グリーンベイ・パッカーズ ニュース

2012年2月20日

2012年パッカーズFA選手リスト

今年パッカーズからフリーエージェントになる予定の選手たちを以下にまとめて紹介する。今春FA予定だったうち、RGシットン(開幕直前)、WRネルソン(10月初め)との再契約はすでに完了し、現在はTEフィンリーおよびCウェルズとの交渉が焦点となっている。なお、今年のパッカーズは制限つきFA(RFA)がおらず、全員が無制限FA。

フランチャイズ指名用語集へ)できる期間は2月20日から3月5日まで。新労使協定で算定方法が変更されたため、彼らのサラリーはこれまでよりかなり減額されることになった。ポジションごとの金額リストはこちら。フランチャイズ指名選手はすべて契約ボーナスなしの1年契約。

今年のサラリーキャップ総額は昨年とほぼ同じ$120ミリオンあたりと言われ、パッカーズは$7ミリオンほどの空きがあるようだ。契約延長や新規契約にくわえ新人の獲得もしなければならないので、今のキャップスペースでやっていくのはおそらく無理。LTクリフトン(計$5.7ミリオン)やWRドライバー(計$5ミリオン)といったベテランを解雇したり契約を見直したりしなければならないだろう。CBウッドソンのロースターボーナス$4ミリオンも考えどころ。3月13日のFA解禁(新リーグ年度突入)に向け、彼らベテランとの交渉を進めることになる。

フランチャイズ指名すると、選手側がサインする前であってもサラリーキャップに加算されてしまうルール。上記のようなキャップ事情では、QBフリンをフランチャイズ指名したとたんに$14.4ミリオンが加算されキャップが破たんしてしまうので、「フランチャイズで引き留めた上でトレード交渉してドラフト指名権をゲット」という手は使えない。(2008年にはDTコーリー・ウィリアムズをこのようにしてトレードできた)

Cウェルズをフランチャイズ指名する手もなくはないが、OLのフランチャイズ指名はタックルもガードもセンターも区別がなく、一律$9.4ミリオン。いくらウェルズが優秀でも超一流タックルたちと同じ金額を払うのは現実的でない。といったわけで、今年フランチャイズ指名するとすればTEフィンリーだけだろう。

Green Bay Packers 2012 Free Agents
Name Pos Age 備考
Matt Flynn QB 27 今年のFA市場では若手QBのトップらしい。新天地で頑張れ
Ryan Grant RB 29 2011年限りと見られていたがシーズン後半に調子を上げた
Jermichael Finley TE 24 まだ若く今年のFA市場のトップTE。フランチャイズ指名か
Scott Wells C 31 初プロボウルも経験したOLの中心。年齢は微妙だが後継不在
Howard Green NT 33 巨漢NTも移籍2年目は大いに期待を裏切った
Erik Walden OLB 26 15試合先発もパスラッシュは期待外れ。不祥事もマイナス
Jarrett Bush CB 27 4番手CB 兼 優秀なスペシャルチーマー
Pat Lee CB 27 5番手CB 兼 まずまずのスペシャルチーマー

  

ジャーマイケル・フィンリー Jermichael Finley | Tight End | Texas
5年目 24歳 | 先発29/出場48 | 2008年ドラフト3巡 | TEのFA選手リスト

プロボウラーへのブレークが期待された復帰シーズンだったが、後半は彼らしからぬ落球にも苦しんで数字が伸びなかった。100ydsゲームは一度もなく、レシービング767ydsは全TE中12位に留まっている。ただ、人材豊富なレシーバー陣の中でキャッチ機会が回ってこない面も大きく、キャッチ1回あたり13.9ydsは全TE中4位、タッチダウン8回は3位の好成績だった。

アウトサイドでWRネルソン(1263ydsに躍進)が1on1勝負に持ち込めたのは、彼とWRジェニングスがダブルチームを引き付けてくれるから。パスオフェンスが手詰まりになりにくいのもこの強力トリオが揃っているからだろう。アンドリュー・クウォレスが12月にヒザ前十字靭帯(ACL)断裂したためフィンリーに代わる先発TE候補はおらず、長期契約交渉がダメならばフランチャイズ指名で引き留めるのは必至の状況となっている。

フランチャイズ指名された場合、「ワイドにセットすることの方が多く実質WRなのだから、WRとしてのフランチャイズ指名を求めて不服申し立てをする」と本人と代理人は公言している。WR扱いならば$9.4ミリオンだが、TE扱いでは$5.4ミリオンとかなり低く抑えられてしまうからだ。しかし、その訴えが実際に認められる可能性は低いらしい。

スコット・ウェルズ  Scott Wells | Center | Tennessee
9年目 31歳 | 先発100/出場110 | 2004年ドラフト7巡 | CのFA選手リスト

毎年着実に進歩を続け、プロ8年目にしてついにプロボウル初出場を果たした。低い当たりのランブロックは力強く、パスプロテクションも安定していて、スナップ前のアジャストメントの指示も的確。大型DTに圧倒される場面はほとんどなくなり、2009年開幕時にスターターの座を失った選手とは思えない。いまや31歳となったが息の長いポジションでもあり、後継候補も育っていないので再契約は必須だろう。

比較的容易に契約延長がまとまるタイプと見られていたが、両者の隔たりは大きいとの情報もあり、意外に難航しているらしい。プロ3年目の2006年秋に総額$15ミリオンの6年契約を結んでいて、結果としてはかなりのディスカウントだった。それだけに本人としてはビッグマネーを手にする最後のチャンス。ぎりぎりまで強く出るのは当然かもしれない。

ライアン・グラント  Ryan Grant | Running Back | Notre Dame
6年目 29歳 | 先発52/出場63 | 2007年FA加入 | RBのFA選手リスト

2007年シーズンのシンデレラボーイも29歳。今季はスタークス(プロ2年目)とともに並立スターターを務めたが、シーズン半ばまでは今ひとつ弾けるものがなく、この分では今季限りと見られていた。しかし終盤にスタークスが足首負傷で苦しんだのと対照的に、彼の方はタックラーを振り切るナイスゲインが増えた。キャッチングは以前より上手くなり、パスプロテクションもそれなりにミスが減った。ただ3rdダウンでは首脳陣の信用がないのか出番が相変わらず少ない。

29歳という年齢もあってどうしても契約延長したい選手ではないものの、FA市場で人気になる見込みも薄いので、安価に再契約するかもしれない。ただパッカーズの傾向からすれば、再契約を見送ってドラフトでの補強を選ぶかもしれない。

ジャレット・ブッシュ  Jarrett Bush | Cornerback | Utah State
7年目 27歳 | 先発6/出場90 | 2006年ドラフト外 | CBのFA選手リスト

4番手CBとしてまずまずの働きを続けるチーム有数のハードワーカー。CB陣ではウッドソンに次ぐサイズがありフィジカルなので、ブリッツァーとしての起用も多くタックリングもいい。カバレッジではボールが来た瞬間のプレーに相変わらず不安定さが残る。2010年に一皮むけて以来、スペシャルチームのエースとしての活躍は立派なもので、チーム最多タイの12タックルを記録し、反則1回のみ。

パス全盛のNFLでは3番手・4番手CBを充実させることがますます重要になっており、FA市場では意外な高値をつけるチームが出てきてもおかしくない。昨年4巡指名のCBデヴォン・ハウスが控えているとはいえ、ブッシュを手放した場合のダメージはディフェンス・スペシャルチームともに大きいのではないか。

パット・リー  Pat Lee | Cornerback | Auburn
5年目 27歳 | 先発1/出場32 | 2008年ドラフト2巡 | CBのFA選手リスト

2008年2巡指名選手も、ディフェンスでは相変わらずパッとせず5番手CBにとどまっている。途中出場したスーパーボウルでは効果的な働きを見せたので多少期待されたが、やはりスピードとクイックネスの不足は明らかで、スロットなら悪くないがアウトサイドではスピードについていけない。いっぽうスペシャルチームでは進歩を見せ、上記CBブッシュと並ぶ12タックルを挙げた。再契約の優先度はかなり低く、最低額クラスの1年契約なら、といった程度か。

エリック・ウォルデン Erik Walden | Outside Linebacker | Middle Tennessee State
5年目 26歳 | 先発17/出場53 | 2010年FA | OLBのFA選手リスト

2010年シーズン半ばでFA加入し、今季は右アウトサイドLBで15試合に先発出場。課題だったラン守備はよく頑張ったが、肝心のパスラッシュでわずか3サック。決して手を抜かない激しいプレーぶりは好感が持てるものの、嗅覚に難があるのかリバースなどに引っかかりやすく、コンテインを怠ってロングゲインを許すプレーが目立つ。11月には同棲相手への暴力事件で逮捕され、先日有罪を認めて司法取引が成立したばかり。

控えOLBとしてなら申し分ないが、スターターには物足りないことがはっきりしている。不祥事もマイナス材料で、パッカーズが積極的に再契約に動くとは考えにくい。安い1年か2年契約で引き留めて、ドラフト上位指名ルーキーと争わせるなら悪くないかも。

ハワード・グリーン Howard Green | Nose Tackle | Louisiana State
8年目 33歳 | 先発20/出場76 | 2010年FA加入 | DTのFA選手リスト

これまで10回の解雇を経験した渡り鳥。上記ウォルデンと同じく2010年シーズン半ばにFA加入し、スーパーボウルではFSコリンズのインターセプトにつながるブルラッシュが印象的だった。ところが移籍2年目は不振で、光るプレーがほとんど見られず。ラン守備ではポイントオブアタックでの踏ん張りが健在だが、パスラッシュでの貢献はゼロに近い。33歳という年齢なので高額契約する必要はない。控えノーズタックルとしての存在価値を認めるなら安価な1年契約だろう。

マット・フリン Matt Flynn | Quarterback | Louisiana State
5年目 27歳 | 先発2/出場34 | 2008年ドラフト7巡 | QBのFA選手リスト

一番最後に回したのは再契約の可能性がほぼゼロだから。2010年ペイトリオッツ戦、そして2011年ライオンズ戦の大活躍(球団新記録の6TD)で人気が沸騰し、若いフランチャイズQBを求めるチームたちの注目を集める存在となった。素晴らしいのはポケットでの落ち着き、ヒットを恐れないガッツ、リーダーシップといった部分。コントロールや判断力も向上してきた。肩は(入団時より強化できたとはいえ)あまり強くない。効果的なスクランブルを繰り出せる足はあるが、左に流れながら強いパスを通せるほどの身体能力はないように見える。

前述のように、いったんフランチャイズ指名してトレードする手が使えない以上、パッカーズとしてはだまってFA移籍を見送るしかない。数十ミリオンのビッグマネーに値するQBなのかはわからないが、少なくともこちらは来年 Compensatory Draft Pick を手に入れることはできる。

カテゴリ : Contract/Personnel