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2014年2月26日

2014年パッカーズFA選手リスト

今年パッカーズからフリーエージェントとなる選手たちを下表にまとめた。Sモーガン・バーネットとは昨年7月に契約延長を済ませ(5年総額$23ミリオン)、CBサム・シールズとも現在交渉が進められているところ。今年のFA解禁日は3月11日となっていて、それまでは所属球団としか交渉できない。

今年のサラリーキャップは$130ミリオンと予想され($132ミリオンに増えるとする最新報道も)、2013年の$123ミリオンから約5%のアップとなる。全球団がその枠内に収めて3月11日の新年度を迎えなければならず、超過しそうな球団はすでに選手解雇を始めている。パッカーズは昨年のキャップスペース$9.8ミリオンを今年に繰り越すことができ、計$32ミリオン強のキャップスペース(NFLで7番目に大きい)に恵まれたいっぽう、FA予定選手(つまりキャップにカウントされていない)の人数はかなり多い。

◆ ◆ ◆

無制限フリーエージェントとは、「NFLで4年以上の経験があり、契約が切れる選手」のこと。パッカーズは大量17選手が無制限FAとなる予定。そのうちCBサム・シールズとの契約交渉が続いていて、その他にFA解禁前の契約延長があるとすればCイヴァン・ディートリック=スミスあたりか。

制限付きフリーエージェント(RFA)の定義は、「NFL3年目を終えて契約が切れる選手」。現在の労使協定ではドラフト指名選手全員が4年契約(1巡選手は5年目が球団側のオプション)なので、RFAとなるのはドラフト外入団の選手や、ドラフト入団後いったん解雇された選手に限られる。チームがRFA予定選手に "Qualifying Offer" をしない場合、その選手は無制限FAとなる。

有力なFA予定選手を1年契約で無理やり引き留めるのがフランチャイズ・プレーヤーの制度。今年のフランチャイズ指名期間は2月17日から3月3日となっている。CBのフランチャイズ指名は$11ミリオンを超える見込み(額は確定していない)なので、パッカーズはシールズとの交渉がまとまらなくてもフランチャイズ指名はしないと見られている。トランジション・プレーヤーは金額が多少安いが、代償にドラフト指名権が不要なので引き留める力は弱い。

個々のFA予定選手の分析は次回に。

2014 Packers Unrestricted Free Agents
Name Pos Age 備考
Matt Flynn QB 28 スターターのチャンスはもうない。最もフィットするパッカーズに残るのが得策では
Seneca Wallace QB 33 代役先発のチャンスに鼠蹊部の大ケガ。再契約の可能性はほぼゼロ
James Starks RB 28 2番手RBとして良い仕事をしたが、どうしても必要な存在ではない
Kahlil Bell RB 27 ベアーズでおなじみのRBが12月初めに契約。再契約はなさそう
John Kuhn FB 31 3rdダウンバック兼任で価値ある働き。安価での再契約に期待
James Jones WR 29 WRボイキンの台頭で地位低下。「再契約見送りの方向」との報道あり
Jermichael Finley TE 26 首の手術で再契約の可能性はさらにダウン
Andrew Quarless TE 25 代役先発も出来はいまひとつ。安ければ再契約も
Evan Dietrich-Smith C 27 堅実なスターター。高額契約には値しないが、若手に賭けるのはリスクが大きい
Marshall Newhouse OT 25 先発経験は豊富だが成長は止まっている。OT陣の充実で可能性低い
B.J. Raji DT 27 知名度とはかけ離れたプレー内容。けっきょく4-3ディフェンス向きなのか
Ryan Pickett DT 34 ケガさえなければまだいける。ただしネックは年齢。1年か2年契約なら
Johnny Jolly DT 31 長い出場停止を経て復活したがが首の大ケガ
C.J. Wilson DE 26 ジョリー復帰で出番わずか108スナップ。ラン守備は悪くないが
Mike Neal OLB 26 DEから転向した成果はそれなり。伸びシロはあるが評価が難しい
Robert Francois ILB 28 スペシャルチームの中核だが第5週にアキレス腱断裂。回復は順調らしい
Sam Shields CB 26 現在パッカーズの最重要FA選手。交渉が続いているとの報道
       
2014 Packers Restricted Free Agents
Name Pos Age 備考
Jamari Lattimore ILB 25 控えILB兼スペシャルチーマーとして能力は見せている。再契約だろう
M.D. Jennings S 25 ディフェンス不振の元凶の1人。パッカーズはオファーしないとの報道あり

2014年2月23日

Notebook: コンバイン会場にて

インディアナポリスではスカウティング・コンバインがスタート。40yds走など身体能力測定に注目が集まるが、じっさいNFL球団が重視するのはフィジカルチェック(ケガの治り具合)や個別面談といった部分。選手評価は半年以上のスカウティングによってすでに大方のところ定まっていて、コンバインやプロデイの結果によって動くとしても「微調整にすぎない」というのが現実らしい。今後ドラフト本番までに「評価が上がってきた」「下がってきた」と取り沙汰されたとしても、それはNFL各球団による評価の高さ・低さをメディアがおくればせながら察知したにすぎない。

コンバインには各球団首脳やメディア多数が集まるだけでなく、FA予定選手の代理人たちも活発に動いている(FA解禁までは他球団と交渉できない建前だが)。現地金曜にはパッカーズのヘッドコーチとGMがそれぞれ会見を行った。

2014年2月15日

Notebook: FA市場で動くのか

ここ数日のニュースをまとめて。

2014年2月14日

Packers Statistics Notebook 2

今回もおもにJournal Sentinel紙の集計による雑多なスタッツ集のディフェンス編。但し書きがないかぎりプレーオフを含めた17試合での数字であり、記者が映像を見て判定した主観的なデータが多いことにも注意。

◆ タックリング関連

◆ パスラッシュ関連 (プレッシャーとはサック + ノックダウン + ハリー)

◆ ビッグプレー関連

◆ テイクアウェイ関連 (インターセプト + ファンブルリカバー)

2014年2月13日

Packers Statistics Notebook 1

2013年パッカーズに関するさまざまなスタッツを紹介。但し書きがないものはすべてJournal Sentinel紙によるもので、プレーオフを含めた17試合での数字となっている(記者が判定した主観的なデータが多いことも注意)。今回は主にオフェンスについて。

◆ クォーターバック関連

◆ レシービング関連

◆ パスプロテクションおよびランブロッキング

◆ ファンブル

◆ 反則

2014年2月 9日

新コーチングスタッフ決まる

パッカーズが新コーチングスタッフ全員を発表した。OLBコーチは特に置かず、ILBコーチ(兼アシスタントHC)のウィンストン・モスが「LBコーチ」として全LBを指導することになった。過去5年間ディフェンスのクォリティ・コントロールを務めてきたスコット・マカーリーがアシスタントLBコーチとなってモスを補佐する。

空席となっていたRBコーチには元名フルバックのサム・ギャッシュ、アシスタントSTコーチには元イリノイ大HCのロン・ズックが就任する。ディビジョンIの2大学でヘッドコーチを務めたロン・ズックはヘビー級の人事だ。アシスタント・トレーニングコーチには、かつてパッカーズで控えLBを務めたクリス・ギジーが加わる。

クォリティ・コントロールとはNFLコーチのいわば登竜門で、ここでの働きぶりが認められてポジションコーチへと昇格していくことが多い。仕事は多岐にわたるが、来週以降の対戦相手の分析をするのが大きな役目。たいへんな時間をつぎ込んで映像やスタッツを詳細に分析し、ゲームウィークに備える。実際に対戦する週になれば、自分は次の相手の分析に移っている。また、練習でスカウトチーム(対戦相手を模す)を指揮するのも彼らの役割らしい。特定のポジションコーチのアシスタントを兼ねることも多い。

◆ ◆ ◆

RBコーチのサム・ギャッシュ Sam Gash はペン州立大出身の44歳。かつては優秀なフルバックだった。1992年8巡指名でNFL入りし、ペイトリオッツで6年、ビルズで2年、レイヴンズで3年、ふたたびビルズに戻って1年プレーした。通算ラッシング327yds・2TD、パスキャッチ169回1347yds・13TD。プロボウルにも2回選ばれている。2006年にはジェッツのアシスタントRBコーチ、2007年はライオンズでアシスタントSTコーチを務め、翌2008年にRBコーチに昇格。2012年シーズン終了後に解雇されていた。

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QBコーチにアレックス・ヴァンペルト Alex Van Pelt が就任するのは既報どおり。ピッツバーグ大出身の43歳。大学ではマッカーシーHC(当時QBコーチ)の指導を受け、NFLではビルズで10年間にわたって控えQBを務めた。代役スターターとしては3勝8敗。通算レーティングは64.1。引退後はビルズ(2009年にはOCも兼任)とバッカニアーズでQBコーチを務めたあと、2012年からパッカーズのRBコーチを務めていた。 

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オフェンスのクォリティ・コントロールにはルーク・ゲッツィー Luke Getsy が就任。アクロン大出身の30歳。大学ではクォーターバックとして活躍し、同大初のボウルゲーム出場にも貢献した。2007年ドラフト外で49ersに入団したが開幕ロースターには残れず、すぐに母校に戻ってコーチの道へ。インディアナ大(ペンシルヴェニア州)でOC兼QBコーチとなり、昨年はウェスタンミシガン大のWRコーチを務めていた。

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ウィンストン・モス Winston Moss はILB専任からLBコーチとなり、アシスタントヘッドコーチの兼任はこれまでどおり。マイアミ大出身の48歳。1987年2巡指名でバッカニアーズに入団し、レイダーズ、シーホークスの3球団で11年間にわたって活躍した。引退後は2球団でクォリティ・コントロールを務めたあと、2000年から2005年までセインツのLBコーチ。そこで同僚だったマッカーシーHCの招きで2006年にパッカーズのLBコーチとなり、翌年からアシスタントHCを兼任。2009年にディフェンスコーチ陣が入れ替わった際も唯一留任し、ILBコーチを務めていた。

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アシスタントLBコーチのスコット・マカーリー Scott McCurley はクォリティ・コントロールからの昇格となった。33歳。ウォークオンで入ったピッツバーグ大ではLBをプレーした。卒業すると母校で院生助手としてコーチ修業を始め、QBジョー・フラッコを指導したことも。パッカーズではインターンを経て2007年に Coaching Administrator として正式採用。2009年にクォリティ・コントロールとなり、同職を5年間務めてきた。これまでもグリーンOLBコーチをアシストしてきたので、実際の仕事はあまり変わらないかもしれない。

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ディフェンス/スペシャルチーム・アシスタントにはジェイソン・シモンズ Jason Simmons が就任。アリゾナ州立大出身の37歳。1998年ドラフト5巡でスティーラーズに入団し、2002年からはテキサンズでプレー。NFL10年間のうちほとんどはスペシャルチーマーで、先発は12試合のみ。テキサンズのヘッドコーチだったケイパースDCとの縁か、2011年にパッカーズに加わり、 coaching administrator を3年間務めてきた。

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ディフェンスのクォリティ・コントロールにはジョン・ラッシング John Rushing がオフェンスから移ってくる。ワシントン州立大出身の41歳。大学ではDBとして4年間先発し、卒業後すぐにコーチの道へ。ボイジー州立大ではDBコーチとしてSクインティン・マイケル、ユタ州立大ではCBジャレット・ブッシュを指導したことも。2008年夏にNFLのマイノリティ・インターン制度でパッカーズに加わり、翌年正式採用されてオフェンスのクォリティ・コントロールに。2011年からはスペシャルチームのアシスタントを兼ねていた。

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アシスタントSTコーチのロン・ズック Ron Zook はマイアミ大(オハイオ)出身の59歳。大学卒業後すぐにコーチの道に進み、カンザス大DCやフロリダ大アシスタントHCなどを務めたあと、1996年から3年間スティーラーズのSTコーチ。2000年から2年間セインツのDCを務め、そこでマッカーシーHC(当時QBコーチ)と同僚だった。2002年から2004年までフロリダ大HCを務めたあと解任されたが、彼のリクルートした選手たちが後に全米制覇を成し遂げている。2005年から2011年までイリノイ大HCを務めたが、解任後の2年間は浪人していた。

イリノイ大はウィスコンシン大と同カンファレンスなので、パッカーズの地元ファンにとってはなじみの顔。ふつうアシスタントSTコーチはかけ出しの若手コーチがなるもので、一流大のヘッドコーチだったような人物が就任するのはきわめて珍しい。それだけマッカーシーHCがスペシャルチーム強化を重視したと言えるかもしれない。また、記者たちの口ぶりからすると、先日退団したチャド・モートンはやはり解任だったらしい。

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アシスタント・トレーニングコーチには元パッカーズのクリス・ギジー Chris Gizzi が就任(右写真は選手時代)。38歳。空軍士官学校ではLBとして活躍し、カンファレンスのディフェンスMVPに2年連続で選ばれている。1998年ドラフト外でいったんブロンコスに入団したが、規定により2年間軍役を務めた。それを終えるとパッカーズに加わり、主にスペシャルチーマーとしてプレー。2001年、9/11テロ直後のホームゲームで国旗を掲げて先頭で入場したシーンは今でも有名だ(写真)。そのシーズン限りで現役を退くとトレーニングの道に進み、昨年はノースカロライナ大でアシスタント・トレーニングコーチを務めていた。

2014年2月 8日

2013年スタッツ集 オフェンス・ターンオーバー編

レギュラーシーズンスタッツのまとめ、今回はオフェンス、ターンオーバー、反則について。今季前半終了時2012年2011年2010年のスタッツも参照のこと。

オフェンス
Total 得点 ラン ランavg ランTD Fum Lost パス パス% パスavg パスTD INT Rate サック 3rd% Red TOP
400.2 26.1 133.5 4.7 17回 19回 9回 266.8 64.2% 8.0 25回 16回 91.7 45回 41.2% 50.8% 30:53
3位 8位T 7位 4位 5位T 14位T 9位T 6位 7位 5位 13位T 17位T 10位 24位 9位 26位 12位

トータルオフェンス400.2ydsはパッカーズにとって2011年以来2回目の大台となったが、そのわりに得点が伸び悩み、シーズン後半のチーム不振に直結した。RBレイシーのおかげでランTDが8回増えたものの、代役QB陣の不振のためパスTDが15回も減っている。

総タッチダウン数は昨季の53回(4位)から46回(10位)へとダウン。内訳はパス25回、ラン17回、ファンブルリカバー3回(NFL最多タイ)、パントリターン1回。なお、パントリターンTDがゼロなのはパッカーズを含めてわずか3チームだけだった。

ロジャース欠場時はパスヤーデージこそさほどダウンしなかったが、パスTD(1試合あたり2.12回→1.0回)が半減し、インターセプト(0.75回→1.25回)と被サック(2.63回→3.0回)が増えた。その結果、QBロジャース出場時の平均得点は30.6点(NFL2位相当)、欠場時はわずか21.5得点(22位相当)だった。ちょうどWRコブとTEフィンリーを欠いたのは代役QBたちにとって厳しい条件だったが、ディフェンス不振チームとの対戦が多かったのも事実。ロジャース欠場時の対戦相手のうち、ディフェンスのトップ10に入っていたのはジャイアンツ(8位)だけだ。

QBロジャース個人のパス成績を見てみると、レーティング104.9はちょうど平年並み。TD数が昨年や一昨年よりは少なく、INTがやや多い(16試合に換算した場合)。パス1回平均8.7yds(NFL2位)は一昨年のMVPシーズンには及ばないものの、キャリア2番目の好成績。被サックは昨季より2割ほど少ないペースだった。

代役QB3人の合計はパス成功率61.8%・2004yds・8TD・10INTでレーティング78.0。セネカ・ウォレス(実質1試合)がレーティング64.4、スコット・トルジーン(実質2試合半)が66.8、マット・フリンが86.1(実質4試合半)だった。トルジーンはヤーデージ(1回平均8.0)が非常によかったものの、TDが奪えず痛いミスが多かった(TD1/INT5)。フリンはヤーデージ(平均6.9)が物足りないが、勝負どころでTDを決めて2勝2敗1分けに持ち込むことができた。(TD7/INT4)

ラン攻撃の躍進はなんといってもRBレイシー入団のおかげ。ラン7位は2003年(3位)以来10年ぶり、2000yds突破もおなじく10年ぶりの好成績。ロジャース欠場時にRBレイシーにマークが集中したために1回平均は4.1ydsに留まったが、彼が相手を疲れさせたあとにフレッシュなRBスタークス(平均5.8)がビッグゲインを繰り出すことができた。

タイムオブポゼッションが向上したのも、苦しい時期にRBレイシーのランでなんとかしのげたおかげだろう。ディフェンスの大幅悪化を考えればなおさらだ。

ランブロッキングユニットではOTブラガがキャンプで戦線離脱したのが痛かった。RTブラガ→RTバークレーは大幅戦力ダウンだが、LTニューハウス→LTバクティアリはわずかにアップ、インサイド3人は昨季より大きく向上している。全体としてはほぼ横ばいか多少戦力アップしたと言えるのでは。

ターンオーバー 反則
Takeaways Giveaways DIFF 回数 ヤード
Total Int FumRec Total Int FumLos      
22回 11回 11回 25回 16回 9回 -3 86回 801yds
21位T 26位T 11位T 14位T 17位T 9位T 19位 8回 14位

マッカーシーHCがもっとも重視してきたターンオーバーレシオが、就任以来最悪の数字となってしまった。7敗したのはこれが最大の要因だろう。ターンオーバーレシオのマイナスは2005年(4勝12敗)以来8年ぶり。オフェンスの被インターセプトが倍増し、ディフェンスのインターセプトが4割減となったためで、ファンブルリカバーが6つ増えても足りなかった。

前述のように、被インターセプトの多さはおもに代役QB陣によるもの。とくにQBトルジーンは実質2試合半の出場で5つもインターセプトを投げている。QBフリンは実質4試合半で4回なので合格点のペース。

ファンブル部門では、RBレイシーが新人ながらわずかファンブル1回、ロスト1回にとどめたのが非常に立派。唯一のファンブルは開幕戦で、それ以来一度もボールをこぼしていない。おなじ新人のRBフランクリンはわずかキャリー19回でファンブル2回、ロスト1回と頼りない。QB陣ではロジャースがファンブル4回、ロストゼロ。フリンがファンブル4回、ロスト4回。ウォレスとトルジーンはともにファンブルゼロ。FBクーンはBAL戦でパントブロック後のボールに不用意に触れ(ビデオ)、これがキャリア初のファンブルロストとなってしまった。WRジョーンズは第2週に敵陣エンドゾーンに腕を伸ばそうとしてファンブルロスト。PRジェレミー・ロスは第3週にパントをマフしてロスト。直後に解雇された。

ディフェンスのインターセプトの少なさは主にセーフティ陣の不振によるもの。セーフティ陣が1つもインターセプトできなかったのは今季NFL全体でパッカーズだけ。球団史上でも1950年代以来初めてのことらしい。コーナーバック陣ではシールズ(4)とトラモン・ウィリアムズ(3)がそれぞれ昨季より1つずつ増やしたが、期待のCBヘイワード(昨季6INT)が3試合しか出場できなかったのが痛かった。また前述のように、INTリターンTDがなかったのはパッカーズを含めて3チームだけ。パッカーズでは1995年以来18年ぶりのことだ。

反則は昨季急増してしまったが、今季は大きく減らすことができた。ただし対戦相手はこちらよりも10回82yds多いだけ。反則が減ったのは、甘めの審判団に当たっただけかもしれない(厳しく取る審判団とそうでない審判団と、はっきり傾向がある)。回数のわりに反則ヤードが多いのはアンネセサリーラフネス(8)が多かったせいか。種類別でチーム最多はオフェンスのホールディング(24)で、リーグ平均(18.3)よりかなり多い。いっぽうフォルススタート(14)はリーグ平均(16.6)より少ない。

意外なことに、パスインターフェア(3)はリーグ平均(7.7)の半分以下だった。昨季急増(16)したオフサイド系(エンクローチメントなど含む)は計6回へと減らすことができた。常習犯のDEウォージーが12スナップしか出場しなかったせいか。個人の反則回数トップ3はLTバクティアリ、CBウィリアムズ、LGシットン。

2014年2月 7日

2013年スタッツ集 ディフェンス・スペシャルチーム編

 2013年レギュラーシーズンのチームスタッツのまとめ。今季前半終了時2012年2011年2010年も参照のこと。

ディフェンス
Total 失点 ラン ラン(1回) ランTD Fum FumRec パス パス% パスavg パスTD INT Rating サック 3rd% Redzone
372.2 26.8 125.0 4.6 16回 18回 11回 247.2 61.6% 7.8 30回 11回 95.9 44回 38.2% 61.4%
25位 24位 25位 29位 25位 20位T 11位T 24位 20位 27位 27位T 26位T 25位 8位T 17位T 24位

昨季11位まで回復したディフェンスがふたたび急降下し、ほとんどの項目で20位以下へと落ち込んでしまった。前半終了時はトータル15位、失点14位、ラン5位、パス20位だったのだから、いかに大きく崩れたかがわかる。シーズン後半だけに限れば、トータル399.5yds(31位相当)、30.5失点(32位相当)、ラン155.5yds(31位相当)、パス244.0yds(22位相当)だった。

QBロジャース不在のチームを助けるどころかむしろ足を引っ張り、ディフェンスが並み以上の働きをしたと言えるのは第14週ATL戦(21失点)だけ。あとの7試合はすべて26失点以上だった。代役QB陣の与えたインターセプトが増えた(ちょうど倍増)のが失点増の一因ではあるが、守る時間そのものが極端に長くなったわけではなく、ラン守備の崩壊は外的要因によるものではない。後半はディフェンスのケガ人が少なかったのだから、失望はなおさら大きい。

パス守備はシーズンを通して悪かった。とくに相手QBレーティング95.9はパッカーズにとって2004年以来9年ぶりの不振。オフェンスのレーティング(91.7)を下回ったのは2006年以来7年ぶりで、QBロジャース先発昇格以来初めてのことだ。サック数ではなんとか一桁順位を守ったが、ILBおよびDB陣の挙げたサックが35.2%(昨季は27.2%)を占め、DL陣およびOLB陣のサックが28.5回では物足りない。通常のフロント4でプレッシャーがかけられなければカバレッジに負担がかかるのは当然の流れだ。

パスカバレッジの不振がコーナーバック陣でなくセーフティ陣の責任であるのはシーズン中に何度も指摘されてきたとおり。長いあいだインターセプトの多さがディフェンスを支えてきたが、INTわずか11回はケイパースDCが2009年に就任して以来ダントツの最少となった。とくにセーフティ陣はINTゼロの体たらく。

ラン守備が崩壊した原因についてはさまざまな議論があるが、シーズン後半にランの強い対戦相手が集中したわけではない。こちらの得点力が大幅ダウンしたため、相手は無理せず堅実に進めさえすれば勝ててしまう、といった試合が多かったのはたしかだが、それでも1回平均ydsの悪化は言い訳のしようがない。1試合あたりのラン回数はシーズン前半23.6回→後半30.4回、1回平均ydsは前半4.0yds→5.1ydsだった。相手はパスを投げる必要がなく、そのためにパス守備が悪化しない、という面があった。

数少ないプラス材料はファンブルリカバーが増えたこと。とはいってもファンブルフォース数は横ばいなので、ボールの転がり方で幸運に恵まれただけかもしれない。

スペシャルチーム
Kickoff Punt Kickoff Ret. Punt Ret. Field Goals
Avg. TB TB率 Coverage Avg. In20 TB Coverage Net Avg. Long Avg. Long 成功率 回数
63.6 30回 32.3% 25.9 44.6 22回 5回 13.1 39.0 20.3 70 11.3 93 89.2% 33回
20位 27位 29位 29位 19位 28位 10位T 29位 21位 30位 13位 7位 2位 13位 5位T

スペシャルチームはケガ人の多さもあって苦しいシーズンだった。昨年スランプだったKクロスビーが最高のシーズンを過ごしたいっぽう、カバレッジチームが苦しんだ。Dallas Morning News紙のリック・ゴセリン記者による恒例スペシャルチームランキング(22部門のスタッツを総合)では昨季の12位から20位へとダウン。いっぽうFootball Outsiders によるスペシャルチーム総合ランキングでは19位で、昨季の18位からほぼ横ばいだった。

Kクロスビーは昨季FG成功率がNFL最下位の63.6%だったが、今季はキャリアベストの89.2%へと躍進。首脳陣の忍耐にみごと応えた。ただキックオフ(序盤はPマステイが蹴っていたが)の飛距離ダウンがやや気になるところ。今季は寒さや雪のゲームが多かったせいもあるだろうが、タッチバック率29位は悪すぎる。キックオフ位置が変更されて以来の3年間で最悪の数字だ。

Pマステイのパントは毎年向上し、ネット39.0ydsは球団新記録。グロス44.6ydsは球団史上4位だった。一昔前ならばネット平均が40ydsを超えるのは夢のスタッツだったが、今季は13チームが40ydsを超えている。Pマステイはハングタイム重視で、相手リターン回数が20回というのはNFLで3番目に少ない(キャリア最少)。ただインサイド20へのパントが22回(キャリア最少)に留まったのは、オフェンス不振で自陣深くから蹴る場面が増えたせいか。

カバレッジチームはパント、キックオフとも29位の大不振。不調のディフェンスをさらに苦しめた。パントは相手のリターン回数そのものが少ないので大きな痛手は被っていないが(トータル261ydsは13位)、キックオフリターンのトータル1583ydsは31位。第8週MIN戦では新人WRコーダレル・パターソンにキャリア初TDを献上している。カバレッジチーム悪化の要因はやはりケガ人で、プラクティス・スクワッドから昇格したてのような不慣れな若手が投入されてミスを犯すことが多かった。

キックリターンでは、CBハイドの活躍でパントリターンが7位へと向上したが、キックオフリターンはわずか20.3yds(30位)の大不振だった。ブロッキングが悪いのとリターナーに人材を欠いたのと両方ではないか。相手キックオフが72回あったうち39回しかリターンしなかったのは、20yds地点まで進めば御の字だから。せめてもの救いはCBハイドのボールセキュリティの安定だった。

昨季はスペシャルチームのトリックプレーを5回も敢行したパッカーズだが、今季は2回だけで、結果は1勝1敗。第9週CHI戦でサプライズ・オンサイドキックを行って成功。第11週NYG戦でパントフェイクからSジェニングスがダイレクトスナップを受けて走ったものの、1stダウンにはわずかに届かず。逆に第7週CLE戦では、同様のプレーで1stダウンを許している。

2014年2月 5日

Notebook: 今年もチケット値上げ

2014年2月 2日

RBレイシーがオフェンス新人王に

RBエディー・レイシーが今年のNFLオフェンス新人王に選出された。今季15試合に出場してラッシング1178yds(NFL8位)・11TD(3位)、キャッチングでも35回257ydsを記録。とくにQBロジャース欠場中はオフェンスの大黒柱として非力なオフェンスをよく支え、プレーオフ進出の原動力となった。タックラーをひきずるパワフルな走りは破壊力満点。パスプロテクションでも期待を大きく上回る働きで、ProFootballFocusの採点では全RB中3位の高評価だった。先週はプロボウルにも繰り上げ出場を果たしている。

AP通信による同賞は1967年シーズンに始まり、パッカーズからは1971年のRBジョン・ブロキントン以来42年ぶり2人目。ディフェンスを含めると、1972年のCBウィリー・ブキャノン以来41年ぶり3人目の受賞となった。意外にも最近はRBの受賞がなく、今回のRBレイシーが2007年のエイドリアン・ピーターソン以来6年ぶりだった。

NFL Honors での受賞スピーチのビデオはこちら。また Never Say Never Moment of the Year には、最終週のQBロジャースからWRコブへの決勝TDパスが選ばれている(ビデオ)。

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エディー・レイシー Eddie Lacy はルイジアナ州グレトナ出身の23歳。高校1年のときにはハリケーン・カトリーナで家を失い、極貧のなかで度重なる引っ越しを経験している。名門アラバマ大に進むと、RBマーク・イングラム、RBトレント・リチャードソンといった先輩RBの控えを務めた。2012年にはエースとなって全米王座(2年連続)に貢献し、昨年の2巡指名でパッカーズに入団。RB中4番目での指名は意外だったが、その屈辱を吹き飛ばすような活躍だった。第14週ATL戦で足首を捻挫したものの、シーズン終了まで欠場することなくタフに走り続けた。