グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2013年4月20日

ニーズ分析 ディフェンス編

ドラフト本番まであと5日、大急ぎでパッカーズのニーズ分析を進めていこう。ドラフト候補選手については管理人はまったく不勉強なので、各自で調べていただくことに。

◆ 総論

フットボールでは、勝った時は過大評価され負けたときは過小評価されるもの。プレーオフで敗れれば次の試合まで8か月ちかくあるのだから、つらい敗戦やチームの弱点が頭にこびりつくのが当然だ。しかしそれはそれとして、シーズン全体として評価しなければならない。

GMたちがよく言うのは、「自分のチームを評価するのが最も難しい」ということ。とくに2年目・3年目選手の成長の見極めがチーム作りのきわめて重要なカギであり、そこを見誤るとFA市場やドラフトで無駄を重ねることになる。以下のポジション分析では、昨季終了時点の戦力だけでなく、そうしたカギを握る若手を重点的に見ていく。

また、ニーズを順番に埋めるようなドラフトをしてもなかなかうまくいかないものだ。2000年のLTクリフトン、2005年のQBロジャース、2008年のWRネルソン、2011年のWRコブといった指名は、当時は「本当に要るのか」と言われていた。逆に、2006年のILBホークは当時「もっとも安全な指名」と言われたものだ。現代NFLでは穴のないチームなど作ることはできない。強力な中心選手がチームを引っ張り、弱いところはなんとかごまかす、それで十分優勝に届くものだ。当時は不要と見えた指名がけっきょくチームの牽引車となっていく。

以下のポジション分析は、管理人の考えるニーズ順にしてある。FA予定年も併記してみた。

◆ ディフェンシブライン

フロントがFA市場でもっとも積極的(パッカーズにしては)だったのがこのポジション。向上が必要だと球団側が考えている証拠だ。なにしろ、他のポジションのディフェンスFA選手にまったく興味を示していないのだから。しかもDL陣は契約最終年を迎えている選手が多い。

先発右DEがC.J.ウィルソン(FA2014)ではどうにも弱い。ラン守備に強いといってもサイズ・馬力とも物足りず、パスラッシュとなるとまるで頼りにならない。伸びシロもあまり残っていないだろう。しかも将来のスターターと期待した2巡指名ジェレル・ウォージーがヒザ前十字靭帯を断裂してしまい、今年はちょっと計算できない。出場停止処分から復帰のジョニー・ジョリーが戦力になれば面白いが、3年ぶりではアテにしようがない。

リード・オプション対策が重要になってきただけに、相手OLに押し込まれずリーチのある、ラン守備に強いDEがほしい。欲を言えば、後ろのOLBマシューズと相乗効果を生むようなパスラッシュ能力もほしい。DEマイク・ニール(FA2014)と4巡指名DEマイク・ダニエルズはパスシチュエーションではペネトレーション能力を見せたが、ラン隊形で使えるガタイはない。

ドラフトではできれば1巡か2巡で指名したい。タイプとしては4-3の軽量パスラッシャー型ではダメで、300ポンド以上あるDTでないと即戦力DEにはならないのでは。契約最終年の選手が多く、DEウォージーがPUPリストでシーズンを迎える可能性があるので、2人指名もありうる。

ノーズタックルはB.J.ラジとライアン・ピケット(どちらもDE兼任)で問題なさそうだが、2人とも今年が契約最終年。先日NTスティーヴ・マクレンドン(PITと再契約)に興味を示したのもそのせいだろう。ラジは契約延長交渉といってもOLBマシューズと比べれば確実でなく、希望金額が高すぎれば決裂の可能性も大いにある。ピケットは出場スナップ数(全体の52.2%)が限られるせいか33歳のわりに使い減りしておらず、衰えは見せていない。

◆ セーフティ

FA市場でベテランを獲るべき、という声もあったが、チームはこれまでまったく動かず。モーガン・バーネットが契約最終年ということもあり、ディフェンスではDEと並んでもっとも大きなニーズ、という見方が地元記者には多い。

ウッドソンの退団はさほど大きな痛手ではないが、今年2年目のジェロン・マクミリアンM.D.ジェニングスの伸びシロで十分なのか、見極めが非常に重要なところ。先発確定のモーガン・バーネット(FA2014)はさらなる成長が期待されるシーズン。リロイ・バトラーもダレン・シャーパーもニック・コリンズも3年目までは頼りなく、4年目に急成長してプロボウル常連となった。

パッカーズではフリーセーフティとストロングセーフティの区別はあまりなく、両方こなせる能力が必要。とくに「4人目のLB」のような旧式のストロングセーフティタイプは現代NFLでは通用しないので、パスカバレッジ能力の高い選手が望ましい。今年のドラフトでは珍しくセーフティが豊作らしい。遅くとも3巡までに指名がありそうで、1巡指名があってもおかしくない。逆にもし3巡までに指名しないようなら、マクミリアンをそれだけ買っている、という証拠だろう。

◆ アウトサイドラインバッカー

たしかに昨季終了時点ではパスラッシュ力が物足りないが、今年は1巡指名ニック・ペリーの成長に期待する年。大学でDEだったためにOLBに慣れるのに時間がかかっているが、パワフルなプレーぶりはパスラッシュでもラン守備でも魅力がある。手首の手術で昨季後半を棒に振ったとはいえ、おそらく今オフのトレーニングにあまり影響は残らないだろう。

ペリーとマシューズに1巡指名権を使い、さらに$69.77ミリオンの大型契約をしたわけで、OLBにこれ以上の高額投資はしたくないところ。ただウォルデンのFA退団で、まともな控えがデズマン・モーゼス(昨年のドラフト外。成長が楽しみ)だけになってしまった。マシューズが毎年ハムストリングを痛めているだけにローテーション要員の確保は重要で、ドラフト中位以降で指名がかならずあるだろう。1巡や2巡で指名があるとすれば、よほど素晴らしい選手が残っていた場合のみ。

◆ インサイドラインバッカー

デズモンド・ビショップ(FA2015)がハムストリング負傷で昨季をまるまる棒に振り、彼のビッグプレー能力が欠けたのはチームにとって痛手だった。回復は順調でオフシーズン練習はほぼフル参加の見込み。高額サラリーがネックだったA.J.ホーク(FA2016)は大幅減俸を受け入れて残留した。代役スターターとして頑張ったブラッド・ジョーンズもいったんFAとなってから再契約。ILB経験は浅く、まだ伸びシロがある。D.J.スミスは前十字靭帯断裂明けで、完全復活の時期は読めない。

今夏のキャンプではビショップ、ホーク、ジョーンズの3人による先発争いと見られ、D.J.スミスが回復してそれに加われるかどうか、といったところ。他にもテレル・マニング(昨年5巡)の成長は楽しみなところで、スペシャルチーマーのロバート・フランソワ(FA2014)やジャマリ・ラティモア(RFA2014)もいてデプス的には十分すぎるほど。

というわけで、後述のCB陣とくらべると先発陣のレベルは低いが、上位指名は考えにくい。よほど魅力的な選手が残っていた場合を除き、指名があるとしてもかなりの下位だろう。

◆ コーナーバック

トラモン・ウィリアムズ(FA2015)、サム・シールズ(FA2014)、2巡指名ケイシー・ヘイワード、デヴォン・ハウス(FA2015)とスターター級が4枚揃い、5番手には先発経験もあるジャレット・ブッシュ(FA2015)もいる。人もうらやむ陣容であり、このユニットがディフェンスの最大の強みと言える。シールズは契約延長交渉が始まったところ。ウィリアムズは給料が高いので、場合によっては今季限りで放出する可能性もなくはない。

そうしたわけで、ディフェンスではILBと並んで上位指名の可能性がもっとも低いポジション。指名があったとしても、下位で1人、といったところではないか。

カテゴリ : Draft