最重要FAの1人と思われたが、そういったわけで評価はガタ落ち。シーズン半ばに「パッカーズからの年$8ミリオンのオファーを蹴った」と一部報道があったが、本当にそうしたとすればトンプソンGMらしからぬ馬鹿げた過大評価だし、ラジ側はよほどの自信過剰、あるいは移籍したくて仕方がないのか。いまは「引き留める必要なし」というのが世間の雰囲気になっている。

DEではダニエルズ(6.5サック)が立派なパスラッシャーに育ち、デイトン・ジョーンズ(昨年1巡)とジェレル・ウォージー(一昨年2巡)の伸びシロも期待できる。ノーズタックルではジョシュ・ボイド(昨年5巡)が使えそうで、NTライアン・ピケットと再契約できれば大きな穴が開く心配はないのでは。ラジに大金をつぎ込むぐらいなら他で使うべきだろう。

ライアン・ピケット Ryan Pickett | Defensive Tackle | Texas A&M | 2006年ドラフト6巡 | 13年目 34歳
先発172/出場194 | 通算 557タックル/9.5サック | 2013年 16試合/19タックル/0サック | DTのFAリスト

ライン中央で踏ん張るランスタッファー。シーズン後半はヒザのケガを抱えながらのプレーでパフォーマンスが落ちたが(欠場しなかったのは立派)、元気な時のプレー内容は決して悪くない。ただし34歳という年齢はやはりネック。ここ2週間ほどの間にも、「チームは残留させない考え(NFL.com)」 「控えめな金額であれば再契約の意図あり(Journal Sentinel紙)」と相反する報道がなされている。本人は無茶な要求をするタイプではなく、安定志向のように見える。

そろそろ世代交代したいと首脳陣が考えるのは無理もないが、楽しみな若手が多いDE陣と違い、ノーズタックルは後任候補がジョシュ・ボイドぐらいしかいない。インセンティブを多くした2年契約あたりでピケットを引き留めつつ、若手を育てるのが安全策に思われる。あるいは、2006年にピケットを獲ったときのように、ミドルクラスのFAを外部から獲得することがあるだろうか。

ジョニー・ジョリー Johnny Jolly | Defensive Tackle | Shippensburg | 2005年ドラフト外 | 6年目 31歳
先発47/出場61 | 通算 134タックル/3サック  | 2013年 13試合/21タックル/1サック | DTのFAリスト

薬物による長期出場停止(と服役)から復活。まる3年間のブランクをものともせず、ロースター入りどころかスターターの座まで取り返した。3-4のベース隊形で325ポンドの彼をDEに入れ、ラジ、ピケットと巨漢トリオを形成するのが首脳陣の考え。独特の嗅覚を評価されての先発復帰だったが、プレー内容はさほどよかったわけではなく、DL陣(ダニエルズを除く)の競争レベルが低かったのだろう。首を痛めて12月半ばにIR入り。それまでは腕に力が入りにくい状態で2試合ほどプレーしていた。

第五・第六頸椎の接合手術を1月10日に受けたが、これはSショーン・リチャードソンの場合と同じで復帰は比較的容易らしい。代理人によると回復は順調とのこと。ただSリチャードソンは昨年1月に手術を受けて復帰は10月下旬だった。パッカーズとしてはしばらく回復を見守ることになるだろうが、他のDLたちが抜けてラン守備が手薄になるようならベテラン最低額で再契約も。

C.J. ウィルソン C.J. Wilson | Defensive End | East Carolina | 2010年ドラフト7巡 | 5年目 26歳
先発11/出場50 | 通算 76タックル/3.5サック | 2013年 8試合/8タックル/0サック | DEのFAリスト

2012年はスターターを務めたウィルソンだが、大事なコントラクト・イヤーは上記ジョリーに先発の座を奪われただけでなく、8試合でアクティブ登録から外れる屈辱的なシーズンとなった。限られた出番でのプレー内容は悪くなく、DEジョリーとさほど差があったわけではない。最低額クラスなら再契約の可能性はなくもないが、それほど評価していたらシーズン中にあのように冷遇はしないだろう。

マイク・ニール Mike Neal | Outside Linebacker | Purdue | 2010年ドラフト2巡 | 5年目 26歳
先発11/出場36 | 通算 64タックル/10.5サック | 2013年 16試合/47タックル/5サック | LBのFAリスト

最初の2年はケガに泣き、3年目の2012年にようやくインサイドラッシャー(4.5サック)としてチームに貢献した。ところが昨年はコーチの指示でOLB転向。ローテーション要員として徐々に慣らすはずが、マシューズ(プレーオフ含め6試合)とペリー(5試合)の負傷欠場のため、先発でフル回転するハメになってしまった。LB経験が浅いために、とくにラン守備で判断の悪さ・遅さ、フェイクへの引っかかりやすが目立った。パスシチュエーションでは前年までと同じくDLとしてラッシュする場面も多い。

OLBとしては伸びシロがまだまだ残っており、マシューズやペリーがケガがちであることを考えると、再契約してローテーションの一角にくわえたい、とパッカーズ側が考える可能性は十分ある。あとは条件しだい。カーディナルズが興味を示しているとの報道もある。

ロバート・フランソワ Robert Francois | Inside Linebacker | Boston College | 2009年ドラフト外 | 5年目 28歳
先発3/出場39 | 通算 36タックル/0サック/2INT | 2013年 4試合/2タックル | LBのFAリスト

スペシャルチームの中核選手の1人で、控えILBとしてもそつがない。昨年は第5週DET戦で負傷したILBジョーンズの代役として入ったが、わずか13スナップ目でアキレス腱を断裂してしまった。OTAやミニキャンプの頃には回復していそうだが、ILBの控えにはラティモア(昨季272スナップに出場して光るものを見せた)にくわえてバーリントン(昨年7巡指名)もいて、チームとしては慌てて再契約する必要がない。検討するとしてもアキレス腱の回復を見守ってからだろう。

サム・シールズ Sam Shields | Cornerback | Miami | 2010年ドラフト外 | 5年目 26歳
先発35/出場53 | 通算163タックル/13INT  | 2013年 14試合/61タックル/4INT | CBのFAリスト

ドラフト外入団からいきなりスターターとなり、アウトサイドを守り続けてきた。上背こそないものの、どんなレシーバーにも走り負けないスピードは一級品で、キャッチ寸前で防ぐボールスキルも高い。昨年はキャリア最多タイの4インターセプトを奪ったものの、2012年に大きく改善されたランサポートはすこし再悪化した印象もある。チームとしては最重要フリーエージェントと位置付けて交渉を続けてきた。

トラモン・ウィリアムズ(昨年のプレー内容がよく再び評価を上げた)がもうじき31歳となるため、他のポジションの強化のためにもシールズと再契約してCB陣を安定させておきたいのはやまやま。ただ、仮に彼を引き留められなくても、2012年に新人王を争ったケイシー・ヘイワード(ハムストリング負傷で出場3試合)、昨年ニッケルバックとして光るプレーを見せたマイカ・ハイド(5巡指名)、ダイムバックで予想以上の頑張りを見せたジャレット・ブッシュ、契約最終年を迎えるデヴォン・ハウスがいて、それなりに駒が揃ってはいる。

先週は「締結は遠くない」との楽観論が流れたが、土曜になって「交渉を打ち切ってFA市場へ出る」と関係筋からリークがあった。サラリーキャップ枠が最初の予想から$7ミリオンも増えたのを見て希望金額を上げたのだろうか。ただ、これで再契約の目が消えたわけではまったくない。最近だけでも、ILBブラッド・ジョーンズ(2013)、WRジェームズ・ジョーンズ(2011)、FBクーン(2011)、LTクリフトン(2010)、RTタウシャー(2010)といった選手たちが、いったんFA市場に出たあと再契約している。FA市場に出さないために選手側の要求を飲むのではなく、市場に値段を決めさせる、といった冷静なやり方だ。

■ 制限付きフリーエージェント

制限つきフリーエージェント(RFA)は、あらかじめ所属チームが"Qualifying Offer"をしておくことによって移籍を阻止できる仕組み。そうしておけば、選手が他球団からのオファーシートにサインしても、それにマッチするオファーをすれば引き留めることができる。 ただ、以前とくらべてRFA選手への "Qualifying Offer" が値上がりした結果、最低保証額(4年目選手)の2倍以上の高額サラリーになった。そのため、オファーをせず無制限FAにしたうえで安価で再契約するパターンが増えている。昨年のILBフランソワがそうだった。

ジャマリ・ラティモア Jamari Lattimore | Inside Linebacker | Middle Tennessee State | 2011年ドラフト外 | 4年目 25歳
先発4/出場38 | 通算46タックル/2サック  | 2013年 15試合/35タックル/2サック | LBのFAリスト

先発ILBブラッド・ジョーンズ負傷のため、4試合にわたって代役スターターを務め、全体としてまずまずの働きを見せた(2サック)。嗅覚に優れビッグプレー能力もありそう。今年はフルタイムのスターターに挑戦させるべきとの声も一部にはある。それはともかく、控えとしては十分なレベルと言える。代理人が先週語ったところによると、「パッカーズがRFAテンダーをオファーする可能性はゼロに近い」とのこと。RFA最低テンダーの$1.389ミリオンよりも、4年目選手の最低額である$65万ドルに近い線をチームは考えているのだろう。

M.D.ジェニングス M.D. Jennings | Safety | Arkansas State | 2011年ドラフト外 | 4年目 25歳
先発26/出場47 | 通算 133タックル/1サック/1INT | 2013年 16試合/74タックル/1サック/1INT | SのFAリスト

16試合すべてに先発したが、プレー内容は2012年(先発10試合)よりも大幅に悪化。パス守備で大きなミスを繰り返し、ディフェンス低迷の元凶となった。パスで5TDを許し、インターセプトはゼロ。彼のエリアに投げたときのQBレーティングは148.8、成功率88.9%。地元両紙がスターター中の最低点(どちらもDマイナス)をつけている。「パッカーズは彼にRFAテンダーをオファーしない」との一部報道もあり。再契約するとしても控えだろう。

カテゴリ : Contract/Personnel