通常なら木曜にフルパッド練習を行うが、ショートウィークのため今週はすべてパッドなしとなった。それでも金曜は熱のこもった充実した練習となったようだ。
チームの雰囲気についてマイク・マッカーシーHC。 「我々のロッカールームは強固だ。選手たちの人格は非常に高いと私は思う。あの直後はたしかに感情的になったが、切り替えるときになれば彼らは切り替えてくれる。こうしたときに最も重要なのはそこだろう。望まない状況に陥ったとき、それを長引かせるのは時間とエネルギーの浪費でしかない。今回の選手たちの対処の仕方を私は誇らしく思っている」
Green Bay Packers Injury Report | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Player | Pos | Injury | Wed | Thu | Fri | Status | Notes |
Sean Richardson | S | Hamstring | × | × | × | Out | 欠場 |
Davon House | CB | Shoulder | △ | △ | △ | Questionable | 今週も復帰見送りか |
James Starks | RB | Toe | ○ | ○ | ○ | Probable | 出場 |
Greg Jennings | WR | Groin | △ | △ | △ | Probable | 出場 |
Tom Crabtree | TE | Shoulder | ○ | ○ | ○ | Probable | 出場 |
Bryan Bulaga | OT | Knee | △ | △ | ○ | Probable | 出場 |
Jerel Worthy | DE | Shoulder | △ | △ | ○ | Probable | 出場 |
Jamari Lattimore | LB | Ankle | △ | ○ | ○ | Probable | 出場 |
New Orleans Saints Injury Report | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Player | Pos | Injury | Wed | Thu | Fri | Status |
Turk McBride | DE | Ankle | × | × | × | Out |
David Hawthorne | LB | Shoulder | × | × | × | Out |
Jonathan Casillas | LB | Neck | × | × | × | Out |
Probable | : | Virtual certainty that player will be available for normal duty |
---|---|---|
Questionable | : | A 50-50 chance will not play |
Doubtful | : | At least 75 percent chance will not play |
Out | : | Definitely will not play |
○ | : | Full Participation |
△ | : | Limited Participation |
× | : | Did Not Participate |
- | : | Not Listed |
この日はマンデーナイトから中1日のため、通常の週より4時間遅い午後3時15分から軽めの練習が行われた。水曜深夜にはようやく正規審判団とNFLが労使協定に合意している。
遠征先、しかも締め切りまで時間がないナイトゲームとあって、誤審の話題を除けば地元各紙とも情報量が多くない。選手たちが冷静にインタビューに答えられないという事情もあっただろう。以下は主に試合直後の会見やインタビューから。一部は試合翌日の情報。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
Packers (1-2) | 0 | 0 | 6 | 6 | 12 |
Seahawks (2-1) | 0 | 7 | 0 | 7 | 14 |
センチュリーリンク・フィールドの天気は晴れ、気温は19℃。序盤からイエローフラッグが乱れ飛ぶ荒れた展開となり、両軍とも相手ディフェンスに圧倒されて1stダウンを奪うことができない。パッカーズは前半だけで8サックを献上するパスプロ不振に苦しむなか、シーホークスは一発ロングパス成功で7点リードしてハーフタイムへ。
後半はパッカーズオフェンスが立て直しに成功するがエンドゾーンまで進むことはできず、第4QにようやくTDドライブを成功させて5点リード。シーホークスはあいかわらずパスが通らず、残り2分を切ったところでギャンブルに失敗。しかし残り46秒で再び攻撃権をつかみ、最後は試合終了と同時に逆転のヘイルメリーパス成功。
ヘイルメリーではSS M.D.ジェニングスが明らかにボールをしっかり抱えていたが、その背後から両手でボールを触っていたWRゴールデン・テイトが「同時キャッチはオフェンスに」との判定で、シーホークスにタッチダウンが認められる大誤審。目の前で見ていた審判2人のうち、1人はタッチダウン、1人はインターセプトの判定をしている(写真)。オフィシャルレビュー前から放送席では「明らかにインターセプト」と判断しており、レビューでTDが認められると、放送内で認められる最大限の表現で代替審判団の誤審を非難した。試合後の選手たちもツイートが荒れまくっている。(まとめ)
◆ ◆ ◆
パッカーズとしては、パスプロ不振のオフェンスがアジャストするのに前半いっぱいかかったことが大きな敗因だろう。前半は2回しかランプレーをコールせず、相手パスラッシャーは大外からやりたい放題。RTブラガとLTニューハウスがDEクリス・クレモンズ(4サック)と新人DEブルース・アーヴィン(2サック)にやられまくった。後半は1WR隊形を連発するなどラン・ファーストの姿勢で立て直すことができたが、結果的に遅きに失し、シーホークスに再逆転のチャンスを与えてしまった。
ディフェンスは先週に続いてパスカバレッジが非常によく、CBシールズのパスインターフェアとヘイルメリー成功が誤審だったことを考えれば100点満点に近い内容。ラン守備もRBマーショーン・リンチをなんとか平均3.9ydsに留めることができた。スペシャルチームではシーホークスのPジョン・ライアンが60yds級パントを連発し、古巣を大いに苦しめた。
反則はパッカーズが10回、シーホークスが14回と荒れた内容。パッカーズはアンネセサリーラフネス3回など反省材料も多いが、CBシールズのパスインターフェアやOLBウォルデンのラフィングザパサーなど不可解な判定があり、どちらも試合最後のフィールドポジション悪化につながった。
試合後の会見やインタビューが荒れたのでよくわからないが、ケガ人はDEジェレル・ウォージーぐらいか。ヒザから落下して打撲したようにも見えるが、後半はぶじ出場できていた。
Final Team Statistics | ||
---|---|---|
Packers | Seahawks | |
Points | 12 | 14 |
Total Yards | 268yds | 238yds |
First Downs | 22回(ラン6・パス11・反則5) | 14回(ラン6・パス4・反則4) |
Rushing | 84yds (21回・平均4.0) | 127yds (29回・平均4.4) |
Passing | 223yds (26/39・0TD・0INT) | 130yds (10/21・2TD・0INT) |
Sacked | 8回39yds | 1回19yds |
Passer Rating | 81.5 | 99.3 |
3rd Down Efficiency | 7/15 (47%) | 2/11 (18%) |
Turnovers | 0回 (INT0/FUM0) | 0回 (INT0/FUM0) |
Field Position | 自陣18yds | 自陣24yds |
Punt | 6回44.5yds(ネット43.7yds) | 6回51.5yds(ネット49.5yds) |
Kickoff Return | 1回23yds | 2回平均21.0yds |
Punt Return | 3回平均4.0yds | 2回平均2.5yds |
Field Goals | 2/2 | 0/0 |
Penalty | 10回127yds | 14回118yds |
Time of Possession | 33分39秒 | 26分21秒 |
Green Bay Packers Injury Report | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Player | Pos | Injury | Thu | Fri | Sat | Status | Notes |
Jamari Lattimore | LB | Ankle | × | × | × | Out | 欠場 |
Davon House | CB | Shoulder | △ | △ | △ | Doubtful | 欠場 |
James Starks | RB | Toe | △ | △ | △ | Questionable | 欠場の方向 |
Greg Jennings | WR | Groin | × | △ | △ | Questionable | 出場の方向 |
Tom Crabtree | TE | Shoulder | × | △ | × | Questionable | 微妙 |
C.J. Wilson | DE | Groin | △ | △ | △ | Questionable | 微妙 |
Sean Richardson | S | Hamstring | △ | ○ | △ | Questionable | 微妙 |
Randall Cobb | WR | Hamstring | △ | △ | ○ | Probable | 出場 |
Josh Sitton | OG | Knee | △ | △ | ○ | Probable | 出場 |
Nick Perry | LB | Wrist | ○ | ○ | ○ | Probable | 出場 |
Terrell Manning | LB | Concussion | ○ | ○ | ○ | Probable | 出場 |
Seattle Seahawks Injury Report | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Player | Pos | Injury | Thu | Fri | Sat | Status |
Byron Maxwell | CB | Hamstring | × | × | × | Out |
Doug Baldwin | WR | Shoulder | △ | × | × | Questionable |
Marshawn Lynch | RB | Back | △ | ○ | ○ | Probable |
Charly Martin | WR | Chest | ○ | ○ | ○ | Probable |
Zach Miller | TE | Foot | △ | ○ | ○ | Probable |
Russell Okung | OT | Knee | ○ | ○ | ○ | Probable |
Probable | : | Virtual certainty that player will be available for normal duty |
---|---|---|
Questionable | : | A 50-50 chance will not play |
Doubtful | : | At least 75 percent chance will not play |
Out | : | Definitely will not play |
○ | : | Full Participation |
△ | : | Limited Participation |
× | : | Did Not Participate |
- | : | Not Listed |
4連休明けの火曜、パッカーズは久しぶりの練習をフルパッドで行った。ベアーズ戦を欠場したWRジェニングス(鼠蹊部)、RBスタークス(つま先)、DEウィルソン(鼠蹊部)の3人が練習に参加し、チームの健康状態はかなり上向いてきた。「今週の我々はとてもヘルシーだ。1日余分に練習ができるし、シアトル戦に向かって全力で行けると我々は感じている」とマッカーシーHC。
開幕直前にJournal Sentinel紙に掲載されたRGジョシュ・シットンのロングインタビューが興味深かったのでここで紹介したい。
NFLのオフェンシブラインマンに最も重要なのは、ランブロッキングに必要な力強さだという世間の認識を、彼は強く否定している。「今はもうそうではない。ディフェンス選手はどんどん速くなり、アスレチックになってきている。となると、こちらは優れた足が必要なんだ。クイックな足がね。NFLに来るようなラインマンは誰でもある程度のパワーがある。もちろん、並外れて強い選手やその逆の選手もいるが、それはひと握り。いまフットボールはスピードの世界になってきているんだ」
今年2月のスカウティング・コンバインでは、ガードの平均サイズが身長6-4½・体重314ポンド。シットンより1インチ高く、体重はほぼ同じだ。しかもたいていのラインマンはNFL入り後に体重を増やしていく。 「でも僕は、今年のオフシーズンにはいったん300ポンドまで絞ったよ。今は315ポンドまで戻している。僕よりもサイズのあるガードはたくさんいる。僕は大学時代の方がずっと強かったぐらいだ」
相手DLをフィジカルで圧倒する、という考え方をシットンはあらためて否定。 「大学フットボールの世界ではパンケーキ・ブロックの数がカウントされる。しかしNFLではそんな話は全然聞かないだろう。"Mauler" (パワーで圧倒する巨漢ラインマン)はこのリーグにはもう多くないんだよ」
「NFLでは誰でもものすごいパワーがある。毎試合、体がボロボロになる気がするものだよ。僕のポジションは必ずそうなるんだ。振り回され、叩きつけられる。タフな仕事だ。体は本当にボロボロになる」
◆ ◆ ◆
彼は過去3年連続でディビジョン最高のガードとみなされ、ヒザの問題に苦しんだ昨季もNFL8位(Pro Football Weekly)のガードと評価された。明るいが控えめな態度を崩さず、スタント(DLが交差して攻めてくる)相手のブロッキングの巧みさを聞かれても、「僕はここでセルフ・プロモーションをするつもりじゃないから」と言う。
代わりにジェームズ・キャンペンOLコーチに説明してもらうと、実際のサイズよりも大きくプレーできることがシットンの良さだという。 「それに、彼は非常に認識力が高い。相手がしてくることを、それが起きる前に感じ取ることができる。おどけた野郎ではあるけど、すごく知的な男なんだ。映像を見れば一度で理解してしまう」
NFLのフットボールは複雑になる一方だが、自分の仕事ぶりが単純な尺度で測られることにシットンは満足を覚える。 「ブロックに勝つか、ブロックに勝てないかだ。細かなテクニックはいろいろ言われるけど、僕は勝ちさえすればテクニックなどどうでもいい。マッチアップ相手が大きなプレーをすれば、当然自分にもわかる。そんな映像は残したくないよね。自分がやられた後にジャンボトロンで見せられるなんてイヤさ。今年はランボーのスクリーンも巨大になったことだし」
◆ ◆ ◆
「プレーが終わったら、素早くハドルに戻るよう僕らは教育されてる。口を閉じ、クォーターバックの言葉に耳を傾ける。仕切っているのは彼だからね。このチームではとくにそうだ(注 : オーディブル権限も大きい)。僕らは耳を澄まし、目をしっかり開けていなければ」
パッカーズの複雑な用語でQBアーロン・ロジャースがプレーを伝達すると、選手たちは手を叩き、"break" と小声で言って、スクリメージラインに向かう。シットンは相手ディフェンシブラインが3人か4人かをチェックする。たいていの場合パッカーズはOL同士の間隔が一定だが、そうでないプレーもある。ガードたちに2ポイントスタンスを許すチームも中にはあるが、マッカーシーHCとキャンペンOLコーチは「ガードはボールから遠い方の手(RGなら右手)をついているべき」と信じ、実行させている。毎回同じバランスで構えることが目標とされる。
「1stダウン10でランをやるときでも、手に全体重をかけるわけにはいかない。相手にランだとバレでしまうからね。しかし常にうまくやれるわけじゃない。NFLの連中は本当に頭がよく、フィルム分析も大量にやってるから(癖がみつかることもある)。ただ3rdダウン10になれば、相手もパスだとわかっているだろうし、僕はスタンスをすこし軽め(体重を後ろ)にするよ」
◆ ◆ ◆
NFLのランプレーはゾーンとパワーに大別される。パッカーズはゾーンブロッキングのスキームであるため、ガードがプル・ブロックしてリードブロッカーになるようなことは滅多にない。
センターと右ガードの間の"Aギャップ"を突くランプレーを選択し、相手が3-4ディフェンスだとしよう。相手NTはCサタデーと正対し、ストロングサイドILBがRGシットンの4.5ヤード先に、左DEはRTブラガの正面にいる。こうした練習はキャンプで数えきれないほど繰り返し、シーズン中も週に何度か行っている。「何度も繰り返してるよ。そのために練習ってもんがある」
スナップ前にはラインマンたちが符牒を使い、誰が誰をブロックするか確認する。相手がベーシックな隊形であれば、そうしたコールが不要のこともある。ガードはセンターから数フィートしか離れていないため、(顔を向けなくても)周辺視野でボールを捉えることができる。RGシットンによると、NFL選手であってもスナップカウントを忘れることはあるという。そうなったら顔を左に向けてボールを見なければならず、右サイドからLBがブリッツしてきた場合に不利な状況に陥る。
QBロジャースはハドルであらかじめハードカウントの予告をすることもあるが、そうでないことも多い。 「完全に集中していないと対処は難しいよ。だって、フィールドではいろんなことが起きているからね。ディフェンス選手がフォルススタートを誘おうと怒鳴ることもある。まあそれは審判があまり容認しないけど」
さていよいよCサタデーがボールをスナップする。相手がとくに動かないとすると、Cサタデーはノーズタックルの相手をし、RGシットンも加わってダブルチーム・ブロック。2人合わせて600ポンドが、310から330ポンドの選手に当たる。 「大事なのは目標のポイントにしっかり到達することだ。すべてはフットワークから始まる。完璧なフットワークは大いに助けになるし、その次は適切な場所に両手を当てること」
相手NTをダブルチームしながらも、RGシットンは自分の正面のILBから目を離さずにおく。相手NTは、ILBがフリーでボールキャリアーに向かえるよう、2人のブロッカーを引き留める努力をする。 「僕としては、どの時点でダブルチームを離れるべきか感じ取ることが必要だ。あまり早いと相手NTにセンターへの良い角度を与えてしまう。遅すぎると、ILBが目の前に来てしまっている。ILBが勢いよく飛んできたら、僕はそちらに向かう時だ」
時には目の前のブロック対象がおらず、まっすぐ235ポンドのILBに向かっていけることもある。その場合は別のスキル・セットが必要になる。 「小さい相手はそのぶんクイックだ。(相手を逃さず)しっかり捕まえないと。ラインバッカーを突き飛ばすにはちゃんと足腰を動かすことが大事だ」
◆ ◆ ◆
左へのアウトサイド・ゾーンのランでは、RGシットンはバックサイドで相手DTをカットブロックすることを求められることが多い。 「ディフェンダーをカットできれば、相手は足場を失ってタックルなどできない。ただ、そううまく行かないことが多いんだ。バックサイドのブロックは、フロントサイドと同じか、時にはより重要であることもある。(バックサイドがうまくやれば)ランニングバックはこちらへカットバックすることができる」
パッカーズが5回のNFL制覇を果たした1960年代には、ディフェンスは60分間ほとんど変わらないものだった。しかし現代のディフェンシブラインはスナップと同時にスラント(斜めに動く)やスタントすることも多く、オフェンシブラインたちは瞬時のアジャストメントを強いられる。 「自分がスナップ前に(ブロック確認の)コールをしても、スナップ後には別の形のブロックをしなきゃならなくなる。それがフットボールだ。相手が毎回おなじ場所にラインナップして何も動かなければ、僕らは1試合に100得点できてしまう」
ゴールライン・オフェンスでは、下に潜り込もうとするたくさんの敵を相手にブロックをしなければならない。 「自分がエンドゾーンに入ろうと頑張ることだ。自分がエンドゾーンに入れれば、RBも入れるから」
◆ ◆ ◆
パスブロッキングでは、RGシットンは入団直後から素晴らしい能力を示していた。セントラル・フロリダ大から2008年4巡指名で入団すると、1on1のパスラッシュドリルではまるでベテランのような動き。トレーニングキャンプでのパスラッシュドリル成績は、2008年が16勝2敗3分(チーム2位)、2009年が19勝1敗3分(1位)、2010年が8勝2敗1分(7位)、2011年が16勝1敗4分(1位タイ)、そして2012年が11勝0敗1分(1位)だった。
「僕はとにかく相手にしっかり両手を当て、両足が相手の正面に来るようにし、自分の体が相手の正面に来るように努力してる。相手をアーロンに近づけさせないように。これもやはりフットワークから始まる。フットワークがおかしくなると、バランスを取るのに力を使わなければならなくなる。良いフットワークが必要なんだ」
「パスプロの一流とそうでない選手の違い? ブロッキングを最後までやり通すことだね。大学では、最初の動きさえ封じればそれで仕事は終わりだった。両手を相手に当てさえすればゲームオーバー。相手は第二、第三の動きを繰り出す能力はないから、最初に止められたらそこで止まってしまう。しかしNFLでは最初に止められても動き続ける。両手を当てられてもそれを振り払ったり、スウィム・ムーヴやスピン・ムーヴやリップ・ムーヴを繰り出してくる。だから第二、第三の動きまでしっかりブロックできる能力が必要なんだ」
◆ ◆ ◆
スクリメージラインに向かうとき、RGシットンの目は相手パスラッシュの手がかりを探している。プロテクションのコールはハドルで伝えられているが、QBロジャースやCサタデーによりスナップ前に変更されることもある。センターが誰か相手を指差している場面を、ファンのみなさんもよく見かけるはずだ。それはたいていラインバッカーの番号を叫んでいるのであり、5人のうち誰がそのLBを担当するかを指示しているのだ。時には、相手ディフェンスを混乱させるためのダミーであることもある。
「フットボールのゲームは精神的緊張のかたまりだよ。スナップ寸前に何かをコールされることがすごく多いんだ。若手選手にとって一番大変なのが、そうしたゲームのスピードについていくこと。目で見て、耳で聞いて、それを実行する能力だね」
自分がブロックする選手は、相手のブリッツやスタントしだいで変わってくる。最初は平凡な4メンラッシュに見えても、DEがRGシットンに向かってきて、DTがループしてRTブラガに向かっていく。
相手が3メンラッシュの場合はオフェンシブラインの仕事が楽になる。RGシットンは自分の相手がいなければ周囲を見回し、フリーで入ってくるブリッツァーに備える。それを見逃すと試合の流れを変えるサックになりかねない。
◆ ◆ ◆
アクティブなパスラッシャーに受け身のブロッカーが対抗するのがパスラッシュの勝負。ディフェンダーは大変なエネルギーを発散しているが、一息入れてしまうプレーもなくはない。 「そう、連中は意気地なしばかり(笑)。330ポンドの相手を止めるのは大変な仕事なんだよ」
待っていればいいオフェンシブラインと違って、パスラッシャーの方が優れたアスリートだとディフェンス選手は主張しがちだ。 「それはアスリートの定義にもよるね。彼らが速く走ったり高くジャンプできるか? そりゃそうだ。しかし330ポンドの相手と向かい合い、スローダウンさせたり動かしたりするのは容易じゃない。オフェンシブラインをプレーするにはすごくアスレチックでなきゃいけない」
スクリーンパスやプレーアクション・パスは相手ディフェンダーを欺くチャンスだ。 「プレーアクションはオフェンスをすごく助ける。ジョー・フィルビン(現ドルフィンズHC)がいつも言っていたけど、プレーアクションは低い姿勢と動きのスピードが大事だ。こちらが速く動くほど、相手LBにはランプレーに見えやすい。いったんランに思えたところからパスに切り替えるのは、ディフェンシブラインにとってすごく難しいんだ。そうなるとこちらはブロックするのが楽になる」
◆ ◆ ◆
「オフェンシブラインは指や手をいつでも痛めている。嫌なことだけど、これもフットボールの一部だ。プレーの間はそんなこと考えていられない。思い出すのは試合の後だ」
コイントスから3時間あまり経過し、RGシットンはロッカールームに戻って指のテーピングを剥がす。精神的にも肉体的にも疲れ果てている。仲間とのバックギャモンやビデオゲームであまり勝てない彼にとって、ビクトリー・サンデーに勝る喜びはない。 「そう、まさにそのとおりだよ。最高の報酬は、クロックがゼロになり、自分がよいプレーができたと振り返るときだ。フットボールで最高の気分だよ。それ以外のすべてはハードワークまたはストレスだから」
選手たちは4連休を与えられ、ちょっとしたバイウィーク気分。次戦がマンデーナイトのため練習日程を通常より1日後ろにずらし、火曜に練習再開、水曜が休日、木金土と練習を行う予定となっている。
素晴らしい内容でチームを勝利に導いたディフェンスとスペシャルチームに話題が集まっている。開幕戦の完敗により世間では悲観論が広まっていたが、チーム内はけっしてパニックになっていなかったと選手たちは口を揃える。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
Bears (1-1) | 0 | 0 | 3 | 7 | 10 |
Packers (1-1) | 0 | 13 | 0 | 10 | 23 |
気温17℃、雨上りのランボーフィールド。通算185回目のベアーズ戦。WRジェニングスを欠いて今回もオフェンスが波に乗れないパッカーズだが、スペシャルチームが素晴らしいトリックプレーでタッチダウンを決め、ディフェンスも4INT・7サックの大爆発で余裕をもって逃げ切り。開幕連敗をまぬがれた。
試合は序盤から両軍ディフェンスの頑張りでパント合戦となり、第2Q初めにようやくパッカーズが3点先制。FG隊形からのトリックプレーでTEクラブトリーが27ydsTDを決めると、直後にCBウィリアムズのインターセプトと前半終了間際のFG成功で13点リード。第3QにはTEフィンリーのファンブルロストで流れを失いかけるが、Kクロスビーの54ydsFG成功、CBウィリアムズの2つ目のインターセプト、WRドライバーへのTDパスであっという間に20点差に。その後はディフェンスがサックとインターセプトを連発し、ミスの多いオフェンスをおおいに補った。
ディフェンスではOLBクレイ・マシューズが3.5サック、CBトラモン・ウィリアムズが2インターセプトの大活躍。OLB陣はウォルデンの復帰により、パスラッシュにさらに活気が出てきた。CB陣ではジャレット・ブッシュの出番がまったくなく、先発はサム・シールズ、ダイムバックは新人ケイシー・ヘイワード。新人といえば、DEジェレル・ウォージーとDEマイク・ダニエルズがともにNFL初サック、SSジェロン・マクミリアンが初インターセプトを決めている。
Final Team Statistics | ||
---|---|---|
Packers | Bears | |
Points | 23 | 10 |
Total Yards | 321yds | 168yds |
First Downs | 19回(ラン6・パス11・反則2) | 11回(ラン3・パス7・反則1) |
Rushing | 106yds (28回・平均3.8) | 94yds (23回・平均4.1) |
Passing | 219yds (22/32・1TD・1INT) | 126yds (11/27・1TD・4INT) |
Sacked | 5回31yds | 7回52yds |
Passer Rating | 98.8 | 28.2 |
3rd Down Efficiency | 4/14 (29%) | 5/15 (33%) |
Turnovers | 2回 (INT1/FUM1) | 4回 (INT4/FUM0) |
Field Position | 自陣37yds | 自陣28yds |
Punt | 5回47.6yds(ネット42.0yds) | 6回46.8yds(ネット40.8yds) |
Kickoff Return | 1回21yds | 2回平均28.5yds |
Punt Return | 2回平均8.0yds | 2回平均4.0yds |
Field Goals | 3/3 | 1/1 |
Penalty | 4回54yds | 8回65yds |
Time of Possession | 32分11秒 | 27分49秒 |
Green Bay Packers Injury Report | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Player | Pos | Injury | Wed | Thu | Fri | Status | Notes |
Terrell Manning | LB | Concussion | × | × | × | Out | 欠場 |
Greg Jennings | WR | Groin | × | × | × | Doubtful | 欠場のはず |
James Starks | RB | Toe | × | × | △ | Doubtful | 欠場 |
Davon House | CB | Shoulder | △ | △ | △ | Doubtful | 欠場 |
C.J. Wilson | DE | Groin | × | △ | △ | Questionable | 微妙 |
Jamari Lattimore | LB | Ankle | △ | △ | △ | Questionable | 微妙 |
Chicago Bears Injury Report | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Player | Pos | Injury | Wed | Thu | Fri | Status |
Kyle Adams | TE | Shoulder | × | △ | △ | Questionable |
Charles Tilman | CB | Shin | × | × | △ | Questionable |
Brian Urlacher | LB | Knee | × | × | ○ | Probable |
Probable | : | Virtual certainty that player will be available for normal duty |
---|---|---|
Questionable | : | A 50-50 chance will not play |
Doubtful | : | At least 75 percent chance will not play |
Out | : | Definitely will not play |
○ | : | Full Participation |
△ | : | Limited Participation |
× | : | Did Not Participate |
- | : | Not Listed |
通常なら休日となる火曜日だが、木曜のゲームを控えて軽めの練習が行われた。
木曜夜にゲームが控えているため、現地月曜に早くも今週最初のインジャリーリポートが発表された(通常は水木金だが今週は月火水)。練習がないのに練習参加状況というのもおかしな話だが、「もし練習があったとしたらどの程度参加できていたか」という基準でチームはNFLに報告を行うことになっている。
大事な開幕戦を落としたとあって反省の弁は多いが、ディフェンス向上への手応えを強調するベテラン選手も少なくない。また、ベアーズ戦を中3日で迎えることも、気持ちを引きずらないためにはかえってよいことととらえているようだ。DB陣ではSS M.D.ジェニングスが試合半ばでベンチに下げられ、新人SSジェロン・マクミリアンが出場している。
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | Total | |
---|---|---|---|---|---|
49ers (1-0) | 3 | 13 | 7 | 7 | 30 |
Packers (0-1) | 0 | 7 | 0 | 15 | 22 |
気温22℃と素晴らしい天候のランボーフィールド。開幕戦のパッカーズは序盤から攻守とも精彩を欠き、49ersは時間を使いながら着々とリードを広げる。第4QにはWRコブのパントリターンTDでようやく反撃を開始したパッカーズだが、QBロジャースのインターセプトから再び追加点を許し、最後の反撃もギャンブル失敗で万事休す。攻守とも完全に力負けの内容だった。
パッカーズディフェンスはラン・パスともかなりの不振。1stダウンでコンスタントに5yds進まれ、3rdダウンを待たずに1stダウンを更新されてしまうことの繰り返し。パス守備ではパスラッシュこそ昨季より多少よくなったが、WRランディ・モスへのTDパスなど大きなカバレッジミスやタックリングミスが多く、昨季のビデオを見ているようだった。
オフェンスはRBベンソンのランが49ersディフェンスに完全にシャットアウトされ、パス攻撃もプロテクション不安から積極的にダウンフィールドを攻めることができない。終盤の反撃でなんとかパス300ydsに到達したものの、最後までチグハグな試合展開だった。
WRランドール・コブは(まるでWRパーシー・ハーヴィンのように)バックフィールドにセットするプレーが多く、ラッシングこそなかったがショートパス主体に9回77ydsとよく働いた。リターナーとしても、誤審に助けられながら75ydsのパントリターンTDを決めている。ディフェンスで唯一よかったのは2.5サックを挙げたOLBクレイ・マシューズ。49ersのKデヴィッド・エイカーズは前半終了間際に63ydsのFGを成功(NFL史上最長タイ)。問題のリプレイスメント審判団は誤審が多く、不可解な判定を繰り返して試合を盛り下げた。
パッカーズ唯一のケガ人は先発DE C.J.ウィルソンで、鼠蹊部を負傷して第1Q半ばに退いている。
Final Team Statistics | ||
---|---|---|
Packers | 49ers | |
Points | 22 | 30 |
Total Yards | 324yds | 377yds |
First Downs | 21回(ラン2・パス16・反則3) | 22回(ラン6・パス13・反則3) |
Rushing | 45yds (14回・平均3.2) | 186yds (32回・平均5.8) |
Passing | 303yds (30/44・2TD・1INT) | 211yds (20/26・2TD・0INT) |
Sacked | 3回24yds | 4回20yds |
Passer Rating | 93.3 | 125.6 |
3rd Down Efficiency | 6/13 (%46) | 2/9 (22%) |
Turnovers | 1回 (INT/FUM0) | 0回 |
Field Position | 自陣22yds | 自陣25yds |
Punt | 6回48.2yds(ネット41.5yds) | 5回51.2yds(ネット35.2yds) |
Kickoff Return | 3回平均26.7yds | 1回31yds |
Punt Return | 3回平均26.7yds | 1回20yds |
Field Goals | 0/0 | 3/3 |
Penalty | 10回77yds | 8回66yds |
Time of Possession | 27分00秒 | 33分00秒 |
開幕戦を迎える前に、今年のトレーニングキャンプとプレシーズンでの良かった点と悪かった点を、地元記者たちの評価を元にしてざっと書き出してみた。本当に悪かった選手の多くがチームを去っており、どうしても総花的な評価になってしまう。
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Green Bay Packers Injury Report | |||||||
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Player | Pos | Injury | Wed | Thu | Fri | Status | Notes |
James Starks | RB | Toe | Out | Out | Out | Out | 欠場 |
Jamari Lattimore | LB | Ankle | △ | × | × | Out | 欠場 |
Davon House | CB | Shoulder | △ | △ | △ | Out | 欠場 |
Alex Green | RB | Knee | - | - | × | Probable | 出場 |
Tom Crabtree | TE | Shoulder | △ | △ | △ | Probable | 出場 |
B.J. Raji | DT | Ankle | △ | ○ | ○ | Probable | 出場 |
Robert Francois | LB | Hamstring | △ | △ | △ | Probable | 出場 |
Sean Richardson | S | Hamstring | × | △ | △ | Probable | 出場 |
San Francisco 49ers Injury Report | ||||||
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Player | Pos | Injury | Wed | Thu | Fri | Status |
Brandon Jacobs | RB | Knee | × | × | × | Questionable |
Ted Ginn | WR | Ankle | × | × | × | Questionable |
Probable | : | Virtual certainty that player will be available for normal duty |
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Questionable | : | A 50-50 chance will not play |
Doubtful | : | At least 75 percent chance will not play |
Out | : | Definitely will not play |
○ | : | Full Participation |
△ | : | Limited Participation |
× | : | Did Not Participate |
- | : | Not Listed |
思い思いの場所で連休を過ごした選手たちがグリーンベイに再集結し、月曜から練習スタート。パッドを着けない短めの練習だった。 「レギュラーシーズン・モードに移行するのは大きな変化だ。観客に囲まれたレイ・ニチキ・フィールドから静かなクラーク・ヒンクル・フィールドに移り、選手も90人から61人(プラクティス・スクワッド含む)へと減った。過去にはこの月曜に練習をやりすぎた苦い経験もある。リスクの高い日なんだ。しかし今日は質の高い練習ができた」とマッカーシーHC。
パッカーズは下表の7人をプラクティス・スクワッド(以下 PS)に入れた。7人全員が先日までパッカーズに所属してキャンプに参加していた選手。オフェンスに大きく偏っているのは、ロースター構成がオフェンス24人・ディフェンス26人であることも関係がありそうだ。最後の1人がなかなか決まらないが、ここまで待っているのは他球団から解雇された選手と交渉中なのかもしれない。
なお、先日パッカーズから解雇された選手で、ウェイバーで他球団に拾われた選手はゼロだったとのこと。
Packers 2012 Practice Squad Signings | ||||
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Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
QB | B.J. Coleman | Tennessee-Chattanooga | R | 7巡指名QB。素材はいいがかなり粗削り |
RB | Marc Tyler | Southern California | R | プレシーズンでいいところなしだったが |
WR | Diondre Borel | Utah State | 1 | 2年連続PS入り |
TE | Brandon Bostick | Newberry College | R | マイナー校出身もケガ人続出のチャンス活かした |
OT | Andrew Datko | Florida State | R | 7巡指名だが脳震盪が長引く |
OG | Greg Van Roten | Pennsylvania | R | キャンプで評判のアイビーリーガー |
DE | Lawrence Guy | Arizona State | 2 | 昨年の7巡指名。それなりに伸びてはきている |
解雇選手リストは昨日の記事を参照のこと。注目点を簡単にまとめると、OLがわずか7人で補強が必至であること、RBとWRがそれぞれ例年より1人多いこと、さほどハイレベルでないのにDBが11人もいること。
地元紙によると、パッカーズは他球団から解雇されたウェイバー選手への獲得希望を1つも出さなかったとのこと。ということは、補強があるとすればFAかトレードということになる。プラクティス・スクワッド契約(8人枠)はすでに始まり、QBコールマン、RBタイラー、WRボレル、TEボスティック、OTダトコ、OGヴァンローテン、DEガイの7人がすでに判明している。
以下は各ポジションの人数と詳細。
プレシーズン最終戦から一夜明ければ、75人から53人に減らす最終ロースターカット期限。今日だけで704人(単純計算)がNFLの職を失うことになる。パッカーズは下表の18選手を解雇、LTデレク・シェロッドをシーズンPUPリスト(第6戦終了まで出場できなくなる)に入れ、OLBヴィック・ソート(足首)をインジャリーリザーブに入れた。
これで開幕ロースターが確定したわけではなく、他球団から解雇された選手の獲得やトレードも十分ありうる。2007年にRBグラント(トレード)やFBクーン(ウェイバー)を獲得したのも最終ロースターカットの後だった。今年の場合、OLがわずか7人なのだから、補強がなければむしろおかしいだろう。逆に6人も確保しているWRからは、ジェームズ・ジョーンズまたは新人ジャレット・ボイキンがトレード材料となるかもしれない。
また出場停止選手はロースター枠にカウントされない。DEマイク・ニール(4試合)とOLBエリック・ウォルデン(1試合)については、出場停止期間が終わったときに解雇するか代わりの選手を解雇するか決めればよい。
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オフェンスでサプライズ気味なのは、キャンプ途中でFA補強したG/Tレジー・ウェルズの解雇。先発経験を買われてキャンプ途中でFA加入したが、プレー内容はおおいに物足りず、OTでダメだったのも減点材料だった。OLを7人にしてしまったのだから、よほど期待外れだったのだろう。また、NFL経験4年以上の選手は開幕週にロースターにいると年俸全額が保証される(シーズン途中で解雇されても)、という金銭的な事情もある。
ディフェンスのサプライズは、今夏好調だったNTダニエル・ミューアの解雇。ラジとピケットが軽度の負傷のためなおさら大丈夫と思われたが、イマイチに見えたDEフィリップ・マーリングに敗れた。DEとNTのデプスの差か、サイズの割にランに対して強固でなかったせいか。上記の「4年以上選手のサラリー保証」の問題もあり、シーズン中の再契約はあるかもしれない。昨年プラクティス・スクワッドにいたSアンソニー・レヴィーンは先発SS争いに加わることもあったが、新人Sショーン・リチャードソンの伸びシロとスペシャルチーム能力が買われたのだろう。
勝ち残った中でサプライズは、キャンプ・プレシーズンを通して不振だった5巡指名ILBテレル・マニング、昨年プラクティス・スクワッドにいたCBブランディアン・ロスといったところ。ただしこのあたりは今後補強があれば解雇の可能性がもっとも高そうだ。ドラフト外ルーキーからは、早くから確実視されていたOLBデズマン・モーゼスに加え、WRジャレット・ボイキン、OLドン・バークレー、Sショーン・リチャードソンが喜びのロースター入りを果たしている。(代わりに7巡指名の2人が解雇)
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NFL経験4年未満の解雇選手は自動的にウェイバー公示の対象となり、獲得希望(claim)を出した中で最も優先順の高い球団が獲得できる仕組みとなっている。ウェイバー優先順はドラフトと同じく前年の成績順なので、今季のパッカーズは28番目となる。解雇から1日経って獲得希望球団が1つもなければ無制限FAとなり、いつでも好きな球団と契約できる。FBクーンやCBブッシュはこうしてパッカーズにやってきた選手だ。
過去4年間のパッカーズは最終ロースターカット後のウェイバー獲得希望を1つも出していない。一昨年はパッカーズから解雇された中から、NFL最多の5人が他球団に拾われた。システムに習熟していないことを承知で開幕ロースターに入れるのだから、それだけ能力を買われたことになる。
8人枠のプラクティス・スクワッド(以下 PS)に契約ができるのも解雇から1日経ってから。下表の解雇選手の中にも、球団から「PSに入れるつもりなので街に残っていてくれ」と伝えられた選手はすでに何人もいる。といっても必ずしもパッカーズと契約する必要はない。自分のポジションの層が厚いと思えば、他球団のPSを狙った方がロースター昇格の望みがある。新労使協定ではPS資格がややこしくなったが、下表の中でG/TウェルズとNTミューア以外は全員がPS資格を残しているはず。
Packers 2012 Final Roster Cuts | ||||
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Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
QB | B.J. Coleman | Tennessee-Chattanooga | R | PSで修業へ |
RB | Marc Tyler | Southern California | R | プレシーズンでいいところなし |
FB | Nic Cooper | Winston-Salem State | R | フルバックは今年も1人体制に |
WR | Diondre Borel | Utah State | 1 | 2年目の成長を見せられず。今年もPS候補 |
WR | Tori Gurley | South Carolina | 1 | 同上 |
WR | Dale Moss | South Dakota State | R | アスレチックだが粗削り。PSの可能性なら |
WR | Curenski Gilleylen | Nebraska | R | 大学ではRB兼任の器用貧乏 |
TE | Brandon Bostick | Newberry College | R | TEの層が厚い。PSの可能性なら |
OT | Andrew Datko | Florida State | R | 7巡指名だが脳震盪が長引く。PS濃厚 |
OT | Shea Allard | Delaware | R | こちらもPS候補だがダトコよりは下 |
G/T | Reggie Wells | Clarion | 10 | キャンプ中のFA加入も期待外れ |
C/G | Tommie Draheim | San Diego State | R | キャンプ序盤は好評だったが |
C/G | Sampson Genus | South Florida | 1 | 昨季PSも2年目は目立たないキャンプだった |
OG | Greg Van Roten | Pennsylvania | R | 1on1練習の成績は優秀。PSで成長を見たい |
DE | Lawrence Guy | Arizona State | 2 | 昨年7巡指名。悪くないがDLの層が厚い |
NT | Daniel Muir | Kent State | 5 | よく頑張ったがNTの層が厚かったか |
CB | Otis Merrill | Illinois State | R | 好リターンもあった。身体能力高くPS候補 |
S | Anthony Levine | Tennessee State | 1 | 過去2年PS。ちょっとだけ先発SS争いに加わった |
Reserve/Physically Unable to Perform | ||||
Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
OT | Derek Sherrod | Mississippi State | 2 | 昨季終盤のスネ骨折で復帰遅れる |
Injured Reserve | ||||
Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
OLB | Vic So'oto | Brigham Young | 2 | 昨日のゲームで足首負傷 |
Suspended | ||||
Pos. | Name | College | Exp. | 備考 |
DE | Mike Neal | Purdue | 3 | ドーピング違反で4試合。今年の出来はまずまず |
OLB | Erik Walden | Middle Tennessee State | 5 | 家庭内暴力事件で1試合。プレーは好調で残留濃厚 |