グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2013年4月21日

ニーズ分析 オフェンス・ST編

今年のオフェンスのニーズ分析はディフェンスよりさらに難しく、記者やファンも意見がかなり分かれている。けっきょくはドラフト本番での流れしだいで、その時点でのベストプレーヤーを獲ればいいのだろう。以下のポジション順はあまりアテにしないでほしい。

◆ センター/ガード

Cイヴァン・ディートリック=スミス(FA2014)が先発センターを長く務められる器なのか、まだわからない。しかし大事なプレーオフを控えたところでCジェフ・サタデーを降格させたのは、首脳陣が彼の能力を高く評価している証拠だ。昨季終了時点では「平均より少し力の劣るセンター」といったレベルだったが、伸びシロはまだまだあるはず。今年スターターとしてさらに向上すれば、契約延長の目も出てくる。

出場経験のあるセンターが控えに1人もいないので、補強はかならず必要だろう。2巡あたりのセンター指名予想は多いが、そうするからには即先発、ディートリック=スミスより明らかなアップグレードになってくれないと困る。そうすればディートリック=スミスが再びインサイド3ポジションの控えを兼ねることになり、OL全体の安定感は増す。

ガードのスターターはLGラング(FA2017)とプロボウラーのRGシットン(FA2017)の2人で問題ない。控え選手はグレッグ・ヴァンローテン(C兼任)とドン・バークレー(RT兼任)のドラフト外2年目コンビ。ヴァンローテンは昨夏キャンプでパスプロ能力の高さを見せ、シーズンではエキストラ・ブロッカーとして数試合に出場した。プレシーズンでは左ガードに専念していたが、今年はロースター表で"G/C"と表示されているので、センター修業もするのだろう。バークレーが7試合にわたってRTブラガの代役スターターを務めたのは既報のとおり。

こうしてみるとガードのデプスはそこそこあり、純粋なガードであれば指名は4巡以降ではないか。前述のとおり、先発級のセンターを指名できればインサイド3ポジションともデプスが向上する。

◆ タックル

LTマーシャル・ニューハウス(FA2014)は先発2年目の成長が期待したほどではなかった。パスプロはまずまずだが(それでも2年連続でチーム最多プレッシャー)、ランブロックはあまりに頼りない。そろそろ伸びシロもなくなってきて、しかも契約最終年。

ただ控えには2011年1巡指名のデレク・シェロッド(FA2016)がおり、今年は先発奪取に向けてプッシュすることが期待できる。ルーキーシーズン終盤にスネ(骨2本とも)を骨折して昨季を棒に振ったが、今年はオフシーズンのトレーニングにフル参加できるはず。彼が先発LTになってくれれば来年ニューハウスがFA退団しても問題なくなる。昨年の7巡指名アンドリュー・ダトコは1年目をプラクティス・スクワッドで終え、先発を狙える器とは考えにくい。

右タックルはブライアン・ブラガ(FA2015)が復帰してくれれば問題なし。ただ、股関節の骨折は予想外に時間がかかってもおかしくなく、その場合は昨季後半と同じくドン・バークレーが代役を務める。

というわけで、ドラフト指名がしたくなるのは1巡か2巡で優秀な左タックルが残っていた場合。ただ今年の1巡26位では、右タックル専用タイプしか残っていない可能性が高い。そうした選手を獲ると、ブラガを左タックルにコンバートしなければならなくなってしまう。ブラガは大学時代に左タックルだったが、NFLではルーキーイヤーに33スナップしか実戦経験がなく、大きな賭けになる。

デプス的にはブラガ、ニューハウス、シェロッド、バークレーの4人にダトコがいて人数は問題ない。左タックルを向上させられるレベルの選手がいなければ、1人も指名せずに終わる可能性もある。

◆ ワイドレシーバー

ランドール・コブ(FA2015)、ジョーディ・ネルソン(FA2015)、ジェームズ・ジョーンズ(2014)の3人で先発は問題ない。NFL屈指のデプスを誇った強力ユニットだが、ジェニングスがFA移籍し、ドライバーは引退し、ジョーンズは契約最終年を迎えている。昨年ドラフト外からロースター入りしたジャレット・ボイキンの成長は楽しみだが、将来3番手以内に食い込めるかというとそれは難しいだろう。同じくジェレミー・ロスは実質まだリターナーとしてしか出場経験がなく、WRとしては未知数。

そのため、今年はかならずWR指名があるはずで、展開しだいでは上位指名があってもおかしくない。育成に時間のかかるポジションなので、早め早めに指名してパッカーズは成功してきた。タイプ的にはスピードやクイックネスに優れたタイプが好ましい。今年はコブをリターナー任務から解放してやりたいので、とくにパントリターンのできるWRが理想。

◆ ランニングバック/フルバック

昨季最後に活躍したドゥワン・ハリス(FA2015)が暫定スターター。バネのある走りっぷりはたしかに魅力があり、首脳陣の評価も高いが、身長173cmの小兵にフルタイムの先発RBを任せてよいものかどうか。アレックス・グリーン(FA2015)は昨季4試合に先発して平均わずか3.4yds。前十字靭帯断裂の影響が残っていたとはいえ、どうやら先発RBの器ではない。今年はブロッキングを磨いて3rdダウンバックの座を目指してほしい。いつまでもFBジョン・クーンが3rdダウンバックでは破壊力がなさすぎる。

昨季開幕時のスターター、セドリック・ベンソン(現在FA)は足のリスフラン関節を負傷してシーズンエンド。完全に回復すれば再契約もあるが、今のところ球団側は動かず、FA市場ではアマド・ブラッドショー(NYG)に興味を示している。WR指名の上手いトンプソンGMだがRB指名は下手で、2007年2巡のブランドン・ジャクソン、2011年3巡のアレックス・グリーンと失敗続き。ならばいっそドラフトはやめて安めのFAを狙った方がいい、という議論も成り立つ。ドラフト後は競合球団が減ってさらに買い手市場になる。

RBを軽視し続けてきたパッカーズもいいかげん本格RBを獲るべき、という声は一部で根強く、今年は上位指名があってもおかしくない。しかし攻守ラインやセーフティの強化を後回しにしてまでパッカーズがRBを上位指名するのかという気もする。今年のドラフトでは中位あたりでも先発級RBが獲れる、という声もあり、指名はあっても3巡以降ではないか。これまで1巡RB指名の可能性があったのは2007年、マーショーン・リンチを狙っていた時だった。

いっぽう、ジョン・クーン(FA2014)はチーム唯一のフルバックであり(2年連続)、今年は契約最終年。今のオフェンスではFB1人体制でいっこうに構わないが、よいタレントがいれば下位指名はありうる。7巡やドラフト外で獲ってプラクティス・スクワッドで育てるのが現実的か。

◆ タイトエンド

ジャーマイケル・フィンリー(FA2014)がけっきょく残留し、アンドリュー・クウォレス(FA2014)が一昨年の前十字靭帯断裂から復帰、さらにブロッキング専門のマシュー・マリガンをFAで獲った。今年のデプスはまったく問題なく、しかも彼らはみな今年が契約最終年なのでいっそうの頑張りが期待できる。

いっぽう、2011年ドラフト組のD.J.ウィリアムズライアン・テイラーはプレー機会が少ないせいか、やや伸び悩んでいる。上記選手たちに代わって将来スターターになれるのか、今年の成長がカギを握っている。

モックドラフトではTEタイラー・アイファート(ノートルダム)の1巡指名予想が少なくないが、他のニーズを考えると上位指名権を使うのはもったいなく思える。あるとすればよほど魅力的なレシービングTEが残っていた場合のみ。そのときはおそらくWRの上位指名が消えるだろう。ジェニングス退団で4WR隊形が使えなくなっても、ペイトリオッツのようにダブルTEを活用するパスオフェンスにしてしまえばいい。

◆ クォーターバック

昨季の控えQBはグレアム・ハレルだけで、プラクティス・スクワッドに7巡指名のB.J.コールマン、という2.5人体制。今年はこの2人をオフシーズンプログラムで鍛えてキャンプで争わせれば十分と首脳陣は考えていそうだ。強肩コールマンが弱肩ハレルをあっさり逆転するようなら面白いが、ハレルではあまりにもスケールが小さい。

QB不作の年でもあり、よほど魅力的な選手が残っていた場合のみ下位指名を検討するのでは。ドラフト外で1人獲る方がありそうに思える。

◆ スペシャルチーム

昨季スランプに陥ったKメイソン・クロスビーの後継キッカーを指名する可能性がかなりある。ルーキーイヤー以来ライバルの入団がなかったクロスビーだが、今オフはすでにジョルジオ・タヴェッキオが契約している。ドラフト下位またはドラフト外でもう1人獲り、2人に絞った上でトレーニングキャンプを迎えることになるのでは。

Pティム・マステイとLSブレット・グードはまったく問題なし。おそらくドラフト外でも両ポジションは獲らず、今年のキャンプも無風だろう。リターナーについてはWRの項で書いたとおり、今年はコブに代わる選手を模索することになる。

カテゴリ : Draft