グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2012年4月23日

ドラフトの焦点 オフェンス・ST編

ドラフトのニーズのまとめ、今回はオフェンスとスペシャルチームについて。といっても今年のスペシャルチームは補強が不要と思われる。パッカーズにとってたいへん久しぶりのことだ。

◆ センター / ガード

ラインの柱石、Cスコット・ウェルズがFA流出したため、プロボウル5回のCジェフ・サタデーを緊急補強した。36歳といっても昨季のプレー内容がよかったので、今年は急激な衰えは来ないことをアテにしている。ただ、2年間バリバリやってくれると期待するのは虫がよすぎるかもしれない。後継者の育成は必須だ。

控えのデプスも非常に薄く、C/Gイヴァン・ディートリック=スミス(2009年ドラフト外)、Cサンプソン・ジーナス(昨年ドラフト外)、G/Tレイ・ドミンゲス(昨年ドラフト外)の3人だけ。彼らに将来スターターが務まるかというとかなり疑わしい。また先発LGのT.J.ラングが今年契約最終年を迎え、すでにRGシットンに高額サラリーを支払っていることから、「チーム全体のバランスから言ってガード2人に高額サラリーを払うのはどうか」という問題がある。来年ラングを無理に引き留めずに済むためにも、今年ドラフトで指名して育てておきたいところ。

といったわけで、センター/ガードを1巡指名する予想も少なくない。地元ウィスコンシン大のCピーター・コンズ、同大のRGケヴィン・ジートラーといった選手たちだ。大学でガードだった選手をセンターとして育てる手もよくある。

◆ クォーターバック

マット・フリンがFA移籍し、2番手QBの座がぽっかり空いている。入団3年目のグレアム・ハレルはスケールが小さく、ロジャース不在時にフリンのような働きができるかというと大いに疑問だ。アリーナリーグで活躍したニック・ヒルを獲ったが、こちらはまだよくわからない。ドラフトでは4巡か5巡あたりで指名するのが順当ではないか。

◆ オフェンシブタックル

右タックルはブライアン・ブラガで盤石だが、LTチャド・クリフトンの後継問題がまだ解決していない。2年目のマーシャル・ニューハウスがクリフトンの代役として9試合に出場して大崩れしなかったものの、チームダントツ1位の10.5サック、41.5プレッシャーを許した。控えとしてなら水準以上の選手だが、後継LTの器とは言えないだろう。

いっぽう昨年1巡指名のLTデレク・シェロッドは、第15週KC戦でスネの骨を両方(腓骨と脛骨)骨折する大ケガを負い、現在リハビリ中。マッカーシーHCのコメントからするとトレーニングキャンプには間に合いそうだ。昨夏のキャンプでは左ガード兼任が左タックルとしての成長を阻害する結果に。パワーでインサイドに押し込まれる場面が目立ち、フットワークの軽さや腕の長さといったポテンシャルの大きさをまだ活かし切れていない。本来なら今年スターターに挑戦してほしいところだが、オフシーズンをまるまるリハビリに充てるようでは足踏みも致し方ないのでは。

というわけで、高給&ケガがちのチャド・クリフトン(35歳)を解雇せずにキャンプを迎えることになりそう。昨季後半に苦しんだ背中のケガは手術でよくなった、と本人は語っている。ポジションの重要性からして、ドラフトでは意外な上位で指名があってもおかしくない。ガードに回せる選手(ブラガのような馬力のあるタイプ)を獲れば一石二鳥だろう。

追記 : LTチャド・クリフトンがフィジカルチェックに合格できず(背中orヒザ、またはその両方)、解雇となった。ブラガをLTに回す手もあるので即スターターが必要というわけではないにしても、OT指名の重要性が高まったのはたしか。

 

◆ ランニングバック / フルバック

FAとなったライアン・グラントと再契約の動きがなく、ジェームズ・スタークス、アレックス・グリーン、ブランドン・セインの3人が残っている。昨年3巡指名のグリーンは前十字靭帯の手術明けだが回復は順調とのこと。ブランドン・セインは昨年ドラフト外入団ながら、グリーン負傷後になかなか渋い働きを見せた。

彼ら3人でもさほど問題ないように見えるが、競争レベルを上げるためにもドラフト下位で指名する可能性は高い。指名しなかった場合にのみ、グラントと再契約の目が出てきそうだ。

フルバックはジョン・クーンに昨季プラクティス・スクワッドのジョン・ヘイジー。豊富なタイトエンドをランブロッカーとして使うので、純粋なブロッキングFBはあまり必要ないチーム状況にある。ドラフト外で1人獲れば十分ではないか。

◆ タイトエンド

昨季はTE5人体制で過ごし、今春はジャーマイケル・フィンリーとの契約延長に成功したので、デプスは十分すぎるほどある。2番手TEのアンドリュー・クウォレスは前十字靭帯の手術明けだが、今年2年目のD.J.ウィリアムズとライアン・テイラーは伸びシロが大きそうなので、クウォレスの合流が多少遅れても問題ないはず。ブロッキング自慢のトム・クラブトリーもいる。

長期的な懸念材料はフィンリーとの契約が2年しかないことだが、たとえ来年いっぱいで退団したとしても、残る若手TEたちが伸びてくれれば何とかなるのではないか。キャンプでの人数的にも、今いる5人+ドラフト外ルーキーで十分のはず。今年ドラフト指名するとすればよほど魅力的なタレントがいた場合だけだろう。

◆ ワイドレシーバー

グレッグ・ジェニングス(プロボウル2回)、ジョーディ・ネルソン(昨季1263yds・15TD)、大ベテランのドナルド・ドライバー、ジェームズ・ジョーンズ(通算20TD)、昨年2巡指名のランドール・コブと5人が揃い、人もうらやむ陣容。昨季はプラクティス・スクワッドにトリ・ガーリーとディオンドレ・ボレルがいて、どちらも他球団からロースター入りの誘いを断っている。ジェニングスは今年契約最終年を迎えるが、球団側はなんとしてでも契約延長するだろう。

WRを早め早めにドラフト指名するのがトンプソンGMの特徴だが、今ドラフトではよほどのことがなければ上位指名はなさそう。「よほどのこと」が起きた場合、高給のドライバーを放出する可能性がいよいよ高くなる。今年は指名権が多いので6巡か7巡ならば指名があってもおかしくないが、開幕ロースター入りは相当難しいだろう。

◆ スペシャルチーム

キッカーは昨年契約延長したKメイソン・クロスビーがキャリアベストのFG成功率85.7%を記録、キックオフでもNFL3位のタッチバック49回を蹴っている。パンターのPティム・マステイも寒冷地球団としては素晴らしいグロス45.6yds、ネット38.7yds(どちらも球団新記録)を挙げて文句なし。リターナーでは新人WRランドール・コブがビッグプレーを何度も繰り出し、長らく続いてきた人材不足に終止符を打った。ロングスナッパーのブレット・グードも相変わらずミスが少ない。

というわけで今年はキッカー、パンター、ロングスナッパー、リターナーの指名は必要なさそう。

カテゴリ : Draft